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“2千万円“問題 安倍政権の姑息な対応(北海道新聞 2019年6月14日付社説)

2019-07-16 | 日記
北海道新聞 2019年6月14日付社説
「“2千万円”問題 安倍政権の姑息な対応」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/315028?rct=c_editorial


「臭いものにふたをする」かのような、姑息(こそく)な姿勢が目に余る。

老後の蓄えが2千万円必要だとする金融審議会市場ワーキング・グループの報告書問題を巡る政府・与党の対応だ。


投資を促したい金融庁の思惑が透けて見えるなど、報告書の記述には確かに問題がある。

ただ、長寿社会が進めば年金だけでは老後の暮らしがままならなくなるとの趣旨は、
国民が抱いている不安と重なるものだろう。

その現実を踏まえ、どうすれば持続可能な社会保障制度を構築し、国民が安心できる年金給付を維持できるのかについて、
議論を尽くすのが国会の使命である。

ところが政権は参院選への悪影響を懸念し、報告書を「なかったこと」にしようとしている。
野党が求める予算委員会の集中審議には頑として応じようとしない。

選挙が不安だから問題を避けて通るのでは、全くの本末転倒だ。


麻生太郎財務相兼金融担当相は当初、寿命が延びれば老後の生活設計を考え直す必要があるとして
報告書を問題視していなかった。

ところが、野党の追及が強まると受け取りを拒否するという不可解な対応に出た。
安倍晋三首相も参院決算委で「不正確で誤解を与える」と報告書を批判した。


首相らには、「消えた年金」問題で惨敗した2007年参院選の苦い記憶があろう。

しかし金融審議会は、金融庁設置法に基づく首相らのれっきとした諮問機関である。
諮問を受けた有識者が議論した報告書を受け取らないのは、無責任極まりない。
公文書管理上も不適切である。


自民党幹部の発言も耳を疑う。

二階俊博幹事長は「選挙を控えた方に迷惑を及ぼすことのないよう注意せねばならない」と述べた。
「報告書はなくなっているから予算委にはなじまない」と言い放ったのは森山裕国対委員長だ。

報告書のどこに問題があり、受け止めるべき指摘は何か―。

問題を国民の目から隠すのではなく、丁寧な議論によって国民の不安を解消していくのが政治の務めのはずだ。
両氏の発言には、その認識のかけらも感じられない。



与野党は19日の党首討論開催では合意した。
だが議論すべき課題は、ほかにも日米貿易交渉などの外交を含め山積している。
45分間の質疑時間で足りるはずがない。


審議から逃げる政府・与党の姿を見せられて不幸なのは、
判断材料を与えられずに審判を下さなければならない国民だろう。

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