水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

暮らしのユーモア短編集-75- 使い捨(す)て感覚

2018年07月29日 00時00分00秒 | #小説

 最近、暮らしの中で、使い捨(す)て感覚が日増しに増幅していることを皆さん、お感じにならないだろうか。^^
 書けなくなったとき、「高(たか)がボールペン一本じゃないかっ! 買ったほうが安いぜっ!」と近くの職場仲間から言われたとき、あなたならどうするだろう。いや、替(か)え芯(しん)を買おう! と思うか、あるいは、そうだなっ! そんなに値段も変わらないから新しいのを買おう…と、思うかの二択(にたく)である。世間の巷(ちまた)では後者の割合が増えている。この現実は、使い捨て感覚の人が増えている・・と言い換(か)えても過言(かごん)ではない。
 使い古(ふる)したような、とある夫婦の会話である。
「ったくっ!! もう、いい加減に捨てなさいよっ! 格好(かっこう)悪くて、歩けやしないっ!」
「それそれっ!! お前なっ、その考えが地球を滅(ほろぼ)ぼすんだぞっ!」
「ウワァ~~~っ!! 大きく出たわねっ! そんな訳、ないでしょっ!!」
「いや、あるんだっ、それがっ! お前は甘(あま)いっ!! 実に甘いっ!!」
「ええええ、甘くて結構っ!! 私、先に出るわよっ!」
 連れだって外出しようとしていた矢先、夫(おっと)が愛用のポロっちい服を着込んだのがいけなかった。妻は完全に旋毛(つむじ)を曲(ま)げ、先に家を出た。
「あいつは地球が置かれている今の立場を分かってないっ!! 使い捨て感覚が人類、いや地球そのものを滅ぼすんだっ! 終戦直後は拾(ひろ)い捲(まく)ってたじゃないかっ! それが約70年経(た)った今じゃ、捨て捲ってるっ! 人は懲(こ)りないねぇ~~!!」
 着飾(きかざ)って玄関を出ていった妻を遠目(とおめ)に見ながら、夫はポロっちい姿で大きな溜(た)め息を一つ吐(つ)いた。
 さて、あなたなら、この一件、如何(いかが)お考えだろう。^^

                                 


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