雑感の記録。

秋の夜長はダラテンで

シキ展

2018年08月02日 | diary

年イチくらいで文化人ヅラしたくなるんですよ。
そういうワケで行って参りました、「シリアルキラー展 大阪」のレポです。
シリアルキラーに特段興味がある…というワケではないので、当日午前中は予習に充てたりしていざ大阪へ。

 

 

場所は大阪港の赤レンガ倉庫広場にある「海岸通ギャラリー CASO」。
赤レンガ倉庫っていうと神戸のアレが思い浮かぶのですが、まあ目的が一緒だからね。
そりゃデジャヴるってもんよ。
この辺りに来たのは子供の頃の海遊館以来。
それも親戚の車で遊びに行ったハズなので、当然この辺には来てないハズなんだけど…
まあ赤レンガ倉庫だからね。

なお訪れたのは先週の金曜。真っ昼間のカンカンな時分でございました。
なんでかっていうと、コーハツでのロア3対戦会があるからそのついででーってだけ。
閉館が19:00。んで南森町までは30分もあれば着く距離だったのですが、
大事をとってちょっと早めに…行ったら暑い暑い。(当たり前)
最寄り駅からは近いんだけど、倉庫広場付近は遮るモノ何もなかったからねー

 

展覧会の内容自体は2年ほど前に東京でやったものと同じみたいです。
(初回は2016年、第2回が2017年に開催されてる)
あっちでは顔出しパネル(観光地にあるアレ)があったらしいんですが、自分が行った時は見当たらず。
展示物はコレクターであるH.Nakajima氏の個人所有物で、絵画以外にも色々あるよーということで、
どんなマジキチアイテムがあるのかなーってのが気になってました。

 

■絵画その他の"作品"

シリアルキラーってのは所謂「連続殺人鬼」のことでありまして。
マジキチなヤツもそりゃ多いのですが、倫理観が欠落してるだけの普通の人間の方が多いわけですよ。
なので、「あー、これはマジキチの見てる世界だなぁ」と思う絵なんかはそんなに無かった。
殺人犯に絵筆を持たせてるってだけで、描いてるのはいたって普通の人間なんだなーってのがね。
そんな中にも惹かれたモノはいくつかあったワケで。
それがダニエル・ハロルド・ローリングとゲイリー・レイ・ボールズ。

 

ダニエル・ハロルド・ローリング(ダニー・ローリング)はいかにもな感じの絵。
憂鬱な色使い、不気味でテーマが解らない、不穏なんだけど調和がとれててゲイジュツ的な臭いは感じる。
殺人犯としての彼がしでかした事はといえば、マジキチそのものみたいな事件で反省の色も全く無かったようなんですが、
遺した絵画は「静かに狂っているんだなぁ」と直感させられる、説得力のある作品だと思いました。
人なんか殺さなきゃ良かったのにねぇ。

もう一人のゲイリー・レイ・ボールズはボールペン画が何点か。
どれもメタルのジャケっぽい仕上がりで、素直にセンスがいいなーって感じました。
マジキチ感やグロさなんかは薄いですし、こっちの道で食っていけたんじゃないかなーと思ったのよ。
人なんか殺さなきゃ良かったのにねぇ。

 

 

絵画以外だとウェイン・ローの作品も良かったですね。
捻くれた思想から凶行に及んだ彼も、今はちゃんと反省はしているようで。
写真の上からペイント・刺繍を施すって作風はポップアートと現代美術の間の子のようにも感じられましたし、
事件を起こすエネルギーをこっちに向けりゃ良かったのにねーと。


面白い(?)トコだとシリアルキラーお婆ちゃんことドロシア・プエンテ。
善悪のラインがひっくり返っているのかして、慈善事業が行き詰まるたびに年金目当てで殺人してたんだとか。
そんなお婆ちゃんのレシピ本、その名も「Cooking with a Serial Killer - Recipes From Dorothea Puente」。
日本語だと「シリアルキラーとクッキング! - ドロシアお婆ちゃんのレシピ本」って具合。
海外のAmazonだと普通に売ってるみたいだし、Kindle版もあるとかないとか。
ちゃんと監修してるのか…?これ…
かわいい絵とか、刺繍とか。作品見てる限りはほんわかしたお婆ちゃんの作るモノそのものなんだけどねぇ…

 

ドロシアお婆ちゃんとは対象的に、ストレートにキグルってるなーと感じたのがハドン・クラーク。
展示してあったのはほぼ全部「女の子がハンドサイン(手話?)を教えてくれるイラスト」なんだけど、
もーね、女の子が不気味なのよ。
んで判子絵。コピペしてんじゃないかってくらい判子絵。
普通に気持ちが悪い上に、描いた本人が「女性を殺せば自分が女性になれると思った」って語るキチガイだったからね…
人肉バーガーおじさんのイラストも一種の気味悪さを伴うモノが多かったけど、
あっちはある程度狙ってる(良く言えばキャラ作り的な)雰囲気があったのですが…
マジキチ感がハンパなかったのはハドン・クラーク。これだけは覚えておいて欲しい。

 

看板的な扱いのゲイシーにも触れておくかー
獄中でも精力的に絵を描いていただけあって、展示数も多め。
上手い下手で言えば…なんだろね…
ピエロの絵はともかく、ディズニー映画のキャラを描いてる作品がいくつかあったのですが、
キャラクターは下手なんですよ。目に生気が無い。
ただ背景や静物はちゃんと描けているっぽいんで、そのギャップが少し不気味だったかなぁ。
原哲夫が背景描いて、キャラクターを川原正敏が描いたーみたいな感じ。

彼の場合は自身の感情や心象を表現するための作品ではなく、
(不名誉とはいえ)名声を高めることであったり、絵の売買で得られる収益が目当てで描いてるようなフシがある。
いくら見てても訴えてくるようなモノ・揺さぶってくるモノがないんだな。
いち事業者として社会的には成功してるけど、その裏では30人以上の少年を犯して殺して棄てる殺人鬼。
表と裏で振れ幅が物凄く大きい彼も、絵を描くことに関しては凡俗そのものだったんだなぁと思うこともあり、
彼の作品はフラットに「ただシリアルキラーが描いた絵」として見れる。(あるいは「見れてしまう」)
だから、この展覧会の看板としてはベストなのかもしれない。

 


ミカちゃん

 

■作品以外のもの

いちコレクターの所持品を展示するって催しなので、絵画その他の芸術的な作品だけではありません。
目玉というとアレですが、エド・ゲインの所持品や髪・爪なんかの資料(?)があったり。
ボニーとクライドが射殺された時のズボンの切れ端とかさ。
いかにも蒐集品って感じの小品があったかなぁ。
あるいは多くのシリアルキラーたちが獄中から書いた手紙なども展示されてました。

残念だったのは、英語で書かれた手紙なんかが多かったものの、対訳が無かったこと。
タイプされたモノなんかは無く、時代が時代ですので筆記体のものがほとんど。
これは現代に生きる日本人がスラスラ読めるようなモノではない…
…とはいえ、中身を書かれるとソレはソレで興ざめするのかもしれませんが。
(宛てた相手が居る以上、プライバシーに配慮した…ってこともあるのかもしれん)

 

これらは本当に「いかにも蒐集品って感じのブツ」なので、絵画その他の作品と比べると
価値が分からない・見いだせないモノばかりだと思うのです。
太平洋を挟んだ遥か向こうの国のブツだもんね。
なので、そういった僕みたいなボンクラにも解るような解説も欲しかったかなぁとか。

こういったコレクターにとっては喉から手が出るほど欲しくなるアイテムであっても、
シリアルキラーの被害者たちからすれば、世に遺しておきたいワケがないわけで。
エド・ゲインの家が放火されて全焼したのはもう「そらそうよ」に尽きますし、
(どの殺人犯かは忘れたけど)遺族や弁護士団が獄中から出した手紙などを買い漁って片っ端から焼いたってのも解る気はする。
不謹慎って言葉で括りたくはないんだけど、僕自身はコレクターじゃないんだし、興味はほどほどにしときたいなと思う次第です。

 

 

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