司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について

2024-05-31 17:57:49 | 民法改正
民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について by 法務省
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00357.html

「令和6年5月17日、民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)が成立しました(同月24日公布)。
 この法律は、父母の離婚等に直面する子の利益を確保するため、子の養育に関する父母の責務を明確化するとともに、親権・監護、養育費、親子交流、養子縁組、財産分与等に関する民法等の規定を見直すものです。
 この法律は、一部の規定を除き、上記公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日に施行されます。」
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性同一性障害で男性から性別変更した女性が,自身の凍結精子で生まれた子を認知できるか

2024-05-31 16:13:35 | 民法改正
日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE263E70W4A520C2000000/

「原判決は、民法787条に基づき子との間で法律上の父子関係が形成されるべき「父」とは法的性別が男性である者のみを指すと解されることなどからすると、嫡出でない子は、その出生時に自己の血縁上の父の法的性別が男性であった場合に限り、当該血縁上の父に対して認知を求めることができるとした上で、上告人の出生時、被上告人の法的性別は男性から女性へと変更されていたから、上告人は、被上告人に対し、認知を求めることができないとして上告人の請求を棄却した。」(後掲「事案の概要」)

 6月21日,最高裁で判決の言渡しがされる。

cf. 事案の概要
https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/2024/jiangaiyou_05_287.pdf
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戸籍情報連携システムの障害が続く

2024-05-31 13:04:45 | 法務省&法務局関係
朝日新聞記事
https://digital.asahi.com/articles/ASS5Z2SJDS5ZTLVB00DM.html

 システム障害が再発しているらしい。

「法務省の副本データは、市区町村が持つ戸籍の「正本」と内容が一致するか確認が完了する前に制度が始まってしまい、データの更新漏れも多いという。このため、市区町村は、住民の申請を受けた際、本籍地の自治体に1件ずつ電話して間違いがないか確認しているという。ある職員は「折り返し待ちに時間をとられる」と漏らす。本来は10~20分ほどで済む処理に2時間以上もかかり、当日中の証明書発行ができなくなったケースもあるという。」(上掲記事)

 ん~。いったん「連携」は停止して,リセットする方がよいのではないか。
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後見人は,被後見人の親族の後見等開始審判を申し立てることができる?

2024-05-30 18:23:58 | 家事事件(成年後見等)
新日本法規
https://www.sn-hoki.co.jp/shop/f/img/items/pdf/sample/5100140.pdf

 成年被後見人の親族に相続が開始して,成年被後見人が相続人となった場合に,他の相続人が認知症等により判断能力がなく,遺産分割協議のために後見開始の審判を申し立てる必要がある場合に,成年後見人が成年被後見人に代わって申立てをすることができるか?

 この点についての家裁の運用は,「財産に関する法律行為」(民法第859条第1項)に該当しないとして,否定的であるケースが多いようである。

 しかし,これは,硬直的に過ぎるのではないか。遺産分割協議を行うために必要である場合には,「財産に関する法律行為」を広く解釈して,柔軟に対応すべきであろう。
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株式会社の設立登記の登録免許税は高過ぎる

2024-05-30 07:33:24 | 会社法(改正商法等)
 株式会社の設立登記の登録免許税について,「登録免許税法(昭和42年法律第35号)」の前身である「登録税法(明治29年法律第27号)」の施行時においては,

第六條 左ノ事項ニ付登記ヲ受クル商事會社ハ左ノ区別ニ従ヒ登録税ヲ納ムヘシ
 一 合名會社,合資會社設立 資本金額千分ノ二
 二・三 【略】
 四 株式會社設立 設立初度ノ拂込資本金額千分ノ三
 五~八 【略】

であった。

 その後の変遷については,未だ調べてはいないが,現在の登録免許税法別表第一24(1)イの規定は,

株式会社の設立の登記(ホ及びトに掲げる登記を除く。)  資本金の額の1000分の7(これによつて計算した税額が15万円に満たないときは、申請件数1件につき15万円)

である。

 私は,株式会社という法人格を作出するための一定のハードルはあって然るべしであり,登録免許税という制度はあってよいと思うが,「起業促進のために,設立登記をしやすく」を謳うのであれば,まずは登録免許税の減額を考えるべきであろう。

 ひとまず,租税特別措置によって,上記「資本金の額の1000分の7(これによつて計算した税額が15万円に満たないときは、申請件数1件につき15万円)」の部分を,当分の間,「資本金の額の1000分の7」として,最低額15万円を停止してはどうか。

 最低額が必要であれば,合同会社並みに,上記括弧書を「これによつて計算した税額が6万円に満たないときは、申請件数1件につき6万円」とすることでよいと思われる。

 そろそろ,株式会社の設立登記の登録免許税の最低額が15万円であるのは高過ぎるということで,是正の動きがあって然るべきである。
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定款認証の公証人手数料の引下げ

2024-05-29 13:05:03 | 会社法(改正商法等)
日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA285I20Y4A520C2000000/

「法務省は資本金100万円未満の企業を対象とする最低区分を1万5000円にする方向で検討する。」(上掲記事)

 地方の役場は特に事務所維持が困難になるおそれがあると思われる。

「公証人の多様化も検討する。98%以上が裁判官や検察官などを経験した元公務員が占める。弁護士や司法書士など民間人材の登用を増やすための議論を24年中に始める。公証人を公務員にする案もある。」

 ん~,何のための改革なのか,よくわからない。
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新たな会社法改正の動き

2024-05-29 09:24:48 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA27BZU0X20C24A5000000/

「政府は2025年にも企業が自社株を使って海外企業を買収できるように会社法を改正する・・・・・政府が近くとりまとめる規制改革推進会議の答申に会社法の改正方針を盛り込む。24年度中に法制審議会で諮問した後、国会に会社法改正案を提出する。」(上掲記事)

 また,会社法改正が動き出す。

「株式交付と現金とを組み合わせる「混合対価」と呼ぶ買収手法も使いやすくする。現在は買収に先立って官報公告に掲載し、異議申し出を受け付けるなどの債権者保護の手続きが必要だ。政府は債権者への影響は大きくないと判断し、会社法改正でこの手続きを撤廃する方向で調整する。」

 会社法第816条の8関係である。

「政府は会社法改正によって自社株を無償譲渡できる対象を社員に拡大する方針も掲げる。これまでは役員に限っていた。」

 会社法第202条の2関係である。

 その他は,次の研究会で議論されている論点か。

cf. 会社法制に関する研究会
https://www.shojihomu.or.jp/list/kaishahosei
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日弁連「商業登記規則等の一部を改正する省令における代表取締役等の住所非表示措置に関し、弁護士による職務上請求制度の創設等を求める会長声明」

2024-05-28 18:08:15 | 会社法(改正商法等)
商業登記規則等の一部を改正する省令における代表取締役等の住所非表示措置に関し、弁護士による職務上請求制度の創設等を求める会長声明 by 日弁連
https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2024/240527.html

「当連合会は、国に対し改めて、弁護士が職務上必要な場合に、代表取締役等の住所を迅速に把握することを可能とするため、商業登記法を改正し、商業登記においても弁護士による職務上請求制度を創設することを強く求める。」

 システム上の問題で,対応できないようである。

 それを踏まえて,対応せよという話であるのであろうが。
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法務大臣閣議後記者会見の概要「共同親権に関する民法等の一部を改正する法律の公布のための閣議決定について」

2024-05-24 10:19:17 | 民法改正
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和6年5月21日(火))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00514.html

「本日の閣議では、5月17日に、参議院の本会議で可決成立しました、共同親権に関する民法等の一部を改正する法律の公布のための閣議決定がございました。(※)
 施行は2年後ですが、2年というのはあっという間に過ぎると思いますので、しっかり関係府省庁等と連携して、審議の過程で指摘や要望等があった問題等への対応とともに、適切かつ十分な周知広報を図っていきたいというふうに思っております。

(※)法務大臣の発言においては、「本日の閣議では、5月17日に、参議院の本会議で可決成立しました、共同親権に関する民法等の一部を改正する法律案の公布のための閣議決定がございました。本日をもって公布ということになります。」とありましたが、本会見時において公布日は未定であり、下線部について、本文中のとおり訂正しています。」


 本日(5月24日),民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)が公布された。

cf. 官報
https://kanpou.npb.go.jp/20240524/20240524g00124/20240524g001240017f.html
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監査役1名のみとなった場合の任期途中の報酬増額決定と監査役の善管注意義務

2024-05-23 06:04:11 | 会社法(改正商法等)
TKCローライブラリ
https://www.lawlibrary.jp/pdf/z18817009-00-051592167_tkc.pdf

 岡田陽介「監査役1名のみとなった場合の任期途中の報酬増額決定と監査役の善管注意義務」が掲載されている。千葉地裁令和3年1月28日判決の評釈である。

「本判決は、 複数名の監査役が選任されている時期に株主総会決議で監査役報酬の最高限度額が定められ、その後監査役が1名のみになった会社において、 ①その監査役1名で報酬額を決定できること、②監査役の任期途中で報酬を増額できること、③その監査役が自らの報酬を上記の最高限度額とする旨の増額決定をしたことについて善管注意義務違反があるとはいえないとしたものである。」(上掲岡田)

 非常に面白いといえるが,実務的には押さえておくべき重要な判決である。もちろん控訴されているようだ。

会社法
 (監査役の報酬等)
第387条 監査役の報酬等は、定款にその額を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
2 監査役が二人以上ある場合において、各監査役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は、前項の報酬等の範囲内において、監査役の協議によって定める。
3 監査役は、株主総会において、監査役の報酬等について意見を述べることができる。
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