温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

塩原元湯温泉 元泉館(高尾の湯・日帰り)

2021年04月25日 | 栃木県

(2020年4月訪問)
前回記事の塩原温泉郷・古町温泉から奥の方へ進み、塩原元湯へとやってまいりました。言わずもがなこの塩原元湯は個性的な温泉が揃っていますが、元湯の中でも規模が大きな「元泉館」を訪ねて日帰り入浴を愉しんでまいりました。場所としては以前取り上げた「恵比寿屋」の隣です。


玄関にはこんな顔出し看板が設置されていましたが、さすがに中年のオッサンが一人でここから顔を出すのは躊躇われるので(本当はやってみたかったのですが)、見るだけに留めました。
フロントを訪ねて日帰り入浴をお願いしますと、快く対応してくださいました。


館内には複数のお風呂がありますが、日帰り入浴で利用できるのは浴舎が別棟になっている「高尾の湯」のみ。宿泊者用専用のお風呂「邯鄲の湯」や「宝の湯」では別源泉が使われているらしいのですが、残念ながら今回は入れません。フロントで料金を支払い、一旦建物から出て・・・


駐車場の奥、自販機の横にあるべニアの扉を開けます。この扉には手書きで「800円」と書いてありますが、もちろん日帰り入浴の料金を示しているのは言うまでもありません。


扉の向こうの通路を左側へ歩き、離れの浴舎へ。


この通路の脇には温泉関係の設備があり、周囲に湯気と硫黄臭を漂わせていました。期待に胸が膨らみます。


通路を歩いて「高尾の湯」に到着です。


ガラスのドアを開けた向こうに広がる、妙に大きくてガランとしたホールの寒々しさに少々戸惑いつつ、男湯の暖簾をくぐります。


訪問した時には室内に湯気が立ち込めていたため、見難い画像となってしまいました。申し訳ございません。皆様の豊かな想像力を良い方に膨らませながら記事と画像をご覧ください。

上述のホールと同様に、内湯浴室もまた妙に広いのですが、その中にあるのは1つの浴槽とシャワー5基のみ。スペースに余裕があるおかげで各シャワーの間隔はかなりあいており、仕切り板が無くても隣との干渉は気にならないでしょう。なおシャワーから出るお湯は真湯です。浴場内の床には緑色凝灰岩が敷き詰められており、足元の感触はとても快適なのですが、長年にわたって多くのお客さんを支え、また温泉が流れ続けてきたためか、表面が部分的にオレンジ色に染まっていました。




木造の浴槽は1つのみですがとても大きく、目測で4~5メートル四方かと思われます。またちょっと深めの造りとなっており、湯船に浸かった時の入り応えがあります。湯口からは少々熱めのお湯が滔々と注がれてており、クリームを流し込んだような鶯色に濁る湯船のお湯には、黒や白の小さな湯の花が浮遊しています。湯加減は42℃前後でしょうか。

お湯からはクレゾールのような刺激を伴うイオウ臭が漂い、タマゴ味とともに口の粘膜が痺れる苦味が感じられます。サラサラスベスベでよく温まります。色、香り、浴感、湯加減、そのいずれもが素晴らしく、一度入ると出たくなくなってしまうほど極上のお湯です。


露天風呂はひさごのような形をした岩風呂で、キャパは5~6人でしょうか。内湯と違ってやや浅めの造りです。湯船の半分以上に屋根が掛かっているので、多少の雨や雪なら凌げそうですね。


清らかな沢を眺める風情あるロケーション。せせらぎとともに、若葉、花、紅葉、雪見など四季折々で美しい景色が楽しめそうです。


露天の湯口から出てくるお湯は既に適温でしたので、おそらく内湯から流れ出たお湯がこちらへ導かれているのかと推測されます(間違っていたらごめんなさい)。湯口で既に適温ですから、外気によって更に冷やされる露天の湯加減は若干ぬるく(41℃前後)、長湯仕様ではありますが、お湯の良さでは内湯が勝るかと思います。とはいえこれはあくまで私個人の感覚。内湯、露天ともに素晴らしいので、どなたもお好きなお風呂で極上湯に癒されることでしょう。


高尾の湯
含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉(硫化水素型) 49.1℃ pH6.6 72.0L/min(自然湧出) 溶存物質3.3301g/kg 成分総計3.9272g/kg
Na+:799.5mg(81.79mval%), Mg++:22.5mg, Ca+::83.2mg(9.76mval%), Al+++:0.8mg, Fe++:0.2mg,
Cl-:806.4mg(52.40mval%), Br-:2.3mg, HS-:24.3mg, SO4--:106.0mg, HCO3-:1077.2mg(40.67mval%),
H2SiO3:244.4mg, HBO2:101.7mg, CO2:528.0mg, H2S:69.1mg,
(平成29年6月22日)

栃木県那須塩原市湯本塩原101
0287-32-3155
ホームページ

日帰り入浴8:00~20:00
800円(2時間)
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

.
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

塩原・古町温泉 旅館 上会津屋

2021年04月20日 | 栃木県



(2020年4月訪問)
前回記事に引き続き栃木県の温泉をめぐります。
栃木県屈指の温泉街である塩原温泉郷へとやってまいりました。今回訪ねるのは、塩原温泉郷の中心部と表現しても差し支えない古町温泉です。当地では国道に沿っていくつもの温泉旅館が軒を連ねていますが、その中でも歴史あるお宿「上会津屋」を訪ね、日帰り入浴を


帳場で日帰り入浴をお願いしますと、快く受け入れてくださいました。江戸時代から続く老舗旅館なので入浴のみの利用は難しいのかと覚悟していたのですが、とても家庭的な温かい雰囲気にホッと安心。


帳場で湯銭を払った後は、向かいにあるこちらの暖簾をくぐり・・・


廊下を進んでお風呂へ向かいます。途中にはかつての宿帳など昔の資料がケースの中に収蔵されており、声を掛ければ見せてくださるそうです。この先もいくつか暖簾をくぐります。


一旦屋外に出た後、再び自動ドアを開けて建物に入ると上画像のような小さい休憩室の前に出ます。お風呂上がりにひと息つくには良さそうなお部屋ですね。さて、この休憩室の手前で2階と1階の二手に分かれており、それぞれに浴場があります。1階と2階は男女入れ替え制になっており、私が訪ねた日は1階のお風呂に男湯の暖簾がかかっていました。


脱衣室は比較的コンパクトな作りですが、さすが老舗旅館だけあって手入れが行き届いており、とても綺麗で使い勝手も良好です。


1Fの浴室は奥行きが深い横長の造りで、その真ん中に浴槽が一つ据えられており、奥に洗い場が配置されています。


洗い場にはシャワー付きカランがL字形に8基並び、それぞれに仕切り板が取り付けられているので、隣客との干渉を気にせず利用できます。


窓に面して設けられた浴槽の大きさは、目測で1.8m×6mほどでしょうか。浴槽に張られたお湯は、洗い場側の湯尻よりしっかり溢れ出ていました。おそらく加水された上での放流式の湯使いかと思われます。以前は循環していたようですが、今はかけ流しですので、湯使いが改善されたんですね。なお浴槽の縁はアイボリー色に染まっていますが、おそらく元の素材(黒いタイルか石材)に温泉成分がコーティングされることで、このような色合いになっているのではないかと思います。


浴槽中央の窓側で立ち上がっている湯口から、温泉が滔々と注がれています。湯口のまわりは温泉成分の析出がコテコテにこびりついており、ビジュアル的にお湯の濃さを湯浴み客へ伝えていました。このようなコンモリ且つトゲトゲな析出を目にすると、私のようなマニアはつい興奮してしまいます。

そんな析出がたくさん現れるこちらのお湯は、後述する自家源泉から湧出しており、ほぼ無色透明ですが少々笹濁っているように見えます。いわゆる塩化土類泉であり、お湯を口に含むと薄い塩味と塩化土類泉によくある土気味、そしてカーボンを思わせる炭みたいな焦げ味が感じられます。塩化土類泉はパウダリーで引っ掛かる浴感が一般的ですが、こちらのお湯は意外にもツルスベの滑らかな感覚がしっかり得られ、同時並行でその中に引っ掛かりも含まれているような浴感でした。食塩泉と土類泉の双方の良いところが上手く組み合わさって活きているような感じでしょうか。


内湯の左側にあるドアを開けると、このような露天風呂が設えられています。この露天の浴槽は3~4人サイズの5角形で、内湯の浴槽はタイル貼りでしたがこちらは木造です。頑張ってスペースを捻出したような猫の額みたいな空間にあり、塀の向こうはちょうど玄関の角に当たる場所かと思われ、簾が下げられているものの、露天入浴中は向かいの建物から見えてしまう状態です。もっとも、見られる機会はほとんど無いかと思いますが、お湯も若干鈍り気味だったように思われたので(偶々そのようなタイミングに当たってしまったのか)、お宿の方には申し訳ないのですが、私個人としては内湯ばかりに入っていました。


先ほど申し上げましたようにこちらのお宿のお湯は自家源泉なのですが、その源泉井は玄関の前にあるため、お宿に入る際には誰しもが否応なく目に触れることでしょう。上画像がその源泉であり・・・


しかもこの源泉では、自噴する温泉の姿を目にしながら、飲泉することができるんです。もちろん私も飲泉させていただきました。当然なのですが、湧出したてのお湯からは、お風呂の湯口でテイスティングするよりはるかに強くはっきりとした味が感じられました。このように湧きたてのお湯を飲泉できる施設はたいへん珍しいので、こちらを訪問の際は是非体験なさってください。

江戸時代から続くこちらの老舗旅館は、その連綿とした歴史のみならず、温かい接客、そして良質な自家源泉という複数の誇るべきものを兼ね備える魅力たっぷりのお宿。今回は入浴のみの利用でしたが、次回訪問時は宿泊でお世話になりたいと思います。


上会津屋源泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 65.1℃ pH6.8 59L/min(掘削自噴) 溶存物質1.82g/kg 成分総計1.99g/kg
Na+:309mg(60.05mval%), Mg++:27.0mg, Ca++:110mg(24.53mval%), Fe+++:0.4mg,
Cl-:440mg(54.24mval%), Br-:0.7mg, I-:0.3mg, HCO3-:588mg(42.13mval%),
H2SiO3:232mg, HBO2:33.3mg, CO2:164mg,
(平成20年4月4日)

栃木県那須塩原市塩原745
0287-32-2734
ホームページ

日帰り入浴時間不明
800円 
ロッカー、シャンプー類、ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

板室温泉 勝風館

2021年04月15日 | 栃木県


(2020年4月訪問)
前回に引き続き板室温泉のお風呂を訪ねます。当地は一本道に沿って温泉旅館が静かに建ち並んでいますが、そんな温泉街のちょうど真ん中あたりに位置する、淡いオレンジ色の外壁が印象的な「勝風館」で日帰り入浴させていただきました。玄関の引き戸を開けて日帰り入浴をお願いしますと、スタッフの方がとても温かく対応してくださいました。


お風呂は階段を上がった2階にあります。紅色の暖簾側は「融合風呂」、紺の暖簾側は「超音波風呂」と分かれているようです。「超音波風呂」については後ほど触れますが、女湯側の「融合風呂」とは果たしてどのようなお風呂なのでしょうか。
脱衣室はシンプルな造りですがちゃんとお手入れされており、快適に使うことができました。なお室内には扇風機が用意されていますが、ロッカーはありませんので、貴重品は帳場へ預けましょう。


ワインレッドのタイルが印象的なお風呂は内湯のみ。男湯の場合、入って左側にシャワーが3基並んでいます。


浴槽は大小に分かれており、手前は2~3人サイズの小浴槽、奥が4人サイズの大浴槽です。湯口は両方に跨がっていますが、主に大浴槽へお湯を供給しています。そして大浴槽を満たしたお湯は小浴槽へ流れ、更に小浴槽から洗い場へ溢れ出ていました。大浴槽ではジェットバスが稼働しているのですが、おそらくこれを超音波と称しているのでしょう。


神社のお札が祀られた湯口からは、無色透明無味無臭という、優しくまろやかなタイプのお湯が注がれています。分析表によれば比較的高いアルカリ性を示していますが、ツルスベ浴感はあまり強くなく、程々といったところでしょうか。源泉の湧出温度が40℃に満たないため加温されていますが、比較的ぬるめに設定されており、また体へ当たりがとても優しいお湯なので、時間を忘れていつまでも湯あみしていられます。なお湯使いについては特に館内表示が無かったかと思いますが、おそらくは加温した上での放流式でしょう(間違っていたらごめんなさい)。

長湯したおかげで体の芯までしっかり温まり、しばらくは汗が引きませんでした。やはり温泉の力はすごいですね。お宿の方の対応もハートフルで、そして温泉もしっかり温かい…。こちらのお宿の名前には「あったか~い宿」という副名もあるのですが、その言葉に嘘偽りは無いようです。とはいえ今回は日帰り入浴のみの利用でしたから、次回は宿泊してじっくりと宿の温かさを感じてみたいものです。


塩沢温泉組合源泉(板室4)
アルカリ性単純温泉 34.9℃ pH9.6 溶存物質738mg/kg 成分総計738mg/kg
Na+:158.0mg, Ca++:65.9mg,
SO4--:432.5mg, CO3--:8.9mg, OH-:0.7mg,
H2SiO3:36.5mg,
(平成7年2月10日)

栃木県那須塩原市板室1136
0287-69-0224
ホームページ

日帰り入浴12:00~20:00
500円
シャンプー類・ドライヤーあり、貴重品帳場預かり

私の好み:★★+0.5
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

板室温泉 加登屋旅館 別館

2021年04月10日 | 栃木県
(2020年4月訪問)
今回から栃木県の温泉を取り上げます。名湯揃いの野州でも歴史がありながら今一つ知名度が弱い板室温泉。有名な温泉地よりもマイナーな温泉に注力してきた拙ブログとしては、既に何ヶ所か取り上げてきたつもりだったのですが、改めて確認してみると、ちっとも記事にしてこなかったことに気づいたので、今回と次回の2回連続で取り上げることにしました。今回は「加登屋旅館 別館」です。日帰り入浴で利用させていただきました。


板室の加登屋といえば、上画像の本館を触れないわけにはいきません。大変立派な木造建築であるこの本館は、大正時代に建てられたもので、国の有形文化財に登録されています。そして棟続きになっている別館と悠仙閣も、同じく国の有形文化財に登録されているんだそうです。


さて今回訪ねたのは、白くて長いこの建物。こちらも同じく加登屋旅館の「別館」を名乗っているのですが、いかにも昭和の高度経済成長期に建てられた古い感じの無機質な建物で、文化財の指定からはご縁が遠そうです。でも実質的にはこちらが営業面での加登屋旅館さんのメインとなっているようです。


帳場で日帰り入浴をお願いしますと快く受け入れてくださいました。湯銭を支払い、階段を上がって二階へ。そして中庭を囲む廊下をぐるっと回ってお風呂へ向かいます。


「ゆ」の暖簾をくぐればお風呂に入れるのかと思いきや・・・


中間室と称したら良いのでしょうか、男女両浴室の入口につながる休憩室のような広い部屋に出ました。この室内には自販機や腰掛けがあり、那珂川を眺めながらひと息つけるような環境が整えられています。


この休憩室には、温泉分析表がファイルに入れられ、誰でも自由に手にとって見られるようになっていました。こうしたデータを隠すことなく正々堂々と開示しているということは、よほどお湯に自信があるのでしょう。それだけでも私はワクワクしちゃいます。
なお脱衣室はシンプルな造りで、棚と籠が用意されているばかり。一応扇風機が用意されているので、湯上り後のクールダウンが可能です。


浴室は那珂川を見下ろす見晴らしの良いロケーションです。建物の造りが古いために天井が低いのですが、床面積以上に広く感じられるのは、2方向に窓が大きく確保されていて、とても明るい環境だからでしょう。


洗い場にはシャワーが3つ設けられています。


浴槽は2方向の窓に面してL字型になっているのですが、途中で3段に分かれており、湯口から湯尻へ向かって徐々にぬるくなっています。
湯口からお湯が供給される上流に相当する浴槽(上画像)は1.2×2メートル程の大きさで大体4人サイズ。湯加減は42℃前後といったところで、3つに分かれた浴槽の中では最も高い温度設定であり、またお湯の鮮度感も最も良好です。


真ん中は最も大きく、目測で4m×3mでしょうか。湯加減も万人受けする適温となっており、とても入り心地が良く、ノビノビと湯あみを楽しめます。


湯尻がある下流は1.8m×3mといった大きさで、最もぬるい38℃前後でした。体への負担が軽い温度帯ですので長湯するには最適ですね。かく言う私もこの下流槽に浸かっていたらウトウトしてしまいました。


こちらのお宿では複数の源泉をミックスして浴槽へ供給しています。分析表によれば、第1号源泉・第2号源泉ともに40℃に満たないため、44℃近い別の源泉を合わせることで、入浴に適した温度にしているようです。お湯は無色透明で清らかに澄んでおり、湯口のお湯を口に含むと無臭ながらほんのり苦味が感じられました。湯船に浸かると、決して強くはないもののツルスベの滑らかな浴感に優しく包まれます。体への当たりのマイルドなお湯なのですが、優しいながらもパワフルな温浴効果があり、実によく温まります。お湯の投入量も多く、しかも完全かけ流しオーバーフロー。とても良いお湯でした。

後日調べたところによると、どうやら別源泉を利用した打たせ湯浴槽があるらしいのですが、日帰り利用は不可なんだとか。お湯も環境も素晴らしいところなので、次回は一泊して、日帰り不可のお風呂も利用しながら、のんびりと過ごしたいものです。

第1号源泉
アルカリ性単純温泉 37.5℃ pH9.6 40.0L/min(掘削自噴) 溶存物質0.422g/kg 成分総計0.422g/kg
Na+:93.1mg(75.43mval%), Ca++:25.4mg(23.63mval%),
SO4--:233.1mg(81.06mval%), CO3--:15.1mg, OH-:0.7mg,
H2SiO3:32.5mg,
(平成22年10月6日)

第2号源泉
アルカリ性単純温泉 36.6℃ pH9.7 105.7L/min(掘削自噴) 溶存物質0.405g/kg 成分総計0.405g/kg
Na+:93.1mg(75.39mval%), Ca++:25.5mg(23.71mval%),
SO4--:213.3mg(74.55mval%), CO3--:9.7mg, OH-:0.9mg,
(平成20年4月2日)

室井・高根沢共有8号源泉
アルカリ性単純温泉 43.9℃ pH9.6 370.8L/min 溶存物質0.647g/kg 成分総計0.647g/kg
Na+:137.2mg(66.87mval%), Ca++:56.5mg(31.58mval%),
SO4--:364.4mg(84.41mval%), CO3--:9.7mg, OH-:0.7mg,
H2SiO3:36.2mg
(平成20年4月2日)

栃木県那須塩原市板室859
0287-69-0201
ホームページ

日帰り入浴14:00~
500円
シャンプー類・ドライヤーあり、ロッカーなし(帳場預かり)

私の好み:★★★
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

熱海温泉 日航亭 大湯

2021年04月05日 | 静岡県
(2020年3月訪問)
前回に引き続き熱海の温泉を訪ねます。今回取り上げるのは、有名日帰り入浴施設「日航亭 大湯」です。ネットが普及する以前から各種ガイドブックで取り上げられてきた有名施設ですので、温泉ファンのみならず熱海を訪れた多くの方が利用しているかと思います。てっきり私は自分のブログで既に取り上げていたものと勘違いしていたのですが、よく調べてみたら未掲載だったので、改めて再訪問してみることにしました。


熱海を代表する観光名所であり、熱海七湯のひとつでもあつ大湯。かつては自然現象として熱湯の間歇泉が噴き上がっていましたが、昭和30年代に枯れてしまったため、今では観光振興を目的として人工的に噴き上げています。人工的だとわかっているものの、でも目の前でお湯が轟音と飛沫を上げながら噴き上がっていると、つい嬉しくなって写真を撮ってしまいますね。4分毎に3分間噴湯しますので、どなたも大して待つことなく噴泉を見ることができるでしょう。


この大湯間歇泉からちょっと坂を上がったところが今回の目的地「日航亭」です。古風ながらも立派な建物からは旅館の風格が感じられますが、それもそのはず、以前は老舗旅館として営業していました。私の朧気な記憶で恐縮なのですが、今から約30年前でしょうか、バブルが弾けて日本経済が失われた20年や30年と呼ばれる不況に突入する頃、当時の熱海温泉は既に斜陽期を迎えており、従来型の旅館業を営むのが苦しくなっていました。ちょうどその頃、テレビのニュースでこの「日航亭」が取り上げられ、旅館業を止めて日帰り入浴専門施設として業態転換を図ったことが注目されたのです。いまでこそ旅館から入浴施設へリニューアルを図る施設が全国各地でみられるようになりましたが、「日航亭」はこうした業態転換の嚆矢と言えるかと思います。このような動きは当時としては非常に珍しく、衰退する温泉業界の中で生き残りを図る奇策として大きなニュースバリューがあったのでしょう。老舗旅館の暖簾を下して銭湯のようなお店に変貌するのですから、当時は相当の決断を迫られたのかと思いますが、熱海温泉界がドン底から這い上がって現在のような再発展に至っても、お客さんが絶えることは無いのですから、その当時の決断は間違っていなかったわけです。


徳川家康に気に入られた江戸時代の熱海は天領であり、3代家光以降の将軍たちは大湯のお湯を「御汲湯」として江戸城まで運ばせました。外壁にはそんな大湯と徳川将軍家にまつわる歴史的な縁起が書かれており、熱海にゃ余多の温泉施設があるけれども、ここのお湯は他所とは違う別格なんだぞ、由緒ある名湯なんだぞという高い誇りが伝わってきます。

さて、前置きはここまでにして、石で組まれた独特なアーチを潜って玄関へ。靴は玄関入ってすぐ左の下足場へ収め、帳場で湯銭を支払います。そして廊下を進んだ先にある引き戸を開け、裏手に出て浴舎へと向かいます。浴場へと向かう途中に、お旅館時代に客室として使われていたお部屋が見えますが、30畳の大きなお部屋は無料休憩室として、他の各個室は有料休憩室になっているようです。

浴場は大小の2種類に分かれ、男女入れ替え制になっており、私が訪ねた日は手前側の小さなお風呂に男湯の暖簾がかかっていました。このため、本記事では小さなお風呂に関して説明させていただきます。なお、浴場内は写真不可であり、また訪問時は入浴客が多かったため、今回記事は文章のみで説明してまいります。もし館内の様子をご覧になりたい方は公式サイトをご覧ください。もしくはネット上にたくさん関連記事が存在しているかと思いますので、ご自身で検索してみてください。

小さな方と言っても、他の中小規模旅館に比べたらはるかに大きく、お風呂の入口かと思ってドアを開けたらまだ先に廊下が伸びているのでちょっと面食らいました。また途中で内湯用と露天用の脱衣室に分かれるのですが、両者は中でつながっているので、どちらを使っても同じです。広い脱衣室内には有料ロッカー(100円)のほか、エアコンや扇風機、ドライヤーなど、ひと通りの備品が揃っているので、使い勝手に問題ありません。

内湯に足を踏み入れますと、まず中央に据えられている大きな浴槽が視界に入ってきます。ちょっとしたプールのように大きな浴槽であり、熱海が絶頂を迎えていた高度経済成長期には、団体客が一挙に入ってきても支障なく受け入れられたことが容易に想像できます。浴室は基本的にタイル張りで浴槽も同様ですが、浴槽の縁だけは伊豆青石が採用され、見た目も実際に触れた感触も優しく好印象をもたらしてくれます。そんな浴槽の真ん中に湯口の枡が取り付けられ、非常に熱い大湯源泉が惜しげもなく供給されているのですが、長年にわたってお湯に触れているため、この桝には温泉成分の白い析出がこんもりと付着していました。温泉の成分がビジュアル的に伝わってくると、マニアとしてはとても嬉しくなってしまいます。

内湯から狭い連絡通路を通って露天風呂へ。露天といっても実質的には半露天であり、洗い場がある内湯と露天風呂を組み合わせたような構造で、露天側では空がちょこっと見上げられる程度の開放感しか無いのですが、その部分は庭のような設えになっていますし、浴槽も部分的ながら岩風呂ですので、それなりに露天風呂らしい雰囲気は楽しめます。なお私の訪問時は露天のお湯がちょっと白く霞んでいたのですが、これは偶然(多客時ゆえ)なのでしょうか。

敷地内に有する2本の源泉から日量8万リットルものお湯が湧出しており、これを各浴槽へ加温循環消毒なしの完全かけ流しで供給しています。湯量豊富だからこそ贅沢な湯使いが可能なんですね。なお源泉温度が高すぎるため、投入量を調整することで加水することなく湯加減を調整しています。湯口のお湯を口に含んでみますと、しょっぱく且つ苦いという典型的な熱海のお湯であることがわかります。この手のお湯は石鹸が泡立ちにくいので予めご承知おきを。浴槽に入るとトロトロのお湯に包まれ、肌にツルスベの滑らかな感触が伝わります。良い湯なのでつい長湯したくなりますが、逆上せやすいタイプのお湯ですので、迂闊に長湯せず適当なところでお風呂から上がるこ:とが大切です。
建物も設備も全体的な古さは否めませんが、歴史あるお湯は大変良質であり、また朝から夜まで長い時間にわたって営業しているため、温泉ファンのみならず熱海で汗を流したい観光客から重宝されています。これからも多くの人から愛され続けることでしょう。


安保湯(熱海23号泉)
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 94.5℃ pH8.07 成分総計9.07g/kg
Na+:2103mg, Ca++:1002mg,
Cl-:5085mg, SO4--:221.5mg,
H2SiO3:304.8mg, CO2:35.3mg,
(平成26年9月26日)
加水加温循環消毒なし

静岡県熱海市上宿町5-26
0557-83-6021
ホームページ

9:00~20:00(受付19:00まで) 火曜定休(祝日の場合は翌日休み)
1000円
ロッカー(100円有料)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする