温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

あつみ温泉 越後屋旅館

2013年02月28日 | 山形県
 
前回取り上げた「正面湯」では大阪から一人でいらっしゃった旅行客とお会いし、お風呂ならではの開放的な雰囲気に助けられて初対面とは思えないほど和気藹々と旅の四方山話に華が咲いたのですが、その方曰く、当地の旅館で日帰り入浴をしたかったので事前に何軒かの旅館へ電話したところ、悉く玉砕してしまい、仕方なく「正面湯」の一箇所だけで我慢した、と落胆しながらこぼしていらっしゃいました。年末年始の繁忙期でしたので、普段は受け入れているお宿でもこの日ばかりは断っていたのかもしれません。実は私も「正面湯」を出た後にもう一ヶ所どこかのお宿でお風呂をハシゴしようと考えていたので、このお話を聞いた途端に目の前が真っ暗になってしまったのですが、そんな状況の中でもきっとここは大丈夫だろうという勘が働いて訪ってみたのが、朝市広場とバラ園の中間のバス通り沿いに建つ、ノスタルジー感たっぷりの古風な佇まいの「越後屋旅館」です。


 
訪問したのは午後4時頃。大きな熊手と柱時計、そして膝の上に三味線を置く和装の女性を描いた油絵が目を引く玄関に立って「ごめんください」と声を掛けて入浴をお願いしますと、奥から女将がやってきて快く応対してくださいました。



上がり框から廊下を真っ直ぐ進んだ右手すぐに、浮世絵が描かれた浴室入口の暖簾が下がっています。写楽の「大谷鬼次の奴江戸兵衛」の方が男湯ですね。
脱衣室は年季が感じられる造りながらもお手入れが行き届いており広さもそこそこ。洗面台は4面設置されており、ドライヤーも用意されています。



お風呂は内湯のみで露天はありません。奥行きのある室内の左側に浴槽が、右側に洗い場が配置されています。浴室の戸を開けた途端に、ふんわりと優しく石膏のような香りが湯気とともに我が身を包んでくれました。


 
洗い場には混合水栓が6基設置されており、うち4基はシャワー付き、残り2基はシャワー無しなのですが、シャワー無しの1基については吐水口に塩ビのパイプが接続されており、浴槽の加水専用の蛇口となっていました。また、シャワー前に配された腰掛けの上にはおしりを安定させるための板が載せられ、そのひとつひとつにケロリン桶が伏せられていました。


 
浴槽は大文字の「J」を上下逆さにしてから鏡文字にしたような形状をしており、奥の方では塩ビパイプを斜めに切った打たせ湯が3本突き出ていましたが、この日は使われていませんでした。この日だけなのか最近は常に止めているのか、そのあたりの事情はわかりません。


 
浴槽の最奥に湯口があり、硫酸塩の白いトゲトゲ析出がこびりついたパイプから素手では触れないほど熱いお湯が注がれていました。湯口ではアツアツなのですが投入量に対して湯船が大きいためか、湯船では湯口に比べるとかなり温度が下がっており、これが功を奏してちょうどよい湯加減になっていました。共同浴場のように加水せずとも気持ちよく全身浴できる湯温です。
使用源泉は共同浴場と同じく5・6・7号源泉の混合。端的に表現すると食塩泉に石膏泉を少々ブレンドさせたようなお湯であり、無色透明で薄い塩味と弱い石膏的味覚および臭覚が感じられます。若干の加水は行われているようですが、加温循環消毒は行われておらず、浴槽の縁からしずしずとオーバーフローしていました。

一見すると何ら変哲のないお湯かと早合点してしまいがちですが、さすがに食塩などを含む本物の温泉だけあり、家庭のお風呂では決して得られない強力な温浴効果を有し、まるで真っ赤に燃えるコークスを体の芯に埋め込んだかのような熱が迸って、湯上りはしばらくダウンジャケットの着用が躊躇われたほどです。
帰り際に丁寧に挨拶してくださる女将に接し、あつみ温泉で宿泊する機会があったら迷わずこちらに決めようと心に誓いました。


5号源泉・6号源泉・7号源泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 56.5℃ pH7.3 蒸発残留物2360mg/kg 溶存物質2312mg/kg
Na+:636.2mg, Ca++:174.1mg,
Cl-:876.3mg, SO4--:407.9mg,
H2SiO3:8.4mg,
加水して温度調整
加温循環消毒なし


JR羽越本線・あつみ温泉駅よりあつみ交通の路線バスで「神社前」バス停下車、徒歩1~2分
(時刻などの検索は庄内交通HPを参照)
山形県鶴岡市湯温海甲132 地図
0235-43-2158

日帰り入浴時間不明
500円
シャンプー類・ドライヤーあり、ロッカー見当たらず

私の好み:★★
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あつみ温泉 正面湯

2013年02月27日 | 山形県
 
前回に引き続きあつみ温泉を巡ってまいります。今回は観光客にもお馴染みの「正面湯」です。山形県では湯田川温泉にも同じ名称の共同浴場がありますが、「正面湯」という名前は庄内地方においてその地の中心的な公衆浴場を意味する独特の表現なのかもしれませんね。


 
冬季の凍結防止のためか、正面に設置されている飲泉所は止まっていました。


 
ウッディでぬくもりが感じられる脱衣室。下足場に設置されている協力金箱へ200円を投入します。


 
タイル貼りの浴室には洗い場と1つの浴槽が設けられている、ごく一般的なレイアウト。浴槽は4人サイズ。浴室入ってすぐの位置に洗い場が左右に分かれて配置されており、男湯の場合は右側にシャワー付き混合水栓が、左側にはシャワーのない混合水栓が、それぞれ2基ずつ設けられています。



浴槽の左側に段々になっている湯枡があり、上段の中央底から上がるお湯が下段へと落とされ、更に湯船へと流れ込んでいました。ステップを落とすことによって熱いお湯を入浴に適するような温度へ冷まそうとしてるいるのでしょうか、実際に訪問時は加水しなくても入れる湯加減でした。尤も、熱いお風呂が苦手な方は加水も可能。
前回の「下の湯」同様に混合泉が引かれており、見た目は無色澄明、薄い塩味のほか、石膏っぽい硫酸塩の存在を思わせるような匂いと味が感じられました。「下の湯」で見られた浮遊物はこちらでは見られませんでしたが、その違いは何によるものなのでしょう…。
シャキっと熱めのお湯は、知覚面こそ癖は無さそうですがそこに秘めたるパワーは強力であり、湯上りはしばらくダウンジャケットが邪魔になるほど体の芯からポカポカと温まりました。


5号源泉・6号源泉・7号源泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 56.5℃ pH7.3 蒸発残留物2360mg/kg 溶存物質2312mg/kg
Na+:636.2mg, Ca++:174.1mg,
Cl-:876.3mg, SO4--:407.9mg,
H2SiO3:8.4mg,

JR羽越本線・あつみ温泉駅よりあつみ交通の路線バスで「神社前」バス停下車、徒歩1~2分
(時刻などの検索は庄内交通HPを参照)
山形県鶴岡市湯温海  地図
あつみ観光協会HP

6:00~23:00(9:30~12:00は清掃)
200円
備品類なし

私の好み:★★
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あつみ温泉 下の湯

2013年02月26日 | 山形県
 
年末年始のお休みに青春18きっぷを使って羽越本線を新潟方面へ向かっていた某日、列車の乗り継ぎの都合で中途半端に時間が余ったため、あつみ温泉で温泉をハシゴしてその時間を潰すことにしました。駅から路線バスに乗って、まずはじめに訪れたのは共同浴場の「下の湯」。裏路地でややわかりにくい立地ですが、それゆえ生活への密着感がとてもよく醸し出されている浴場であります。個人的には4年ぶりの再訪、久しぶりのあつみの湯にワクワクしながら男湯の戸を開けました。


 
湯気で曇ったガラスのサッシの向こうに浴室が見える脱衣室。
備品としては棚など基本的なものがあるばかりですが、室内の壁には、湯仲間の一覧、カレンダー、交通標語、利用方法、水道代値上げにつき節水に協力を…などなど、地域住民へのお知らせがいろいろと掲示されており、生活臭がぷんぷんと漂っていました。



室内の一角に括り付けられている協力金箱へ200円を投入。


 
全面タイル貼りの浴室の中央には、ワインレッドの石材で縁取られた小判型の浴槽がひとつ据えられており、その大きさは3~4人サイズといったところでしょうか。湯仲間の皆さんのおかげで綺麗にお手入れされており、明るくて清潔感に満ちていました。室内の水栓は水道蛇口が4つあるだけですので、桶で湯船からお湯を直接汲んで掛け湯することになります。



浴槽の縁には加水用の水道蛇口が立ち上がっているのですが、その真下には源泉投入口の穴があいていて、そこから熱いお湯が供給されています。その穴を遡ってゆくと浴室右隅に設けられている湯溜まりの枡にたどり着きました。この枡の穴を塩ビのパイプで被せたり抜いたりすることで源泉投入量を調整し、以て湯船の湯加減をコントロールすることができるのです。つまりこのお風呂では加水とお湯の流量調整という2通りの方法によって湯温を調整しているわけですね。

お湯は集中管理している混合源泉を使用しており、無色澄明でほぼ無臭、うすい塩味を帯びています。湯中では濃淡のある茶色で薄い浮遊物が舞っていました。私と入れ違いに退出した先客がたっぷり加水してくれたので、私は自分で湯加減調整することなくそのまま利用することができましたが、以前入浴した際にはかなり熱かったために自分で加水した記憶があります。
地元の生活感に包まれながら綺麗なお風呂で掛け流しのお風呂に入れるのが嬉しいですね。


5号源泉・6号源泉・7号源泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 56.5℃ pH7.3 蒸発残留物2360mg/kg 溶存物質2312mg/kg
Na+:636.2mg, Ca++:174.1mg,
Cl-:876.3mg, SO4--:407.9mg,
H2SiO3:8.4mg,

JR羽越本線・あつみ温泉駅よりあつみ交通の路線バスで「荘内銀行」バス停下車、徒歩2分
(時刻などの検索は庄内交通HPを参照)
山形県鶴岡市湯温海
あつみ観光協会HP

6:00~23:00(9:30~12:00は清掃)
200円
備品類なし

私の好み:★★
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前橋市街 クア・イ・テルメ

2013年02月25日 | 群馬県

前橋駅と渋川駅を結ぶ路線バスに乗って「前橋自動車教習所前」停留所で下車。たしかに私は定期的にネズミ捕りに引っかかって青い切符を切られていますが、別に今回は悔い改めて教習を受けようって話じゃありません。アブラ臭の強い温泉に入りたくてこちらへやってきたのです。


 

今回の目的地は上毛新聞の住宅展示場裏手にある、病院に併設された温泉施設「クア・イ・テルメ」です。北関東の温泉ファンには既にお馴染みの浴場ですね。



正面玄関を入ると源泉名が彫られた台座の上に口をこちらへ向けた水瓶のモニュメントが飾られています。おそらく以前はここから源泉のお湯が落とされていたものと思われますが、訪問時は止まっていました。
受付はウッディで温かな雰囲気ですが、先入観が邪魔して病院の受付に見えなくもありません。ここで料金とともに100円リターン式の下足箱キーを預けると、脱衣室のロッカーキーが手渡されます。以前はこの受付で利用前に問診票の記入が求められ、この提出によって所定の利用料金(650円)から50円が引かれるシステムとなっていたそうですが、現在ではこの形式的な手続きを踏む必要はなく、ただ600円を支払えばOKです。


 
浴室がある2階へと上がる階段は「リハビリ階段」。なんの変哲もないんですけど、健康増進施設としてユーモアを兼ねて整備のひとつひとつに何らかの意義を付与しようってことなのかな。



階段を上がり切ると、まるでホテルのようなラウンジが広がっており、大きなバーカウンターが据え付けられています。病院なんだかリゾートなんだかよくわかんない…。このカウンターの両端が男女別の浴室入口。


 
さすが病院併設の施設らしく、清潔感に満ち溢れた綺麗で快適な脱衣室。薄いサーモンピンクのスチールロッカーがたくさん並んでいます。洗面台は4台あって混雑時でも待つことなく利用できますが、そこに備え付けられているドライヤーは一昔前のビジネスホテルにあったようなパワーの弱い機種でして、髪のボリュームが多い私のような人間ですと乾くまで時間がかかってしょうがない…。



えらく広い浴室。一歩足を踏み入れた途端に強烈なアブラ臭が鼻を突いて来ました。
訪問人はそれなりの利用客がいたのですが、広々しているので混雑しているように感じられません…と言いたいところですが、脱衣室と浴室の間にはサウナがあり、他の温浴施設と同じくこちらでもサウナが人気を博していて、みなさんこぞってサウナを利用しているため、浴室の中で見られた人影がまばらでした。


 
洗い場にはいくつかの島に分かれて計34基の水栓が設置されており、うち半分ほどがシャワー付きとなっており、シャワー有りと無しがほぼ交互に配置されています。尤も、全ての水栓は使えるわけではなく、故障中の札がさげられたものも多いようでした。


 
浴室に入って左手前方すぐのところにあるのがこの上がり湯。ボコボコと音を立てながら間欠的にお湯を噴き上げており、思わずその様子を凝視してしまいました。結論から申し上げますと、いくつかある浴槽の中で、このお湯が最もコンディションが良好でした。



健康増進施設ですから、それに応じた温浴槽が設けられているのがこちらのお風呂の特徴。上の画像はジャグジーと歩行湯でして、いずれも温泉が張られています。いずれのお湯も循環濾過されているらしく、反時計回りにグルグル回る歩行湯に関しては熱いと運動に支障をきたすため加水によって温度が下げられています。またジャグジー槽は循環こそ行われていますが、その振動や飛沫によってアブラ臭が拡散されており、入浴すると匂いに酔ってクラクラになりそうなほどでした。



こちらは打たせ湯と水風呂。打たせ湯のお湯は上がり湯に次いで良い状態でした。レジオネラ属菌の感染が発生しやすい打たせ湯には循環水が使えませんから、掛け流しに近い状態のお湯が用いられているのでしょう。足元に落とされるお湯をよく見たら、温泉由来と思しき黒い破片のような浮遊物を確認できました。


 
大きなガラス窓に面した主浴槽はまるでプールのような大きさ。循環濾過されているそうですが、浴槽縁の上から溢れ出るお湯も一定量あるので、循環させながら新鮮な源泉も同時投入しているものと思われます。


 
主浴槽の湯口を奥を覗いてみると、上がり湯と同様にボコボコと音を響かせながらお湯が噴き上がっていました。また湯口の上には温泉が詰められたペットボトルが置かれ、その中には黒い湯の華が入っていました。ろ過しなければこんな大きな湯の華が湯船を舞っているのでしょうね。

さてお湯の特徴ですが、強いアブラ臭を放っていることは上述の通りですが、口にすると塩辛さと苦味をが感じられ、更には口腔の粘膜が痺れるような感触もありました。なお夜間に利用したため色に関してはよくわかりませんでしたが、無色透明か薄い黄色かのいずれかであると推測されます。
しょっぱいお湯ですから火照るパワーは強力であり、お肌もしっとりしますが、下手に長湯すると脱水症状を起こしたり逆上せて卒倒しちゃうこと必至でしょう。
アブラ臭中毒者の私は入浴中ひたすら鼻をクンクン鳴らせて匂いを嗅ぎまくり、すっかりラリっていい気分になってしまいました。群馬県が擁する温泉は多様性に富んでいて、本当に面白いですね。


医王薬師の湯
ナトリウム-塩化物温泉 65.4℃ pH8.3 溶存物質7016mg/kg 成分総計7028mg/kg
Na+:2268mg(84.29mval%), Ca++:359mg(15.29mval%),
Cl-:4121mg(93.92mval%), Br-:15.7mg(0.17mval%),
H2SiO3:57.8mg, HBO2:119mg,
加水:運動浴のみ温度を下げるため加水
加温:温度が下がり過ぎた時のみ熱交換により加温
循環濾過:浴槽沈殿物質を常時除去するための濾過循環
消毒:高温消毒

前橋駅~渋川駅の路線バス(関越交通)で「前橋自動車教習所前」停留所で下車、徒歩3~4分
群馬県前橋市関根町31-2
027-233-0202
ホームページ

9:00~23:00(最終入場22:00)
600円(平日3時間、土日祝2時間)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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伊香保温泉 露天風呂

2013年02月24日 | 群馬県
伊香保に来たなら、やっぱり温泉街の一番上にある露天風呂は外せませんね。
だってお湯はここが一番良いですから。



まずは露天風呂の手前にある飲泉所でお湯を胃袋に流し込みます。私は伊香保の露天を利用する際には必ずここに立ち寄って飲泉するのですが、これは自分で勝手に流儀を決めている一種の儀式みたいなもので、いわば神社の手水と同義であります。


 
うぇぇっ、まじぃ・・・。このお湯を初めて飲んだのは、まだ大学生だった今から15年以上前のこと。当時は温泉なんてちっとも興味がありませんでしたが、その当時からここのお湯は(変な表現ですが)今も昔も安定した不味さを保っています。口から落とされているお湯は、黄金の湯に含まれる源泉のひとつ「5号泉」の単独利用ですが、総合湯とは異なり泉質名は「単純温泉」で、明らかに浴用の黄金の湯とは毛色の違った特徴を有しており、鉄錆の味と匂いが強く、炭酸味の他に渋味やエグミもはっきりしており、そこに弱塩味と弱出汁味が混じって感じられます。とてもじゃないけど単純泉とは思えない個性的な味ですね。掲示されている分析表の一部を抜粋させていただきます。
5号泉 単純温泉 34.2℃ pH5.9 蒸発残留物0.75g/kg 成分総計1.33g/kg
Na+:56.5mg, Mg++:23.6mg, Ca++:105mg, Fe++:16.8mg,
Cl-:44.6mg, SO4--:192mg, HCO3-:299mg,
H2SiO3:170mg, CO2:410mg,
(平成20年2月18日)


 
飲泉所の傍らに5号泉の泉源があるのですが、この源泉は飲泉所のみに使われ、他施設には供給されていないという話も聞きます。真偽の程はいかに?


 
さてさて露天風呂の受付へとやって来ました。観光名所ですから週末は大混雑しますが、今日はどのくらい混んでいるのかな?


 
料金を支払う前に、目の前にある2号源泉を見学。黄金の湯の主力源泉です。いまからこのお湯に入らせてもらいますよ。ガラスドーム越しに湧出口の様子を観察することができるのですが、湧出したてのお湯は酸化しておらず無色透明であることがわかります。



2号源泉の傍らには、文明開化直後の日本における医学の発展に大いに寄与したベルツ博士の胸像が観光客を見守っていました。ベルツ博士が説いた温泉利用法を、現代の日本人はどれだけ実践できてることやら…。日本って温泉や入浴文化に関してはもの凄い誇りを持っているにもかかわらず、その活用方法は生活色の強いものか歓楽性の高いものかのいずれかに分かれてしまい、しかもいずれにおいてもワンパターンで保守的であるような気がします。



今さら私が申し上げるまでもありませんが、露天風呂の脱衣スペースはお風呂に対してオープンになっており、お風呂のすぐ横でずらりと並ぶロッカーを目の前にし、入浴客の視線に晒されながら着替えなきゃいけないのかと戸惑いながら辺りをキョロキョロする観光客の方をしばしばお見受けします。たしかにパブリックなお風呂に慣れていない都会の現代人にとって、入浴エリアと脱衣エリアが一体化された開けっぴろげな造りには、男でも躊躇してしまうのでしょうね。一方で私など温泉慣れした人間は見ようが見られまいが一向にお構いなしだったりしますから、羞恥心は習慣により形成されることを再認識させられます。


 
やった! 誰も居ないぞ! 幸運なことに露天を独占することができました。
楕円を真ん中で2つに分けたコンクリの露天風呂。
左側は7~8人サイズで女湯側に洞窟口を塞いだような仕切りがあり、そこに張られているお湯はやや赤みを帯びた黄土色に濁り、浴槽周りも全体的に赤茶色に染まっています(お湯がかからない岩は苔むしていました)。この露天は加温加水循環消毒が無い完全掛け流しの湯使いですが、左側の浴槽は湯口から注がれるお湯をダイレクトに受けており、且つ源泉からの距離が短いがゆえに湧出時の温度がほとんど損なわれていないため、非加温であっても浴用に適したやや熱い状態で利用できるのが嬉しいですね。
それに対して、右側は10人ほど入れそうな一回り大きなキャパがあり、左側の槽から流れてくるお湯を受けているため、柔な若い兄ちゃんでも入れそうなややぬるめの温度になっています。お湯は赤みよりも黄色みの方が強い色合いを呈しており、特にお湯が排出される一番端っこでは濁り方も強くて、誰でも入れる湯加減である反面、鮮度感は左側と比べるとかなり劣ります。



湯口からお湯が注がれる左側の槽はお湯の鮮度感が抜群で、けだし伊香保のお風呂では随一ではないでしょうか。酸化があまり進んでいないため濁り方が弱く、また湯華や沈殿なども極めて少なく、底が見える程の透明度があります。また金気に関しても、いかにも酸化した鉄錆ではなく、シャキっとした新鮮な鉄の味と匂いが感じられ、そこに土類や炭酸の知覚も加わります。訪問時には湯面に薄い油の膜が浮いていました。

一般的に観光客向けのお風呂はお湯のクオリティに期待できないケースが多いのですが、こちらの場合は温泉地内の他のどの施設よりも泉源に近接しており、しかも完全掛け流しという湯使いなのですから、有難いことこの上ありません。とりわけ伊香保のようなお湯はすぐに劣化していき、それが知覚面ではっきりとわかってしまいますから、シャキっとした新鮮な状態のお湯に入れるこの露天風呂の存在意義は、単に温泉地のランドマークとして以上のものがありますね。


総合湯
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉 42.0℃ pH6.3 蒸発残留物1.05g/kg 成分総計1.39g/kg
Na+:115mg, Ca++:138mg, Fe++:7.34mg,
Cl-:127mg, SO4--:313mg, HCO3-:278mg,
H2SiO3:181mg, CO2:174mg,

JR渋川駅より関越交通バスで伊香保温泉バスターミナル下車、徒歩12分(約1.0km)
群馬県渋川市伊香保町伊香保582  地図
0279-72-2488
渋川市HP内紹介ページ

4月~9月→9:00~19:00、10月~3月→10:00~18:00、毎月第1・3木曜定休(祝祭日の場合は営業)
450円
ロッカーあり(タオル販売あり)

私の好み:★★★
コメント (2)
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