温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

チェコ プラハ~カルロヴィ・ヴァリの往復

2011年01月02日 | チェコ
プラハから西へ約130km離れたところに位置する、ヨーロッパ屈指の温泉地カルロヴィ・ヴァリ。
できれば優雅にゆっくり過ごしたいところですが、貧乏性の私は日帰りで訪れました。その時の様子はこちらをご参照あれ。
同じルートを往復するのは芸がないので、往路は鉄道、復路はバスを利用しました。

・鉄道
プラハ~カルロヴィ・ヴァリを行き来するにあたり、鉄道をチョイスする人は好事家以外あまりいないでしょうね。
なぜなら、本数がとても少なく何時間も間隔があいちゃうのは当たり前。所要時間は3時間半・料金は300コルナ弱で、バスの2時間半弱・140コルナと比べて時間面でも料金面でも劣勢。最短距離で走れるバスと異なり、鉄道はルートの都合上、遠回りせざるをえないので、どうしても不利です。

チェコ鉄道公式サイト (時刻表検索可)
トーマスクック ヨーロッパ鉄道時刻表を入手しておくと便利。


 
プラハから乗る場合は中央駅かマサリク駅から。私の場合は中央駅から出る列車を選びました。国際列車が多く発着するだけあって、とても立派な駅舎です。地下鉄との乗り換えも至極便利。
玄関を入ってすぐのところにある発券窓口は国内用(カルロヴィ・ヴァリの切符もここ)。なお国際列車の切符はその奥にある低くなったフロアで購入。アプローチがちょっとわかりにくい。ユーレイルパスのバリデイトも国際列車用チケット窓口で。

 
プラハ中央駅9:31始発のCHEB行(R608列車)に乗車。1等車1両+2等車4両の5両編成。旧共産圏らしい武骨な外観の機関車が牽引。


約3時間半の列車の旅。車窓にはボヘミアのなだらかな丘陵が果てしなく広がり、ひたすら長閑で牧歌的な田園景色が続きます。なお、行程の半分くらい走ったところで方向転換して機関車を付け替えました。

 
定刻(12:47)より約15分遅れてカルロヴィ・ヴァリ駅到着。ヨーロッパ屈指の温泉地であり国際的な観光地であるはずなのに、駅は薄暗くて古色蒼然としており、これが本当に観光地の玄関口なのかと疑ってしまいました。


駅前ロータリもえらく寂しい。街の中心部までバスがあるらしいのですが、バス停を見てもよくわからなかったので、仕方なく歩いて温泉街まで行くことに。

 
駅は温泉街の北はずれにある丘の上に立地しているので、丘を下って南へ向かえばいいわけです。駅付近はS字カーブ、それが終わると直線の橋になって一気に坂を下ります。坂を下りきった交差点付近にはバスターミナルがありますが、これは市内バス専用で、プラハ行など長距離路線は発着しないみたいです。
なお、駅からドボルザーク公園まで25~30分でした。



・バス

プラハ~カルロヴィ・ヴァリはバスが便利。一日約30往復走っており、所要時間は2時間半弱、料金140コルナと、鉄道を圧倒する利便性です。プラハ側はフロレンツのターミナルから(フロレンツは地下鉄の乗り換えも便利ですね)、カルロヴィ・ヴァリ側は中心地から北西へ外れたカルロヴィ・ヴァリ・ドルニー駅(Karlovy Vary dolni nadrazi)に隣接するターミナルから、それぞれ発着(丘の上のカルロヴィ・ヴァリ駅とは違います)

AMSBUS(運行バス会社ホームページ)

 
中心街の北西にあるドルニー駅。田舎の駅らしく、20世紀の空気がはっきり残っており、静かで地味で人影もまばら。バスのチケットは駅舎内のカウンターで購入。駅構内の待合室には、日本からほぼ絶滅しつつあるフラップ式(パタパタ式)の出発案内が掲示され、列車やバスが発着するたびにパタパタと動いていました。


ドルニー駅はローカル輸送専門の駅なので、校内も至って簡素。貨物駅と見まがうばかりです。この時はドイツからやってきた小さいディーゼルカーがやってきました。


(クリックで拡大)
これがバスのチケット。指定席制です。


黄色い車体のバスは、ヨーロッパではお馴染みのスウェーデン・スカニア社製。若い女性の車掌さんも添乗し、途中でドリンクサービスを受けられます(ちなみに私はカプチーノを飲みました)。本数が十分あって、安くて速くてサービスも良いのなら、鉄道を贔屓したい私でもバスを選びますよ。

 
バスの車窓。果てしなく広がる平原は、いかにも大陸を感じさせる景色ですね。



・街中の様子

前回の記事で載せなかった画像をいくつか。

 
有名観光地だけあって、中心部は人が多かったなぁ。川に沿ってホテルがずらりと軒を並べる街並みも壮観。スメタナ公園付近では観光馬車がゆっくり走っていました。


姉妹都市が列挙された看板には、なんと群馬県の草津温泉の名前が! 
温泉が両者を結びつけたんですね。こんなところで日本の地名を目にできるとは思わず、つい嬉しくなっちゃいました。

 
左画像はスメタナ公園。お花が綺麗だこと。奥に建つお屋敷のような建物では入浴療養ができるみたいです。
右画像は温泉街とドルニー駅を結ぶ通り。道の両側には店が並びます。歩行者天国になっており、たくさんの観光客が悠々闊歩していました。

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チェコ カルロヴィ・ヴァリ 飲泉めぐり

2011年01月01日 | チェコ
チェコ・プラハのスメタナホールでスメタナのモルダウを聴くという約二十年来の念願が叶えられた日の翌日、日帰りでヨーロッパ屈指の温泉地であるカルロヴィ・ヴァリ(Karlovy Vary)へ行ってきました。

ここの温泉の一般的な利用法は飲泉。本来ならば医師の指示に従った方法により温泉水を飲むのですが、街中にはコロナーダと呼ばれる飲泉所がたくさんあり、無料で誰でも飲めるので、手当たり次第に飲泉所をめぐってみることにしました。


街中のお土産屋や小物を売っているワゴンなどでは、取っ手に吸い口がある飲泉用の磁器カップが売っています。これにお湯を注ぎ、細い吸い口からお湯を吸って飲むわけです。し瓶っぽい形状に思えなくもないですが、それを言っちゃおしまいですね。
多種類の品揃えで値段もピンからキリまでありますが、私は上画像のものを買いました。

温泉街はテプラー川の谷に沿って南北に伸びています。温泉街の北のはずれにある駅より近い順に、川を遡る形で、北から南へ向かいます。
なお、ここでの各コロナーダ(飲泉所)の名称は、現地で表示されている通りのチェコ語で表記します(何と読んだらよいか、無学な私には全くわからないので)。ただし読み方がわかるものに限り、カタカナで併記します。



・SADOVÁ (サドヴァー)
 
ドボルザーク公園の南側に隣接しています。美しい円形ドームが目立つ建物で、公園に沿って伸びるプロムナードが素敵。19世紀、軍の保養所を建設している際に源泉が発見されたそうです。

 
1階に飲泉所がありました。デカい建物なので、凄い設備を想像していましたが、予想に反して洗面所のような可愛らしい受け皿が設けられ、そこへパイプからチョロチョロと流れているだけでした。傍には配湯管の断面写真が掲示されています。成分が濃いらしく、その断面は析出で思いっきり詰まっていました。
炭酸味+石灰味+金気+薄い出汁味+塩味がミックスされた複雑な味。はっきり言って不味い。湯温は約40℃で、カルロヴィ・ヴァリの源泉の中では比較的ぬるい方です。
(開設時間6:00~18:30)



・SVOBODA
 
川沿いの歩道がちょっと広くなった第3温泉(Lázně 3)の裏手にある四阿風のコロナーダ。
通し番号11、60℃、石灰味+薄塩味。
(24時間利用可能)

 
(右画像はクリックで拡大)
隣接する第3温泉(Lázně 3)では入浴ができるそうですが、当地での入浴は医療行為に匹敵するらしく、容易においそれと入れるわけじゃないそうなので、言葉がわからない臆病者の私は入浴をパス。


・SKALNI
 
SVOBODAの先、MLÝNSKÁの手前にある目立たない小さなコロナーダ。犬の水飲み場みたい。
通し番号10、53℃、SVOBODAより塩味がやや際立ち、炭酸味が明瞭。
(24時間利用可能)


・MLÝNSKÁ(ムリーンスカー)
 
街の中心に位置し、まるで神殿を思わせる100本以上の柱がズラリと並ぶ美麗な回廊状の飲泉所。屋根に施された彫像は12ヶ月を表現しているんだそうです(撮影失念)。柱と柱の間に、以下の通り計4つの源泉があります。

 (1)LIBUŠE
   
  通し番号9、63℃、薄い塩味+石灰味、
  もしかしたら各飲泉所の中で一番飲みやすい味かも。かなり熱く、フゥフゥしてやっと飲めました。

 (2)KNÍZE VÁCLAVI
  
  通し番号8、55℃、
  塩味はかなり薄いかわりに石灰味強め、こちらも熱い。

 (3)RUSALKA
   
  通し番号7、60℃、
  KNÍZE VÁCLAVIに似たような味。やっぱり熱い。

 (4)MLÝNSKY
   
  通し番号6、56℃、
  塩味は殆ど無くなり、石灰っぽい味のみ。若干苦みもあり。

このコロナーダは手前から奥へ向かうに従って、塩味が薄くなる半面、石灰感が強くなる傾向にあるようです。
(24時間利用可能)



・TRŽNÍ(トゥリズィニー)
 
1883年竣工の木造コロナーダ。最近改修されたそうです。レースのような白い透かし模様がとっても綺麗です。かつては神聖ローマ帝国カール1世(ボヘミア王カレル4世)(1316~1378年)も利用した話が残っているので、お湯自体の歴史は相当古いのでしょう。ここにも源泉が複数あり、カレル4世の名前がそのまま源泉名になったものもあります。今回は3源泉を飲みました。

 (1)TRŽNY
  
  通し番号5、62℃、
  舌が痺れるような変な味+石灰味で塩気なし。非常に不味い。そして熱い。

 (2)ZÁMECKÝ DOLNI
  
  通し番号3、55℃、
  TRŽNYと同じような味に感じられた。やっぱり不味い。

 (3)KARLA 4
  
  通し番号2、64℃、
  皇帝の名前を名乗る源泉。TRŽNYやZÁMECKÝ DOLNIと同じような不味さに金気がプラス。かなり熱い。

(24時間利用可能)



・VŘÍDELNI(ヴジーデルニー)
 
カルロヴィ・ヴァリのランドマーク的存在。ディヴァデルニー広場の手前に位置しています。1970年代にテプラー川の上を覆う感じで建てられたガラス張りの建物の中では、高さ12mにも及ぶ間欠泉(ヴジードロ)が地下2500mから噴き上がり、その量は1分間になんと2000リットル。噴き上がる様子は間近で見学することができ、ものすごい迫力でした。当地に来たなら是非見ておくべきスポットです。


間欠泉のみならず飲泉所もあり、独特の柱のような形状をした注ぎ口が5本立っています。それぞれ泉源が異なっており、折角だからすべて飲めば良かったのですが、ここまで美味しくないお湯ばかり飲み続けてきて、味覚がおかしくなりそうだったので、3つに限定してテイスティングしました。

 (1)VŘÍDLO A :72℃、塩気は少ないが金気あって炭酸味を含む
 (2)VŘÍDLO B :50℃、金気弱くマイルドな塩味でやはり炭酸味あり
 (3)VŘÍDLO C :30℃、金気+塩味+出汁味+炭酸味がそれぞれ明瞭

(開放時間6:00~18:30)


いくつもの源泉を飲んでいると飽きてくる上に味覚が混乱してきて、後半のコロナーダの感想はあまり自信がありません。正直なところ、かなり不確かで適当です。
飲泉によって消化器疾病や糖尿病に効能があるんだそうですが、方法も分量もめちゃくちゃな私の飲み方では効果が顕れるはずもなく、かえって疲労感がたまってお腹を下してしまいました。あぁ情けない…。

  



コメント (6)
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