アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ようやくウツギが咲きました

2024-06-03 10:00:00 | みんなの花図鑑



ウツギ(卯の花)は「ザ・ウツギ」と言われるほどウツギの代表格の花ですが、ウツギ属(Deutzia)の中では一番遅くに咲くようです。
ウツギ3兄弟の中では
 ヒメウツギが一番早く4月から、
 次がマルバウツギで5月、
 ウツギ(卯の花)は(Wikipediaでは「5 - 7月」となっていますが)当地では 6月といった感じです。





ウツギ属はいずれも雄しべの花糸が「翼」といって、きしめんのように扁平になっていて▼

その肩に当たる部分が
 (1) 角が上に飛び出していると ・・・ヒメウツギ
 (2) 水平でコーナーが直角ならば ・・・ ウツギ
 (3) なで肩ならば ・・・ マルバウツギ
という見分け方があります。


於大公園(東浦町)の薬草薬木園のウツギですが、雄しべを拡大してみました。


ここのウツギの雄しべの翼は直角というより 角がヤッコのように水平に飛び出しています。




去年の果実がまだ残っています。果実は花柱が残りそれが駒の軸のように見えます。






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ベゴニアと「蛾」

2024-06-02 20:10:00 | みんなの花図鑑
最初に ベゴニアの雄花と雌花はなぜよく似ているのか?
について考えてみます (^^ゞ

ベゴニア(雄花)

これはベゴニアの雄花です。



ベゴニアは雌雄異花と言って、一つの株に(ときに八重咲きの)雄花と一重咲きの雌花を咲かせます。




通常、豪華な雄花が咲き、その隣に一回り小さな雌花が咲きます。雄花は花弁の中に黄色い雄しべだけがついています。




雄花と雌花は咲く時期が違うようで、雄花が目立つ株は雌花が見当たりません。




逆に、雌花が目立つ株では、雄花は花後といった具合です。



花弁が八重咲きの雄花もあります。花弁が八重の雄花は 雄しべが花弁化したものです。





ベゴニア(雌花)

雌花のほうはおしべがないので、八重になることがありません。




他の雌雄異花の花では 雄花と雌花が大きく違っていることが多いですが、ベゴニアの雄花と雌花は近寄って黄色いシベを観察するまでは雄花か雌花か見分けがつきません。どちらのシベもこのように黄色い色をしています。




ただ、横から見れば、雄花と雌花は容易に区別ができます。雌花には 雄花に無い子房が花弁の下に付いているからです。



ベゴニアの雄花と雌花は似ています。理由は 雄花の雄しべと 雌花の雌しべの柱頭が、両方とも黄色で似ているからです。
なぜこんなに似ているのでしょうか?



その理由について、以前、少し考えたことがあります。
虫媒花はふつう花粉と蜜を提供して、花粉をめしべに運んでもらいます。
ところが、ベゴニアは蜜腺を持たない花で、花粉を媒介してくれる虫たちには「花粉のみを報酬とする花(花粉花)」だったのです。




その帰結として、雄花は花粉を与えることで虫を呼ぶことができるが、雌花は花粉をもたないので、そのままでは虫を呼べません。ベゴニアは雌花に虫を呼ぶためにあれこれ対応策を考えました。その結果、めしべの柱頭を雄しべに似せた形に(擬態)することで虫たちがおしべと勘違いして柱頭に止まってもらうことを考えたのです (´∀`)
(このあたりのことは Web site of FUKUHARA, T. (Fukuoka Univ. of Education) 「6-5-1. 報酬としての花粉」を参考にしました。ただ、セキュリティーの関係で今は Chromeから接続ができません)




ここから先は 蛾の画像なので、お嫌いな方はスルーしてください。







Google Lens で検索した中では ヒロヘリアオイラガというイラガ科の蛾が一番近いような気がしましたが・・・























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ティーツリー と ブラシノキ (2) - フトモモ科

2024-06-02 07:00:00 | みんなの花図鑑
安城デンパークのティーツリーがついに咲きました\(^o^)/

ティーツリー



ティーツリーは、フトモモ科コバノブラシノキ属の常緑植物。
学名は Melaleuca alternifolia







属名のMelaleucaは、古代ギリシャ語で「黒」を意味するμέλας(mélas)と「白」を意味する λευκός(leukós)から。(日本メディカルハーブ協会・木村正典氏「ティートリーの植物学と栽培」)
「この由来については、白い樹皮が山火事によって真っ黒くなる、あるいは山火事で真っ黒くなった幹から白い樹皮の枝が出ているとか、黒い幹に白い枝の出る種がある、白い樹皮の種と黒い樹皮の種があるなど諸説あります」(同上)







「また、種小名のalternifoliaは「互生葉の」を意味します。」(同上)







先日紹介した安城市山崎町のお宅のティーツリーと比べると、枝や葉がより目立ちます。







ブラシノキ



ブラシノキは、フトモモ科ブラシノキ属の常緑小高木。
学名を Callistemon speciosus といい、そこから カリステモンとも。







属名のCallistemonはギリシャ語で「美しい雄しべ」という意味(「美」を意味するkallosと「雄しべ」を意味するstemon)。(wiki 「ブラシノキ」)




「果実には粉状の種子が入っており、オーストラリアでよく起こる森林火災が起こると割れて種子を放出する。」(同上)








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ヤマボウシ、トキワヤマボウシ - 涼しげに

2024-06-01 07:00:00 | みんなの花図鑑
トキワヤマボウシ



ふつうのヤマボウシは落葉性ですが、トキワヤマボウシはその名(常盤)の通り常緑性です。






どちらも秋に紅葉するのですが、常緑ヤマボウシはその赤い色のまま冬を越して、春になって緑に戻るという流れになっています。





最後の一枚だけ少し離れたところにありました。
もしかするとふつうの(落葉性の)ヤマボウシかもしれません。




ヤマボウシ



ヤマボウシの白い花弁のような部分は普通の花でいうと萼片です。本来の花は中心の球体部分です。





ヤマボウシ



中心の球体部分はたくさんの小花で構成されています。
このように小花の集合を纏めて包んでいる萼片相当部分を総苞片といいます。





5月25日撮影時点では 花序はまだすべてつぼみですが、開花すると、一つ一つの花から雄しべと雌しべが姿を現します。







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これもナガミヒナゲシ? ‐ 思考実験

2024-05-31 17:00:00 | みんなの花図鑑
初出 2023-05-17


花弁の色がちょっと変わってますが、これもナガミヒナゲシなんでしょうか?



Google Lens で検索すると、ナガミヒナゲシと言ってきます。
まぁ、真っ白の花弁のナガミヒナゲシや、花弁が和紙を手の中で揉んだようなくしゃくしゃっな花弁のもあるので、これもナガミヒナゲシなんでしょう。

〔追記〕除草剤に侵された可能性が高いとコメントいただきました。
ググってみると、ここ にかなり詳しい言及がありました。







さて、こちらはごく普通のナガミヒナゲシです。
花弁は4枚、雄しべは多数。




「中央部のめしべの柱頭は4本から8本の筋状であるが、7・8本のものが多いようである。」(植物雑学事典)
上の画像を見ると、花のほうはたしかに7本ですが、果実のほうは6本です。




ここでひとつの思考実験です。
ある植物A と植物B とがあって、非常によく似ているとします。
そしてその識別ポイントが「果実の稜をみてそれが雪の結晶のように均等に6方向に伸びていれば 植物A、2個ずつ3組になっていれば植物B だとします。ところが今 この植物は果実をつけていません。代わりに花が咲いています。」



ある人はこう考えました
「いろいろサイトを検索しましたが、雌しべの子房と、果実を勘違いしているサイトがほとんどであまり参考になりませんでした」
(↑ 出典は名誉のために明かしませんが、こういう理由で、果実を見るまではどちらか分からないと結論されています)



それに対して私たちの推論はこうです
「果実の赤ちゃんが子房なのだから、子房の稜をみてそれが均等に6方向に伸びていれば 植物A、2個ずつ3組になっていれば植物B と分かる」

ナガミヒナゲシのばあい、稜はありませんが、子房の段階で6筋あったなら果実になっても6筋だろうと推定できます、6あったものが 5に減ったり 7に増えたりすることは考えられません。
「子房がふくらんで大きくなったものが果実、子房の中の胚珠が熟したものが種子です。」








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