kirekoの末路

すこし気をぬくと、すぐ更新をおこたるブロガーたちにおくる

平成浪漫客譚 るろうにキレコ ~年末押しかけ画伯編~

2007年12月31日 16時55分42秒 | 末路話
ははは旅行は楽しい、目白が恋しいとは思えませぬ@kirekoです。


>最初に言っておく
29日の朝から30日の夜までちょいと旅行にいってきました。
え?旅行?聞いてねえよ?いつそんなこと言ってた?
俺誘われてないけど?なんで旅行?だと……馬鹿めが!
おぬし達はハプニングの無いバラエティ番組を面白いと感じるか!?人生という名のステーキには、カロリーとちょっぴりのスパイスが必要なのだよ!


というわけで、急遽決まったプランを持ち
友人であるせびんさんの家めがけて新幹線で名古屋へ行ってきました。


>29日、5時、山の手線内回り

当日の仕事を片付けてやっとこさ東京駅行きの電車へ乗ると
朝だというのに乗車客が異様に多い。しかも何故だかわからないが
全員口にチュッパチャップス加えてる、ああ、最期の忘年会か
うん?でもおかしいな、なんかしらないけど
見たことのあるようなやけにおかしな格好をした妖怪、魑魅魍魎の類がチュッパチャップス軍の横に点々と介在している。
ついに自分は「父さん妖気を感じます」的な能力に目覚めたのか
と思ってみていたが、ちょっと仮装行列的なチュッパチャップス軍なんだと
自分を理解させていたちょうどその頃、湘南新宿ラインを利用してた
コマンダー氏のメールが届く。


「今日冬コミか!!湘南新宿ラインやばい(笑)」


自分はメッセージを確認して携帯を閉じると
大きなバッグをもった妖怪達を再びじっとみた。

ああ…今日コミケ初日か……ッ!!


×忘年会を終えて帰る妖怪、魑魅魍魎
○戦場へ向かうズサとガルスJ




>そして俺達の戦場へ

自由席しかとれなかったため、行きの席を確保する目的で
夜もまだあがってない朝に新幹線乗り場へとやってきたのだが
俺達は甘かった。むしろ、年末のラッシュを甘くみすぎた。
例えるならば、メトロポリタンケーキビュッフェのブラック&ホワイト
グラビティプリンに濃いガムシロをぶちまけるがごとき甘さであった。



董大師「おい!あのホームに並ぶ人だかりはなんじゃ」
王允「されば閻魔の使いかと(年末帰省ラッシュ的な意味で)」



ある意味、座れたのが奇跡としか思えないよ。


>そして名古屋へ

デニーズでだべだべしつつドリムと合流、
監獄に捕まっていたことで参加不可能と思われていた
コマンダー氏が今回参加することを報告していなかったので、
シャバに復帰したちょいプーチン風のコマンダー氏を見てドリム氏は考えるのをやめて絶句した。
何度も言わせるな、人生というステーキには…(略


というわけで耐久5時間カラオケへ移動。
なんというかカラオケ屋がすごく不思議なダンジョンでちょいびびる。
お茶を濁しながらカラオケで盛り上がりつつ、
いろいろいれる、もう、なんだか、あついなあこの部屋は。

そしてグータラお正月セットせびん(のびた的な意味で)が合流。

ここからが本当の地獄だった…


なんとも場を楽しみたかったので、コマンダー氏の提言により
適当に予約番号をいれて、その曲を乗りで歌う作戦が発動!
カオスな状況で一曲目をいれるのは、そう、せびん!
「曲がありません」「番号をおたしかめください」を繰り返し
やっときた曲・・・・!

さてどんな曲がくるのか・・・

~~~~ッ♪~~~~ッ♪

イントロと字幕をみるに、
ほうデュエットか、なるほど、やつめやりおるな…


しかしそこで俺達がみたものはネバーランドをぶち壊す桃色字幕・・・!
偶然とはいえ、色欲怪獣せびんらしい実にエロスに富んだデュエット曲であった。


未成年の人には刺激が強すぎるため割愛するが、
kireko流にわかりやすく歌の内容を要約すると、
四十八手の体操とプロレスごっこをモチーフにした、気弱男と空気読めない女がビックマックな曲。


※今回のランダム曲、引き当て率と各歌い手の特徴

kireko(俺) ジャニ系?が多い。どんな静かな曲もメタルヒーローなノリ。
コマンダー 洋楽、難曲が多い。ノリでカバーすることが出来ない曲ばかり。
せびん   エロ曲、やさしめの曲が多い。とにかくラップ。チャイナタウン。
ドリム   幻想系、男版スイーツ系が多い。でもなんでもそつなく上手に歌う。


そんなかんじで、韓国語歌、演歌、動揺、ロック、V系などの
スイーツ(笑)、美形勇者(笑)、鉄人28号勇者(正太郎的意味で)
ミュージカル下克上の王子様、イッツレイニィメン(ウェザーガールズ)
などなどカオスなメニューをぞんぶんに味わいつつ、
昼もすぎたので、夜から行われるDVD鑑賞用の
DVDを求め一路近所のGEOへ向かう一行であった。


>DVD鑑賞会用

今回各人が用意したDVDはこんなラインナップだった!!

・kireko
空気読めスイーツVS粘着ツンデレストーカー、空気読めるそばかすVSフラグクラッシャーカツオ、そんな男女の駆け引きが秀逸な思春期の甘酸っぱい学園を舞台にしたジブリアニメ『耳をすませば』

・コマンダー
未来からやってきたロボットと無気力の男が主人公のSFアニメ『ドラえもん』
車と豆腐とトリッピーをモチーフにしたファンタジー巨編、男達の祭りが始まる…!『イニシャルDバトルエディション』

・せびん
人間は皆黒田アーサーなんだ、空気のライダー達はすぐに俺のパイルドライバーであの世行き…テレゴングを利用して視聴率を思いのままに操った特撮『仮面ライダー龍騎TVSP』

・ドリム
三段変身をとげるバイキンマンと脇役達の血で血を洗う冒険活劇、そしてオーバーテクノロジーを持った一族の末裔が魔王となっていく鬱アニメ『アンパンマン~バイキンマンの逆襲~』


なんという神のラインナップ…!これはすごい!


>いろいろあったけど、思い出はみんなの記憶の中さ!

というわけでいつものごとく
「参加した人にしかわからない」ような
印象的なキーワードをちりばめておこう。
※台詞はイメージです。フィクションです。



「野球部空気読め」
「バーロー」
「か↑ぞ↑く↓だ↓か↑ら↓ね↓」
「恋愛は正直眠い」
「のちのせびんである」
「偶然なわけねーだろ!この粘着が!」
「ウラドラマン」
「しずかちゃんのデザイン…」
「馬えもん」
「ダースベンキョー」
「人間は皆ライダーなんだ」
「ちょ・・・なんだよおまえ」
「蟹がかわいそう(俺」
「いがいとベルデのAPが弱い(せびん」
「カメレオンのデザインいいな(コマンダー」
「ライアは俺の嫁(ドリム」
「忘年会動画のおやまとスワット自重www」
「スーパーシャイターンタイム」
「ロックマン6のラスボスの曲なんだっけ?」
「あさーもひるーもよるーもーロッテリアー」
「やらないかーニードルマンー」
「エディとラッシュマリン」
「よし寝ようドローイング1時間」
「一番エロイのはだーれだ選手権」
「しりとり合戦」
「壮絶なるポケモンしりとり」
「夜更かしせびんvsキレコ。『み』をかけた戦い」
「スーパーサイズミー」
「くま先生の直腸検査」
「衝撃のスーパーサイズリバース」
「どう考えてもガチホモ警察」
「ビックマックを初日に9個食った男」
「テキサスには悪魔が住んでいる」
「彼が下で私が上」
「キュー・カン・バー」
「やっとかめたんていだん」
「ばいきんまんつえー」
「のちの魔王である」
「バイキン萌え動画だなこれ」
「ミュージカル要素はカットで」
「みんなもよんでくれ!」
「イニシャルDの背景自重www」
「勇者王雑魚ワロタwwwww」
「クラッシュさせて引き分け狙いのひろし」
「みぞを使え!」
「こやすさん馬鹿っ早!そしてBL意識しすぎでドリム覚醒」
「略奪の波動に目覚めたトリッピー」
「オンボロ豆腐屋にこの4WDが…たのむ!よけてくれー!」
「むちさえ覚えれば無敵」
「百足の腹をぶち破るシーサー=ドリルマン=最強」
「あずきあらい、あずきが食えなくなるぞこれ」
「今週のホラー作画監督」
「あずき連合軍連携技強すぎワロタwwwwwwww」
「今の砂かけの動きすげー!」
「キムチうめー」



コレに関しては想像にお任せします。


>畜生働きで有名な東のキレコ親分(画伯)

コマンダー氏のDSのぴくとちゃっとだっけ?で遊んでたら
なんと自分が画伯(独創的な意味で)であることが判明した。
てかこれ相性とか関係なくね?深読みしすぎてサーセンwwww
絵でどうやって犬の種類あらわすんだよ!!


・kireko
独創的な絵をかく画伯。勝てばいいんだ!勝てば!
代表作はジムっぽい「かぶと」「よろい」「せんしゃ」「くっせつ」

・コマンダー
わかりやすい。さすが持ち主といいたいところだ…
代表作は「てんじょう」「でんわボックス」

・せびん
こだわる。白地図の貴公子。パスが多い。
代表作は「しまね」「かわうそ」「おおいた」「あきた」

・ドリム
西の画伯。読解力が特殊。思考ベクトルがせびんと一緒の時がある
代表間違えは「土星」を「うちゅう」



そんなこんなで楽しい時間は過ぎて…

サスペンス予告風動画をとりまくって名古屋を後にしたとさ…


>最期に

・コマンダー氏
時間が無いのによくぞ参加してくれた、まずこれにお礼をいいたい。
新幹線の中で朝だというのにロックマントークや
アニメイニDでの解説など、よい役まわりであった。
そちには知行をくれてやる、なんなりともうせ。

・せびんさん
スーパーサイズミーで凄く楽しくなれる仲。
カラオケの時のテンションはまじやべえよ!チャイナタウン!
なぜだかしらないけどいろんな意味で今回氷が解けたな!
でもキューカンバーだけはかんべんな!
僕は帰りにビックマックを9個買ったよ!

・ドリム様
あのうそのうが多かったけど楽しかった!
耳をすませばで痛覚倍増が面白かった!
鬼太郎のギャラリーの作画が怖かった!
絵がうまかった!しかし画伯の座はゆずらないよ!
スカウター動画はあとで渡します。


>総括
とにかく楽しかった!年末だというのに本当に楽しい思いをした!
みんなありがとう!季節の変わり目にまた今度やりましょう!


かしこ。
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位置に蚕糸語録七八区中

2007年12月29日 04時31分42秒 | 末路話
いちにさんしごろくななはちくじゅうと打つとこう変換される@kirekoです。


>早朝の時間に俺参上!

http://www.nicovideo.jp/watch/sm1857885

いつから風間君はこんなになってしまったんだ!出来るスネオ的な自慢厨時代の風間を帰せ!もえぴぴぴーッ!

http://www.nicovideo.jp/watch/sm1883411

この道具超欲しいわ・・・
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カエリミチニモシカシタラデアウーノ

2007年12月28日 13時26分46秒 | 我流ロボットデザイン
カエリミチに出会ったらやばそうだ@kirekoです。

>思いのたけをぶつけるのさ



重機動メカ・カエリミチーニデアウーノ

はい、背景を無理矢理いれてみました。
イメージ的にはでかい公道をローラーダッシュと
ガションガション足で駆け抜けて、ビルにレーザー的な感じです。
久々に自分らしいものが描けたような気がしたが
キャノン以外は、やはり勘違いだったらしい、なんか浮いてる。
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グラフリーパー

2007年12月27日 01時48分04秒 | 我流ロボットデザイン
仕事前に書き上げるのがいい!@kirekoです。


>グラフリーパー



書いてる途中にロックオンの乗ってる奴を思い出した。
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第三十八回『天豪地傑 兵情将平 百烈の黒衣、英名の山道に翻る』

2007年12月26日 11時04分10秒 | 架空大河小説『英雄百傑』
英雄百傑
第三十八回『天豪地傑 兵情将平 百烈の黒衣、英名の山道に翻る』


英名山 武赤関への山道

陽は東の空を超えて真上へ昇り、辺りは吹く風と供に真夏の気配を帯びる。

「はぁはぁ…」
「ヒィヒィ…」
「ううう…み、みずを…」

逃げに逃げて英名山の山道へと差し掛かったステアの軍だったが、
退却するステアの兵達の頭上には容赦なくギラギラと照りつける太陽が存在し、
ただでさえ走って熱の篭っている兵達の鎧兜をこれでもかと暑く熱した。
兵はどれも全身から油汗をかき、噴出す汗は足取りを重くさせ
どの者も平静を保つものはおらず、身を守る甲冑を脱ぐものや
手足をついて赤子のように進むような者までいるありさまであった。

「ひぃはぁ…お、おーい、や、山道をこえればすぐ関だぁぞ…」
「ひぃひぃ…夜中ずっと走らされてつかれたというのに、まだのぼるのか!」
「だ、だめだー、おらはもう一歩も、あ、あるけねーだよ」

逃げるステアの軍から兵達の不満の声があがる。
深夜から山を駆け下り、敵兵とぶつかっては走りっぱなしのステアの兵、
いくらステア率いる強兵であっても、眠りもせず走り、戦の疲れもそのままに
小高い山道を進むとすれば、誰でも不満の声があがるものだ。

「おまんら!あとちょいで関じゃあ!動けん動けんと弱音いうまえに、足動かさんか!足ば千切れやせんもんじゃ!がんばるでゴワス!」

しかし、流石のステアの指揮も暑さと疲れで士気の下がる
兵達の足を速めるには至らなかった。

ダッダッダッダッダッ!

そこへ関のある山の手の道から一騎の部将が駆け込んでくる。

「御大将ッ!ステア様ーッ!」

やってきたのは関の守りを任せたステアの副官である。
副官は急いでステアのほうへ駆け寄ると、声をあげて進言した。

「先行したステア様を心配して、半刻(1時間)前より別路から四天王コブキ様が1千の兵とともに関から名瀞平野へと出陣いたされました!」

「おお!コブキ将軍の兵でゴワスか!それは頼もしか!」

その伝令に喜ぶステアであったが、
やってきた副官は、喜ぶステアの後ろの兵を見て不安を感じた。

すでに山道の中腹まで来たというのに、不平不満を言い出している
兵達の多くは歩くのも精一杯、確認すれば兵の後ろには声が聞こえ
休憩などすれば官軍の兵が猛追で迫ってくるかもしれない。
ここで高家四天王の一人であるステアが討たれては一大事と思って
副官はステアに続けて、耳打ちをするように小さな声で進言した。

「ステア様!ちと、お耳を………この暑さで兵達が不平不満を言い出し、その足も遅いようです…。ここは我々だけで先行して退却し…足の遅い兵はここに置いてゆきましょう…。なあに…コブキ将軍の兵がくれば、こんな兵など居なくとも…敵の軍を蹴散らしてくれるでしょう…、…三軍は得やすく一将は得にくいといいますし…しょせん我等の手ごまである兵達を置いても…それは将ならば誰でもやること。たとえ敵に倒されても…恨まれますまい…」

この言葉を耳で聞いたステアは目をカッと見開き
今まで穏やかだった顔がいきなり強張り、副官の顔を見て
眉をひそめ、不快感を露にして、こう言った。

「きさん…今なんちゅった?おい!!!おいの副官とて今ん言葉はゆるさんぞ!きさんは殿(しんがり)で未だ戦う兵のことば知って、そんこと喋っておるんか!!きさんは、まず馬を降りて、走りまわって戦ってくれちょる兵の恩ば知れ!」

ガッ!ドサッ!!

ステアはクワッと見開いた目とアゴを引いて不愉快な形相を浮かべると、
手に持った鬼鉄棍で素早く横へ一突きし、進言をした副官を落馬させた。

「え!?うげ!?」

「そん義も恩も知らんもんがおいの配下とは情けなか!おんは歩いて山を登り!兵らの苦労を額に汗して感じて走るがよかっ!それ!誰か!一番弱っちょる兵をこん馬にのせるでゴワス!」

ステアは大声を発すると副官を再度睨み、
自らについてくる兵達の前で副官を罵った。
そして、今まで副官の乗っていた馬に、ひときわ弱った自分の兵を乗せると、
ついには自分の馬をも兵に与え、再び関への山道を急いだ。

先を行くステアの顔には、裏の無い真剣な眼差しの光があった。
後方には自分達の退路を守ろうと、元気の余っているものが
死をもいとわず、敵の兵を食い止めるために殿(しんがり)役を買っているのに、
先行して逃げている者が、それを見捨てるような事を言うのが
自分の副官でありながらステアは許せなかったのだ。

名将揃いの四天王軍団の中でも義に篤い漢ステア…
猛き人物であるがゆえの失敗もあるが、将兵一丸のその信念は
将である前に人として、実に立派なものであった。
たとえ命のかかった退却中であっても、この行動は、
疲れた兵達の目に燦然と輝き、将兵の間柄にある忠誠心を響かせた。

「おお…なんと慈悲深い御大将じゃ」
「自ら馬を降りあのようなことを…御大将!」
「歩けぬなどと言っていたわし達は恥ずかしい…」
「みな!御大将についてゆくぞ!」

「「「オーッ!」」」

ステアへの忠節を胸に誓い、その引き締められた心によって、
兵達は疲れながらも、足を山道に向け再び動かし始めた。
いつの間にか、軍のどの兵達も不平不満を言わなくなっていた。


名瀞平野 英名山の麓前

一方その頃、ステア軍の殿部隊と交戦していたスワト隊は、
後方のガンリョ、クエセルの軍団と協力し、ステアの殿軍を
豪傑たるその力を用いた猛追撃で打ち破っていった。

スワトの撃剣隊5百、ガンリョの槍隊5百、クエセルの野賊隊1千は、
ステアの最後部を守る殿(しんがり)の軍をあらかた破ると
名瀞平野の切れ目、英名山の麓へと差し掛かった。

「へへっ、あらかた片付きましたぜ。さっ次に参りましょうや」

「おう!追撃して敵に大打撃をあたえてやろうじゃないか!槍隊進撃じゃあ!」

「それがしの兵が攻め遅れてはならん!進撃ーッ!」

ドドドドドドッ!

三隊は敵軍が逃げる英名山へ向かって直進した。
兵を打ち破ってもなお、まだ意気、精気が衰えない三隊は
ついに山の手の山道を登り始めた。


ザッ…ザッ…!

その時、進む三隊の行く手を遮るように、山道の中腹に
一人の男が何をするでもなく歩いてきた。
背格好は普通の人なれど、全身を覆う際立った黒白色を保つ異彩のいでたち。
頭部の全てを覆う特徴的な形の黒い兜、そこから長くたらした黒い戦包に
包まるように少々見える白い色の甲冑。
その背後に見える、黒布に隠された巨大な十字の物体。

ガシャッ…ガシャッ…ガシャッ…

足が浮いて地に落ちるたときの重音…
張り合わせた金属と金属の板が重なって鳴るような、
そんな音と供に男の一歩が進む。

男から放たれる異様な緊張感は、スワトやガンリョ達の足を一瞬とめたが
流石に一人の男に千や二千の男達が止まるわけにも行かず、ついにクエセルが
端を発して野賊部隊を進撃させた!

「へへっ、この戦の最中どこの乱痴気もんだろうな!やい、おまえ道をあけろッ!首をとられてもしらねえぞ!おまえら!さっさとたたんじまえ!」

「「「へい!合点承知!」」」

クエセルの声と同時に、屈強な野賊達が斧を持ち
10人程度で編成を組むと、その多勢を頼みに進む勢いを
黒衣の男のほうに向けた!

「へへへっ、ちびって声もあがらねえか臆病者!」
「だんまりして、すかした野郎だ!きにくわねえ!やっちまえ!」
「首ひとつで1金の約束だ!誰だろうとかまうめえ!!」

ドドドドドドドッ…!!

「…」

男は黙ったまま、目の前に迫る斧を持った屈強な男達の群れを見て、
風になびくように黒い戦包を少し動かした…その次の瞬間であった!


ガシュッ!!!!ダッダッダッダッダッ!!!!!


鋭い勢いで虚空に放たれた無数の影、それは狙いつけたように
黒布の中を飛び出し、野賊の兵達に向かった!

ヒュッヒュッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!

「ひっ!な、なんだあ…ギャボアアアーッッ!」
「うべべべべえッ!」
「いぎゃあああ!うごごぉぉぺぺぺぺっ!」

ガシュッ!ヒュッヒュッヒュッ!

ドスッッ!ドスッ!ドスドスドスッ!!

たなびく黒い衣から放たれる鋭い無数の鏃の閃光!
鋭利な物体は、動物の皮を重ね合わせた野賊特有の硬い皮鎧をも貫通し、
筋骨隆々の屈強な肉体をも突き破ってもなお放たれ続ける弾幕!
風を切り裂き、虚空を駆け、放たれる無数の豪の矢!矢!矢!

ドスッドスドスッ!!

「ぐああ!ぎゃああ!ぎゃあああああ!!」

目、口、胴、足、痛覚を覚える野賊達の悲鳴が山を木霊する。
しかし、断末魔をあげる暇もなく、男の黒布から放たれる
無数の矢を全身に受け、攻めかかった一群の数十人はあっという間に
ハリネズミのような体を晒して絶命した。


ガシュ…ガキッッ!カラカラカラカラ…

「…」

男の衣の中から何かが止まる音と、回転する音が聞こえると、
野賊を貫く恐ろしい矢の閃光は、いつの間にか止まっていた。

ゴォォォォ…

うめき苦しむ悲鳴が止み、静寂と熱風が山道を駆け抜けると、
スワト、ガンリョ、クエセルの前には驚くべきことが起きていた。
今まで意気揚々と攻めかかった野賊兵達が、一瞬にして
目の前で針の山と化したのだ。

「ば、ばかな!あの屈強な兵達がなんということだ!」

死屍累々の惨状を見て、ガンリョは夏の暑い時期でありながら、
思わず甲冑越しに冷やりとしたものを感じ、握った槍の手のひらには
汗をかいていた。

「ち、ちっ!やろう!やりやがったな!だが今の音、俺は聞き逃しやしないぜ!今のはおそらく矢の切れた音だ!やいおまえら、さっさと奴を取り囲んでのしちまえ!」

「「「へ、へい!!」」」

ザッ…ザッ…!

慎重に歩を進める野賊達。
クエセルの言ったとおり、男に近づいても鋭い矢が飛ぶ事はなかった。
今度は前にもました20人ほどの屈強な野賊が、黒衣の男を取り囲み
ヒュッヒュッと斧を振り回し、男の隙を狙っていまかいまかと目をギラつかせた。

ゴォォォォォッ…

山の手の熱風吹きすさぶ中、今度はピクリとも動かなくなった黒衣の男。
すると、それを取り囲む野賊の一人が、しびれをきらして男に襲い掛かった!

「へっ!しにやがれ!!」

ブンッ!!

後ろに迫る鋭い斧の切っ先が、真っ直ぐに黒衣の男の頭を捉え
黒衣の男の兜に当たるかどうかという瞬間であった!


「…自ずと死を理解するのは、きっと悲しいことなのだろうな…」

ガンッ!!!!ヒュゥッ!!ブワッ!!ガシュッ!!!

黒衣の男は大地を蹴り上げ、見事な跳躍力で横に移動し、
野賊の斧を寸前で避けると、その勢いで黒い戦包と衣を翻して、
内部の白の甲冑の腕部から短く細い平らな剣を両手に取り出した。

「え、え…腕から…ぶ…?」

ビシュッ!ドカッ!!

男の黒衣の翻りが地につかぬ前に、素早い一閃が風を斬った。
その風と供に、肉のちぎれる音と、野賊の首が空を舞った。

「こ、このやろ…」

カッ!!ビシュッ!ドカッ!!!

近くにいた野賊の兵が斧を差し向ける前に、
男は勢いもそのままに、右手に持った短剣を
クイッと前に突き出すと見事な太刀筋を野賊に放った。
今度は、斧を持った兵の腕と顔半分が、グシャッと音をたてながら山道を転んだ。

「やりやが…」
「てめえこ…」
「ちくしょ…」

ダッ!!!

黒衣の男は野賊兵達が言い切る前に、またも見事な跳躍を行い、
勢いもろとも正面を囲む野賊の兵に近づくと、両手の剣が再び空を裂いた。

カッ!カッ!カッ!
ビシュッ!ビシュッ!ビシュッ!
ドカッ!ドカッ!ドカッ!

黒衣の男の前がつぶさに聞こえる音とともに朱に滲む。
まるで見事な剣舞でも見るような無駄のない連続技の数々。
まずは顔面に叩きつけるような右剣の正面突き、次に甲冑ごと腕を切り落とす左剣の下段払い斬り、反転する勢いを利用して抜いた右剣を相手の首筋にくぐらせ喉下の動脈を掻っ切る背面削ぎ斬り、そのまま流れるように体を移動させて、隣の兵の手首を一刀両断にする水平断ち斬り…。

そのどれもが人体の急所を狙いすまし、
繰り出す一太刀、その一太刀が必殺の技であった。

ビシュッ!ブシュゥゥーッ!

黒衣の内側の白い甲冑が朱に染まるまでに時間はかからなかった。
およそ周りを取り囲む20の兵は、どれも剣を急所に一撃二撃受けて
声を上げるまでもなく、山道の土の上に血を流しながら絶命し、倒れこんだ。

ゴォォォォォ…

「…」

熱風と供にただ黙って、死体の真ん中にたたずむ男。
翻って直す黒衣には野賊達の流した赤い流血の線がまとわりつくように
べったりと付着し、その朱に濁った水滴をたらしていた。

ゴォォォォッ!

「ち、ちくしょう!俺の部下達をよくもやりやがったな!」

多数の部下を殺され、怒りを露にするクエセルは
思わず部下達の死体の真ん中に立つ男に叫んだ。
すると黒衣の男は、不動の口を一瞬開いて、クエセルに向かって呟いた。

「…そうか、お前は怒っているのだな?…部下を殺されると怒りがわくものなのだろうな…」

「何を当たり前のことをいってんだ!てめえ!おちょくってるのか!!!」

静かに放たれた黒衣の男の発言にクエセルは再び怒った!
今にも男の前に飛びかかろうとするクエセルだったが、
飛び掛ろうとする寸前でガンリョがとめた。

「ま、待てクエセル!奴の太刀筋、そして人間の『それ』を遥かに超えた動き…おそらく一朝一夕の腕と技ではない!なめてかかればお前も死ぬぞ!取り囲んだ兵を、ああも簡単に…あんなやつはわしも見たことがない…敵の手練の猛者だとしても何者だ…?これでは兵の者も怖気づいてしまうぞ…どうする…」

技、武、動、気、そのどれもが今までに遭遇した猛者達の能力のそれを
遥かに逸脱したものであったため、ガンリョ、クエセルといった
猛将の二人でさえ、顔に冷や汗をかき、やすやすと手を出せなかった。


…ゴォォォォッ!!

「………」

再び吹く熱風と供に、両手の剣を甲冑にしまう黒衣の男。
数十歩の場所に対峙しながら、まるで壁が置かれたように
進むに進めない三隊の士気は、目の前の惨状にガクッと下がっていた。


しかし、その時であった。


ブゥンッ!!!


山道に吹く熱風の最中にあって、その風を、空を、気を断ち切るように、
中段から横なぎにスッと払った巨大な大薙刀が、熱風をその巨体に巻き込んだ。
ここに一人、黒衣の男を前にして、怖気づかない豪傑が一人いた。



「我ら将が怖気づいてどうするでござる!このスワト、敵がいかなる強敵でも、忠義の兵に相対するなら、戦うのが武人の勤めと思ってござる!あの黒衣の者、それがしにお任せあれ!」



熱風を斬った大薙刀と供に、颯爽と隊列を抜け出したのは
当代の豪傑と謳われた猛将のスワトであった。
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ジボル様のカッコよさは異常

2007年12月25日 23時17分10秒 | 我流ロボットデザイン
まさかクリスマスから日本の神社仏閣信仰にあたる話をするとは思わなかった@kirekoです。

>メリークリスマス!





クリスマスになんの脈絡もなく
任天堂がファミコン後期に出したロボット格闘ゲームの名作
『ジョイメカファイト』より、さくさく進めてた初見を滅多切りにする
初心者キラー『ジボル』様(トゲ20%UP)!
個人的にはダチョーンやホウオウよりジボル様のが好きだぜ!
次にすきなのはシェンロンだけどな!

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衝撃のガレムソン

2007年12月23日 21時23分57秒 | 末路話
やはりガレムソンの@kirekoです。


>ガレムソン「ええい鬱陶しいわ!!」

http://www.nicovideo.jp/watch/sm155338


何度見てもネオガンダムよりRXF91のほうがカッコイイよなぁ…
プラモで買ったRXF91のヴェスバーもどきを軸を変えてキャノン砲にしたのは
良い思い出!
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ガレムソーン!!

2007年12月22日 21時52分55秒 | サバゲー
軍法会議で裁けないならこの俺が裁く!!@kirekoです。



>武器庫にかったよわーい!
まず最初に言っておく、念願であり、あの憧れの武器庫に俺は勝った!これからのスーパータンタンタイムにご期待ください!


戦闘結果からいくと
武器庫>タンタン・ゲリラ・P90
武器庫>ゲリラ
タンタン>武器庫
ゲリラ>タンタン
タンタン・P90>ゲリラ・武器庫
タンタン=P90


つまり最終的には
武器庫>タンタン・P90・ゲリラ

ということですごめんなさい武器庫ゆるしてください
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第三十七回『幻弦無方 退攻推守 天龍対猛虎、怒涛の一騎打ち』

2007年12月21日 18時30分05秒 | 架空大河小説『英雄百傑』
英雄百傑
第三十七回『幻弦無方 退攻推守 天龍対猛虎、怒涛の一騎打ち』



名瀞平野

明けは知らずして東に日を昇らせ、野は言わずとも照らされる。

連日、雨の降らない夏の酷暑にさらされた草や土は乾燥し、
草は緑を失い茶色に変色し、土は茶色を失い白色の硬い道へと変化していた。
そんな野にもって対する、休息なしの夜駆け兵と一夜にして陣を造った兵は
疲れを体に知るが、その士気は一向に下がる勢いが無い。

対陣する官軍オウセイ軍4千対四天王ステア軍3千。
戦の先手は、敵を警戒しながら小休息を終えたステア軍がとった!

「おいに続け!!!九渓州で鳴らした地弦流突撃を敵に見せつけや!おいの兵ならば負ける事は考えることなか!おいがついちょるでゴワス!いくでゴワスーッ!」

「「「オーッ!!!」」」

ドドドドドドドドッ!

ステアの号令と供に無数の兵の旗指物、槍が一斉に立ち上り、
ステアを先頭にして怒涛の勢いでオウセイの陣へ突っ込んだ!


「旗を見るに、敵は侮ることなき四天王軍ステアか!よし、クエセルと野賊部隊は右方の敵を!ガンリョ殿は槍隊をもって左方の敵を!ドルア殿は後方を弓隊で守れ!我が騎兵隊は陣屋を出てステアの正面の兵と当たるぞ!」

「へへっ、頑張ってやるから褒美はたんまりとな!」
「右方は任されよ!我が胆力で守ってやるわい!」
「後方は拙者に任せ、オウセイ殿は正面の兵を!」

「おお、頼もしき言葉よ!」

オウセイの号令と供に、クエセルと野賊部隊は右方へ
ガンリョの槍隊は左方、ドルアの弓隊は後方へと兵を進め
どこから兵が来ても迎え撃てる体勢を整えた。

「騎兵隊5百、準備終わりました!」

「よし、ステアの軍を翻弄するぞ!我に続けーいッ!!」

「「「オーッ!」」」

腕を振り上げ号令をし、後方を見ながらオウセイは兵の顔を見た。
兵はどれも目の下にクマをつくり、疲れの色は濃かったが、
一夜にして陣を造り終えたという、不思議な一体感で包まれ、
どの兵も、一体感から来るみなぎる気力で疲れを忘れさせ、
兵達の士気は敵のそれに勝るとも劣らないものであった。

「門ひらけい!いくぞー!」

ギィー…!

陣屋の正面の扉が開かれると、目の前に迫ったステアの軍勢目掛けて
オウセイ率いる騎馬隊5百が突っ込んだ!

ドドドドドドドッ!!

突っ込むオウセイ隊は、わざと敵の正面には出ず
進行方向の軸をずらし側面に突撃できるように進んだ。


「おいの強兵に対して少ない手勢で、そげん見え見えの側面攻撃で来るでゴワスか…笑止じゃああッッ!!」

ブゥンッ!ブゥンッ!

ステアは自ら自分の馬をオウセイの兵に近づけると、その巨体の手に握られた、
7尺を超える巨大な鋼鉄の塊とも言うべき棍棒『鬼鉄棍』を振り回した!

「う、うおーっ!」
「ぐぐぐ、ぐばぇー!」

ガスッ!バキッ!!

すばやく風を斬る鉄の巨塊、恐るべきステアの腕力が伴った鬼鉄棍が
甲冑を着て走る兵馬の胸、頭、腕、そのどれかをとらえると、
どのものも潰れるような鈍い音をたててバタバタと倒れた。
ある者は一撃の圧力に内臓を潰され血を吐きながら、馬から勢いよく落馬し。
またある者は、鉄の塊に頭をねじりとられ、槍を構えることなく
体ごとなぎ払われ、残った体は馬の手綱を持ちながら、
鈍い音と供に力なく重力に逆らえなくなった無残な肢体を晒した。

ブゥン!ブゥン!バギャン!ガスッ!

「ギャアアアア!!」
「う、うぼぁーー!」

鬼鉄棍を振り回しながら当たるを幸いとしたステアは、
単身ですでに20人以上の騎馬兵をひしゃげ殺し、打ち落としていた。
流石に、この猛将を見てオウセイ率いる騎馬隊も
顔を青くして足を止めて震え、すくみあがった。
ステアが鬼鉄棍を振り回しながら近づくと、とたんに逃げ出す者までいた。

バンッ!

「くわっはっはっは!都の弱兵の中では、おいどんに適う兵はおらんのか!」

逃げ惑う騎馬兵を前にして、ステアは笑った。
乾いた野に力強く馬蹄を押し付けながら、ステアが鬼鉄棍を振り上げた
その時であった!

「ここにいるぞ!」

ドドドドドドッ!

大声の先には騎馬隊の陣頭指揮をとっていたオウセイがおり、
果敢に攻めるステアの兵を双尖刀でなぎ払いながら前へと進んできた。

「ほう、おまんのような、なまっちょろい小僧がおいを相手にするというでゴワスか?」

「その長き肢体、馬上より兵をなぎ払う鉄塊、威風堂々として猛るその姿!名のある猛将とお見受け申す。我が槍の試し、受けてもらおうかッ!!」

ゴォォォ…
兵の大勢を尻目に、荒れ野に立った二人の騎馬武者の威圧感が場を圧倒する。
まさに時の止まるべくして止まったその空間に、両軍の兵士達は息を呑んだ。

「そげん礼儀で迎えられては、この一騎打ち!受けんわけにはいかんでゴワス!冥土の土産においの名、覚えちょれ!おいは高家四天王、速攻のステアッッッ!」

「相手にとって不足なし!我は京東郡太守キレツが家臣オウセイッ!」

対陣で突撃を敢行しているはずの敵味方の兵が
いつの間にか一騎打ちの囲いをつくり、猛将二人の馬が端に行くと
いよいよ端から走り出し、馬を加速させ、その一合目を始めた!

「でいやぁーッ!」

「ふんぬぅ!」

シュッ!ガッ!ガキーン!

馬上にかち合った一合目、先手を打ったのは、
鋭く素早い突きでステアをとらえたオウセイの双尖刀であった。
しかし、流石は家臣の猛将達を統べる四天王ステア。
瞬時に反応して鬼鉄棍を盾にしてオウセイの突きをかわすと
ステアは長い腕から繰り出す力で、今度は槍を跳ねて横に滑らせた棍を
振りにげるようにして斜めに走らせ、オウセイの兜を狙った。

ガギィィィン!バギッ!!

あまりの速さに鉄が摩擦で火花を起こし、かすった光の弾けが消える間に、
オウセイの兜は棍に弾かれ宙を舞った。

「ぬくっっ!ちいっ!そうはさせぬっ!」

迫る鉄の塊、鬼鉄棍を前に間一髪の所で頭をずらしたオウセイは、
虚空に吹っ飛ぶ自分の兜を見て、彼の一騎打ち史上、らしからぬ不安が走り
ステアの馬に馬上から軽く足蹴りを放って驚かせ離すと、その肝を冷やした。

「…(ばかな!棍の切っ先が触れただけで兜が持ち上げられたか…!避けるのが遅かったら死んでいた!…おそらくこれは修羅の剣、気を抜けば殺される!)」

ツゥーと顔に落ちる一筋の血を見ようともせず、ステアを直視した
オウセイの顔は緊張に張り詰め、その眼は真剣さを増した。

一方、距離を離されたステアはオウセイを見て喜んでいた。

「ほん…!あれを避けたでゴワスか!はっはっは!こいは、おいも滾ってきた!おいの地弦流馬術殺法『内蝉』を避けたのはおまんが初めてじゃ!だてに名乗りをあげることはありもはんな!さあ続きをやるでゴワス!」

ダッッ!

「望むところよ!」

ダッッ!

二人の騎馬武者が、端から馬を放ち、片手で握る手綱を
ギリギリと音がなるようにより強く握ると、中央で再び剣と棍を激突させた!

ガッ!!!ビュウッ!ビュウッ!

「先手必勝だ!それっそれっ!」

オウセイの鋭い突きが鋭さを増し、再びステアの喉元、胸、足、顔めがけ
その全ての急所に無数の素早い突きを見舞った。

カキンッ!ガッガッガッ!

「おまんやるな!おう!おう!どの突きも鍛錬されたすごか槍さばきでゴワス!」

ステアは鉄塊の棍を再び防御の盾にして、上下双頭に刀のついた
オウセイの突き、横なぎと縦なぎを繰り返す見事な槍さばきを全て
恐るべき反射神経と長い肢体を使って、寸前の所でかわした。

「今度は、おいが攻めるでゴワス!そうれ!!!!」

ブゥンブゥン!!

「ぐぬぬ、うおおお!!」

ヒュンッ!!!ガキ!!ガキン!!!

ステアの鬼鉄棍から繰り出される空を切り裂く、鋭い上下段の三連撃!!!
とっさに馬上で体を反らせ、一撃目を避けるのに成功したオウセイだったが
二撃目、三撃目は双尖刀を横にして、槍の一番硬い部分で受け止めるのが
やっとであった。

「ぐわっはっはっは!地弦流馬術殺法『柳三弾』まで避けおったか!ほんに面白いやつでゴワスな!」

「ッッ!笑う暇があるかッ!でぇい!!!」

ビュッ!!!

オウセイは反らせた体をバネにして双尖刀を、目の前で笑うステアの
鬼鉄棍で守れない死角である黄色い甲冑の肩口に放った!

ガシュッ!!パァンッ!

「うぬおっ!なんばしょっとか!!!!」

馬上の死角を突かれたステアは肩口の甲冑に刃が触れる前に
ふいに伸びる双尖刀の柄に、手綱を握る左手を放ち、なぎ払った!

バギャン!!

双尖刀の軌道は変えたものの、勢いを殺せなかった刀の切っ先が触れ
威力の強さを物語るように、ステアの黄色の甲冑の肩口を吹っ飛ばした!

「ちっ!しとめそこなったか!」

「こなくそぉ~!!触れただけでおいの肩甲冑がもげてもうた…こりゃ余裕ば見せられんでゴワスな!!」

ブゥン!!ガキンッ!バキッ!ガッガッ!カキーン!!

火花散る猛将同士の戦いは苛烈を極めた!
金属と金属とが当たる鈍い音と風を切り裂く鋼のぶつかり合い!
鋭く攻めれば隙無く守り、隙見て反撃すれば素早くかわす!
一進一退!放つ一撃一撃は重く、お互いに小傷をつけながら、
『力を抜けば首が飛ぶ』状況での戦闘は、精神的にも肉体的にも疲れさせ、
互いの疲労を絶大なものにしていった。

「はぁはぁ…隙あり!!ぬうりゃ!!」

「くぉぉっ…なんこげなもの!」

ガキッ!ガッガッガッ!!バキッ!バァァン!ガキィン!!

ステアとオウセイの甲冑は急所を外すように所々破壊され、
オウセイの顔面の血は汗でにじみ始め、耐え備えた足はガクガクとし、
ステアは全身にびっしょりと汗をかき、棍を握る手に力が入らなくなってきた。

「…なんという豪傑同士の戦いじゃ」
「ステア将軍も強いが、あの赤い甲冑の男も、お、おそろしい力じゃ」
「ひい、お、御大将が負けたら、あの将と戦わねばならんのか…」

眼前に広がる猛将同士を見て、それぞれ
不安と期待を口にする敵味方の兵達。
将と将、武と武、技と技、力と力、どれも能力は互角とする
二人の打ち合いは、戦の最中、さながら暴風が吹きあれるが如く
兵が打ち合いを見るに、およそ30合を数えるほどとなった。

「「「ワーッ!!!」」」

しかし、未だ決着のつかない二将の末を天が心配したかのように
その時、後方を移動してきたミレム軍団の先鋒、スワトが兵5百を連れて
颯爽とステアの軍の前へと現れた!

ドドドドドドッ!

「オウセイ将軍!大丈夫でござるか!それがしが加勢しもうす!」

「おお!スワト将軍か!」

ドドドドドドッ!


「ちっ、新手でゴワスか!こんでおいが急いても駄目でゴワスな!全軍山帰り!退却ーっ!ひくんじゃー!!」

陣を抜け、騎馬軍団の内を抜け、駆けつける力強いスワトの兵達!
これを見ては流石のステアも退却をよぎなくされた。
しかし、高家四天王の神速と言われたステアの退却は見事なものであった。
機を見るに足の遅い者は武器を放り出し軽くし、足が速く力の残っている者は
迫撃を受けぬように殿を務めた。

何度も戦に出て、辛酸の全てを経験してきた名将だけが出来る見事な退却法は
将が退却しても、役目を行う事の出来るその兵の意識の高さが物語っていた。

退却の時期を逃して逃げ切れず、無理に攻めて消耗する事の恐ろしさ…
頭で考えるよりも早く、歴戦の猛将の勘が退却の大切さを教えたのであった。
名将が名将たるゆえんである。


「オウセイ将軍!それがしに迫撃の許可をくだされ!」

「はぁはぁ…うむ。クエセルの兵とガンリョの兵を貸そう…スワト将軍…迫撃して大打撃をくらわせてやろう…自分も後でいく…」

「おう!四天王の首、この手に必ずもってまいりますぞッ!」

馬上のオウセイが、未だ止まぬ動悸と何度も浅い呼吸をするなか
スワト、ガンリョ、クエセルはその早足でステアの部隊を追った。

取り残されたオウセイは馬上からその姿を目で追ったが、
頭から流れる血の傷口がまた開くと、くらくらとめまいがし
目は霞み、力なく言葉を吐露した。

「くっ…はぁ…この程度の…傷で…まだまだ未熟だ…な…」

バタッ…

「オウセイ将軍!将軍!しっかりしてくだされ!担ぎ手…呼…だ…か…水…もて…」

後方を守っていたドルアが力なくガクンと体を前へ倒したオウセイを見て
慌てて近づき声を発したが、その声はオウセイの耳には聞こえなかった。



オウセイが陣屋に運ばれていくその時、
英名山の山塞、武青関から兵が出るのがうっすらと見えた。
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寒天観測

2007年12月20日 20時49分02秒 | 我流ロボットデザイン
知らないものを知ろうとして@kirekoです。


>手を抜くとはこういうことだー!



帰ってきてから20分程度ではこのザマがふさわしかろうー!
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ばかな、こんなことが・・

2007年12月19日 23時24分22秒 | 末路話
まさかこんなところに存在しているとは@kirekoです。


>慢心を進めているオタクたちを駆逐できる素材

まさかこの映像がここにあるとは・・・

おたくのビデオ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm189407

なんという懐かしさ・・・
そうなんだ、今の軟弱おたくもどきのオタクには必ず見てもらいたい一作。
おたくがなんなのかを語るにはこのビデオが一番よいと思う・・・。

しかしパート2が無いのはまさか映像得点の○○のせいか・・?!
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第三十六回『虚突慢望 不性滅知 官軍一夜陣、謀働いて猛を動かす』

2007年12月19日 21時12分21秒 | 架空大河小説『英雄百傑』
英雄百傑
第三十六回『虚突慢望 不性滅知 官軍一夜陣、謀働いて猛を動かす』



英名山のふもと、名瀞平野に『一行三月陣』を完成させるために
暑い日差しの差し込む昼は避け、夜の闇にまぎれて進む官軍将兵達。

オウセイ、ドルア、ガンリョ、クエセル率いる4千は英名山のふもと、
武青関、武赤関の敵に向かって中央に陣を張り、
ミレム、スワト、ポウロ、ヒゴウ率いる2千はオウセイの陣の右手、
その二里後ろにある草原地帯に隠れるように陣を張り、
キレイとゲユマは、オウセイの陣の直線状の後ろにある、
名瀞平野に3千の兵をもって陣を張った。
リョスウと1千の兵は最後尾の名瀞ヶ丘の陣を守り、やってくるであろう
後詰めのキイ軍団を待っていた。

率いる軍団は敵に悟られまいと歩けば音の出る甲冑を脱ぎ、
旗指物はなびく事の無いように水平に持ち、物資を運ぶ荷車は
5人から10人程度の兵と兵の手に担がせ、前方を歩く武器を持った兵は
足音を消すために地面を少しならしながら、絶対に声が出ないように
布を口から首に結わって噛み、そのあらゆる音を消して、進軍した。

しかし、どんなに帳の降りた深い闇夜で、静かに行軍しようとも
夜目の利くような目の良い者からすれば、平野を歩く多くの兵の動きは
うっすらではあるが、見えていないはずは無かった。

英名山 武青関

英名山の左手、関州の要衝として存在する山塞、武青関。
山地に作られたゆえに天然の要塞、守る門は狭くとられて厚い鉄に覆われ、
壁は大きな岩石の塊を削りとって強固、門の狭さと比べて関の中は
兵1万は余裕で入るような広い造り、高地でありながら山を削って
要塞を築いたため、それぞれの壁が山の温度を保ち、朝夕の寒暖の差は無く
英名山から流れる豊富な水源もあり、兵を置くのには絶好の場所であった。

まさに威風堂々、天険と呼ぶべきこの無双の要害。
その武青関の守備をまかされた、高家四天王キュウジュウとソンプトは
官軍の動きを逐一追う、物見からの情報をつぶさに聞いていた。


「フフッ、よく兵を動かす将だね。おそらく一万という大軍が敵を目の前にして動いているっていうのに、物見からの情報がまるで『推測の入ったおおよその見当』を抜けきれないじゃないか…フフッ、ステアの兵が負けたのも案外納得できちゃうかもね。これは楽しめそうだねソンプト。フフッ」

「まぁ…!いやだわ!キュウジュウにそこまで言われるなんて!アチキだって言われた事無いのに!んもう悔しいだわさ…!それにしても戦の前に敵を褒めるなんてキュウジュウ将軍もヤキが回ったのかしらねえ?」

「フフッ、僕だって恐れるものは恐れる。褒めるものは褒めるさ」

「オホホ…でも負ける気はしないって顔してるだわさよ」

「フフッ…当然ッ!」

武青関の門の上の物見台で火を焚き、少量の酒を酌み交わしつつ
楽しげに会話をすすめるキュウジュウとソンプト。
その裏、続々と物見がもってくる、おおよその情報を繋ぎ合わせて
二将は敵がどういう風に動くか、脳内で予想図を作り上げていた。

「ねえ、キュウジュウ。アチキは敵の動きの予想が出来たけど、アンタも予想はもうたってるんでしょ?言いなさいよ」

「フフッ、断片的だけど、あれは攻める姿勢だね。程度の知れた守りの陣じゃ、僕達をしとめることなんて出来ないから、あえて僕達の所から丸見えの所…そう、名瀞の切れ目、英名山のふもとに見え見えの陣をひいて、僕達を関から誘い出そうとしているんじゃないかな?

「さすがは四天王のキュウジュウ。顔も頭も冴えるわねぇ」

「フフッ、褒めても何もでませんよ。まあ、この状況で、そうまでして誘い出したいとするなら、おそらく敵の布陣は『一行三月陣』、敵の本隊は他の郡から進むだろうね。実に古い戦法で、古典的だけど、理には適ってるね。だとすれば別働隊の陣があるはずだけど…そこがどこかまでは僕にも見当つかないな」

「オホホ、目覚しい推察ね。でもキュウジュウ将軍はそこまで。甘いわ、恋する乙女のように甘いわよ。甘みの抜けたアチキは、すでに勝利の作戦を考えているのだから」

「へえ、僕に教えてくれないか?その勝利の作戦というのを…」

「オホホッ、それにはまずステアの兵が動くように差し向けないとねえ…」

二人は怪しげに笑うと、キュウジュウは紙と筆をとり、
ソンプトにいわれたように書状をしたため、一つの書簡に入れると
武赤関に居るステアに向けて使者を送った。


英名山 武赤関

ステアとコブキが1万5千の兵をもって陣取っている山塞
この武赤関は夜の帳が落ちるとともに静寂に包まれていた。
コブキとステア、その守衛の兵は高地の薄い酸素に耐えながら、
見張りを行っていたが、夜も深まり、その数も数えるほどになっていた。

ステアやコブキも幕舎に帰り、寝所で眠りにつこうとしていると
そこへ一人の伝令が駆け込んできた。

「四天王キュウジュウ様から四天王ステア様に伝令ーッ!」

「こげん夜中になん騒々しい!おいの寝るとこば邪魔するほど重要な報せでゴワスか!」

「はっ、キュウジュウ様からこの書状をステア様にと…」

「ふんっ!なん言い来よったか!ほい!それよこせぇ!」

ステアは大声で使者から書状の入った書簡を奪い取るように受け取ると、
その書簡の中に入ってた文章をつらつらと眠り眼を覚ましながら読んだ。

「なん・・?これは…すごかことばい!」

ソンプトの知恵で、キュウジュウが書いた書状はこのようであった。

『臣キュウジュウ、至急の用にて夜中の無礼とは思うが申す。今日、帳落ちたあと山ノ下に敵兵大軍の動きあり。密偵の情報によると、陣を山のふもとに築き、大軍をもって武赤関を攻めるよしである。これをソンプトに教えたが、ソンプトは臆病者ゆえ、自陣をよく守れと申した。ステア将軍は勇猛の将だが、守りは苦手であり。コブキ将軍には守りの経験が浅い。この守りに疎い二将をもって、ソンプトという一将軍の油断で関が落ちれば一大事と思い、私は決心した。我が軍は明朝、山を下り敵陣を攻め滅ぼす所存である。おそらく夜襲に備えて夜に攻めるは難しいので、陣を造り終えて疲れ果てた明朝を狙う。ステア殿は武青関から、我が部下の明けの鳥(陣太鼓)がなり次第、ふもとの敵陣を攻めあげた我が軍の後詰めをやってもらいたい。良い結果を待っている』

ズズズ…ズズズ…

手紙を読んだステアは、眉間にシワをよせ、体を震わせると
夜中であるのを構わず、いきなり大声をあげた。

「あん優男め!守りが疎いじゃと…おいを愚弄するつもりか!キュウジュウめ、少しばかり守りに長けるからちゅうて、神速の兵と呼ばれた、おいの攻めの兵を後詰めに指名して上官気取りでゴワスか!あん野郎、見てっしゃい!」

ビリビリッビリビリッ!

手紙を読み終わると、ステアは眠気眼もどこいく風で
腕を震わせると、いきなり書状を勢い良くビリビリと破いた!
これがステアの性格を利用したソンプトの罠の手紙とは知らず、
無数の紙の欠片は空中を舞い、力なく乾いた山の床に落ちていった。


「やい!兵を起こせ!合戦で攻め遅れたことなき、おいどんの兵の強さを見せ付けるでゴワス!」

ジャーン!ジャーン!

ステアの怒号とも思える声と供に、深まった夜にドラの音が響く!
兵達は飛び起き、甲冑や武器をもってステアの前へと駆けつけると
ステアは集まった3千の兵を動員し、山を下っていった!


名瀞平野 オウセイの陣 

ドドドドドッ!

山の関の門が開け放たれ、多くの人間が声をあげて
深まった闇夜の山道を駆け下りる音が聞こえる。

「むっ、あの音は敵に気づかれたか!誰か、このことを若の陣とミレムの陣に伝令せよ!他の者は陣の完成を急ぐぞ!」

「ははーっ!」

オウセイはドルアとガンリョに工事を続けさせながら陣の周囲に目をやった。
そこには見張りに立っていた1千の野賊傭兵団と野賊の長クエセルがいた。

「クエセル!おぬしも工事を手伝え!」

「え、なんで俺がするんだ?」

「おぬしの兵も動員すれば陣も早く作れるであろうが!」

「しかしオウセイさんよ。見張りはどうするつもりで?」

「もう見つかっておるのだから見張りなどは無意味だ!今は周囲の柵だけでもいい、陣を完成させ敵の攻めを寄せ付けないことが肝心だ!」

「へっへっへっ、しゃーねえなあ。じゃあ特別料金だ。完成させたら一人頭の金をその分、上乗せしてくれよ!」

「わかったから口よりも手を動かすのだ!」

オウセイは、クエセルを跳ね除けるような言葉を吐くと
人手の居ない西の陣の工事に自ら向かった。
残されたクエセルと野賊1千は、急いで西側へ向かっていく
オウセイの背中を見て口を広げ、下品な笑みを浮かべた。

「へっへっこれで遊んで暮らせる金が手に入るぜ!おい!やろうども!手伝ってやんな!」

「「「合点承知でさあ!!」」」

号令と供に、クエセルをはじめ、野賊たちも陣屋を作るのに尽力した。
こういった陣を作るのに、見張りを含める兵力の殆どが
一気に工事に参加する事は非常に稀であり、野賊たちの怪力も手伝って
陣造りのその速度たるや、まさに空前絶後の早業であった。

ドンドン!ザッザッ!ガッガ!ガシッガシッ!バンバンッ!ズッズッ!

隠れて仕事をしなくてよいと思った兵達は、松明を置く灯台に火をつけ
煌々と燃える火であたりを明るくして、陣屋造りの仕事に打ち込んだ。
力強く杭を打ち込む音、鉋で木材を削る音、尖った丸太をくくり柵にし、
平地の土を掘り、その木柵を埋め、幕舎を立て、物見小屋を立て
みるみるうちに陣が出来上がっていく。

…ドドドドドドッ!

遠くに聞こえる多くの馬蹄と人の動く音…
ステアの3千の兵が関を放ち、山を降りてくる。
耳と目で、逐一それを確認していたオウセイ達は、
将であることも忘れ土にまみれ、木材のおが屑に喉をつまらせながら
工事を頑張る兵を鼓舞し、その陣頭に立って指揮をした。


一方、ステアとその軍勢は、
いつもどおりに進まぬ行軍に苛立ちを覚えていた。

…ドドドドドドドッ!

「おいの兵なら止まらんで!すすめえ!あん優男に遅れなどとって、勝ちを譲るわけにはいかんのじゃああ!」

「ステア様、闇夜の山道は危ない上、兵は寝ておりませぬ!行軍はもう少しゆっくり行ったほうが…」

ステアの副官トウサイが、馬に乗って走るステアに向かって言う。
彼の言うとおり、深い闇夜、なおかつ山道の行軍は降りるに早いとはいえ
眠らず疲れた兵達の足は限界に達しており、ゆるゆると歩くほか無かった。

「だまっちょれ!おいの兵は疲れを知らん兵ばかり!おいの兵達よ!山を降りたら小休憩をとるよって、そこまでがんばるでゴワス!そこから敵の陣に一番乗りした奴には褒章をとらせるでゴワス!辛抱わかるが、がんばりもはん!!」

「はぁ…はぁ…ふもとへいければ、きゅ、休憩か」
「ううう、ね、ねむい。だがしかし、とにかく今は走るしかねえー」
「そ、そうじゃ!そ、それに褒美をもらえばこの疲れも誉になるぞ」
「そうか、ううう、くそー走るぞー!」

「「「オーッ!」」」

疲れる兵を伴っての行軍は、普通士気が落ち、兵の統率がとれず
戦力が激減するものだが、ステアの言葉は力強く、またそれに訓練された
ステアの兵たちの士気は高いまま保たれていた。

ドドドドドッ!

しかし神速のステアといえども、さすがに
英名山という高山から、夜の山道を降りるのには時間がかかった。
夜駆けの行軍によって兵は疲れ、ステアは思うようにすばやく行動できず
山をくだりオウセイの陣につくまでには、ゆうに1刻半(3時間)を要していた。

この頃にはオウセイの陣も完成間近であり、攻めてくるのがわかっていたので
疲労した兵を陣の後ろに、まだ元気のある兵を陣の前へ配置し
オウセイ、ガンリョ、ドルア、クエセルは陣頭に立ち、敵がくるのを
今か今かと待ちわびていた。

そして、その後ろにはすでに陣を完成させたミレムの軍が近づいており
ステアが陣に攻撃をかければ、すぐに駆けつけられるようになっていた。


英名山のふもと、名瀞平野の先端に重い空気を伴って対陣する
官軍オウセイ隊4千と高家四天王ステア軍3千、そのどの兵も疲れていたが
流石にステアという名将の率いる兵は、疲れていても士気が高かった。



「おし!休憩はここまででゴワス!おいが率いる我が強兵の恐ろしさ、敵にたっぷり味合わせてやるでゴワス!みないくでゴワスーッ!!」


「「「ワーーーッ!!」」」

ドドドドドッ!!

名静平野に多数の人馬の嘶く声が聞こえると、
小休憩をとっていたステアの兵は、旗をかかげ、槍を持ち、刀をひっさげて
特有の早い朝日が山の手を昇り始め、暑い夏の日差しが見え始めた平野を
敵陣に向かって駆け抜けた!


名瀞の戦いの始まりである。
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第三十五回『饒舌挑発 忠士不恥 龍軍、名瀞で軍儀す』

2007年12月18日 21時47分47秒 | 架空大河小説『英雄百傑』
英雄百傑
第三十五回『饒舌挑発 忠士不恥 龍軍、名瀞で軍儀す』



木津郡 名瀞

電撃的な進軍速度で進撃し、策と用兵を用いて、続々と郡を平定し、
快進撃を続けていたキレイ率いる官軍隊は、ついに関州の国境である、
英名山手前の小高い丘地『名瀞(メイジョウ)』に陣を張った。
そして、別働隊を率いてこれも快進撃を続けていたミレム軍団、
キイ軍団との合流を待つ間にキレイは、敵から奪った兵糧を解放し
度重なる連戦と、進軍の速さに疲れを見せていた兵達をねぎらった。

雄雄しく、はるか眼前にそびえたつ英名山から陣を覗かせぬため、
山から十里(約40km)ほど離れて陣取ったキレイ達は、合流を待つ間、
密偵をつぶさに放ち、四天王軍の情報を集めていた。

4日後、別路から名瀞に進軍してきたミレムの先遣隊と合流したキレイは
彼等の戦勝を大いに喜び、酒と肉を振舞ってささやかな宴を開いた。
キレイは、自分の策をもって勝利を収めた事を『当然』と思っていたとはいえ
関州の三群を14日で落としたという実績、その勝利の事実は嬉しかった。
キイ軍団に先駆けて着陣したミレム軍団を兵に加えると、膨らんだ
キレイ軍の将兵は、その数1万を数えるほどになっていた。

そして着陣して6日後、英名山へ忍び込ませた密偵たちが
四天王軍の情報を報告をしに、続々とキレイの本陣へと駆け込んできた。


官軍陣 幕舎

木柵で囲われた陣には『信』と書かれた旗が立ち並び、
陣の中央、『将』と書かれた旗が雄雄しく立った場所にある
一際大きく白い幕舎の中には、関州平定へ尽力した将兵達が軍儀を開いていた。

「ミレム将軍旗下の将軍達、郡の将兵達の活躍目覚しく。関州平定まであと一歩となった。眼前の英名山の武赤関、武青関の二関を解放すれば、この関州から賊兵は一人として居なくなる。将兵達、もうひと頑張りだ、民のため、関州のため、ひいては信帝国のために頑張って欲しい」

「ははーっ」

首座に立ったキレイの一言に将兵達は言葉をあげて承諾の意をあらわした。
軍儀に参加した将達は、首座を中央にして木製の机を仕切りに二手に別れ、
右手にはミレム、スワト、ポウロ、ヒゴウ、リョスウ、
左手にはオウセイ、ゲユマ、ドルア、ガンリョ、クエセルと並んだ。

「密偵の情報によると、英名山の天険を利用した二つの山塞『武青関』には敵の高家四天王キュウジュウ、ソンプトと1万の兵、『武赤関』には高家四天王ステア、コブキ率いる1万5千の兵が篭り、我等の動きにあわせて守りを固めているらしいが、連戦連勝を続ける我等の兵は士気も高く、兵の数は増えたが今、この陣にいる兵は総勢1万余り…ここは守るか攻めるか、諸侯らの率直な考えが聞きたい」

ザッ

「恐れながらミレムが家臣、ポウロが申し上げまする」

ポウロが一歩前に出てキレイに深々と拝礼すると、
キレイは手をあげてポウロに向けると意見を求めた。

「ふむ、それではポウロ殿。意見を言いたまえ」

「ははっ、それでは率直に申しまする。ここは敗戦で下がった敵の意気と、将兵達の戦意向上を求める意味で攻めるが肝要かと」

「ほほう、屈強な要害を持ち、敵の数は我が軍のおよそ三倍であるのに、そこを攻めよと申すか。関を攻めて勝利を得る勝算はあるのか?」

「フフッ、勝算が無ければ、この口も喋りませぬ。それよりも天下の恐将ともあろうキレイ将軍が、何を申されるかと思えば弱音ですか?情けない!」

「ッ・・・!!」

落ち着き払いながら真剣に喋るキレイを前にして、
ポウロは、不謹慎極まりなく眉をひそめ、口を横に広げ、
他の部将たちに聞こえるようにフフッと声にだして笑みを浮かべた。

「御大将の前でなんと無礼な言葉であろう、謝りなされポウロ殿!!」

ポウロの対角線上に居た郡将のゲユマが、ポウロの不遜な態度を見て
思わず机の前へ一歩でると、幕舎全てに響く大声をあげ、憤りを露にする。
まるで刃のように鋭い視線、血走ったゲユマの目に睨みつけられながらも、
当事者のポウロは何食わぬ顔で平然としていた。

「……ふふふ、勇猛なゲユマ将軍。何を申される。私は正しい事を言ったまでですぞ。キレイ将軍は敵の数が数倍、敵将が四天王だということで恐れ、勝気に勝り、英気も士気も最高潮の我が強兵達を見ておられぬ。軍を任される将たる者、攻めることに萎縮し、敵を恐れたまま戦に勝つつもりでいるなど傍から見れば、実に頼りないものであり!それが天下の恐将キレイの率いる軍だとすれば滑稽でございましょう!言葉一つ一つが、弱音以外の何者でもありません。私はそれを情けないと思ったのです!」

ザッ!

「き、貴様!味方だと思って許せば、ぬけぬけとよく申すその口!許されると思うな!俺の手で今すぐ、そっ首ひねり潰すこともできるが、御大将の手前でそれはできぬ。俺の手が伸び、お前の華奢首と胴体が別れることになるまえに、早々に御大将にあやまられい!」

「フッ、猛きに勝る将は論じても匹夫必然の如く。そのような小器では、キレイ将軍の家臣の名が泣きますぞ」

「ぬぬぬゥゥ…!!御大将!こやつ許せませぬ!俺の弓の的にしてくれるわ!」

「まてゲユマ殿!戦の前に味方の血は不吉ぞ!」

思わず横にいたドルアとガンリョが今にも襲い掛かろうとするゲユマをとめた。
ゲユマの目はさらに血走り、刃のような視線はさらに鋭さをまし、
二人が止めねば、手は机のしきりを飛び越え、ポウロの体を掴み上げ、
その筋骨隆々の腕で、即座に細首を絞め殺さんばかりであった。

「………」

しかし、無礼をうけた対象であるキレイは、
ただ押し黙って将達の動きを見ているだけであった。


「い、いかん!ポウロ殿が危機じゃ助けねば…」

「ふふ、やめておけ。奴の功名の虫が騒ぎ、あのような目立つ行いをさせておるのだ。スワトよ、決して言葉を発するなよ。押し黙り、平静を保ち、平然としていなさい。むやみに動けばポウロの虫を殺す事になる」

「し、しかしミレム様!」

「まあまあ、見てなさい…」

ポウロの横にいたスワトは気が気でなかった。
ポウロの発言はどうみても無礼の範疇を超えた無礼、場が場なら殺されても
文句は言えない言葉の数々を言い放ってしまったのだ。
しかし、今にも飛び出して庇おうとするスワトにミレムはそっと手を出し
安心させるような涼やかな顔と言葉によって牽制した。

ジリ…ジリ…

照りつける灼熱の夏の日差しが幕舎の布を伝わって、立ち並ぶ将達の顔に
うっすらと汗を浮かべ、伝って流れ落ち衣服ににじませる。

サァァァ…

薄茶けるほど乾燥した荒地の草の匂いが、小風に乗せて
丘に立てた幕舎と陣中に吹き込むと、その軽砂を掃くような音が
立ち並ぶ英傑達の緊張感に包まれた幕舎の中では、異様なほど耳についた。

張り詰めた空気と一瞬の沈黙が、永遠の時間とも思えた頃、
沈黙を切り裂くように首座のキレイが笑い出した。


「はっはっは、ゲユマよ、ポウロ殿の挑発に一本食わされたな。この男、わざと私の怒りを助長させるような言葉を放ち、それを逆手にとって目立ち、自分の策を取り上げてもらおうという算段だ」

「な、なんですと!」

ゲユマはもとより、ゲユマを必死に止めていたドルアとガンリョも
思わずゲユマの体から手を離し、キレイの言葉に驚いた。

「ふふふ、それにミレム殿達を見よ、家臣のポウロ殿が今にも猛将の腕でひねり潰される所であるのに、平然としてまるで助けようともしない。むしろスワト殿以外は笑っておられるようにも見えたが?ふふ、論じて匹夫はどうやら私たちのようだぞ、ゲユマ」

「流石はキレイ将軍。天下の恐将は人を見る目もお持ちだ。その見据える慧眼に、このミレム、心底御見それいたしまする」

そういうとミレムはポウロのほうに目をやり、お互いに目を示し合わせると
ニヤリと同じような小さな笑みを浮かべて、目配せをした。

「しかし、無礼は無礼。それに変わる策が無ければ懲罰の刑は免れぬぞ。わかっているな。では、どう攻めればよいか申すがよい」

「ふふ、何も難所を進み、堅固な関を攻めよと申してはおりません。敵の心を見極め、その易所を攻め、腱となる易城を落とすべきだと言ったまでです」

「ほう、易所易城を攻める。それはどういうことか」

「前の戦の逆を我等がやるのです。おそらく敵はこれ以上の敗戦を恐れ、守衛に集中し、攻め入る事はないでしょう。我らがここで敵を釘付けにしている間に北方を攻めるメルビ将軍と、後詰めのキレツ様の軍団に打電し、それぞれ迂回して同時に攻め、敵の本拠地を奪ってしまえばいいのです」

「ほう、汰馬城合戦で四天王ステアが行った策を今度は我等が使うのか」

「はい。しかし、もちろん前の戦通りの布石では気づかれて敗戦は必死ゆえ、ここは攻めの腱を前方に置きます。キレイ将軍は兵を進め、あえて陣を英名山の見えるところに配置し、我がミレム軍団がその左右を固めれば、敵を牽制する事もでき、あわよくば痺れを切らした敵を撃退することも可能かと」

「ほう。しかしさっきも言ったが、敵勢は数倍。平地の戦では兵の数が物を言うが、前方に陣を構えて勝てる証拠があるのか?」

「ふふ、私ポウロが申さずとも、将軍にはわかっているはずです。我が官軍には猛将オウセイ将軍、ゲユマ将軍をはじめ、我が殿ミレム率いる軍団が自慢の将、豪傑スワトもおりまする。敵が四天王とて何を恐れる事がありましょう、ここで敵の肝を仕損じれば、官軍の士気にも関わりまするぞ」

「ふむ、前から思っていたが、そなたは面白い事を申すな。泣いた赤子がもう笑ったか。さきほど自分で貶した将を、今度は引き合いとして持ち上げるとは、実に節操のない事だ。そなたの舌は何枚だ、口は何個だ?」

「舌は人の数、口は星の数ほど」

「はっはっは!星の数の口を持つ男か!」

恐将と呼ばれたキレイに無礼を働き、今また
キレイの家臣を上げたり下げたりと、策を取り上げられるという
その功名に加速するポウロは、いつにもまして実に饒舌であった。

「…」

場が笑いに包まれる中、ゲユマの表情は沈み黙ってうつむいていた。
キレイはゲユマのそれを片目で見るに、首座近くのオウセイを呼び
何かを呟くと、そのまま姿勢を正し、場にいた将達に命令を飛ばした。

「ふむ。ポウロの言で我が軍は攻めに決まった。至急父上とメルビ将軍に対して打電を致せ。次にオウセイ、ガンリョ、ドルア、クエセル。そなたらは4千の兵を連れて夜のうちに支度をして、英明山のふもと近くに陣を張れ。行軍を悟られぬように旗指物は少なくし、気取られぬように木材物資を運ぶのだ。陣をたてたら炊煙をあげて、戦の準備をしているようにせよ。それに乗せられて敵が出てくれば陣を堅守すればよい」

「ははーっ!」

「ミレム将軍とその軍団には2千の兵を与える。オウセイの陣の右手二里後ろにある草原地帯に隠れるように陣を張って、もしオウセイの陣に何かあれば敵の虚を突き進軍し側面から敵を攻撃、つねにオウセイの陣に目を光らせ、敵を撃退する攻め手となれ」

「はっ!」

「私とゲユマは、オウセイの陣の後ろにある平野に3千の兵をもって陣を張る。他の陣がほどよく見える場所に陣を配置し、各陣に何かあれば私の一軍が他の陣に入り、その陣の守りを行う。リョスウと残りの兵はこの陣を守り、後詰めのキイ軍団を待て」

「ははーっ!」

「陣はそれぞれ繋げて三日月となるように配置することを忘れるな!では解散!」

キレイの命令が幕舎にとどろく。
解散の命とともに、それぞれ準備をするため幕舎を去る将軍達。

キレイが言った三日月の布陣。実は、これは守るに有利な布陣であった。
三日月を模した布陣、弓矢で言えば弓の張りの端部分がミレム、
矢じりの部分がオウセイ、弦の部分がリョスウ、矢を放つ指の位置がキレイ。
このように陣を配置することにより、どの陣に動きがあっても
攻・守・援護をもとにした守りと攻めを行う事のできることから、
このように限定された戦闘で、古来より良く使われてきた布陣である。
名を『一行三月陣』という。


…ヒュー


丘の上に吹く小風を受けながら、幕舎を後にするキレイやミレム達を尻目に、
顔を下に向けて、ただ何も言わずに動かない将がいた。

さきほどポウロの策を見抜けず思わず怒ってしまったゲユマ、その人である。

他からすれば見え見えの挑発にのり、何も知らずにただ怒った自分は
ポウロに言われたように『小器、匹夫、キレイの家臣として相応しくない』
その言葉のとおりになってしまったのではないかと、
ゲユマはふがいない自分自身を恥じていたのだ。

ポウロの心を読みあえて黙ったミレムや、それを見抜いたキレイ。
どの将も止める事をしなかったのに、自分は感情を出してしまった、
その己の論に対して、その匹夫さを悔しがっていた。

ポンッ…

優しく手のひらで包むようにそっと肩を叩く音。
皆が幕舎を出て行ったのを確認すると、首座近くにいたオウセイが駆け寄り、
ゲユマの肩に手をおいたのだ。

下を向き、その厚い忠義信ゆえに悔しがり、恥じるゲユマを見て
オウセイは優しく諭すように横からつぶやいた。


「…ゲユマよ、我らは若に仕える忠義無比の者。おぬしが怒らねば、私が怒っていただろう。主君が侮辱されて怒らぬ家臣は不忠者であり、きっと若もそれを見抜いてやられたのだろう。若は顔には出さなかったが心配そうに、私にこの言葉をおぬしに伝言してくれと頼んだ。『ゲユマは厚い忠義の士であるから、先ほどの事を恥じると思う。だが己の全てを恥じる事はない。武に長けるものが、文で指摘されることはあたりまえ。文は文、武は武である。それより戦で武将が武に遅れ、主君に不忠を働くことのほうが恥であろう』とな」

「…」

オウセイの言葉に、うつむいたゲユマから思わず一筋の水滴がこぼれた。
顔をあげればこぼれることもないのだが、ゲユマも男子たるものであり
その涙を見せるのは恥といわんばかりか、下をうつむいたままであった。

とめどなく流れるゲユマのそれを確認すると、オウセイは懐の布を渡し、
手を取った湿りを感じながら、何も言わず幕舎を後にした。






幕舎の布が音を遮ったが、それでもなお轟々と一人の男の泣く声が聞こえた。
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不思議色はぴねす

2007年12月18日 00時21分23秒 | サバゲー



※画像は罰ゲームのイメージです。こんなんでました。
というわけで今回の動画はSWATが主役!
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サバゲーオツ

2007年12月16日 19時24分45秒 | サバゲー
サバゲーおつかれさまでした@kirekoです。


>寒中サバゲー罰ゲーム

今回サバゲーを盛り上げるため下位2人が罰をうけるシステムで使った
罰ゲームボックス内の罰くじ(使用・未使用)を全部公開します!
みんなで寒空の中、相手のもだえ苦しむ姿を思い浮かべて作った罰、
なかには外道ものもあり、動画ものもあったよ!



■罰ゲーム一覧

・卑猥な風船(縦長ピンク色)を膨らます動画(使用)
・武器チェンジ(使用)
・坂で前転(使用)
・次のゲームで名前を呼ばれたら必ず返事(使用)
・面白いポーズで山から登場『動画』(使用)
・次ゲームマガジン半分(使用)
・鉄塔に登ってポーズ写真(使用)←これは写真が楽しみ
・弾数10発のみ『フルオート可』(使用)
・スワットと武器庫の武器こうかん(使用?)
・台風リポート風動画をとる(使用)
・今の気持ちを5・7・5で(使用)

・おもしろ写真2枚(未使用)
・服を前後逆にしてサバゲー(未使用)←ワロタ
・次ゲームセミオートのみ(未使用)
・水門にむかってキライな人の名前を叫ぶ(未使用)
・飛べ!『どこでも可』(未使用)←これは開いた瞬間ワロタ
・3位の人vs全員(未使用)



以上、罰ゲームの詳細でした。
ゲリラさんの書いた弾丸制限10発はフルオートばらまき派の自分には
鬼畜すぎて、もうスワット頼む!このおれのしかばねを…というぐらい
衝撃的なものでした。(フルオートで3秒持たずに弾がなくなるww)
ピンク色のバルーンが卑猥だったり、スワットが動画や写真で
とんでもないクオリティをだしたりしてたけど、やっぱり
罰ゲームがかかった種割れ覚醒武器庫様の強さは半端なかった。
しかしむちゃぶりにちゃんとついていった今回のメンバーは
やはり常連メンバーだったのが影響していたのか、さすがの働きであった。

久々に会ったメンバーの変わってる変わってないもありましたが、
いろいろ気を使ってもらったり、無茶振りの中の優しいスルーも飛び出し
なんかこういろんな意味で泣きそうでした。

財布落としたとき、全員で財布捜してもらったときは
ちょっとキューンときました、ほんとありがとうございました。
ほんとうに助かったよ!みんな、おつかれさん!
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