kirekoの末路

すこし気をぬくと、すぐ更新をおこたるブロガーたちにおくる

大晦日だよドラえもん

2005年12月31日 20時39分11秒 | 末路話
こんなに悲しいなら愛などいらぬ!@kirekoです。

>大晦日ドラ特番
新生ドラえもんになってから初めての大晦日ドラ特番!
毎年楽しみにしているドラ特番なので今回はどうなのかなと
ちょいと見てみる事にしました。

―――結論、早くアニメ版ドラを打ち切るべきかなぁと。

正直、ドラえもんって自分の中では藤子F先生の漫画と言うより
アニメで育ってきた感があるんですよね。(F先生の漫画も好きですがw)

声が変わって違和感を感じるのは仕方ないと思うんですが
百歩譲っても許せないのは、リニューアル後の進化が見受けられないんですよね。

毎週ドラえもんを楽しみに見てた自分として言わせてもらうと
演出、脚本、作画、どれをとってもリニューアル前を超える話は
出てないと思います。

チープな脚本に安易な多彩カラー使用によるキャラたちの温かみの欠落
よい子の教科書発言や、見た目や知名度を意識しすぎた演出。

リニューアル後のスタッフ陣のプレッシャーはわかりますが
打ち破るはずの既成概念にお話全体が囚われている気がします。
既成概念のない所からお話を積み上げていくのが
アニメ版ドラえもんということを忘れてませんか?
独裁スイッチしかり、他の話しかり。

なんの起伏もない教科書みたいな話見てて面白いとか思いますかねえ…。

こんなに大晦日のドラ特番見てて虚しくなるのは、ファンとして
とっても残念ですわ。

藤子先生の言葉や、名作物語をリメイクして
まるで自分達がドラえもんの新たな代弁者とでも言いたそうな話作りは
もうやめてくれ、これ以上ドラえもんを汚さないでくれ。

映画のびたと恐竜リメイクと聞いたとき
本当の意味でドラえもんは終わったんだなと悟った。

好みなのかもしれないけど、やっぱ自分は好きじゃないなぁ。
まあ思い出には勝てないってことか・・・。


せめて安らかに打ち切ってくれ、スタッフ!


>で、今年も残り数時間

仕事納したぞー!。今年もお疲れ様でしためでたしめでたし・・・



仕事始めまで10時間をきったわけだが



ちくしょう!幸先からついてないぜ!!
ぶち殺すぞ店長ーーーーーッ!
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魏延ファイナルウォーズ

2005年12月30日 22時29分57秒 | 末路話
こうなったら斬って斬って斬りまくってやる!@kirekoです。

>ゴジラファイナルウォーズ
テレビ東京で年末特番みたいな感じでやってました。
初見だったんですが、いちおゴジラシリーズ最終章らしいので
見てみました。

前作の釈由美子が出てる奴も見てて怪獣少ないなとか思ってたんで
今回は怪獣大進撃ゴジラvs怪獣軍団と聞いていたので
ちょっぴり期待してました。

まあ出てくる出てくる
エビラとかグモンガとかキングシーサーとかアンギラスとか
出てくる怪獣が懐かしくて、ちょっと童心に戻ってテレビの前で
声上げてしまいました(思い出してみると恥ずかしい罠)

で、内容なんですが
のっけから前作の総理大臣だった中尾アキラ氏の乗るドリル戦艦が
なんと南極でゴジラと対面して戦艦の指揮とってます。

やっぱり最初から強いゴジラ、メーサー砲くらいじゃびくともしません。
でも、その時地震が起こってゴジラが氷山に閉じ込められちゃいます。

まてよ・・・ゴジラ口から放射能はどうした!?

という子供じみた突っ込みをしつつ、話は続いてゆくのですが


いきなりM機関とかいう人類のニュータイプばっか集めた
よくわからない組織の体操(演舞?)の時間

ちょwwwこれ怪獣映画だよね?wwww

で、いたるところで暴れる怪獣を倒すために
ドリル戦艦で海底の怪獣と戦うM機関の隊員たち・・・

でも指揮してる艦長が格闘家のドンフライって

しかもドンフライは最後まで生き残る重要人物なのうけた。


で、なんかよくわからんけど戦闘演舞パート2。
あ、あれこれ怪獣映画だよな・・?!
たしかに、俺も帰ってきたウルトラマンのMAT(地球防衛軍)の
マジで訓練で殺す気の隊員演習とか好きだけどさ…


そういう映画じゃないよね。

(なんでケインと松岡がタイマンでバトルかよくわからん)


で、ついにあちこちから怪獣出現の報告!
やった!ついに怪獣が街を破壊するときがーーっ!


あ、あれ・・・・

他の怪獣街破壊してるのに
グモンガ街こわしてねえ!


なんて平和主義な怪獣グモンガ!(ってか蟲?)


あーもうどうしよー地球たすかりませんよたすけてー
ってな具合でやってたら光に包まれて怪獣が消えていきます!
はい!X星人登場!(エビラだけ生身の人間の砲撃にやられてたのうけた)
そしてX星人の円盤が防衛軍の基地に集合していきます!
まさかインデペンデンスデイへのオマージュ?!とか
身震いしつつ、X星人はわりといい人だったよーへへってな感じで。


どうやら地球に遊星がぶつかるから僕達協力するよ!だとさ。(助けてアルマゲドーン)


でも死んだはずの国連議長が友好大使的な役割だったり
おかしなほど影響力を持ち始めたX星人達や
暴漢に襲われてナイフで怪我しても頑なに治療を断る立ち振る舞い(ちなみに暴漢役は佐野四郎!!)

会った人を覚えていないことや偶然採取した血液の違い
何かおかしいと思い始めた人々が、一つの答えを導きだす


      「こいつら人間じゃない!」


なかなか円谷チックなストーリーですね!
ウルトラセブンのロボット長官を彷彿とさせる円谷路線、これはキタか
と、そんなこんなで人類達が種明かしをし始めると
イキナリ偽議長が撃たれて、コピーロボットであることがばれてしまう!
立場の悪くなったX星人の代表が
「それは我々は平和のために・・・」
と弁解すると


いきなり横のX星人グラサンやろうがX星人代表に銃を撃って殺しちゃう!


え?今までの真綿で首を絞める侵略作戦の意味は?!


ちょwwwシナリオが不安定になってきたぞwww

その後、実力行使で防衛軍を圧倒するX星人たち。

残された希望は地下に隠されたドリル戦艦だけ!
どうする人類ーッ


はいはいゴジラゴジラ('A`)

南極でゴジラ復活させて怪獣軍団を蹴散らしてもらおう!
さすがご都合主義に弱いゴジラ。
もう、この辺から噛ませ犬vsゴジラという構図が出来上がり始めます。

余りにも強すぎるゴジラを出すのはいいんですが


平和主義グモンガが投げられて空にフェードアウトはどうかと。


出番これだけかよ!

もうこの辺からシナリオがグダグダしてきます

X星人の円盤に乗り込む防衛軍の人たち
でもやっぱり捕まります。

無敵かと思われたゴジラの前にも宇宙から大きな隕石がやってきます


ま さ か ス ペ ー ス ゴ ジ ラ ! ?



と喜んだのもつかの間、なんか妙にかっこ悪いメタルチックな怪獣が出てきました。はい残念。


そして始まる円盤内での松岡・ドンフライ組vsサングラス軍団
つーか、ドラマパートいらねえからかっこよくて獰猛な怪獣だせよと
もうテレビの前で一人前の批評家発言ですよ。

モスラも出てくるんですが
イキナリ成虫な上に、敵のチェーンソー怪獣にやられます
その後、敵の放った炎を拡散させてタックルで怪獣と共にフェードアウトします。


ちょwwwwモスラ出番少なすぎwwww


で、そろそろスパートかぁとおもって横たわるかっこ悪い宇宙怪獣。

はぁ、ここで終わりか・・・なんだかなぁ

・・・うん!?首が!?足が?!腕が!?


うはwwwwキングギドラきたwwwwwww


こういう演出待ってましたよ!
強すぎるカイザーギドラ!あの首によって違う高音と低音の鳴き声さえ
再現できてなかったのは痛かったけど
強い!今回もゴジラを越す強さで圧倒するかーーーっ!?



はい松岡の不思議なパワーでゴジラ復活。



どうみてもギドラ首折りです
     本当にありがとうございました


('A`)ミニラの出番もでたし。悪い意味で後味良い終わり方だなぁと思いつつ
テレビ消そうとした瞬間・・・


「これからが新しい戦いのはじまりだ!」


ちょwww松岡wwww
これファイナルウォーズww次回作ねえのにwwwwwww


次回「ハリウッド版ゴジラvs日本ゴジラ」お送りします。
またコケそうな匂いがぷんぷんするのでここまでにしときますよ。


>魏延が良い
最近、三国志蜀の武将魏延にはまってます。
皆さん横山光輝三国志17巻かってください
魏延の健気さと篤さが好きになります!おすすめ!
あと魏延の兵士の表情がまじいい!



今、将来の夢はと聞かれたら「魏延」と答えるkirekoでした。
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シナリオ【絶句】-2

2005年12月28日 20時19分13秒 | バイオハザード・OB・FILE『K』完結
AM1時32分 国道463号線 自衛隊検問

暗闇があたりを包み、空に浮かぶ月でさえ怪しげな雲に隠れ始めた。
そんな中、唯一の脱出経路を進む一台の黒いワゴンであったが
眼前に広がるのは妙に赤い光りを放ちながら回転するライト
検問らしきバリケードが幾つか見え、封鎖用のブロックが積み上げられている
そしてその前に立っていたのは、あたりに響く咆哮を撒き散らす化け物だった。

キューーィッ!キキ!

化け物の咆哮を聞いた瞬間、運転手の飛鳥は思わずブレーキを踏んでしまう。

「な、なんだよあれ!?」
「・・・早く逃げろ!!」
今までの出来事で多少の恐怖には抗体が出来ていた飛鳥達にも
目の前の余りに肥大化し人間の形をした化け物を見た瞬間、
二度とあってほしくない恐怖。その感覚をついぞ呼び覚ましてしまったのだ。


「オ゛ア"ア”―――――――ッ!!!」

再び化け物が咆哮をあげ、その大きすぎる腕らしき物を振り回すと
何か大きな物体がワゴンの手前の道路に、ドガンと鈍く大きな音を立てて
落ちてくる。

恐る恐る助手席にいた恵が、その物体を見ると
どうやら事切れてはいるが人間らしい。
迷彩服姿である事から、自衛隊の隊員だろうと思われる。
その男の肩には抉ったような大きな傷跡と何か鋭利なもので刺した傷が数箇所見える。しかしおびただしい血が迷彩服のあらゆる場所からこぼれている。
着地した拍子に道路の横へカラカラと音を立てながら隊員が被っていた緑色のヘルメットが転がっている。
手足はありえない方向へ曲がり、首はひしゃげて、顔は道路を引きずったように赤い血の跡を残し道路を下に向いている。


「・・・!」
「と、とにかく道を戻るぜ!」
余りの恐怖に言葉をなくした恵を横目に、ハンドルを思いっきりきって
アクセルを踏む飛鳥。

キュルキュルキュル!

その場でスピンするような動きをしながら後輪タイヤがすれる音を出し
排気口から白い煙を上げながらワゴンが物凄い勢いでUターンする。

「うおっ!」
「キャッ」
ワゴンの車内が急激にゆれ、同時に座ってる健二達の体も揺れ動く。

「・・・うっ!」
最後部の座席に居た賀居が車内の揺れでその場に倒れる。

「ぐっ・・おい飛鳥!もう少しゆっくり曲がれんのか!患者の傷に響くだろうが!」
とっさに倒れた賀居を支えると、運転席に向かって尾山が声をあげる。

「そ、それどころじゃねえっての!」
飛鳥がバックミラーを気にしつつ、向きの変わったワゴンのアクセルを思いっきり踏み、助手席の恵は助手席のバックミラーから化け物が動いているかどうか
しきりに見ている。

「・・・くそっ、ここにもか」
後部座席に居た五郎が、再び銃を組み立て始める。
その表情にさっきまでの余裕はない。


暗闇の国道を逆走するワゴン。
すでに検問から数百メートルは離れた場所に来たようだ。


ブゥゥゥン…

その時、後方からエンジン音と思われる爆音がワゴンの後方から迫ってくる。


「おい、あれは・・!?」
音に気づいた恵が、見続けていたミラー恵を見つめ、異変に気づく。


光だ、後方から二つの目のような光り方から車のライトと見受けられる。
だが後方からという事は、今まであのデカイ化け物が居た場所から来たと
言う事になる。


「まさか生存者が?」
後部座席から恵の声に気づいた健二が後ろを見て、迫るライトに気づく。
誰もが健二の推測を信じたいところだったが、目の前に起こる現実は
全員の願いを突き放すような結果でしかなかった。


「ア”ァ!マ”デァ!!」


闇夜に響く恐ろしい化け物の咆哮と共に、後ろからワゴンに迫るその車の全容が見える。

壊れたフロントガラスとへこんだボンネット、白と黒のラインと壊れた赤いパトランプから車種はパトカーと見える。その上にはさっきの化け物が悠然と乗っていているのだ。

化け物のその巨大な体が街灯に照らされ、
まるで点滅するように浮き出ては消えてゆく。
その光景はワゴンの九人を再び恐怖の坩堝へと落とすのに
それほど時間はかからなかった。


「え?!あれなんなのよー!」
「な、なんで追ってくるんだよー!」
健二と恵の異変に気づいた智弘と貴美子が化け物の存在に気づき、
パニック状態へ陥ってしまう。



「オ”ァア”ア”ア”ア”!!」

ワゴンと少しずつ距離を狭めるパトカーから再び化け物が咆哮をあげる!
化け物の胸からは何かぷらぷらと触手が下に出て伸びており、触手は
フロントガラスの中にある何かに刺さっているようだった。


ワゴンとの距離は、もう100mもない。


「お、おいスピードをあげろ!追いつかれてしまうぞ!」
尾山が後方から迫るパトカーを見て
少し動揺するように飛鳥に向けて言い放つ。

「んなこといったって!これが精一杯だよ!」
飛鳥の悲痛な叫びがワゴン中に響き渡る。
いつにもない必死さが表情を包む、額にはうっすらと汗が浮かんでいる。


ワゴンとパトカーの距離はもう50mを切り、化け物の全容が浮かんでくる。


「ご、五郎・・あれは!!」
尾山がパトカーの上に乗っている化け物を見ると、血相を変えて
五郎を呼びながら、パトカーのほうへ指を向ける。

「・・・そんな、ばかな!?」
五郎も尾山の指差した方向を見て、再び青ざめる。



――そこに居たのは自分達が交番で倒したはずの五郎の先輩だったからだ――



「・・・あの時倒したはずなのに、なぜ!?」

「まさかあの時のカーボレーン酸が化け物の遺伝子となんらかの結合を・・?」
五郎の信じられないと言った顔がさらに車内の恐怖を煽る。
何か考え事をしているのか、尾山はブツブツと親指の爪を噛みながら
口を動かしている。

「おい、もう後ろにいるぞ!」
助手席の恵がバックミラーを確認すると、もうすでに化け物のパトカーが
化け物の手の届く範囲まで近づいている。

「くっそおおおおお!」
必死でアクセルを踏む飛鳥だったが、メーターは速度の限界を示していて
これ以上の速度は出ない。


「ニ”グゥ!ェ!!イ”イ”イ”イ!!」


ブゥン!!ガシャーーン!


「うおっ!」
恐ろしい咆哮と共に化け物の肥大化した手がワゴンの後部座席横の車体を
思いっきり叩く!!
横にあった窓ガラスがばらばらに割れて、頑丈な車体が
まるでゼリーのようにグシャッとひしゃげる。

ワゴンがひとたびグワンと揺れると、化け物は少しバランスを崩したように
後方へ下がる。

「この・・・化け物め!」
恐ろしい勢いで飛び落ちるガラスを避けるように、
尾山が白衣を盾にガラスの破片をさえぎる。


「・・・ぐっ・・こんなときに・・」
賀居が傷ついた腹部を再び押さえ始める。
今の衝撃で傷が開いてしまったのか、苦悶の表情を浮かべる。


「尾山さん!賀居さんをこっちへ!」
周りの人間が慌てている中、賀居の苦しみようを見た綾香が声をあげる。

「そ、そうだな」
綾香に言われたとおり、前のシートを倒し
苦しんでいる賀居を前の座席へと滑らすように移動させる。


その時、また化け物のパトカーが近づき、後部のドアに一撃を加える。


ブゥン!ズガァァン!ガシャン!


「ぐっ!」
殴りつけられた衝撃でバックドアのガラスが吹き飛ぶと、
かがむように避ける五郎と尾山。

カチャン・・・

「くそっ!」
五郎が銃を構え、ガラスが無くなったバックドアのへりに銃を置き安定させ
化け物に向けてフルオート射撃をする!


ズガガガガッ!ガガガッ!


「アア”ア・・・アアアアア!!!」


弾は化け物の頭から右胸にかけて当たるが、まったく利いている様子がない。

のけぞることなく、さらに近づいてくるパトカーから、
また一発バックドアめがけて化け物の手が飛んでくる。


ズガン!ズガッ!ガランガランガラン・・・


恐ろしい破壊力に耐え切れなかったのか
えぐれるようにバックドアが外の道路へと吹き飛ぶ。
車内に外の空気が勢い良く飛びこんでくると
五郎が再びマガジンを取替え、銃を放つ!

ドガガッドガガガガッ!!

「くそっ!なんて奴だ!」
しかし、何処に当てても、化け物には傷一つつけられず利いていない。

「も、もう一回こられたらやばいぜ!」
運転席で飛鳥が悲鳴にも似た声を上げる。
たしかに車体全体が衝撃のせいで微妙な揺れを起こしている。
次の一撃でエンジンがストップしてしまうかもしれない。

「尾山さん!さっきアイツを倒したとか言ってたけど!何かあいつを止めれる方法ないの!?」
痺れを切らした綾香が後部座席に体ごと移動する。

「利くかどうか・・・わからんが」
尾山はジュラルミンケースを開けると一つ液体が入ったガラス瓶を出す。

「これは・・?」
綾香が尾山からガラス瓶をもらうと、その瞬間
また後方からパトカーと化け物が追いついてくる。

「い、いいからなげろ!」

「わかったわ!」
尾山の声が聞こえるや否や、化け物めがけて
ビンを投げる綾香。

ガツッガシャン!・・・シュー

ビンは化け物の胸部分に当たり妙な煙を上げている。

「ギャアアアアオォアオオオアオオオオ”!!!」

化け物の叫びと共に、少しづつ化け物が乗ったパトカーの速度が下がっていく。


シュルシュル!

だがその時、化け物の胸から触手のような何かがワゴン車内に進入するように
こちらに向かってくる。


「な、なに!?」

「!」

ガンッ!

綾香が触手に気づくと、それを見た五郎が銃のグリップ部分で触手を思いっきり叩いた。

触手は進行速度を弱めたが、まだ一本の触手が近づいてくる。

シュルシュル・・


「智弘!バーナーこっちに頂戴!」

「あ、あいよう」
綾香の声と共に智弘が持っていたバーナーを綾香に手渡す。


シュルシュル!

鋭利な刃物のようにとがった触手が綾香の眼前めがけて飛んでくる。


「こんのぉぉぉおおお!」
綾香が迫り来る触手に向けてバーナーを放つ!


カチッ・・・ボォォォォォォ!


800度を超えるバーナーの炎が触手を焼き払い
まるで導火線のように化け物の方向へ炎を進め
焼き焦げた触手は道路にボタボタと力なく落ちてゆく。


「や、やったわ!」
綾香が歓喜の表情を浮かべると減速を続けていた化け物のパトカーが
後方で炎上する。



バチバチ・・バチバチ・・


音を立てて闇夜に消えるパトカーを見て
五郎と尾山以外の全員が安堵の表情を浮かべる。




「やった・・んですかね」

「あれで終わったとは思えんが・・・」





五郎と尾山の言葉と怪訝そうな表情が車内の歓喜の声に紛れた。

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スプラッター鍋ハウス

2005年12月27日 16時01分07秒 | 末路話
ほんとうの恐ろしさはアルコールが入ってからだった@kirekoです。

>自宅闇鍋パーティ
26日に名古屋からRO友人のせびんとD議長が来るというので
居酒屋を予約しようとしたら、居酒屋からの電話で断られたため
とりあえずkireko亭で鍋パーティをしようとする流れになりました。


居酒屋予約断る電話きてから30分くらいで決まった流れだったが


なあに策よ。

>当日にメール
日付が26日に変わって明日のバイトのためにすでに就寝状態であった
kirekoの携帯にコマンダー氏から予測していなかったメールが入る。

「ナルカミとおやまを誘え、でなければ打ち首じゃ」

ちょwwwwおまwwww当日に誘うのかよwwwwおKwww

みwなwぎwっwてwきwたw


だがそこは俺もギリギリまでメール送信を粘る『メンドクサイの伝道者』
として、バイト終わった13時くらいにメールを送る。


うはwwww開幕18時なのにwww残り時間賞味5時間www


ナルカミとおやまの同時の「唐突だなwwあるあるwwwねーよ」メールを
受け取りながら着々と部屋の準備を進めるkireko。

「コタツも出した、コンロも買った、鍋も買った。これで準備万端だな…うん?


やべwwww漫画とか床掃除とかしてねwwwww」



これはなんとかせねばと思い、次々に漫画を一角に追いやっていくkireko。
その膨大な数の漫画を畳み掛けて積んでゆくと



いつの間にかそこには漫画だけの巨大なタワーが


後で皆が来たときに「必死だなwww」って言われたけどあながち嘘じゃない。


>で時計も四時に回りまして
コタツを出した事に少し安心してしまったのか、朝バイトに行くため
起きた時間からすでに12時間たとうとしていると、やはり怒涛の睡眠欲
が出てくるわけで。

「フワア・・・眠くなってきたな・・」

しかしそこでkirekoは思い出したようにあることに気づく。



やべギゴロ何時何処に集合か教えてねえかもwww



とりあえず議長に必死でメールするkireko、残り1時間に迫った時刻に
この体たらくwwwもうしわけないwwwww



まあ議長とせびんが事前に教えてくれてたらしくどうやらギゴロは
時刻も集合場所も知っていたようで良かった。


ふわあ眠いなぁ。




>で駅集合なわけですが
ナルカミの「遅れる」メールでコタツから跳ね起きたkirekoは、その後議長から


「あと十分でつきます」


といわれ背筋が凍り、急いで駅に向かう準備をし、家を飛び出ると。



やばwww外さむwwwwww


よく見ると俺中一枚だけの上下ジャージじゃん、ヤバ風邪ひくwwww



で、まあkire、コマ、せびん、議長、ギゴロが揃ったので
とりあえず鍋の材料集めのために近くのスーパーへ。


>材料集めINスーパー

各自スーパー内を散策し、材料集めをする。

■kirekoが記憶してある全員が購入した材料

・白菜四分の一カット
・ネギ三本
・ぶた肉(誰も肉コーナー行かないのに、ギゴロ太閤だけが速攻肉コーナーいってるのが流石太閤殿下だった)
・ハム2パック
・タラ
・冷凍コロッケ(まじセレクトしたコマンダーいい加減にしろ!)
・焼きおにぎり(言ってるあいだに議長ーーーーッ!?)
・まいたけ
・しめじ
・栗甘煮(ちょwwwせびんww)
・せんべえ(太閤ーーーーッ!!)
・ダイコン
・もち
・etc(記憶がない)
・大量のアルコール

とりあえずネタ材料ばっか集めるといっていた自分が無難な材料で申し訳ない。

>鍋調理
自宅へ上がると、とりあえずコンロの組み立てと調理班に別れる。
議長が調理長になったので、せびんをサポートにまわし
トークをしながら調理する全員。
自分の家の台所に他人が立つのが結構斬新だったわ(´゜c_,゜` )
議長には調理まかしちゃって申し訳ない、今度はコマンダーにやらせます('A`)

>鍋開始
さすがはD議長。鍋も美味しそうに出来上がるではないか。
野菜が煮えてきて、ふたをとると真っ白な湯気と共に
あたりにうまそうな匂いが振りまかれると
肉や魚などのすぐ煮えるものをぶちこんでいく。


だが、ここで議長が乱心。いきなり焼きおにぎりが投入される!

D議長「うわっはっは!てめえらにこの焼きおにぎりが討てるかよ!」
全員「な、なんという奴じゃ」

D議長が呂布になりつつあったときに、ナイスタイミングで玄関のドアがガタガタとゆれる。

ki「誰じゃ、このような夜更けにドアを叩くのは」

鍵をあけ、ドアをあけるとそこに居たのはナルカミとおやまだった。

おまえらバイオOBで開かないドアぶっ壊すかかりかよwwww

「イナッフ!」
「ハーイ!」

こうして鍋PTによりテンションの高い二人が投入されたが



彼らが見た鍋には議長の投入した焼きおにぎりの姿が!


「ンフ・・?(何か見つけたか?)」
「ネバー(だめだわ)」

だがこれでテンションが下がるような事はなかったのである。(しかも焼きおにぎりはうまかったらしいwwww)

その後、アルコールが投入され再びカンパイする我々であったが
我々が飲むスピードに議長が挑発され、議長第二形態が爆発していくのであった。

あの時はわからなかったが、今思うと議長が飲み始めた瞬間の
せびんの不安そうな顔が目に浮かんだ。

そしてギゴロ太閤がアルコールデビュー

アルコール飲んで初めての発言

「あーなんか、体が熱くなってきた」

ちょwwwwやばすwwwww

だがタヌキと化したおやまがさらに挑発をした結果


なぜかナルカミがアルコールに撃沈。


(´゜c_,゜` )あれほど酒に飲まれるなと言うたのに愚かな奴よ。


てなわけでウェザーガールズのハレルヤハリケーンに始まり
熱いジブリ(マニアックキャラ物真似)トークに全員のテンションゲージがMAXへ。
最後鍋に投入したモチが放置しすぎて白いオロシダイコン鍋のようになってるのがうけたwww

あまりに面白すぎて明日バイトだというギゴロ太閤の終電時間を余裕で通り過ぎる
馬鹿ども。まったく迷惑な奴らだ(´゜c_,゜` )きりすてい!


>そして解散へ
すでに日にちも変わり、せびん達の終電がなくなるのはまずいと思ったので
(本当は全員のテンションもマックスになりつつあった勢いを止めるため)
駅へと向かう全員。



おい!どうみてもD議長が千鳥足だぞというツッコミはコマンダーたちに任せた。



そして前列三人のせびん、おやま、kirekoは
またしてもアルコールの入ったタヌキスーツおやまのエロ引き出し全開の
エロ誘引にせびんとkirekoがひっかかり、なんかもうとりあえず


せびん「もう俺ファミマでかってくわwwwww」


この台詞にはまじふいた。


>総括
■せびん
とにかく終始ハイテンションでよかった、最後のぶっちゃけトークは忘れんぞ。
次は名古屋であおうぜ。まあ議長と仲良く頑張って(´゜c_,゜` )

■D議長
全員のテンションが高かったので良かったです。アルコールはホドホドにね★('・c_,・` )

■ギゴロ太閤
やはり夏のOFF以来、太閤殿下は衰えてはいなかった。まさに殿下はテンションゲージを上げる男よのう。

■ナルカミ、おやま
よく来てくれた。唐突だったが、おぬし達の活躍は忘れない。
いい意味でよく場を転がしてくれたよ。でもきりすてい!ヽ(゜∀゜)ノ

■コマンダー
とりあえずちゃんと人の目を見てはなせよwwwwww
あと変な文句とフォロー頼んでばっかいってごめんwwwwww
今度おごるわwwwww


プラモとか。


■kireko
おい、翌日起きたら喉がいてえぞ。しかも体がだるい・・これは・・・


アアアアアアア・・。
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シナリオ【絶句】-1

2005年12月23日 19時31分26秒 | バイオハザード・OB・FILE『K』完結
AM0時53分 ガソリンスタンド給油機材前

巨大な爬虫類の化け物の屍骸がひどい腐臭を放ちながら洗車機と共に燃えている。
いつの間にか慣れてしまった普通の世界では感じる事の出来ない異臭。
八人の行き着く先々で確実に襲ってくる化け物の恐怖。
かすかな希望と圧倒的な絶望を感じながら、八人の中には
いつの間にか、何とも言えない連帯感が生まれていた。

尾山と綾香と五郎と恵がスタンド給油機前にたたずんでいる。

「・・・あと一匹いるはずだ」
五郎はキョロキョロと目を盛んに動かしている。
室内料金所で賀居を襲ったトカゲの化け物が万が一生きていたらと考えると
まだ気は抜けない。
さっき撃った時の反動で未だ震える指が
銃のセーフティレバーに手をかけたまま、
五郎はガソリンを取りに行った四人の帰りを待っている。

五郎の手には飛鳥から受け取ったHKG3。ライトに当たり
まるで本物の銃であるかのような鈍い光沢を放っている。
まだ銃の弾倉には少量だが弾が入っているようだ。
五郎のポケットにはマガジンが一個入っている。


「もってきたよー!」
ガソリンスタンドの奥から人影がスタスタと走ってくるのが見える。
スタンドのバックライトに当たると顔がうっすらだが見えはじめる
・・・声の感じからして、どうやら貴美子のようだ。
手にはポリタンクがゆらゆらと腕の運動と共にゆれている。
男性でも重く感じるそのガソリン入りのポリタンクを軽々と持ち上げ
驚くべき速さでこちらに向かってくる。

「ちょっ、ちょっとまってくださいよ」

「あの人・・力ありすぎ・・」
後ろから智弘と健二がポリタンクを一つずつ持ってこちらへ歩いてくる。
しかし貴美子のように軽々とは持てない様子で、引きずり気味に早歩き程度の
速度でこちらへ向かってくる。

「はぁはぁ、あの女化け物かよ・・」
飛鳥がその後ろからポリタンクを押すようにして追いかけてくる。
タンクの重さに少々息切れしながら、前列を走る貴美子が軽々と担いでいるのが
不思議でたまらないといった表情を浮かべる。


「これで、ガソリンは手に入ったわけだ」

「・・・なんとかなりましたね」

「早く車へ急ぐんじゃ、いつあの化け物が出るともかぎらんしのう」

「そうね、急ぎましょう」

「急ぐって言ったって、これ車の所までもっていくのに一苦労だよ」

「またこれ持ってくんですか・・・トホホ」

「智弘クン、泣き言いってると化け物に襲われちゃうよ?」

「へっ、チョロイチョロイ。化け物ぐらい俺がやっつけてやるよ」

八人が合流すると、それぞれ声を上げて言う。
ガソリンを手にしたことと、自分達で化け物を倒したこと
その事実が彼らを勇気付けているのだろうか
彼らの口ぶりからは、随分と余裕を感じさせる。


全員の足がスタンド前道路へと向かう瞬間、その時だった。


ドガァァン!ガン!ガンガラ・・


後ろの室内料金所のドアが大きな音を立てて破られる。



「ギャッ・・ギャッ・・」
壊されたドアの中から不気味な声が聞こえると
さっき見たあのトカゲの化け物に良く似た影が入り口に立っていた。
影はゆらっと前に歩きだすと健二達の方向に向かって走ってくる。


「お、俺のせいじゃないぜ!」

「クッ!」
さっきまで冗談を言っていた飛鳥が血相を変えて道路側に逃げ出そうとすると
五郎が銃のセーフティを解放し、トリガーに手をかける。


ドォン!ドン!


「ギャャッ!ギャギャ・・」
銃声がガソリンスタンド内に響き渡り、
化け物は断末魔の声を上げその場に倒れる。
緑色の腐った皮膚と血液と思われる液体が、その場にだらしなく広がっていく。
どうやら化け物は死んだようだ。
化け物の顔面から即頭部にかけて二発の弾痕が残っている。

「・・・?」
五郎が不思議そうにトリガーを確認する、自分の指は
まだ銃のトリガーに触れていない。
つまり撃ったのは自分じゃないのだ。

五郎が不思議そうに料金所のドアを見たその時
ドアの近くにドアを支えていた柱にもたれかかるようにしている人影が見える。

「あれは・・・人か?」

「まさか・・」
恵が指を指すと同時に五郎が化け物の屍骸を飛び越えて
室内料金所の人影に向かっていた。



「ッ・・よ、よお、生きてたか」
室内料金所のドア柱にもたれかかっていた影が口を開く。

・・・賀居だ。
賀居は片手で腹部を押さえ、自慢の銃を握り力が入らないのか腕をだらんと下へ
たらしている。

「賀居さん!」
五郎が満面の笑みを浮かべると、賀居はその場に崩れるように座り込んだ。
座り込んだ勢いで賀居のスーツの袖口から床に少量の血が流れる。


「・・うっ・・怪我を?!尾山さん!」

五郎は尾山を呼ぶと、他の六人も集まってきた。

「傷は浅いが・・こりゃいかんな、とにかく車まで運ぶんだ」
尾山はガソリンを抱えると道路に向かって歩き出した。
五郎は賀居をおぶさると、尾山の後に続いた。

AM1時21分 山道前道路 ワゴン車内

キーを挿しくるっとまわすとエンジン音がキュルキュルとうなる。
ガソリンを補充したワゴンは息を吹き返したようにアイドリングを始めた。
運転席には尾山と変わって飛鳥、助手席には恵が座っている。
後部座席前列には健二と智弘、綾香と貴美子が座っている。
後列には五郎と、応急処置を終えた尾山が賀居の容態を見ながら座っている。

「う・・くっ・・」
アイドリングの振動が傷に響くのか、賀居がうめき声をあげる。

「大した体じゃよ、普通なら意識を失うほどの激痛が伴う処置なんだが」
処置を終えた尾山が声をあげる。

「アメリカじゃ・・怪我なんて日常茶飯事だったからな・・」
少しうつむいた感じで尾山の問いかけに答える賀居。
修羅場をくぐってきた鍛えられた体と
鉄の意志力は彼の強さを確固たるものとしていた。

「おい尾山さんよ、終わったなら早速自衛隊の補給基地へ向かうぜ」
運転席の飛鳥が尾山に問いかけると、アクセルをゆっくりと踏み出す。

・・・ブゥゥゥン

ゆっくりとスピードを上げて走り出すワゴン。


道路を走ると、さっきまで居たガソリンスタンドが窓からみえる。
煌々としたライトがまだつき、めらめらと洗車機近くで炎が見える。

「・・・」
バックミラーでスタンドを見ている飛鳥。
少し寂しそうな表情を浮かべ、いつもの調子はどこへやらといったような寡黙さをうかがわせる。

長い沈黙が車の中を占領していた。


――十分後――

道は国道に入り、尾山の言っていた
自衛隊の補給基地まであと1時間といったところだろうか。

「そういえば、貴美子さんって昔何かやってたの?」
綾香が重い沈黙を破るように声をあげる。

「んんー?なんで?」
急に綾香に話しかけられたので少々驚きながら、質問がまったく疑問だったので
質問で返す貴美子。

「あんな重いガソリンの入ったポリタンクを持ちながら、どうしてあんなに走れるのかなーって思って」

「あー、あれねぇ。私タレントになる前は国体の選手だったのよね~。これでも国体選手の中では1,2を争う速さだったのよねー」

「へえ・・意外や意外ね・・」
それを聞いたとたん綾香をはじめ、健二や智弘まで表情が
変わり驚きの色を隠せないでいる。

「それに実家が漁師でねー、よく漁も手伝ってたから・・あんな重さのタンクくらいじゃへこたれないわよ!」
健二と智弘へ目配せをするように視線を浴びせる。
少しばつが悪い感じで、そっぽを向き窓の外を見る健二と智弘。

「まっ、そこらの頼りない男ドモよりは強いわよ」

「ええ・・そうね、ハハハ」

健二と智弘はさらにばつが悪そうに食い入るように窓の景色を見ている。

窓の外には道路の明かりとはまた別のスポットライトのような強い光りが見える。

「なんだあれ・・?赤いラントがくるくる回ってるけど・・検問か?」

「尾山さん家のテレビで見たけど・・・あれが自衛隊の検問じゃないの?」

健二がライトの赤さに少し疑問を持っているが、綾香の言葉にたしかにと頷く。


「・・け、検問?・・まてあのライトの色は・・」
後部座席で賀居が体を起こし赤く光るライトを見ながら辛そうな声をあげる。

「何かあんのか・・?」
賀居の声に反応した飛鳥がアクセルを踏むのをやめ、ゆるいブレーキをかける。



だんだんライトとの距離が近くなっていく。
するとうっすらとだが、人影が車のライトに映る。
影が動く気配はない。

「・・・?!」
賀居が目を凝らして人影を良く見ると、みるみるうちに表情が青ざめていく。


「車をUターンさせて・・・に、にげるんだ」

「・・なんで?」
賀居が飛鳥に苦しそうな声で言い放つ。
まだ飛鳥には現状がわかっていなかった。


「は、はやくにげろ!!」
賀居の声が車内中に響くと、検問のライトにあまりに大きすぎる人影が見えた。







「ア”!ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア!!」











そこに居たのは人間にしては大きすぎる腕足胸部が異常に肥大化した化け物だった。

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それゆえあんたは冷たくなった

2005年12月20日 20時24分26秒 | 末路話
手紙はたしかに受け取ったー!@kirekoです

>時はまさに世紀末ー
高校時代の連中と飲み会にいってまいりました。
ここでメンバーの戦闘力を三国志風数値で表すと・・・

皇帝M 統率 100 武力65 知力80 駆け引きD 野心D 剛胆 
猛将O 統率 56 武力87 知力3 駆け引きE 野心A 猪突
知将K 統率 67 武力73 知力65 駆け引きC 野心C 冷静
謀臣H 統率 71 武力7 知力86 駆け引きS 野心S 謀略
識者K 統率 17 武力13 知力76 駆け引きF 野心F 冷静
文官E 統率 30 武力46 知力75 駆け引きA 野心S 叛骨

てな感じです。(誰が誰かはご想像にお任せいたしまする)

====飲み会まで流れを横山光輝三国志風に曲解===

集合時間は19時だったのにもかかわらず、文官Eと識者Kの誘引の策で
18時に来てしまった猛将O。すでに士気の上がるEKと合流すると
識者Kが携帯電話の電池が無いので充電しようと暴打フォンショップを探す。

O「駅の反対側に暴打があるぞ」
K「では、いきましょう」
E「アッ(拙者が思うにあっちには英雄ショップしかなかったような)」

極寒の中歩くOKE連合軍は駅の裏手に回るが、Eが考えていた通り
すでにそこには英雄ショップの軍勢が先回りしていた。

O「げえっー!ここにも英雄軍!しまった謀られたか」
K「このままでは家へ電話することもできませぬ、どうすれば」
E「やはり英雄軍はここにも・・・将軍どういたしまする」
O「今更じたばたしても仕方ないわ!とにかく血路を開いて暴打を探せ!」

猛将Oの決死の働きで、駅伝いにある暴打ショップへと逃げ込んだKOE軍。
しかし寒さに襲われていたOの兵(テンション)の被害はさんさんたるありさまであった。(しかも今までいた場所の近くにボーダフォンショップあるとか、まじきれそうだった)

その後、文官EによるPSP捜索を終えて
皇帝Mと謀臣H率いる軍と合流。
その後、遅刻王の名高い知将Kが時間通りに来たので
早速、目的地居酒屋へと向かう軍。

その途中、皇帝Mの激励(クオリティの高さ)によって士気を取り戻した兵たちは
意気盛んに居酒屋を目指した。

居酒屋へ入ると、すでに兵糧(お通し)が配られ酒宴の用意がされていた。

M「さあさあ、存分にのめくえ」
O「ははーっでは陛下にカンパイの音頭を」
M「それが貴様らの最後の食事となろう」
K「ゴクン」
E「ブーッ」
M「なあに策よ、さあさあ酒宴のはじまりじゃ」
一同「ではカンパイー!」

E「陛下!余り呑みすぎますると!」
M「朕はまだ若い、サワーくらいで・・・グアアアア」
H「こりゃもうだめだウーロン茶ください」

O「で、倉庫の女の子とはどうなったK」
K「ぬううてめえうらぎったな、たたッ斬ってやる」
H「おめえストレートだよ」
O「す、すいませんつい」

K「・・・」

楽しいぶっちゃけ話の飛び交う酒宴の続く中、ここで事件が起こる。

謀臣H「どうじゃ、これが識者Kの天敵のうちの蛮犬じゃ」
知将K「増えてね?」

写真にうつっていたのは見覚えのある犬が一匹と子犬が一匹。
ちなみに謀臣Hの飼ってる犬は蛮犬♀一匹だと全員思っていた。


謀臣H「そう言っても生まれたのだから仕方あるまい」

知将K「種は?」



一同「ブーッ!」


猛将O「た、たねと申しても・・ヒッヒッだめじゃわらいがとまらぬ」
文官E「わるぶんな!」
皇帝M「こやつ許せん!酒席で種ともうしたか、クビをはねい!」
識者K「ギガワロスwwww」

しかし酒が回っていたのもあったので
知将Kのいつもは見れない『脳内のおげれつ引き出し』が
開きっぱなしで知将Kの言葉の勢いは止まらなかった。

謀臣H「種ってどういうことでござるか」

知将K「いやだから四つん這いとかさ」

一同再び「ブーッ!」

猛将O「だれが行為のはなしをしろといった!」
知将K「いや、だから動物って四つん這いじゃん」
皇帝M「もう許せん!こやつの口をどうにかいたせ!」
謀臣H「だめだブレーキが壊れている」
文官E「なるほど大都督は理論派でございますな!」
識者K「テラワロスwwww」

知将Kの反乱によって酒宴は盛り上がった、だが皇帝Mと識者Kがアルコール
の軍勢にやられ戦闘不能になったため居酒屋を離れ駅へと向かったが、
皇帝Mの居なくなったとたん、瓦解していく軍。

支柱を失うと必ず内部分裂が始まる例は数多くある。
我々もその例外ではなかった。

こうして居酒屋の戦いは終わり、みな自分の帰る家に帰ったのであった
後に残ったのは皇帝Mのクオリティの高さと、知将Kの新しく発見されたエロ言語
引き出しだけであった。

=====終了=====

>総評
Mのクオリティの高さにまじうけた。
あと「ゆうきまさみの話から四つん這い」が出てくるKの引き出しは
まじクオリティ高かったので、今度いろんなひとにばらしておく
ありがたく思えヽ(゜∀゜)ノ
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イッツレイニィメーンフォーゥ!エイメーン!

2005年12月19日 00時08分20秒 | 末路話
限界突破はまだ早い@kirekoです。

>飯
K氏とE氏と共に飯食う予定たてて行ったんですが
最初は食べ放題のつもりがK氏が銃弾に撃たれて名誉の戦死をなされましたので
E氏と飯屋に行ってきました。二人っきりで。

で、去年のクリスマスの日に二人で行った飯屋に約一年ぶりにいって
E氏と飯食いながら明日の飲み会の作戦立ててました。

去年は瓶ビールを注いでやっていたE氏にこの俺が水を注がれた!!
クッ!このお返しは必ずするぞE!

てなわけで今日の一連の行動をわかりやすくしてみた。

⇒12時集合E合流

⇒11時からまってたEクオリティタカスwwwつかバカスwwww

⇒まだKきてないなぁ

⇒メールしたけど返事ねえな?しかたねえ電話しろよ

⇒携帯留守番電話

⇒ちょwwwwwこれはいたずらするしかなくねwwww

⇒E氏がデパ内部で声を張り上げてイタズラ伝言

⇒さ、さむい、外は嫌いじゃ

⇒一時になったので寒いし腹も減ったしなどなどで飯屋へ

⇒飯屋のレベル下がってなくて驚いたwwwwジャンボ焼きっていうメニュー頼んだけど、どうみても煮物なのはうけたwwww

⇒「ハレルヤハリケーンうまくなりたくね?」「イェス!」

⇒飯後カラオケへ

⇒カラオケ三時間スタート









⇒初っ端6曲くらいハレルヤハリケーン


⇒ちょwwwノドいてwww

⇒怒涛の練習曲連打予約!!moveの歌いれるとほとんど頭文字Dの台詞なのうけた

⇒マイク使って適当に相手の歌を無双キャラの台詞を使って邪魔する

⇒おい、@30分くらいだな

⇒OK、把握した




⇒ハレルヤハリケーンMAX予約!!!


⇒「おいおいだんだん俺らうまくなってね?!」「だよな!!!」

⇒「でもこの歌どっかに「フォー!」って叫ぶとこあるよな」

⇒そんな勢いのままカラオケ終了

⇒本家ウェザーガールズのハレルヤハリケーンをE氏のMP3で聞く

⇒イヤホン一つづつお互いの耳につけて歩くとかちょwwwおまwww

⇒「ここ4分6秒くらいだな、この後くらいにフォーがある」←聞き過ぎて秒数で覚えてる奴

⇒「イッツレイニィメーン(フォー!)」「キタぞキタぞ!」

⇒「まあ謎も解けたし解散しようぜ」「じゃあ明日な」


こんな感じでした('A`)

とりあえずハレルヤハリケーン初ハモリは出来たので満足した。
だがフォーを言うのは俺の役目だE!!!!!!
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震えてるのかい?そいつは武者震いだろ

2005年12月17日 13時59分50秒 | 末路話
自信という名のスーツは大層丈夫なつくりだから@kirekoです。

>ハレルヤハリケーン知名度アップ作戦
とりあえず周囲の連中を連れてカラオケにいき
ハレルヤハリケーン教えてきました。

歌った時点ではハレルヤハリケーンの知名度は0だったんですが
ハレルヤハリケーンを3時間でどこまで覚えられるか勝負をしました
空気をぶったぎってバンプとか歌って流れを変えようとしたら

歌予約のところが10曲中8曲がハレルヤハリケーン!

お、おまえらまてうわあああヽ(゜∀゜)ノハレルヤー!←乗っちゃう人





そのような愚計を用いた結果・・・

カラオケ3時間中2時間ハレルヤハリケーン!



全員、理屈ぬきでうまくなりましたとさ。
イントロの英語だけ誰も出来てないのうけた。

>その理屈はおかしい
カラオケでマイナーな曲いれるだろ。知名度低いから、シーンとするだろ
バラードとかしっとり系選ぶとと、また、シーンとするだろ
シーンとしたあとは、バンプを歌うだろ
終わるころには尾崎豊の卒業で盛り上がってるだろ
これじゃ、平井賢のポップスターとサザンのエロイ歌真似ができないのもあたりまえだ

いや、カラオケでその流れはおかしい孔明の罠じゃジャーンジャーン!










延長おねがいしまーす。












ぜんぜん関係ないけど尾崎のアルバム曲とか、
マッキーのアルバム曲の君の自転車とか入れたら知ってる人いてびびったわ。
ヽ(゜∀゜)ノやっぱマッキー最高!
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願わくば高波よ悪魔となれ

2005年12月14日 21時10分30秒 | 末路話
たやすく人一人を値踏みしやがって@kirekoです。

>イッツレィニィメーン!ハレルヤ!
ハレルヤハリケーンの知名度を上げるために
忘年会の二次会で歌ってきます。テンション下がるか上がるかは神のみぞ知る!
まあカラオケで上手く歌えるように今特訓してます。
忘年会で歌ったら余りの知名度の低さで完全に一人ぼっちになりそうな曲ですが
そこはご自慢のノリと動きでどうにかします!

てか歌詞に無いアドリブ台詞が多すぎだよウェザーガールズ!!


>ゴッブレスマザーネイチャー
最近バイト先の店長の趣味かなんだか知らないけど
オープンするときの有線でBGM流してるんですが


ユーロビートチャンネル


なんです。これは注意したほうがいいですかね?



なにせ流れてくる曲の半分がユーロビートじゃないボサノバ系ミュージックなんですよオキャクサン。

これはもうだめだろwwwww


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ALWAYS 三丁目の夕日

2005年12月13日 19時35分00秒 | 末路話
不覚にも映画館でボロ泣きしてしまった@kirekoです。


>ALWAYS三丁目の夕日
日曜日に池袋で友人E氏を誘い見てきました。

映画を見るきっかけとなったのは、知人の薦めだったのですが
笑いと泣かせるシーンが結構あるとの事で
人前で泣くのは恥ずかしいので『絶対泣かない決心』をして映画館に向かい
1500円のチケットを買い、上映まで時間があったのでE氏と

ゲーセンでマリオカート

やってました。ドンキー最高!ドリフト難しいけどね!



まあその後、ガンゲーのコブラ見て「サイコガンのチャージショットを原作どうりに壁に隠れながら撃てるようにしてほしい」などと駄弁りながら、時間になり映画館に着きました。




席についてポップコーン買ってSサイズなのに多すぎる量に驚きつつ
E氏と鑑賞してました。



―――で結論的には、不覚にも号泣してしまいました。



見終わった瞬間、笑いと涙でクシャクシャになった自分の顔を
泣いてなかったE氏に見られるのが少し気恥ずかしくて、
冗談を交えつつ帰りの会話してました。

前から大作大作と言われてる映画を見て結構見終わった後「損した」って
気分にならされてる事の多い昨今の邦画の中では
久々に「金払って見てよかった」と思える価値は十分にありました。

正直、映画見に行く前に監督脚本がジュブナイルの監督だったので
どうせCG過多になって肝心の内容はサッパリかなぁ?
なんて感じであんま期待せずに見に行ったのですが

いい意味で裏切ってくれる圧倒的な舞台背景。
CGを駆使したとは思えないほどの『人が生きているような』ぬくもりを感じさせる町の雰囲気、人の動き。
自分が見たことも触ったこともないはずなのにヒシヒシと伝わるノスタルジイ。

その背景で動く役者さん達の生き生きとしたリアリティの感じる演技。
いやむしろ役者さん達の演技が上手いので、背景すらも演技にいい感じに
飲み込まれている感が凄くいいですね。

実際、ストーリーは結構シンプルなんですよ。
音楽もそれほど多くないですしね。メインテーマの音楽が良過ぎですが。
まあ、そのシンプルさ故に、映画の中にのめりこみやすくて
いつも映画を見るときの視点が監督気分で見ている自分が
この映画を見ていると、いつの間にか素に戻ってしまうところが不思議です。
物語の中の人達の何かに引き込まれているんでしょうなぁ・・・

昭和という一つの時代を築いた、親や祖父母達の時代を
今、昭和の最後期に生まれた自分達が見て感動する。
こんな世代を超えて広がる映画は、他には無いと思いました。

どの世代でも感動できる、いい映画を見ました。
見た人も、これから見る人も友人や恋人を誘って見にいってください
きっと心が暖かくなります。

この映画、流す涙がとっても気持ちいいです。

■ALWAYS 三丁目の夕日 公式
ttp://www.always3.jp/index.html




ただ一言!主題歌が最後流れるけど興ざめだ!
最後のキャストのところメインテーマ流してくれれば最高だったのに!


>で
E氏と横山光輝三国志キャラトークをしつつ
池袋から夜風がすげー寒い中歩いて飲み屋までいきました。

ちょwwwww雪ふってるんですけどwwww


で、M駅の前で居酒屋を探すも、これがぜんぜん無い!

「さ、さむい」
「頑張れ!この先にはワラワラがあるはずじゃ、それを叩き落して好きなだけ暖をとれ」
「ワラワラ!ワタミでもな、なんでもいいこの寒さが凌げるなら」
「さあ行け!暖かいホッケと鍋料理が待っておるぞ!」

後世の歴史家はこの曹操の兵法を(ry

てな感じで隣駅のT駅についたんですが


赤い看板だらけで肝心のワラワラがない!!


まじ駅周辺探しても何処にもなくて少々焦りました
そのまま極寒の中をまた歩き続ける二人。
うけるのが歩いてる時に映画の感想じゃなくて、なぜか三国志トークなのが
さすが俺達クオリティ。(夜中に「ぬううてめえ」とか「もう目通りは許さん!ドンドン!」とか周囲の人たちの目も気にせずにやるのがさらにヨロシイ)

やっとのことでワラワラを発見したのでEにあそこにあるよと
報告すると疑われたので、
見える場所まで来たら横山光輝三国志牛金の台詞「おうこの目でみたぞ」を連呼して気づかせてみた。


まあトークはブッチャケが多かったけど楽しい食事でしたよ。
また今度飲みにいこうな!

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シナリオ【変化】-6

2005年12月12日 16時01分36秒 | バイオハザード・OB・FILE『K』完結
AM0時27分 ガソリンスタンド洗車機付近

狂気の銃声と化け物の咆哮が、スタンド全体を震えさせる。
洗車機付近に居た健二と綾香にも、その音は聞こえた。

「今の音は何だ!?」
この台詞を言うのは今日何度目だろう。心の中でそう健二が呟きながら
強張る綾香の顔を見て、半ば興奮気味に綾香の手を強く摑む。

「ちょっと痛いわよ。一人で走れるから・・・離して」
「あ・・ああ、ごめん」
綾香が眉をひそめ振り払うように健二の手を離す
思わず強く握り締めてしまったことを謝る健二。
そんなことを気にすることもなく、綾香は再び張り詰めた表情を浮かべる。
健二には、綾香のとったその行動が少しショックだったのだろうか、
表情に恐怖とは違う呆然さが伺える。

以前の綾香ならいくら強く握り締めたとは言え健二の手を振り払う事も無く
手を握り返し、一緒に走り出していたはずだが、この数時間の間に起きた
『思わず目を背けたくなる現実』に綾香自身の心境の変化があったのだろうか?
健二は『こんな事が起きているのだ、無理もない』と自分に言い聞かせ
呆然としていた表情を直し、いつもの冷静さを取り戻そうとする。

「尾山さん達が心配だわ、早く行きましょう」
「え・・・?あ、うん」
自分を取り戻す事に必死な健二は綾香のいつもと違う積極的な言葉に
あっけにとられて綾香に手を握られ休憩所のほうへ走り出した。

AM0時28分 店内給油機材前

煌々としたスタンドのバックライトに照らされて
四つの影が料金所から走って出てくる。
尾山、貴美子、智弘、五郎。
貴美子と智弘の手にはポリタンクが一個ずつ握られている。

「健二と綾香はどこに・・・それに飛鳥さんたちも」
智弘が走りながら周りを見回し健二と綾香、飛鳥や恵が居ないか確認する。

「それより早くこの場所から離れることが先決だ!」
白衣を振り乱しながら先頭を突っ走る尾山に、後方から五郎が追いつく。

「・・・尾山さん!待ってくださいまだ他の人が!」
五郎が銃を肩からさげながら先頭の尾山のところまで追いつくと、尾山の腕を摑む。

「ハァハァ・・なにをするんだ!早く逃げなければ」
スタンドの出口付近で五郎に腕をつかまれ、
足をブレーキ代わりに進む勢いを殺し、その場に急停止する尾山。
久しぶりのダッシュに肩はあがり、息切れを起こしている。

周りに居た貴美子と智弘も同じように走るのをやめる。

「早く健二達を探さないと・・」
「飛鳥さん達にも早く知らせないと、心配だしね」
智弘と貴美子が周辺を見回し始める、まだ後方からは銃声が聞こえる。

「おい、あれは?」
尾山が指をさす方向には、二つの影がこちらに向かって走ってくるのが見える。

「・・・さっきの化け物か!」
五郎がMP5のセーフティレバーを解除し銃を構える。


「おーい!尾山さんー」


聞いた事のある声が、かすかだが聞こえる。
ライトが逆光して見えにくくなっているが、背格好から健二と綾香だと見える。

「健二!綾香!」
智弘が二人の姿を確認するや否や駆け出すと、尾山が周囲を見回す。

「やったわね!」

「感動の再開もいいが、どこから化け物が襲ってくるかわからんぞ」
二人と合流した嬉しさの余り貴美子がガッツポーズをするのを見て、
尾山がクギをさすように言い放つ。

たしかにまだあの化け物が、いつ襲ってくるかわからないのだ
油断は禁物と言えよう。

「さっきの銃声は何なんですか?」
健二が四人と合流した早々、口を開く。

「・・今まで見た化け物とは違う・・まるで二本足で歩くトカゲのような・・」
五郎が化け物の外見を端的に言っていく。

「とにかく今は飛鳥さん達を探しましょうよ!」

「化け物にやられてなければ良いが・・・」
綾香が口を開くと同時に尾山が不吉な言葉を漏らす。

「鬼が出るか蛇が出るかぁ・・・案外二人ともガソリンを手に入れてたりしてね」
尾山の台詞を聞かなかった事にしようと智弘が向きを変えて走り出す。

「あ、待ってよ智弘くん」
貴美子がバッグを片手に持ちながら智弘の後を追う。


ドンッ!

その時、出口付近で何か重いものが降り立った音が聞こえた。

「うっ」
音が聞こえたほうを尾山が見ると、体が一瞬凍る。
まるで蛇に睨まれたカエルのように、その場から動けない。

ガソリンスタンドのまぶしすぎるライトに照らされて出てきたのは
五郎の言っていた牙がギラギラしたトカゲの化け物だったからだ!


「ギャオオォォォオオオ!」

化け物の咆哮がスタンド中にこだますると、化け物は50mくらい先で話をする尾山たちを発見し、そっちに向かってドタドタと音を立てながら走ってくる。
不自然に伸びた牙からは、血液と唾液が入り交ざって地上にボタボタとたれる。


「キャアアアアアア」
「に、にげろッ!」
恐怖に引きつった貴美子の悲鳴と尾山の声と共に闇雲にスタンドの奥の方へ走り出す五人。

だが五郎だけは、その場に突っ立っていた。


「おい、早く逃げないか!」
まだ走る体勢にもなっていない五郎を走りながら確認した尾山が
五郎に向かって声を上げる。



「・・・自分が助けなきゃ・・やってやる!」


持っていたMP5をこちらに向かって走ってくるトカゲの化け物に向けると
発射をフルオートにしてトリガーを引く。


ブルルッ・・ドガガガガガガガッ!


玩具とは思えない音と反動に五郎は少し驚きながらも
直径9mmの改造された金属製弾が化け物に向かって
恐ろしい速度の元に無数に放たれる。


ドガガガガガガガッッ・・ブシュ!ブシュ!

「ギャッ!ギャッ!」

化け物の皮膚に金属弾が足から胸にかけて何十発も命中する。
化け物の走る勢いが少し止まると、そのままフルオート射撃をする五郎。
いくら玩具とは言え、貫通に特化した金属弾に加え、銃自体もより強い弾を発射できるように殺傷力を持つカスタマイズをされているのだ、化け物に利かないはずはない。

おびただしい緑の皮膚と青い血があたりに撒き散らかされ、化け物は一旦足を止める。

45発あった弾倉は空になり、五郎はマガジンを抜くとポケットから
次のマガジンを銃につめる。

カチャッと小気味いい音を立てて収納されるマガジン。
電動銃特有のうなる音が五郎の手に伝わると、五郎は
銃のトリガー近くについているセレクターをセミオート射撃に切り替える。

ドガガッドガガッ!

「・・ギャア・・・ギャア」

化け物に追い討ちをかけるように10発程度の弾があたると、
トカゲの化け物はその場に倒れるように仰向けに倒れた。


「・・・倒したか」
五郎がその場を立ち去ろうと体の向きを変え、尾山たちが居るほうへと
走り出す。


その時、五郎の後ろから何か嫌な予感がした。



ブゥン!ドガァーン!


「うおっ!?」
五郎はとっさに体を避けると、今まで五郎が立っていたコンクリートの場所には
大きな穴がぽっかりとあいている。

よく見るとコンクリート付近に緑色の皮膚がべシャっとくっついている。


「・・・くそったれ!」
横目で後方を確認すると、何かに気づいたらしく軽く舌打ちをする五郎。


そのコンクリートには、さっき倒したはずのトカゲの化け物の長い尻尾が刺さっていた。

「ギャッギャッ!ギャギャ!」

まだ化け物は生きているという現実に少し恐怖を覚えながらも
再び体勢をかえ、MP5のトリガーをひき、化け物めがけて撃つ五郎。


ドガガッドガガッ!


しかし金属弾は化け物の皮膚ではなく、コンクリートの床をはじく。


ビュン!ビュン!チュイン!チュイン!


トカゲの化け物は体勢を変え、手を床につけて足を二足から四足に切り替えて、まるで這いずるように銃を避けているのだ。
撃った弾の跳弾がカラカラと床に散らばる。

何より驚くのはその避ける化け物の速度が余りにも早いことだ。
動く的でも容易に当てられる五郎が、動きを予想して撃っているのだが
銃口が向いた瞬間には、化け物はもうそこにはいないのだ。


「くそっ、追いつかれる!」
どんどん距離を詰められる五郎の焦りは確実になっていく。

ドガガッ!ドガガッ!

化け物との距離が5mほどまで近づくと、五郎は狙いを付けて化け物の
頭部に向けて弾を放つ。


チュイン!チュン!


銃弾は化け物の皮膚をかすめる事もなく、むなしくコンクリートの床に散らばった。

「ギャギャギャッ!」

同時に化け物はさらに間合いを詰めると、五郎めがけて大きく床を蹴り
2mほどのジャンプをした。


「うっ!」
飛んだ化け物を目で追い、恐怖におののきながらも
五郎は再び狙いを頭部さだめ銃を放つ。

ドガガッドガガッ!

「ギャオオ!ギャォォア!」

弾は化け物の眉間から目の部分に当たり、青い血が空中で飛沫をあげる。

しかし、飛び上がった勢いのまま五郎を押し倒すように
その大きすぎる化け物の体が五郎の体の前にのしかかる。

カチッカチッ

「は、はなれろ!」
引き金を引く五郎であったが、マガジンの弾はもうない。
思いっきり力をいれて抵抗するが、化け物の体は重過ぎて
押しのけようとしても、まるで逃れる事が出来ない。

「ギャオオアアア!」

目をやられた化け物の右腕が五郎の肩を思いっきりつかむと
ギラギラした牙から唾液のようなものが床にだらしなくボタボタと落ちる。

「くそおおおお!」
死という言葉が五郎の脳裏をよぎる。
目をつぶって必死に化け物のあごを押さえる五郎。

ドガガッ!ドドドドドッ!

その時、五郎の後方から銃声が聞こえる。

「ギャオアオォォオァ!!!」

五郎が目を開くと、化け物が自分の体を離れ横で苦しそうにのた打ち回っている。


「へっ!俺の腕もたいしたもんだろ?」

「大丈夫か!五郎!」
もう何度も聞きなれた飛鳥の調子のいい声と共に、尾山が五郎に近寄ってくる。

「みんな、こっちだ!」
「早くしろ!」
尾山が五郎に肩をかし起こすと、健二と恵が出口を指して走り始める。

「これ、結構重たいよう」
「ちょっと智弘くん情けないわねぇかしてみなさいよ!」
ガソリンの入ったポリタンクを持って走っている智弘と貴美子。
智弘が重そうに抱えているのを見て、貴美子がしびれをきらして
智弘のポリタンクを奪うようにもち、走り始める。

「ギャ!ギャォォォ!」

「きゃあ!」
最後尾を走っていた綾香が後ろで再び息を吹き返した化け物の姿を
見て悲鳴をあげる。

「はやくいきな!」
銃を撃ちながら綾香に先に行くように指示する飛鳥。

ドガガッドガガッ!

綾香が走り出すのを確認すると、飛鳥の放った弾丸を無視するように助走をはじめ
再び高くジャンプする化け物。

恐ろしい跳躍力は飛鳥の頭上をかるく超え
先頭を走っていた健二と恵の前に現れる。

「くそっ、だめだこっちへ!」
健二の指差す方向に再び走り始める八人。
指し示した方向には洗車機が見える。

AM0時39分 洗車機前

洗車機前につくと、先頭の健二と恵を追いかけるように
トカゲの化け物が襲ってくる。

ブゥーン!ガァン!

「うおっ!」
トカゲの長い尻尾がまるで狙いすましたかのようにコンクリートの床を叩き
健二と恵の恐怖心を煽る。

「このままじゃ追いつかれるぞ!」
恵の声が聞こえると共に、洗車機の前に到着する二人。

「そうだ!あそこへ!」
健二が洗車機の中へ入るように恵に指図すると、二人の後ろには
化け物がすぐそこに迫っていた。

「ギャッギャッ!」

「うおおお!」
二人が洗車機の中を通り抜けると化け物の頭が丁度洗車機の中へ入り始めた。

「いまだ!」
健二が洗車機のスイッチを押す。
カチッという音と共に洗車機が轟音を上げながら動き始めると
化け物を体を包むように洗車機のブラシが恐ろしい力で化け物に襲い掛かる。

「ギャア!ギャア!」

今まで受けた銃弾のあとにブラシが激しい勢いで食い込むと、化け物は悲鳴をあげる。

「ポリタンクのふたを開けて投げて、こっちに投げるんだ!」
洗車機を横の通路から通りぬけながら、ガソリンを持っている貴美子に合図の声を送る健二。

「は、はーい!いきますよー」
貴美子がポリタンクのふたをあけ、まるで床にスライドさせるように
思いっきり洗車機めがけて投げる。

ボタボタと周囲にガソリンをまきちらしながら、洗車機にガンとあたるポリタンク。口からはまだガソリンがでていて、床に広がってゆく。

「だれかライターでもなんでもいいから火を!!」
それを見た健二は、全員に火をつけれるものを要求する。

「な、ないわ!」
「電動銃じゃ床に当てても、火はおこせないし」
だが、健二の言葉に反応してポケットなどを探すが、
誰しもがライターやマッチなど火をつけれるものを持っていなかった。

「グギャオオオ!」

バキバキと洗車用ブラシを内部から恐ろしい力で壊していくトカゲの化け物。
今にも突破されそうだ!

「あ・・そういや!」
何かを思い出したように飛鳥がポケットから何かを取り出す。
居酒屋で使えなくなったはずのライターだ。

「カミサマ!一生のお願いだぜ、ついてくれー!」
飛鳥がそう叫ぶとライターの火をつけ始める。


チッチッ・・・ボッ!


飛鳥の願いが通じたのかわからないが、ライターの火がつく。


「や、やったぜ!・・・ほらよ!」
ガソリンの導火線にライターをもってゆき、引火させる飛鳥。

火は撒き散らかされたガソリンを伝い、洗車機の下まで伸びてゆくと
ゆっくりと化け物の体を焼き始めた。


「ギャギャギャアアアアオオオ!!」



化け物の断末魔と共に洗車機が燃え盛る火炎に包まれる。





「へっ・・カミサマ・・・今度ばっかしは助かったぜぇ」
へナへナとその場に座り込む飛鳥に、八人が駆け寄ってくる。
乗り切れたことと危険が去った事によって全員に少しではあるが歓喜の声があがる。







居酒屋の事件から数時間、八人の心は少しずつだが連帯感を帯びていた。

シナリオ【変化】-終了-

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シナリオ【変化】-5

2005年12月09日 21時21分29秒 | バイオハザード・OB・FILE『K』完結
AM0時15分 ガソリンスタンド2F 休憩室

男子トイレの前で断末魔の悲鳴が聞こえる。
トイレのドアの下からはおびただしい赤い血の色が
煌々と照りつける室内の蛍光灯に映る。
色は光りに反射し、生きているものへ恐怖を煽る。

賀居がスーツの内ポケットから銃を取り出す。
シグザウエルP226。賀居がアメリカ研修の時から常に最前線で
重宝してきた頼れる相棒だ。
弾倉には撃ちかけの11発の鉄鋼弾が搭載されている。

銃を構える賀居を尻目に、しばらくするとトイレの中が静かになる。

「俺が見てくる、全員そこにいるんだ!」
賀居が静かになったトイレのドアの近くへと歩き出す。
何度も潜り抜けた修羅場、難事件を解決するのとはワケの違う任務。
目の前で起きる恐ろしい現実に直面しながらも、
どこか余裕のある表情は、賀居の潜ってきた場面の凄惨さを伺わせる。

「・・・」
おびただしい血液の流れるトイレのドアノブの前に賀居が近づくと
後ろの居た五郎は銃を再び構え、周辺に化け物がいないか周囲をうかがう。


――カチャン

ドアノブに賀居の手がかかる。ドアの下に広がるおびただしい血の川が
さらに鮮明さを際立たせ、見るもの全てに恐怖を煽る。

――ガチャン!

次の瞬間まるで関を切って溢れる水のように
物凄い勢いでドアを開け、トイレの内部に入るや否や即座に銃を構える賀居。


「?!」
トイレの中をくまなく見回す賀居。
しかし『何も』いない。
断末魔の悲鳴をあげていた『生存者』すらいないのだ。

トイレの中には四つの洋式、男子用の小便器が6つ並んでいた。
床には大量の血液が流れ、壁や洗面台には血飛沫がドロドロと付着している。

「・・む、これは」
床に撒かれた血液を目で追うと何かを引きずったような後がある。
まるで力任せに運んだような血痕を追うと、洋式便所へと続いている。

目で追っていくと、洋式のドアが真っ二つに割れて
破片がその場に無造作に散らばり、ドアノブが転がっている。

血は壁を伝い、天井へと続いている。


天井には人が三人は入れるであろう大きな穴が開き、
そこから生生しい血がポタポタとこぼれている。

「まさか、この穴から他の部屋へ・・?だとしたらヤバイ!」
賀居は銃を下ろし、体の向きを変えて反転するや否やトイレから走り出す
ここに居てはいけないという彼の本能と呼ぶべき
賀居の刑事としての勘がそう告げていた。

「おいどうした!」
血相を変えて走って出てきた賀居を見るなり、尾山が声をかける。

「早くココから出るんだ!ここはヤバイ!」
さっきまでの余裕を見せていた表情とは違い
賀居の顔は焦燥感に満ち溢れていた。

「走れ!早くここを出るんだ!」
賀居の言葉と共に階段へと走り出す尾山、五郎、智弘、貴美子の四人。

AM0時21分 ガソリンスタンド1F 料金支払所

階段を降りる五人の足音がガタンガタンと激しい音を立てる。
無機質な金属音を叩く靴の音が違和感を感じるほど静か過ぎる室内中に伝わる。

「出たらとにかくこの建物から離れるんだ」
1Fに全員が降りると、賀居の声に従い再び走り出す。



ガタァン!ガタァン!

さっきまで鍵がかかっていて開かなかったドアが、まるで内側から
恐ろしく強い力をかけられているかのように鈍い金属音を立てて
前へ後ろへと振動している。


ガタガタンッ!!

ドアは今にも破られそうな勢いだ!

「はやく・・・!早く外へ!」
賀居の押し殺すような声が全員の緊張感を余計に煽る。

「なんだっていうのよ!まったく」
貴美子が恐怖感と苛立ちから不満そうな声を上げながらも外へ出る。

「ま、待ってくださいよ」
智弘が続いて外へ出る。

「ガソリンも手に入れてないと言うに・・」
尾山が誰にもわかるような不機嫌そうな顔を浮かべ外へのドアを開ける。

「・・・」
三人が出る中、五郎だけは銃を持って踏みとどまる賀居の後ろに立っていた。

ガタァン!ガチガチッ!

扉が鍵の抵抗を失いつつある、今にもこじ開けられそうだ。

「どうしたんだ!?早くしないか!」

「・・・自分もお手伝いします」
動かない五郎に対して声を張り上げる賀居、
それに対して微動だにしない五郎。

「気持ちは嬉しいが・・・君は警官だろ!彼らを守れるのは君だけなんだぞ!」

「・・・!」
銃を構えつつ、五郎に怒声とも思える言葉を投げかける賀居。
五郎は何かに貫かれたような衝撃を体に覚える。
自分は成り立てとは言え警官なのだ。守らねばならない人が居る限り
守るという『責務と義務』『その気持ち』に間違いはないはずだ。

ガァァァン!ズゥゥン!

その時、ドアがついに破られる。
金属の板が宙を舞い、賀居の足元で床との摩擦に引きずられるように止まる。

部屋の中から出てきたのは


二本足で立ち、背中の後部からは尻尾のような長いモノが出ている。顔は爬虫類系をそのまま大きくしたような感じで、口には鋭利な牙が生え、皮膚は緑色と青色が入り交ざり、嫌悪感を示すには十分過ぎるほど口からおびただしい唾液と血液を流している。二足歩行で歩くトカゲのように見える。手には、まるで棒切れでも持つかのように人間の足であろうモノが血液をヒタヒタと流しながら、ぶらついている

「グギャャオォォォォォォオオ!!」

その化け物の咆哮が室内中にこだまする。


「早くいけ!行って彼らを守るんだ!」
銃を再び構え、トリガーに手をかけた賀居が
目の前に居る恐ろしい化け物に怯むことなく五郎へ声を上げる。

「・・・は、はい!」
自信と恐怖が入り交ざった複雑な表情の五郎は
体の向きを変えると外に向かって無我夢中で走り出した。


「グギャッ、グギャッ」

化け物が手に持っていた人の手であろうものを口に運び
まるで餌に食いつくようにグチャグチャと汚らしい音を立てて
丸呑みにする。化け物の顔には笑顔とも思える笑みを浮かべる。


「化け物が・・!!それがてめえの最後の食事だ!」



ドォン!




銃声が室内中に響いた。


AM0時26分 ガソリンスタンド敷地内 オーナー室

ガソリンスタンドの奥のほうに、スタンドの休憩室がある建物から
独立した小さなプレハブ小屋がある。
恵と飛鳥が中に入ると、中には小さな机と椅子が一脚だけポツンと置いてあった。
人が住んでいたような雰囲気はあるが
ところどころに小さなゴミやホコリが見える。
机の横のところに何かボンベのようなものが置いてある。

「ケホッ・・こりゃひどいな」
飛鳥が余りのホコリの多さに咳を上げながら、室内のボンベを見る。
ボンベにはホコリが被っており、プレートが見えるがホコリでなんなのかわからない。

「ここは何をするための部屋なんだ?」
恵が飛鳥に問いかける。たしかに何のために
建っているのかわからないほど部屋には何もないのだ。

「ここは死んだオーナーの部屋さ。そうだ、そこの机も調べてくれよ、何かわかるかもしれない」
飛鳥が恵に対していつもより少し優しく言いながら、ホコリの被ったボンベの
プレートのホコリをとる。

「引き出しには・・何もないか」
恵が机の引き出しを調べていたが、何もない。
ふと机の下を見ると、何か紙のようなものが転がっている。
美しい模様が描いてある。どうやら便箋のようだ。

「ゴミにしては随分立派な便箋だな」
ホコリを手でスッとはらうと、便箋に書かれた文字がくっきりと
浮かんでくる。


―オーナーの便箋―
『もうこのスタンドともお別れだ。信頼できる部下にも別れの手紙を送っておいた。これが私がこの世で書く最後の手紙だろう。明日には睡眠薬が届く。ゆっくり寝れそうだ。心残りは配電室屋根の裏で飼っていたトカゲのエリーとジョニーだ。
そういえば彼らがココにやってきたのもスタンドが出来て間もない頃だったな。
いい節目とはいわないが、スタンドと共にやすらかな永久を彼らに・・・』


ここで手紙は終わっている。

「・・ほんとに飼ってたのかよオーナー」
後ろから盗み読みしていた飛鳥が声をあげる。

「そっちは何か見つかったか?」

「ああ、大当たりさ」
飛鳥がクイッと親指をボンベのほうに向けると
久々に見る飛鳥の嬉しそうな笑顔を見て一安心する恵。

「大当たりとはどういうことだ」



「ガソリンさ・・それも純正のね」








飛鳥の笑顔は、益々輝きを増していった。

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シナリオ【変化】-4

2005年12月07日 21時38分47秒 | バイオハザード・OB・FILE『K』完結
PM11時55分 ガソリンスタンド室内 料金支払所

2Fへと上る金属の階段の上からカツカツと革靴が床を叩くような足音がする。


「・・・化け物か!?」
とっさにガンケースをその場に下ろし、銃を組み立てだす五郎。
MP5と書かれた銃は、カチャカチャと音をたてながら組み立てられ
あっという間に黒く無機質な美しいフォルムをさらしだす。
その組み立ての素早さは、まるで何度も組み立てたことがあるような感さえある。

カチャン!

弾倉が小気味いい設置音を立てながらセットされ、
銃用の電動バッテリーを銃の後部に設置すると、電動銃が完成する。
セーフティレバーを解除すると、カスタマイズされた銃のサーチライトが
点灯し、すぐに撃てる状況になる。


カチャ!


階段の中央から上を狙いすますようにライトを当てる五郎。
冷や汗であろうか。額には少量の水滴がついている。


カツン・・カツン・・・


足音が次第に近づき、階段の中腹くらいに革靴を履いた足が見える。

「おい!誰かそこにいるのか?」
尾山が緊張感に痺れをきらして言う。

カツン・・・・カツンカツン!

階段から降りる足音は速くなり、五郎は構えた銃を強く握り締め
降りてくる人影らしきものへサーチライトを当てる。

黒いスーツを着た男が見えた。



「まて!撃つんじゃない!」
男はこちらに手を上げて、階段を降りてくる。




カチャッ


「・・・どうやら化け物じゃないみたいだ」
銃口を男から下げ、再びセーフティレバーをロックする。

「我々以外に生きている者がおるとは・・な」
階段から降りてくる男を少し目を細めながら確認すると、
尾山の張り詰めた顔が少しほぐれる。


「ここにも生存者が居たか!よかった!」
茶髪の長身で少し顔に特徴がある。青い目はハーフであろうか?
黒いスーツが良く似合う男が興奮気味に尾山と五郎を見て言う。
たしかに何もかも『変わってしまった』この現実では、生存者に会えることは
この上も無い安心感を得れる喜びではあるのだが
何か、少し、男の喜びが変だと思った尾山は質問を投げかける。

「おいあんた、何者じゃ」
まるで信用していないかのような尾山の目を見て男は一冊の手帳を見せる。

「これは・・」
五郎は警察手帳と書かれたその青黒く見慣れた手帳に懐かしさすら感じた。
それは彼も同じものを持っている『仲間』だったからだ。

『刑事課 賀居 歩(ガイ アユム)』と書かれた文字が
写真付きで手帳には載っていた。


「どうだ?これで信用してくれるか?」
写真を食い入るように見つめている二人に向かって賀居が問いかける。

「・・・疑ってすいません。しかし、まさか同職の人とめぐり合えるとは・・・」

「なーに当然さ。こんな非常識な事が起きているんだからね」
刑事にしては豪く気さくな口調で語りかけてくる。

ガチャ

その時、店内と外を繋ぐドアが開く。
ドアの外からは智弘と貴美子が中へ入ってきた。

「尾山さ~ん、ガソリン見つかりましたか?」
「ポリタンクなら見つけたんですが・・・」
貴美子と智弘は一つずつ【ポリタンク】を手に持っている。

「でかしたな。これでガソリンさえあれば車が動くぞ」
尾山が二人が持ってきたポリタンクを見て安心したようにニヤリと笑う。

室内に入り、貴美子と智弘にも賀居を紹介する尾山。

「・・・そう言えばさっき、ここにも生存者がと言ってましたが?」
五郎が思い出したように賀居に質問する。

「ああ。君たち以外にも生存者がいるんだ」
賀居は階段の上を指差しす。

「本当なのか?」
尾山がまた疑問の顔を浮かべる。

「疑い深いお医者さんだなぁ、まあとにかく上の休憩室へ行けばわかるさ」


カツンッカツンッ

再び金属の階段を上り始める賀居と尾山達だった。


AM0時02分 ガソリンスタンド 外

綾香が携帯電話の時計に目をやる。
日付は新しい今日が始まったことを知らせるのだが、
まだあの時の恐怖は鮮明に覚えて頭に焼き付いている。
携帯のデジタル時計で見る数字を見る限り、あの居酒屋での一件から
数時間しかたっていないのだが
綾香には長い長い時間をさまよっていたように感じる。

「とても・・・長い夜になりそうね・・・」
ポツンとつぶやく綾香に、洗車機を調べていた健二は心配そうに綾香を見る。

「どうかしたか?」

「なんでもないわ、少し感傷に浸りたかっただけよ。」
ガソリンスタンドの煌々しいライトが綾香を照らす。
健二は、なんとなく違和感を感じていたが、まあこんなことが起きているから
仕方ないと自分に言い聞かせるように黙々と洗車機の周りを調べる。



―――ガソリン補給機材前

恵と飛鳥が、スタンドにあるホースが繋がれたガソリン補給機材を調べている。
やけに使い込んである機材ではあるが、まだ十分使えそうだ。

「こりゃ中身が空だな・・・」
機材に電気は通っているようだが、モニターにはEmptyというランプが
点灯している。どうやら肝心のガソリンが入っていないらしい。
今までの飛鳥とは打って変わって熱が入ったように懸命に機材を動かそうと
周辺をくまなく見ていた飛鳥だが、さすがにあきらめたらしい。

「随分熱心だな、そういうのをいじるの好きなのか?」
飛鳥の行動に少し違和感を覚えた恵が、飛鳥に他愛も無い質問をする。

「好きって程でもねえけどな・・・」
いつも大きな飛鳥の声が、今は少し気弱に感じる。

「何かワケありそうだな」

恵の声に対して、深く息を吸い込み淡々と語り始める飛鳥。

「俺・・・昔、ここでバイトしててさ。ここの人たち気のいい連中ばかりでさ、オーナーは爬虫類好きの変な人でさ、休憩室の屋根裏にトカゲを飼ってるなんて噂もあったくらいだぜ。そんな事無いのにな、笑えるだろ。まあここで、車のことも教えてもらったし、整備作業も一通り習ってさ。免許取ってから益々車の事が好きになって本格的に整備士の免許とろうとしてたんだ・・」

話しながら少しずつ暗くなる飛鳥の表情。

「そこで・・ヘマやっちまってよ。給油用のガソリンを引火させちまって、お客の車を燃やしちまったんだ。その客が運悪く政治家とかでさ、スタンドは閉鎖、オーナーは責任感じて自殺しちまうし、仲良かった連中は散り散りだ・・・・俺にとってここは、二度と来ちゃいけない場所だったんだよ」


「二度と来ちゃ・・いけなかったんだ・・よな・・」

だんだん表情を曇らせる飛鳥に、恵が口を開く。


「過去は過去、今は今だ。ここに来たことだって今を生きるためだろ?落ち込んでいる暇なんてないはずじゃないのか?今の足かせでしかない過去なんてクズカゴに捨ててしまえ。さあ、ベラベラ喋るのはおしまいだ。さっさと目的の物を探すぞ」


らしくない彼女の精一杯の心遣いの言葉に、飛鳥の表情は緩み少し気恥ずかしそうに言い放つ。


「へっ、人が感傷に浸ってるのに相変わらずカワイクないやろうだぜ・・・おい、こっちだよ」


目の周りを手で拭うと、飛鳥がその手をこまねいて恵を呼び寄せる。
その先にはガソリンスタンドから独立した小さな建物が見える。


AM0時13分 ガソリンスタンド内 2F休憩室

階段を上るとすわり心地の悪そうなパイプ椅子と白いテーブルが置いてある。
薄汚れたガラス張りの窓がスタンド内を見渡せるように設置してある。
自販機が二台置いてあるが、商品はどれも売り切れだ。
天井から下がっている蛍光灯は煌々と室内を照らす。
室内の隅にはホコリやゴミがたまっており、歩くごとに少量のホコリが舞い上がる。
奥のドアはどうやらトイレらしい、男子用と女子用一室ずつある。

「・・・で、何処に居るんだね。その生存者とやらは」
尾山が周りを見て少し怒張を込めた声を上げる。

「さっきまでここに居たのだが・・・おかしいなトイレにでもいるのか」
トイレのほうへ歩きだす賀居。

「・・・なんか変な匂いしない?」
貴美子が部屋のかすかな異臭に気づく。
この不快感と嫌悪感は何かに・・そう何かに似ている。

「これは・・・血の匂い?」
智弘が貴美子に向かって言う。

「・・・!」
智弘の言葉に何か気づいたように再び銃を取り出し、構える五郎。
その表情には余裕はない。

「こ・・これはッ!?」
賀居が室内を歩くとトイレのほうから赤い色の水滴が流れてくる。



「ウワァ・・アア・・ギャアアアア!」







男子トイレの向こう側で人間の断末魔が聞こえた。

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シナリオ【変化】-3

2005年12月06日 16時51分57秒 | バイオハザード・OB・FILE『K』完結
PM11時28分 山道前道路

山道前住宅地を抜けたところでワゴン車は急に減速し、
ついには道路の端に止まってしまった。
乗車している八人全員に脱出できないという結論が浮かび
生きるということに絶望を与え、再びあの不快感にも似た恐怖が脳裏をよぎる。


「くっ、本格的にダメだ!このままじゃエンジンもかからんぞ・・・」
苛立つ尾山はもう一度ハンドルを叩くと、ハンドルにそのまま
少しもたれかかるように顔をしずめる。

「おいおいどうするんだよ・・このまま俺達化け物の餌にされちまうのかよ!まったくツイてないぜ・・・」
さっきまで寝ていた飛鳥が、尾山がハンドルを叩いた瞬間に目覚め
目の前で起こっている不運に呆れたような落胆したような感じで肩をがっくりと落としている。

「・・・何か予備のものを使って車を動かせませんか」
助手席にいた五郎が運転席でうつむいている尾山に向かって話す。

「さっき調べたが、バッテリーや予備のガソリンは積んでないようだぞ」
後部座席から恵の声が聞こえる。

「脱出は絶望的ね・・・一難さってなんとやらだわ・・・」
綾香が少し自嘲気味に悲観的な台詞を口にする。
曇った表情は焦燥感に変わり、余裕の表情を浮かべた健二にも
移った。

「歩いて基地にいくには遠すぎるし・・・しかも危険すぎる」
車にあったS県の地図を見ながら、健二は焦燥感を募らせていく。

「アルコールが燃料とかになるって聞いたことあるけど、コレ使えないかな」
貴美子がバッグから先ほど尾山の病院から持ってきたバーボンを取り出すと
皆に見せる。

「車のこと何にも知らないんだな、そんなもんじゃエンジンが空回りするだけだぜ」
飛鳥が嘲笑するように貴美子を見下した態度と口調で話す。

「・・・じゃあどうすればいいのよ」
案を否定され、貴美子は少しふくれるようなそぶりで言い返す。

「近くの民家とかにガソリン置いてないのかな?」
しばしの沈黙が続く中、健二の後ろの席に居た智弘が案を出す。
たしかに道路の周りには民家があり、畑を耕すための耕運機などで使う
ガソリンがあるかもしれない。

「たしかにあるかも知れんが、ここは確実性を求めたい」
恵がそういうと、焦燥感に包まれる周りの表情とは違い、余裕の笑みを浮かべる。

「ここに来るまでにあった物を一応メモしておいたんだが、まさかこんなときに役に立つとはな」
スーツの胸ポケットから白いメモ書きを取り出すと、表紙の一枚目をペラっとめくる。皆が会話している間にメモをとっていた恵に、その場の全員が尊敬とも感謝とも取れる眼差しを浴びせる。

「メモによると・・・ここから400mくらい先にガソリンスタンドがあったはずだ」
恵は自信満々の表情を浮かべ、少し得意げな口調で皆に言う。

「・・・(うわっ細かッ!)」
飛鳥が恵の持っているメモ書きをちらっと見ると、簡略化された道路と建物がびっしりと描いてあった。

「わーい!これでガソリンが手に入るわね!やったね!」
貴美子が喜びの余り隣に座っていた智弘の手をつかんでガッツポーズをとる。

「あ、憧れの貴美子さんの手が!手が!・・死んでもいい」
顔を真っ赤にして興奮してその場に倒れる智弘。

「ちょ、ちょっと大丈夫?」
貴美子が心配して智弘の体を起こす。
まだ智弘の顔は赤い。

「へっ、おいおい。まったく、まだ手に入れてないのにいい気なもんだぜ」
飛鳥がにやけながら卒倒している智弘を見て喋る。

「・・・これで、いけそうですね」
助手席の五郎の顔も緩み、車内は和やかなムードに包まれた。

恵の意外な一面を見た驚きと、脱出できる可能性の幅が増えたことに
八人の顔と空気は少しずつではあるが温和になっていく。


「では早速行こうか・・・のう」
さっきまで沈んでいた尾山がドアを開け、運転席を降りる。

「そうだ、荷物は必要最小限にしておけよ。ガソリンを運ぶのは最終的には人間の手だからな」
恵が後ろのドアを開け外へと出る。

「・・・これは一応もっていこう」
助手席から降りようとしていた五郎はガンケースを持ち出した。

「じゃあ俺も・・・っと!」
ガンケースを持つと後ろのドアから出てゆく飛鳥。

「何もなければいいけれど・・」
綾香が心配そうな顔で救急箱を持ち、外へ出る。

「いつまで赤い顔してるんだ?いくぞ、智弘」
健二が智弘を引っ張って車外へ出る。

「皆まってよー」
一際重そうなバッグを持って外へと出る貴美子。
どう考えても酒瓶二本分が見た目にも実際持っても重たい。


街灯の少ない暗がりの道路を進む八人。
人影や自動車のライトはまったく無く、その静けさは不気味だ。
季節の変わり目に良く吹く風が少し肌寒く感じる夜道であった。


PM11時47分 ガソリンスタンド前

暗い夜道に煌々と光るガソリンスタンド用の大型のライトが
不気味なほど車道を照らし、歩いてくる八人の恐怖感を煽る。
ガソリンスタンドには、無機質な機材や洗車用の機材が置かれている。
化け物の影は見えないようだ。


「車から見たときはわからなかったが…ガソリンスタンドにしては妙に大きいな」
恵が大きさに疑問を抱きつつ、スタンドの中へと入ってゆく。

「おい・・ここは・・」

「何か気になることでも?」
飛鳥が、眉間にシワをよせてガソリンスタンドの名前を見ていたので
疑問に思った健二が飛鳥に質問する。


「いや・・。なんでもないぜ」
飛鳥は何かを言いたそうであったが、足早に恵と共に機材を調べにいった。

「どう健二?何かあった?」

「別に何もないけど・・飛鳥さんの気に触ったのかな?」
健二は訝しそうな顔をしつつ綾香と共に洗車機の方へと向かう。


「どうやら鍵はかかってないようだが・・中に誰かおるのかのう」

「・・・行ってみますか」
尾山と五郎はガソリンスタンドの室内のドアを開け、中に入っていった。


PM11時53分 ガソリンスタンド 室内支払い所

支払い所と書かれた薄汚れたプレートが青と白のカウンターにポツンと置いてある。部屋の奥には自販機が置いてあり、奥の部屋へと繋がるドアと2Fへあがるための階段が続いている。
観賞用植物がいくつも置いてあるが、どれもなぜか枯れている。


「・・・ガソリンは置いてなさそうですね」

「ポリタンクくらいあると思ったんだがのう」
階段近くまで移動して散策してみるが、何も無い。
まるで今まで閉まっていたかのように店は綺麗に片付けられている。

「くっ、奥のドアは鍵がかかってて開かないな」

「・・・上に行くしかないですかね」
奥のドアを調べていた尾山が、階段近くにいた五郎に近寄ってくる。


その時








カツッカツッ・・・







金属の階段の上から、まるで杖を地面に突くような音がした。

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シナリオ【変化】-2

2005年12月05日 15時19分13秒 | バイオハザード・OB・FILE『K』完結
PM11時04分 尾山療養所

ワゴンは郊外の住宅街に入り、ポツンとライトの光る建物の前で停車する。
さっきまでの都会の喧騒が嘘のように静かな周辺に少し違和感を覚えながら
車内から降りる八人。

建物には少し薄汚れた木製の板がはめ込んである。
『尾山療養所』と書かれた表札が見える。
無言で建物の柵の南京錠を開ける尾山。
うっすらとライトに当たる尾山の白衣には今まで見えなかった
血や何かで汚れた部分があるのがわかる。

柵を開け、少し周囲を警戒しながら進むと建物のドアの前で尾山が止まる。


ガチャッガチャッ


「・・・??・・・鍵が開いている?」
怪訝そうな顔をして一言尾山がつぶやくと、ドアノブを回転させ建物の中に入っていった。

「さあ私達も行こう」
恵と尾山を先頭に靴も脱がずに建物の中に入っていく八人だった。


PM11時06分 院長室

廊下を少し歩き、診察室を通ると、太い墨字でプレートに院長室と書かれた
部屋へと入る。
尾山が中に入り、壁にあるスイッチをカチッと押すと
それまでの暗さが嘘であったように煌々しい光りを放つ蛍光灯がつく。
照らされた部屋には黒塗りのテーブルとソファー、それにテレビがあった。
黒塗りのテーブルにはカルテや意味不明の計算式が書かれたメモ書きが
山を作り散乱している。テーブルの奥には、よほど型の古いモノであろうか
黒くアナログな電話が置いてある。

「ここで少し待っていてくれい」
尾山がそういうと全員を中に入れて自分は診察室のほうへ行ったようだ。

ガチャン。

「何かつかえるものはないか、探すぞ」
ドアが閉まるとあたりを散策し始める恵。

「散らかってるわね、どういう神経の持ち主かしら」
綾香が部屋のいたるところの散らかりようを見て少しあきれたように腕組をする。

「俺の部屋もここまでひどくは無いよな?」
健二が少し綾香のほうを身ながら言う。


「まあ・・・同じくらいかな。何に使うのかわからない機材多いし」
「・・・ッ」
綾香にそういわれた健二は、少しショックだったのか
床に落ちている紙くずやゴミを掃除し始めた。


「ガラクタだらけだなぁ、貴美子さんそっちはどうですか?」
智弘がガラス棚を調べていた貴美子に声をかける。

「本が多くてあんま使えるものはなさそうね、やっぱお医者さんだからかな」
棚に隙間なく積んである本の合間をくまなく探す貴美子。
医学用本や製薬知識の本、およそ医者であるべき知識の書物が並べられていた。
貴美子が、とった本を棚に戻そうとした瞬間、少し力が強すぎたのか
隣の本が勢いに負けて棚から転がり落ちていった

ガタガタガタンッ!


「だ、大丈夫ですか」

「ええ・・大丈夫だけど・・また散らかっちゃったね」
心配する智弘をよそに貴美子は、床に散らばった本を見て
尾山に怒られるかもという思いが脳裏をよぎった。
とりあえず今ある現状から目をそむけ、棚の中をまた調べる貴美子。


「これは・・?」
貴美子はギュウギュウに本をつめられていたガラス棚の奥に
何かが挟まっているのを発見すると、少し力を入れて取り出そうとする。

バタバタバタッ

また何冊かの本が落ちるが、気にせず奥のものを取ろうとする貴美子。
一つのことをやると他のことが見えなくなってしまう貴美子らしい性格の現われだ。

「何か使えるいいものでもあったか?」
恵が机の引き出しを調べるのを止め、貴美子のほうへ近づいてくる。

「これは!?・・・いい物には違いないけど・・」
貴美子が棚の奥から取り出したのは尾山秘蔵の酒瓶二本だった。

ラベルには【I.Wハーパー・101プルーフ】と【玖瑰露酒】と書いてある。

「こっちはIWハーパーゴールドメダルっていうのをより熟成させたバーボン、パワーがあって美味しいのよね!あとは中国酒のようだけど・・あまり名前を聞かないお酒ね」
酒の強い貴美子は、強いだけではなく知識も豊富である。
淡々と力強く説明する貴美子に智弘は聞き入っているが
恵は少しあきれた表情で再び机の引き出しを調べ始めた。
貴美子は酒を持っていくようだ、何かの役に立つかどうかは別のようだが・・。

「・・・」
五郎はその光景を見ながら何も言わずに柱に横たわっている。


「しかし高そうなソファーだな、どうれすわり心地はっ・・と」
すわり心地の良さそうなソファーに飛鳥がドカッと座り、
まるで自分の家にいるようにソファーにあったテレビのリモコンをとり
テレビをつける。


「・・・引き続きS県S市で起きている暴動事件の情報です」
テレビをつけるとアナウンサーが淡々とニュースを読んでいる。
まだ電気やテレビは正常に動くようだ。

「S県S市・・・俺達がさっきまで居たところじゃねえか!」
飛鳥がニュースの字幕スーパーを見て、少し驚いたようにテレビ画面を
食い入るように見つめる。

するとニュースを聞いていた恵が大声で部屋全体に聞こえるように言う。
「おい!テレビの音量を上げろ!」


「お、おう」
恵に指図されるた飛鳥がとっさにリモコンを手に取り
ボリューム調整ボタンを押す。

テレビから流れる音がしだいに大きくなっていく。

「…八時ごろから続くS市での暴動は、さらに過激化し、警察の車両や人員にも
被害が出ている模様です。付近の住民の皆さんは十分注意して、外出を控えるようにしてください。なお現場に局スタッフが向かっておりましたが、自衛隊の検問によりS県全体が通行不可能となっていたため現場の映像は確認できておりません」


「・・・暴動?へっ、あんな化け物が徘徊する街が暴動とでもいうのかよ!」
テレビの電源を消すと、少し怒気をはらんだ声で飛鳥が言い放つ。

「自衛隊が検問?どういうことだ・・・」
それまで黙っていた五郎が飛鳥の怒気に反応するかのように声をだす。

「良くテレビのニュースとかで国からの指示で情報を必要以上に流さないようにする・・・緘口令でしたっけ?そういうのがあると聞きましたが」

「だとすればとんだ欺瞞だな。しかし自衛隊が動いているとなると・・・やはり国が一枚絡んでそうだな」
綾香の質問に答えるように恵が疑問を抱きながら言う。

「とんでもないことに巻き込まれてるようだ・・・」
健二が重苦しい口調で言うと後ろのドアがガチャッと開く。

尾山が目的のものを手に入れたらしく、さっきまでつけていた白衣と違う
真新しい白衣をつけジュラルミンケースと共に赤いファイルを持っている。
白衣のポケットには何か入っているようだ。少し膨らんでいる。

「さあ、急ごうか」
尾山の合図に従って院長室を出た七人は
診察室のドアを開ける。

「ああ、そうだこれを・・」
診察室に入ると尾山が思い出したように綾香に向かって何かを差し出す。

「浅い傷なら大体塞げるから救急箱にいれて持って行くといい」
白衣から小さなスプレーを四本差し出す尾山。

「はい、じゃあ入れておきますね」
綾香は【救急スプレー】を手に入れた。

救急箱にスプレーをしまうとさっさとドアを開け、
診察室に続く廊下を通り、玄関のドアを開け
外に止めてあるワゴンに乗り込む八人。


PM11時22分 尾山療養所前


「・・・しかし妙だな、自衛隊の検問とは・・」
後部座席に座った恵が再度疑問を覚えつつ、車が発進するのを待つ。

「まあ考えるのは後からでもできるだろ、とにかく脱出が先だぜ・・フワァ」
飛鳥が楽天的な台詞を言いながらあくびをすると、少しシートを後ろに倒す。
どうやら少し眠くなったらしい、目をつぶっている。

「では自衛隊の補給基地に行くぞ」
キーを回転し、エンジンをかける尾山。
ワゴンは軽快なエンジン音をたてて、不気味な静けさの住宅地を抜けていった。




―――5分後――――

住宅街を抜け、また暗く寂しい背景が広がる道路に出るワゴン。

車内でピーピーという電子音が鳴る。
少しずつ大きく聞こえる電子音と共に尾山が焦燥感たっぷりの表情を浮かべた。
ワゴン車のスピードがだんだん落ちてくる。
エンジンの音に少し違和感を感じる。

「・・・どうかしたんですか?」
助手席に座っていた五郎が違和感を感じるエンジン音を聞き取って
尾山にゆっくりと尋ねる。



ガンッ!!

「くそっ!・・・・ガス欠だ!」





ハンドルを思いっきり叩く音と、尾山の怒号が車内に響いた。

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