先日読んで、非常に気に入ってしまった女性作家さんの2冊め。
入手してから気がついた。
4つの短編集かぁ・・・、ところがそこには緻密な構成で巧みな演出があった。
宮木あや子 著 「白蝶花」
巧みな演出と書いてしまうとミステリーかと思ってしまうんだけど、
4篇の主人公は全て女性で、彼女たちの人生と恋愛の物語。
短編集だと思って読み進めてるうち、時系列は連続していることに気がつく。
ただし、完全に別の話。
4つの短編集とは書いたけど、実際は第3章は中編と言っていい長さで、
ここが核となっている。
そして、1〜2章の主人公や血族がここに集結してくる。
4つ合わせて、大正〜数年前までの時代背景で綴られる、「女たち」の大河小説と言っていい、
壮大な物語だった。
読んでる途中から、谷村志穂さんの「黒髪」を彷彿してしまう。
「黒髪」では現在の娘が母親の人生を巡るのに対して、
それぞれ大なり小なりの関係がある「女たち」の人生。
ここは、先日読んだ「花宵道中」にも似てる。
主人公が「女たち」と書いたのは、大正から以降、特に戦後にかけて、社会的立場が大きく変化し、
その大きな流れ、激流の中にあり、それぞれの恋愛や人生を生きてきた、生々しい生き方を描いたから。
戦国時代的、政略結婚の道具、完全に男尊女卑が成り立っていた時代が近代まで続いていたのも驚愕だったし、
本の中では、当たり前というか当然として、その時代の女性たちは受け入れていた様子が更に驚かされる。
何故ここまで男尊女卑が成り立っていたのか?
”尊な男”であっても生むのは”卑な女”ってのはどう考えても、物理的にも納得がいかない。
女尊男卑なら、不満であったとしても、納得せざる負えない気はしてしまう。
戦時中、死を覚悟に出征していく男たちの気持ちばかりを考えてしまうのは、自分が男だから。
しかし、それを見送る女たちの気持ちは考えもしなかった。
第3章では恋人、あるいは片思い中の相手が出征していく、のこされた女たちの気持ちが生々しく描かれていいる。
これを読むと残される方の辛さは、生きている限り続くと思い知らされる。
どちらが辛いのか?
「死んでいく男たちの命を、せめて子を生むことでつなぎたい」
第3章の主人公、千恵子は未婚ながら、生むことを決意する。
時代的には未婚の母は世間的に許されない時代で、ふしだらな女と揶揄された。
自分独りで生きることさえままならない時代。
衣食住にも困る人が多かった時代。
社会的弱者、しかもそこに、産んで育て決意、他人を巻き込んでさえも産んで育てようと決意する強さ。
もう男には考えられない、屈強さ。
その強さが、脈々と紡がれながら物語も進んでいく。
そして同時に絆とも言える、女同士の友情も描かれていて、これは強い筈と納得してしまう。
「黒髪」も大河小説と称されたけど、この「白蝶花」も間違いなく大河小説だと思う。
”すんごい本を読んでしまった感”が残る。
前回の花宵道中もその巧みな構成に驚いたけど、宮木あや子って何者?って思ってしまう。
たくさんの賞を貰っていそうなんだけど、そうでもないみたいだし。
自分的には自身をもって人にお薦めしたい本、特に男に。
この本を読んだら、男として女に頭が上がらなくなりそうな危険性もはらんでいるのだが。
これを読み終わった後、すぐに宮木さん本を数冊注文してしまった。
やばい、またまたお気に入りの作家酸が増えた。
入手してから気がついた。
4つの短編集かぁ・・・、ところがそこには緻密な構成で巧みな演出があった。
宮木あや子 著 「白蝶花」
巧みな演出と書いてしまうとミステリーかと思ってしまうんだけど、
4篇の主人公は全て女性で、彼女たちの人生と恋愛の物語。
短編集だと思って読み進めてるうち、時系列は連続していることに気がつく。
ただし、完全に別の話。
4つの短編集とは書いたけど、実際は第3章は中編と言っていい長さで、
ここが核となっている。
そして、1〜2章の主人公や血族がここに集結してくる。
4つ合わせて、大正〜数年前までの時代背景で綴られる、「女たち」の大河小説と言っていい、
壮大な物語だった。
読んでる途中から、谷村志穂さんの「黒髪」を彷彿してしまう。
「黒髪」では現在の娘が母親の人生を巡るのに対して、
それぞれ大なり小なりの関係がある「女たち」の人生。
ここは、先日読んだ「花宵道中」にも似てる。
主人公が「女たち」と書いたのは、大正から以降、特に戦後にかけて、社会的立場が大きく変化し、
その大きな流れ、激流の中にあり、それぞれの恋愛や人生を生きてきた、生々しい生き方を描いたから。
戦国時代的、政略結婚の道具、完全に男尊女卑が成り立っていた時代が近代まで続いていたのも驚愕だったし、
本の中では、当たり前というか当然として、その時代の女性たちは受け入れていた様子が更に驚かされる。
何故ここまで男尊女卑が成り立っていたのか?
”尊な男”であっても生むのは”卑な女”ってのはどう考えても、物理的にも納得がいかない。
女尊男卑なら、不満であったとしても、納得せざる負えない気はしてしまう。
戦時中、死を覚悟に出征していく男たちの気持ちばかりを考えてしまうのは、自分が男だから。
しかし、それを見送る女たちの気持ちは考えもしなかった。
第3章では恋人、あるいは片思い中の相手が出征していく、のこされた女たちの気持ちが生々しく描かれていいる。
これを読むと残される方の辛さは、生きている限り続くと思い知らされる。
どちらが辛いのか?
「死んでいく男たちの命を、せめて子を生むことでつなぎたい」
第3章の主人公、千恵子は未婚ながら、生むことを決意する。
時代的には未婚の母は世間的に許されない時代で、ふしだらな女と揶揄された。
自分独りで生きることさえままならない時代。
衣食住にも困る人が多かった時代。
社会的弱者、しかもそこに、産んで育て決意、他人を巻き込んでさえも産んで育てようと決意する強さ。
もう男には考えられない、屈強さ。
その強さが、脈々と紡がれながら物語も進んでいく。
そして同時に絆とも言える、女同士の友情も描かれていて、これは強い筈と納得してしまう。
「黒髪」も大河小説と称されたけど、この「白蝶花」も間違いなく大河小説だと思う。
”すんごい本を読んでしまった感”が残る。
前回の花宵道中もその巧みな構成に驚いたけど、宮木あや子って何者?って思ってしまう。
たくさんの賞を貰っていそうなんだけど、そうでもないみたいだし。
自分的には自身をもって人にお薦めしたい本、特に男に。
この本を読んだら、男として女に頭が上がらなくなりそうな危険性もはらんでいるのだが。
これを読み終わった後、すぐに宮木さん本を数冊注文してしまった。
やばい、またまたお気に入りの作家酸が増えた。