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戦慄?

2017年01月04日 | Weblog
 ノンフィクション・・・ではなかった。がしかし・・・・。



桐野夏生 著 「ナニカアル」

実在したした小説家の死後40年経って、偶然見つけた原稿をどうすべきか?
という相談の手紙のやり取りから始まる。

その現行は小説なのか?回顧録なのか?

実在した林芙美子という有名な女流作家が残した原稿とう形なので、
完全にノンフィクションだと思って読んでいた。

彼女の太平洋戦争期間中の行動が主になっていて、
国、軍からの要請で強制的に戦地へ行かされ、軍に都合の良いルポを執筆させられる女流作家たちの1人として
東南アジアを中心に回らされる。
そのさなか、愛人でありスパイと疑われている健太郎との関係も絡む。


健太郎はスパイなのか?関係はどうなるのか?
作家陣のなかどうして自分だけ長期間の滞在なのか?帰国できるのか?
自分に付くサポート係の当番兵は憲兵なのか?

誰を信用して良いのか、疑心暗鬼が常に取り巻くなか点々と東南アジアの島々を巡らせれる芙美子。
健太郎のことさえ疑わしい謎の部分もあり、また作家でありながら、自由な原稿も書けない。
多くのストレスを感じながら数ヶ月の仕事が続く。



帰国後、妊娠に気付くが、誰の子なのか?
何れにせよ芙美子の子ではあっても、夫には隠さなければならず、養子として連れ帰る。

数年後、芙美子の突然の死。見つけた原稿により、養子の真実を知った夫は・・・。



戦時中と、知らないことだから尚更、実際にあった回顧録を小説の形にしたものだと思って読んでいた。
それほど生々しい描写で登場人物も実在した人が多いらしい。

本文を読み終え、解説を読んだ時、完全に桐野さんの小説である知ってってホッとした気持ちになった。
がしかし、戦時中の異常さ、
常に国民が国の反乱分子、反戦者、スパイではないかと見張られている状況は、
前に読んだ谷村志穂さんの「黒髪」でも書かれている。
「黒髪」も、もちろんフィクションの小説ではあるのだが、彼女の父親から聞き伝えた
真実も多く書かれていた。

この本の参考文献も68以上もある。
もちろん心理状態は想像だとしても、大方真実に近いのではないか?


罪の証拠を掴んで逮捕、尋問する通常時の流れではなく、
疑わしいから逮捕、尋問し、無実を証明させるという非常(戦)時中の流れの異常さは
”戦慄”である。
誰も信用できない。周りをすべて敵とみなさなければ、いつ投獄されるか解らない。
いわれなき罪で投獄され、獄中で死を迎えた「黒髪」の主人公と全く同じ異常さ。

それは日本国内ばかりではなく、開戦した敵国に滞在中の人間に対しても同様らしく、
開戦時アメリカに滞在中の日本人の取扱も驚くべき対応だった。
まるでひっかけ問題中心の運転免許の筆記試験の極悪番みたいな。


ウラ表紙には島瀬恋愛文学賞受賞とある。
が、もう1つの読売文学賞受賞が本筋を表してる気がする。
圧倒的な時代背景に流される主人公の生き様に対して、恋愛部分は挿し色程度にしかなっていない。


「黒髪」にしてもこの本にしても、主人公は、”女“であり、”母親”である。
生命の根源であって中心である。
いくら政治、世の中を男が動かしていようとも、
どんな時代になっていこうとも、産み育てるその強さには、どうあがいても男に勝ち目はないと
つくづく感じてしまう。

臨月間近の芙美子と母親の会話。
たとえ想像であったとしても、作者同様”女”の会話。泰然自若としか言いようがない。


「黒髪」同様、凄い本を年明けそうそう読んでしまった!

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