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#23

2017-04-21 13:23:54 | 暁と共に
静まり返った一同。相変わらず叩き付けるような豪雨の音が、施設内にまで響いている。
(行方...美鷺...)
聞き覚えのある名前だ。それも、記憶に新しい。
「美雁さんの妹さんだ!ねえ、万尋さん」
万尋もミカリを気に入っているーつまり、美雁とは知り合いのはずだ。
ということは、美鷺の存在を知っているかもしれない。
「いーや。それは知らねえ。美雁は知ってるが...妹がいるんだな」
どうやら万尋は、美雁としか面識がないようである。
「そっ、その美鷺ってやつ!名前は聞いたことないぞ、ほんとに強いのか?」
挑戦しがいのありそうなトレーナーの存在を聞いた颯生は、民子の話に食いついている。
「あまり知名度は高くない。なぜなら本人が有名になりたがらないからだ。
インタビュアーの取材も、ジムリーダーのスカウトも、本人が断った。
ジムバッジも所有しておらず、アカツキ町民以外にはあまり名を知られていない。
...しかし、彼女の実力は現時点で、確実にチャンピオンになれるレベルだ」
民子の説明を聞きながら、舞乃は昨日ミカリに顔を出した話題の人物を思い返していた。
大人びた顔立ちに、華奢で細身な身体、そして意志の強そうな尖った目元ー
自分と同い年には見えないあの人物が、知る人ぞ知る隠れた実力者だという。
「み、みなぎってきた!俺絶対、そいつにお手並み拝見するぜ!それで、そいつはどこにいるんだ?」
「普段は神出鬼没だが...雨だから自宅にいるかもしれない」
ちょうどそのとき、カットを終えたダイアナが諒太と共に戻ってきた。
「ダイアナ!すっきりしたね」
舞乃がパッと見た感想を述べた。
「とりあえず、許容範囲だったから安心だ」
彼女の耳元で諒太がささやいた。
「つ、次は誰にしますか...?」
相変わらず引っ込み思案な口調で質問する都築に、一同は再び、顔を見合わせた。
「...都築、全員分終わったあとアカツキ神社に彼らを連れて行って欲しい」
「えっ...あ、アカツキ神社?」
唐突に話を振られた都築は、目を丸くした。
「この子が美鷺にお手並み拝見したいんだって。案内してやって欲しいんだ」
「け、けど、この雨の中...」
「どのみち雨が続けば、美鶴の儀式が始まるだろ。少し早めに神社に行くだけだ」
「うっ、うーん...」
「店長の命令だ。行ってこい」
どうやら強制的に、都築が彼女らを神社まで案内することになりそうだ。
何から何まで民子の言いなりでこき使われる都築に、ある種の同情心を感じないこともなかった。
「んじゃ、善は急げだな。次は俺だ。ハピナス!」
颯生はハピナスのカットを頼み、先ほどと同じように、二人と一匹は向こう側に消えた。
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