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#13

2017-04-18 00:03:12 | 暁と共に
「ってことは、美雁さんたちの実家は神社、ってことですか?」
定食を完食し、箸を置いて水を飲みながら、諒太が質問した。
「イェース」
またも、気の抜けた返答だ。
「アカツキタウンの守り神とされる、女神様を祀る神社さ。あっ、女神の話は知ってんのかな?」
「聞いたことありますよ。町の歴史と一緒に」
諒太が答える隣で、舞乃は先ほど、ここに到着する前に通りかかった神社のことを思い出していた。
そう、ポケモンセンターからこのアカツキ食堂ミカリに来るまでに、鳥居を見かけたのだ。
それを見かけたとき、舞乃の脳裏にはふと、颯生から聞いていたアカツキタウンの歴史の話が浮かんだ。
ー森を開拓し、この町を生み出した女神を祀る神社なのかもしれない。
そんなことを思い浮かべながら通り過ぎていったのだが、どうやら事実だったようだ。
「そっか。まあ、毎年この季節は、主にお祭り関連でうちの実家が色々と慌ただしくなるってとこだね。
なんせ、メインのトーナメントバトルが終了したあと、巫女による儀式で祭りが閉幕するんだから。
...まあ、巫女の身分を与えられんのは代々長女だけだから、あたしらはそこまで関係ないけどね」
そういえば先ほど、美鷺と呼ばれた妹との会話で、「ミツル姉」という名前が呼ばれていた。
しかも、もし美雁が長女で巫女だというなら、ここで飲食店を個人経営しているというのはおかしな話だ。
「美雁さんのお姉さんが巫女、ということですね」
「その通り。ミツル姉こと行方美鶴(なめかたみつる)、一応現在の巫女をしている姉がいます」
本人は今ここにいないので、姿を確認することはできない。
なんせ、美雁と美鷺が似ても似つかない姉妹なので、二人の姉だという美鶴のことは想像が付きそうもない。
「おっと、いらっしゃいませー」
ドアの音がして、二人の作業着を着た中年男性が店に足を踏み入れると、そのままテーブル席に腰掛けた。
「ハンバーグ定食一つー、ご飯大盛り!」
「そんじゃおんなじのにしますわ!ミカリ、頼むぞー!」
「はいはーい。相変わらずよく食べるねー!今昼休憩入ったとこ?」
二人の来客はどうやら常連のようで、美雁はそちらのテーブルに移動し、親しげに話している。
そしてその途中でまた、新たな客が来た。こちらは子供連れの家族だ。
その家族のすぐ後ろには、友人同士と見られる三人の少女が並んでいる。
「...混んできたね。そろそろ出よっか?」
「あー、そうだなー...ほんっとに美味かった。」
二人は会計をするために、席を立ち上がり、美雁を呼んだ。
「はいはーい。今日はどうもありがとねー。はいっ、言った通りね」
元々安めの値段をさらに半額にした値段が表示され、二人は会計を済ませた。
「...そうだ、ポケギアの番号登録し合いませんか?お祭りのとき、また話せたらいいので。
あ、自己紹介してなかったですね。私は草谷舞乃、13歳です」
「舞乃ちゃんね。おっけー。13歳か、美鷺と同い年だね。美鷺と違って可愛いけど」
先ほど店に用件を伝えに来た美鷺も自分と同い年とのこと。
(同い年...?本当に?)
自分の外見はやや幼めなのもあるが、美鷺は明らかに大人びていた。
年齢相応か、もしくは若干大人びて見える諒太と見比べても、さらに歳上に見える程度だ。
「じゃ、また会ったときよろしくね。ご来店どうもありがとうございました!」
舞乃と諒太の両方と番号を交換した美雁は、笑顔で二人を見送り、増え続ける来客の応対に戻った。
「ふぁあ...腹一杯だし、一旦ポケモンセンターに帰るか?」
出口の前で、満腹ゆえに眠気が来た様子の諒太は、欠伸をした。
「うん...じゃあ一回戻ろう。宿泊室の確保も、そろそろ済ませないと」
こうして二人は自然と、ポケモンセンターへと戻ろうという流れに乗って帰路に着き始めた。
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