コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

ロメ港を視察する(2)

2008-12-24 | Weblog

ロメ港は、突堤に囲まれた湾のなかに、二つ突き出た大きな埠頭を中心に、広大な貨物仕分けヤードを備えている。各埠頭はそれぞれ5隻ほどの貨物船を接岸でき、商業貨物はこの二つの埠頭から荷揚げされる。湾の東岸にも貨物船が横付けできるようになっており、こちらは鉱業産品とセメントを積み出す専用埠頭となっている。湾の西岸は、はるか遠くに見える砂浜まで広大な草原が広がっている。
アデニョン所長が、指差しながら説明する。
「この岸を掘り込んでいって、もう一つ5隻の大型貨物船が接岸できる埠頭を作る予定です。工事は、来年から始まります。」

埠頭を車に乗って視察する。大きな貨物船が横付けされている。これですか、大型貨物船というのは、と聞くと、アデニョン所長は笑って、いやこれは水深5メートルもあれば横付けできる「小さい」貨物船だ、と答える。埠頭を進むと、平底の運搬船が横付けされ、トラックが沢山来ている。上半身裸の荷役夫たちが大勢で、袋詰の砂糖を、運搬船からトラックに積み替えている。

埠頭からタグボートに乗る。港内の水先案内用のタグボートは、3隻あるのだが、取扱量が増えたこともあって、更に1隻を新規導入する予定であるという。タグボートの操舵席に上がり、湾内を周回する。
「ロメ港は、西アフリカでは唯一、水深10メートルを越える深い港です。第一埠頭は10メートル、第二埠頭は12メートルの深さです。建設予定の新埠頭は、深さ14メートルとなります。これだけの深さがあれば、超大型貨物船が悠々停泊できるわけです。世界各地から、こうした超大型貨物船でロメ港に貨物を輸送し、ロメ港で通常の貨物船に積み替えて、西アフリカ各地の港に運ぶという輸送が、合理的な流通経路となるでしょう。」

どうして、このロメ港だけが深い水深を持っているのですか。
「それは、ドイツがそのように建設したからです。でもそれだけではありません。ここの海流の関係で、砂が殆ど入り込んでこないのです。1968年に開港して以来、浚渫工事はたった3回ほどしかしていません。それから、このロメ港は、干潮と満潮の差が少ないのです。コナクリ港(ギニア)だと3メートルくらいあるところが、ロメ港では1.2メートルです。」
同じ大西洋で、地域によって、干満の差にそれだけ開きがあるというのは驚きだ。

第二埠頭では、さらに大きいコンテナ貨物船が荷下ろしをしていた。巨大起重機が、コンテナを2つずつ軽々と持ち上げて、地上に下ろしている。ナイジェリア向けの小さな貨物船に、積み替えているという。
「世界では、次世代コンテナ船という超大型船が建造されつつあり、これは2500~3000個のコンテナを一度に運びます。これから建設する新埠頭は、この次世代コンテナ船を5隻接岸できるようにします。」

すごいじゃないですか。そうなると、将来の展望としては、ものすごい数のコンテナが日々処理される港になるということですね、と応じると、アデニョン所長の顔が曇る。何か問題でも。
「われわれ港湾関係者の手の及ばないところで、いろいろ制約があるのです。一番大きい問題は、通関手続きの遅さです。税関当局の能力が限られているので、今でもコンテナの通関に、順番待ちの日数も含めて8日かかっています。港の拡張によって顧客の需要が増えても、こんなことでは応えていけない。」
なるほど、開発というのは、いろいろな部分が並行して発展していかなければ、うまくいかないものなのだ。

参考:http://www.togoport.tg/

 ロメ港の本部

 貨物船が入港する。

 巨大なコンテナ船

 積み下ろし作業

 コンテナ船の荷上げ


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