真理の探求  ― 究極の真理を目指すあなたへ by ぜんぜんおきなわ

神としての真理を探究しています。
(哲学・宗教)

第三十六回 誰が悟るのか(その五)

2017-06-19 11:28:55 | 悟り
前回、地面の方が「色」であって、私という場の方が「空」で、それが色即是空なのだという話をしました。

仏教理論においても、「空とは何か」という問題が何百年と議論されてきましたが、議論されればされるほど、スコラ哲学化してくるのは、「空」が「灯台下暗し」の「下(もと)」にあるゆえです。

「空とは何か」と我々が問う瞬間、我々の意識は灯台の如く、外にある対象に光を当てます。ゆえに、「空」を個々人が思う様々な思想としてしまえば、「空」は「色」として議論されるのみで、下暗しとしての「空」は、永遠に光が当てられることはないでしょう。

目に見える「色」に全てフォーカスされるため、目そのものという「空」には意識がいきにくい。

つまり、我々の意識は、主体と客体という見方にすっかり慣らされているのです。地面の方が「場」であって、「私」の方がそれに乗っかっている「もの」という感覚。これは地面という客体に、私という主体が乗っているという感覚であると言えます。

我々はこの主客の感覚というものを絶対視し、これをもとにして生活しています。

第十回のブログで既に話しましたが、我々は喧嘩や戦争をするにも、土俵は同じくしていなければなりません。この土俵が「主客の感覚」と言えます。

戦争というと、キリスト教 vs イスラム教といった目に映る「色」の違いばかりに我々の意識はフォーカスされますが、お互いに自分を主体だと思い、お互いに相手を客体だと思う、この意識のあり様は、まったく変わりません。これが宗教の違いを超えた、お互いに共通する不可視の土俵です。

民族や宗教、文化や言語の違いは、所詮「色」の違いに過ぎないわけです。この「色」の違いが戦争の原因だと考えられがちですが、実は対立の原因は「違い」ではなく「共通」の方にあるのです。共通の土俵がない限りは喧嘩ができないからです。

自爆テロで突っ込む男にとって、突っ込む自分は主体であり、突っ込まれる相手は客体です。

もし彼が、爆発する自分も自分であり、爆弾で破壊される相手も自分であると認識するなら、果たして彼は自爆テロをするでしょうか。

彼は何らかの宗教、しかも原理主義というものに属しているのでしょう。なぜその集団が自らを「原理」だと名乗るのかと言えば、要は自分達の組織は数多ある偽物と違って真正だと言いたいわけです。

しかし、もしその人が、宗教に入る前から固く信じている「主体と客体」についての絶対視に気づいたなら、彼は自分自身が宗教やその原理について全く何も考えていなかったことに気づくことでしょう。また、その原理主義と名乗る集団の誰一人として、それに気づいていないことに気づくでしょう。

私は戦争や自爆テロが悪だと言っているのではありません。そうではなく、悪の対象が異教徒などの客体ではなく、まず自分自身の絶対視や盲信、これが悪の根源であると気づくなら、戦争や自爆テロをしている暇はなく、その前に自分自身の意識の有り方を探るはずではないかと言っているのです。

自分が主体であり、相手が客体である。これを絶対視すれば、また別の絶対視との争いになることは時間の問題です。お互いに絶対視という土俵を同じくし、さらにお互いに目に見える「色」が違えば、その土俵でぶつかり合うには条件として十分です。戦争と戦争の間に平和があり、平和と平和の間に戦争があるのは、そのためだと言えるでしょう。

我々は自らの生活習慣と異なる宗教に対して嫌悪感を抱きますが、自分自身のこうした盲信には特に嫌悪感を抱かないものです。

しかし、なかなか気づかれにくいかもしれませんが、盲信には盲信ならではの苦しさがその奥底にはあります。本来は無限としてある自分自身が、「主体と客体」という閉じられた世界に禁固されれば、苦しくないはずがありません。

そもそも悟りの道とは、自分の苦しみの解放のためにあるものです。仏陀であろうと、もともとはただ自分自身の解放が目的で、修行の道に身を投じたのです。

これは一見、自己本位に見えますが、洞窟に閉じ込められた人が、隣の洞窟に閉じ込められた人を解放することは不可能でしょう。ゆえに、人類の自由のための道は、自己の解放が第一の行動原理になるのです。
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