真理の探求  ― 究極の真理を目指すあなたへ by ぜんぜんおきなわ

神としての真理を探究しています。
(哲学・宗教)

第三十七回 誰が悟るのか(その六)

2017-06-20 12:10:39 | 悟り
前回、主体と客体という話をしましたが、物事を何でも主客の二つに分けるというこの見方は、非常に強力なものです。

あまりにも強力すぎて、ほとんどの人が疑問に思わないほどです。
つまり、人間社会においては、空気以上の空気となっています。

この強力に人々が信じている主客の構図が、この世界の共通の舞台です。

対立というと、表面的な「色」の違いが原因だと考えられがちです。しかし、対立の原因は、実は「違い」ではなく「共通」の方にあるわけです。土俵が共通しなければ、対立することはそもそも不可能だからです。

禅の第三祖である僧璨(そうさん)禅師は、信心銘(しんじんめい)の中で「二見に住せず」という仏教史に残る有名な言葉を言っておりますが、人間社会においてはこの「二見」はスタンダードなものです。

この二元的な視点から「悟り」というものを見れば、当然、この世には「悟った人」と「悟ってない人」という「二つ」があるということになるでしょう。例えば、仏陀や一休さんは「悟った人」、一般衆生は「悟ってない人」という分類ができるのでしょう。

しかし、これはあくまでも二元的な観点からの「悟り」の見方です。つまり、「悟り」から見た「悟り」とはまったく違うものです。

「悟り」とは、二元的な観点でもなければ、一元的な観点でもなく、「観」そのものでなければなりません。何らかの特定の観点から見た「悟り」では、「悟り」そのものではないわけです。

ゆえに、「悟り」の実相に迫るには、「悟り」の外からそれを観察するのではなく、「悟り」の内側から、すなわち人間の目から「悟り」を見るのではなく、「悟り」の目から「悟り」を見るしかありません。

その「悟り」の目から見た場合、果たして悟るのは誰なのかということです。

人間社会の観点からすれば、主体は常に人間なのが当たり前なので、「悟り」の主体は具体的個人としての人間でしょう。主客の観点からすれば、ある人間という主体が、「悟り」という客体を得たのだと。

そういう見方が当たり前なのかもしれません。

だから、あの人は悟りを得た人、あの人はまだ悟りを得ていない人、という区分がまかりとおります。

しかし、「悟り」から見て、この区分は果してリアルなものでしょうか。人間の観点ではなく「悟り」そのものから見ても、この区分はリアリティのあるものなのでしょうか。

私は次のような言い方の方が、「悟り」そのものの観点からすれば、はるかにリアリティのあるものであると思います。つまり、「悟り」の主体は「悟り」そのものであると。

ゴータマ・シッダールタが悟りを得て、仏陀になったのではなく、ゴータマという場において、「悟り」が「悟り」を「悟り」した。

ゴータマが悟ったのではない。ゴータマは場として場をやっただけです。ゴータマはただ、自分自身という場において「悟り」が「悟り」を「悟り」したことを見て、聞いて、触れたのです。

例えば、クラシックのコンサートに行っても、自分が楽器を演奏するのではありません。楽器を演奏するのはオーケストラで、観客たる自分はただ椅子に座ってるだけです。何もしていない。しかし、音楽が音楽していることを体験している。

これと同じように、人間個人は「悟る」ということはできない。コンサートでお客さんが楽器を演奏することができないように、人間は悟りという行為をすることはできません。

つまり、人間が悟るという幻想は、行為の主体は常に自分自身だという自我の幻想です。自分自身を超えた主体が、それ自身として生起して行為する。それが生命の源流であり、永遠の生命の本源です。

それを体験する場。それが我々人間なのです。人間が生きているのではありません。人間という場において生命がそれ自身を生きているのです。
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