記事の紹介です。
日本の宇宙開発は、欧米に比べ、予算も人員も潤沢ではない。そうした中で、いかに世界に誇れる技術的な成功を収めるか、が問われている。
日本の探査機「あかつき」が、金星を周回する軌道に入るのに失敗した。
エンジンを逆噴射させ減速するはずだったが、燃料供給が滞ったため、減速しないまま金星の脇を通り抜けてしまった。
1998年に打ち上げた火星探査機「のぞみ」も、軌道投入に失敗している。惑星探査で黒星続きは残念だが、挑戦に失敗はつきものだ。宇宙先進国の米国や旧ソ連も、失敗を重ねた末に、金星や火星の探査を成功させている。
今回も、失敗の原因を徹底的に追究して、今後の宇宙開発への教訓とすべきだ。
「あかつき」の飛行データによると、逆噴射が始まってしばらくしてから、機体の姿勢が急に乱れたことが分かっている。宇宙航空研究開発機構は、エンジンの噴射口が破損して乱れを引き起こした可能性もある、とみている。
今の軌道を「あかつき」がたどれば、6年後に再び金星に接近する。宇宙機構は改めて金星の周回軌道を目指す、という。
だが、破損が大きいと、再挑戦は難しい。「あかつき」の状況確認を急ぐ必要がある。
搭載されているエンジンは、日本が独自に開発した。燃焼効率が高く、丈夫で、しかも価格が安いことが特徴だ。
打ち上げ費用を含めて総額約250億円という、欧米の探査機よりも少ない予算で、こうした高度な技術開発を手がけた。
ただ、地上試験では何度も性能を確認しているものの、宇宙空間で実証された訳ではない。いきなり本番に臨んだ格好だ。
小惑星「イトカワ」の砂粒採取に成功して帰還した探査機「はやぶさ」も「初」の技術をいくつも載せていた。7年間の飛行中にエンジン故障などが続発したが、そのたびに切り抜けた。
「あかつき」についても、あらゆる可能性を探ってほしい。
太陽系の惑星探査には、米国や欧州、ロシアに加え、中国やインドも参入している。太陽系と地球の起源の解明といった科学的な目標に加え、宇宙開発技術を向上させる格好の場になるためだ。
日本も、2014年に水星に探査機を送り、欧州と共同での観測を計画している。「はやぶさ」の後継機を開発する構想もある。着実に成果を積み重ねたい。
(2010年12月12日01時26分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20101211-OYT1T00794.htm?from=y10
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「我が郷は足日木の垂水のほとり」 はじめました。 本稿はその保管用記事です。
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