キサラギ・ジュンの税務小説 『日本人のパナマ文書リスト公開ー住所別』『NORADテープー撃墜した戦闘機』

『イミテーション・ゴールド』『微風のマニラから』『天皇財産と課税』『ナピサン』『大統領になれなかった男』

バンカーツチヤ 微風のマニラから(3) きさらぎ最終版

2016-10-12 12:14:38 | 微風のマニラから

バンカー・ツチヤは某邦銀のマニラ支店長だ。仕事柄、ウィークディは日系企業の社長たちと接待ゴルフに明け暮れる。それで埼玉の大工Nたち、ご一行と会うのは土曜日に限られる。
パサイ・ロハス通りに面した日本人専用二流ホテル、「ネットグローバル」の一階にある日本料理、「海舟」の離れで、ツチヤは平日ゴルフ疲れを癒しながらの宴会となる。土曜日の息抜きにツチヤはアップル以外にもタレントを一人か二人部屋でスタンバイさせての宴会出席となる。

「ゆじさ行くべ」これがNがマニラに行く口実である。Nは徹底的に日本滞在経費を切り詰めて、雪深い冬の間、南津軽の農家の人たちが夫婦ともども八幡平の温泉場に行き、長期間逗留して体を癒す習慣を「「ゆじさいく」というのだが、これを「マニラに楽しみに行く」ことにダブらせて「ゆじさ行くべ」と言うのである。
「これ利くぞ。全部飲んだらダメだ。半分を口でなめるように飲む」
「ゴックンしたらダメ」
「おれも高血圧だから何時死ぬか分かネ」
「死んでもいいんだ。今やれれば」
Nは、夜と朝、二度だからどうしても薬が頼りだ。日本のバイアグラは高価で買えない。女衒のアランから五百ペソで買った無国籍のタダラフィルを使用する。命の保証はまったくない。この間もこの薬を持ち帰って近所のオヤジに配ってえらい目にあった。
「Nちゃん、オドウに薬やったんでないか?」とオガーから怒られた。
マニラに一緒についてきた億万長者の息子の田辺は自分で買う勇気がないのでNの薬をもらって使う。
「その特効薬はほんとうに効くのか?」と田辺。
「効くと思えば効く、効かねと思えば効かね」とN。
 確かにNの言うとおりだ。効く、効かないはその人の気の持ちようだ。自信がなければ結局、利かないものだ。
 ツチヤの方は近くの有名デパートの薬売り場に薬を買いに行くことにしている。
「レシートを出さね薬は北朝鮮製だ・・・命の保証はない」とNが脅かすからだが、レシート((領収書)は発行するが、ファーマシィで買ってもニセの特効薬に原産地や効能の表示はない。
処方箋なしに薬が自由に買えるこの島では、ニセ薬か、密輸品か、保健省許可があったものか全然、見当がつかないのである。
「一体、何の薬なんだか見当つかね」とこぼしているツチヤのそばでNは腰を突き上げる仕草で女性店員を笑わせている。

ジャンル:
ウェブログ
Comment   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 長女は神様  微風のマニラ... | TOP | 田辺の女なんだ、そのナ~ス... »
最近の画像もっと見る

post a comment


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

Related Topics

Trackback

Trackback  Ping-URL