キサラギ・ジュンの税務小説

『黄金武将』翻訳『天皇財産と課税』『SCOOPED』ニュージーランド活劇『大統領になれなかった男』『NORADテープ』

イミテーション・ゴールド キサラギジュン 著作活動の危険性について

2017-07-06 22:02:36 | イミテーション・ゴールド

□著作活動の危険性について
「クリストファー・メイリ?」(Christophe Meili)、どこかで聞いたことがあるだろうか。そう、ユニオンバンク・スイス(UBS)の金庫番の夜警だった男だ。彼は、同銀行の夜間パトロールの最中に、銀行員たちが書類をシュレッダーにかけていて、夜食を買いに行った隙に、そのかわいそうな書類たちを断裁の危機から救っただけだった。
「何のためのシュレッダーだって?決まってるだろう、次郎。あのエンロン疑惑のアーサーアンダーセン事務所だって、大量の書類をシュレッダーにかけて、それがばれて世界最大の会計事務所が解散となり、一万人の会計士たちが路頭に迷ったじゃないか、あれは二〇〇一年のことだが・・・」
「次郎」とは足立次郎のことで、ワシの小説には陰にヒナタにワシの代弁者として現れる実在の男だ。
「そうでしたかね?」と足立。
メイリはその書類をアメリカの上院金融問題委員会に提出し、証言したので、彼と彼の家族は今、アメリカで避難民扱いである。どこにいるかは知られていない。
この本のテーマである『ゴールド・ウオリアーズ』を書いたシーグレーブ夫妻だって、人殺しの恐怖に脅かされている。シーグレーブ夫妻が『宋王朝』(Soong Dynasty)を書いたときはCIA幹部から脅かされた。「台湾からヒットマン・チームが来るぞ」と。あるいは、「これはきわめて微妙な問題だ。もし俺が君たちだったら、たぶんブリテッシュ・コロンビア の海浜近くに避難しているな」と。
夫妻が『マルコス王朝』(マルコス・ダイナステイ)を書いたときは、マルコスの取り巻きたちから何等かの妨害を受けることは初めから予測していたが、そうではなく、ワシントンからの脅かしがあったのだ。
他にも「マルコスがいかに悪事を働いたか」に焦点をあてた書物は多くあるが、シーグレーブ夫妻のものは「アメリカの悪事(特にCIAによるマルコス金塊の秘密取引)」に触れているからだ。
シーグレーブ夫妻によると「財務省やIRS(米内国歳入庁)の攻撃があった。夜遅く私たちの両親のところにも電話がかかってきた。ニューヨーク、JFK空港では私たちを応援する著作者グループが、旅券を取り上げられて三時間、足止めを食った。理由はまたもや“アメリカの国益の侵害の恐れ”というわけではなく、何も示めされなかった」ということらしい。
 われわれ(シーグレーブ側)が情報の自由公開法の下、国家に何か質問すると真っ黒な答案用紙が帰ってくることは誰もが経験済みだ。役所・官僚の支配が法の上にあるからだ。(これは日本も同じだ。)財務省筋から電話があった。「君たちが日本のテレビ・ネットワークでしゃべった言動のビデオがここにある」と。それは、日本語で取材されており、夫妻は初めて見るものだった。
『ヤマトダイナスティ』(The Yamato Dynasty、天皇家の隠れた歴史)という本がある。これは展望社から苦労して日本語版が出ている。日本語に翻訳するのに日本人の実名を出せず、「ヤマト王朝」刊行委員会訳となっている。その意味はもし、訳者の本名を出せば確実にヤラレル可能性があるためである。この本の出版に関して誰からか攻撃を受けた話はまだ聞いていないが、とにかく怪しく、大変そうなのだ。もしワシが命知らずの行動に出れば電話やEメールが盗聴されるぐらいは覚悟のうえでしばらくは駅のプラットホームの端は通らない心がけが必要となろう。
「ヨーロッパにある、あるクリニックの病症の履歴(シーグレーブ夫妻のもの)にアメリカ人のある医者がいかにもあなたの主治医であるように装ってコンタクトを取ってきたのよ」とある太った看護婦長が話してくれたことがある。
この本(『ヤマト・ダイナスティ』)の内容の主なものは二〇〇一年にサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙に連載された。案の定、他紙の編集委員からクレームがついて「すぐに連載をストップしろ」と言ってきた。新聞社へのEメールの情報が夫妻にわかるまで七二時間かかるのに、そのコピィが夫妻のいる町の新聞関係者から即、届けられるのには閉口したというのだ。
 冒頭のジーン・ジーグラーは言う。「私たちは“市民”のではなく、国・公共の権利を守るアムネシアと闘っているのよ」と。シーグレーブ夫妻はずいぶん危ない時期を過ごしている。まるで一九三〇年代のドイツのようだ。その時代、ドイツではナチスの隠匿物資を口にするものは一人もなく、もしそういう者がいれば、そいつらは「テロリスト」か「裏切り者」と烙印を押されることになっていた。二、三ヶ月前、日本の戦時捕虜として捕まっていた米国人兵士たちや奴隷労働した者たちのグループが補償を求めてアメリカで訴訟を起こしたことがある。アメリカ政府はその告発者たちをまるでテロリストみたいな扱いをした。良好な米国の日本に対する行政指導、外交政策を阻む者は誰であっても米国の国家安全保障の敵だということらしい。具体的にはCIAの敵ということだ。
CIAの元幹部はこう表現する。「識別された情報、たとえば国家機密に区分された情報―をリークするのはやめた方がいい、さもなくば、SWATチームがジャーナリストの家族が待っている自宅に旦那より早く到着することになる」と。

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