キサラギ・ジュンの税務小説 『日本人のパナマ文書リスト公開ー住所別』『NORADテープー撃墜した戦闘機』

『イミテーション・ゴールド』『微風のマニラから』『天皇財産と課税』『ナピサン』『大統領になれなかった男』

微風のマニラから(1)   2016最終版

2016-10-12 12:08:57 | 微風のマニラから

プロローグ

挿絵 152*101

パサイ、ロハス通りの見晴らしのいいホテル、ネットグローバルの一階、「海舟」の従業員は6ケ月で総取替えだ。
店長だけは残っており、地元の日本人の暮らしぶりに詳しい人物なので、
吉田老人はツチヤのことを聞いてみた。ツチヤがいなくなって久しいからだ。
「あの吾人は、よく飲みにこられてましたよ。
日本人の観光客とはすぐ仲良くなり、近くのカラオケでよく盛り上がっていましたからね。
元銀行員でプラスで踊り子をやっている女の子とマニラホテルで挙式した次の日、
その女の子の元旦那に撃たれたらしいですよ。
場所もことあろうか日本の大使館前で、その女と日本へ行ってしまうと勘違いされたんだな、その前の旦那に・・・」

「ツチヤさんがどれだけ財産を持っていたか、日本人仲間ではよくうわさにでました」
「うわさではツチヤさんは京風ラーメンのオヤジさんを通じてNGOペガサスの会へ相当の寄付をしたらしいです」
「これは清い金だともいっていたそうです。なんでも昔、ここへ進駐した日本兵の方が大金もちになりフィリピンのために使ってくれとたくさん寄付されたんだとか」
‐国民の大半を占めるカトリック教徒は離婚を許されないが、結婚式を行うのも至難のわざである。
多くのフィリピン人にとって結婚は一生に一度。ゆえに結婚式に莫大な金をつぎ込むことができる若者だけが結婚式をできる。
男は涼しげなバロンタガログ、新婦は肌を露出したドレスをまとい、芸能人さながらのきらびやかさである。
それほど裕福でなくても、知り合いの新聞記者は疲労(披露ではない)パーティに20万ペソかけている。
一家族の平均年収は9万ぺソ(2005年)ということを考えるといかに高いかわかる。

「別にカトリックに改宗したわけでもないでしょうけど、
1週間、彼女の田舎の小さな教会に安置され、その後土葬されたらしいですが、彼女の故郷がどこかわかりません。
日本へ遺体が還されるということもなかったようです。
家族はいませんでしたからね・・・・」
「そういえば、京風ラーメンのオヤジも最近体を壊しているってマニラ会で聞いたんですが、
戦後の日本人もいよいよサンタマリアなんですかね?」「さびしいですよ」とポツリとその店長は云った。

□カップヌードル

東経121度1分、北緯14度30分、午後1時30分、ターミナル2の玄関から
日本人とフィリピーナのカップルが子供とダンボールを携えて吐き出されてくる。
ダンボールの中味はニッシンカップヌードル。ブルーのシーフード味。ほかのメーカーは願い下げ。ここは、いわずと知れたフィリピン共和国、大マニラ市の玄関口、ニノイアキノ国際空港。真夏の太陽がジリジリ、湿気百パーセント、熱風と男の視線がタンクトップにジーンズの姉ちゃんの胸元をすり抜けていく。
風が吹いていた。
 
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