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ジェイン・プラント教授: 乳がんを克服した女性研究者

2013-12-05 00:50:39 | 現代時評

「乳がんと牛乳」の著者、ジェイン・プラント教授

この非凡な女性科学者をぜひ紹介したい。

彼女はもともと応用地球化学の教授である。医師ではないし、病理学者でもない、医学に関してはまったくの素人であった。彼女はたまたま自分が乳がんという、女性にとってショッキングな病気になり、それから逃れたい一心で自分なりに何とか解決しようとしたのである。乳がんとの長い闘いの末、ついに彼女は自分の乳がんを克服したのだが、そのアプローチに驚かされる。彼女は自分の専門分野の応用地球化学における研究方法、問題解決方法を自分の身にふりかかった大問題の解決に適用した。そして、みごとに問題点を突き止め、その解決に最も合理的と思われる方法を採ったのである。医学の門外漢であったために、かえって先入観なく純粋に科学的方法を乳がんの解決のために適用したようにも思える。

彼女は必死になって乳がんについて自分なりにリサーチをしていく過程で、ひょっとすると乳製品が乳がんの原因ではないかと考えたのである。そして、それを完全に断ち切ることによって、再発・転移をくりかえす自分の乳がんに終止符を打つことができた。そしてこの方法が彼女だけでなく、他の女性の乳がんの克服にも役立ったのである。

家畜のミルクという数千年にわたり人間によって摂取され、自然の恵みの代表のように思われてきた食材が、乳がんをはじめとするさまざまながんの発生に関わっている事実は、西暦2000年にイギリスで出版された彼女の一冊の本によって初めて明るみに出されたのである。

この本はすでに世界16カ国で出版されている。この翻訳の労をとったのは、我が国でつとに牛乳の危険性について警鐘を鳴らしていた佐藤章夫教授であり、訳の素晴らしさはもちろん、日本の状況を踏まえた充実した訳注も非常に有益である。

彼女のこの本が出版されるや、イギリスでは非難、批判の嵐がまきおこった。彼女が「乳製品は健康に悪い」と言ったからである。欧米でも日本でも、同じような非難が起こるのである。いかにわれわれが、乳製品は自然が生み出した完璧な栄養食品であるように思い込まされてきているかを物語っている。

この本は2000年に出版されて以来、幾多の批判にさらされてきたが、その初版の内容に一文たりとも変更を迫るような合理的な反論を為し得た者はいない。それどころか、乳製品が有害であるという証拠がますます集まってきている。たとえば、牛乳についての一般的な迷信とは裏腹に、牛乳や乳製品(特にチーズ)がむしろ骨粗鬆症の発症のほうに大きくかかわっていることが明らかとなっている。

彼女が医学界に一石を投じた貢献は、イギリスでは高く評価されている。その証拠に、ジェイン・プラント教授は2005年に医師でもないのに何と英国王立医学協会の終身会員に推挙されたのである。これは極めて異例のことである。彼女の貢献がいかに大きなものであるかを、そして英国のアカデミズムの懐の深さを物語って余りあるエピソードであろう。たしかに彼女の洞察の鋭さはコペルニクスやニュートンやダーウィンに匹敵するくらい革命的である。牛乳という、母なる自然からの贈り物として受け入れられてきた食材を疑って、その有害性、危険性を明らかにした功績は計り知れない。

 


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