先般NHKのプレミアムシアターでモーツァルトの没後200年記念のザルツブルグ音楽祭での「魔笛」がHiVisonで再放送された。この録画はいまだBD版が発売されていないことを知ったので録画しておいたがなかなか見る機会がなかった。
魔笛はモーツァルトのオペラの中では、多面的な解釈がなされ、いろいろ言われているが、映画「アマデウス」で取り上げられたように、ポンテ3部作とは別の次元で「庶民による庶民のためのたのしいオペラ」と素直に解釈したい。その視点で改めて手持ちの「魔笛」を比較しながら聴いてみた。
*NHKプレミアムシアターの1991年の没後200年記念と2006年の生誕250年の記念ザルツブルグ音楽祭での魔笛比較
ザルツブルク音楽祭1991から
「歌劇“魔笛”~第1幕、第2幕~」 モーツァルト作曲
ルネ・パーペ
デオン・ファン・デア・ヴァルト
フランツ・グルントヘーパー
ヘルベルト・リッパート
ルチアーナ・セーラ
ルース・ツィーサク
インガ・ニールセン
イリス・ヴェルミオン
ヤード・ファン・ネス
エディット・シュミット・リーンバッハー
アントン・シャーリンガー
ハインツ・ツェドニク
ウォルフガング・シュミット
ハンス・フランツェン
テルツ少年合唱団員
(合唱)ウィーン国立歌劇場合唱団
(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(指揮)ゲオルク・ショルティ
~オーストリア ザルツブルク祝祭大劇場で収録~
<収録:1991年8月8日>
・モーツァルト:歌劇『魔笛』 K.620 全曲
ルネ・パーペ
ポール・グローヴズ
フランツ・グルントヘーバー
ディアナ・ダムラウ
ゲニア・キューマイアー
クリスティアン・ゲルハーエル、他
合唱:ウィーン国立歌劇場合唱団
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:リッカルド・ムーティ
演出:ピエール・オーディ
収録:2006年7,8月、ザルツブルク祝祭大劇場
音声:PCMステレオ/DTS 5.1
画面:カラー/ワイド(16:9)
これはザラストラ役が同じルネ・パーペだが15年の差は役柄からは断然ムーティ版が良い。それよりも舞台そのものが、田中泯のメルヘンあふれる世界が素晴らしい。ここでのムーティの流れる音楽も良い。ショルティの音楽は交通整理がうますぎて、聴き終わったあとが疲れを覚える。話題の夜の女王もダムラウが聴かせる250年の記念舞台に軍配を上げる。
*初めて聴いた全曲と初めて観た全曲
フリッツ・ヴンダーリヒ(テノール:タミーノ)
イヴリン・リアー(ソプラノ:パミーナ)
ロバータ・ピータース(ソプラノ:夜の女王)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン:パパゲーノ)
フランツ・クラス(バス:ザラストロ)
ハンス・ホッター(バス:弁者)
RIAS室内合唱団
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
カール・ベーム(指揮)
録音時期:1964年1月
録音場所:ベルリン
録音方式:ステレオ(セッション)
• 演奏者 : Lear, Evelyn (Soprano), Peters, Roberta (Soprano), Otto, Lisa (Soprano), Wunderlich, Fritz (Tenor), Fischer-Dieskau, Dietrich (Baritone), Crass, Franz (Bass), Hotter, Hans (Baritone)
• 指揮者 : Bohm, Karl
• 楽団 : Berlin Philharmonic Orchestra
時代: Classical 形式: Singspiel / Opera 作曲/編集場所: 1791, Vienna, Austria
言語: German 時間: : 録音場所: 1964, [Studio]
これは高校生の時に小遣いを貯めて買った初めてのオペラ全曲だった。1963年にベームがベルリンドイツオペラを率いてのフィガロの結婚の来日は日本中が大騒ぎになって(この時のLIVE CDは所有しているので機会を改め述べたい)その後に売りだされた「魔笛」はかの雑誌レコード**ではこぞって大激賞され、「これを聞かずんば、モーツァルティアンにあらず」と言わんばかりの音楽評論家の論調に洗脳され有り金をはたいて購入したのだ。1965年の5千円は現在に換算すればいかほどになるのだろう。
豪華な布張り装丁のボックスに解説書、対訳付きで演奏も今も優れており、ヴンダーリヒのタミーノは現在聴いても最高の出来と思うし、男性陣の歌唱力は素晴らしいが、旨すぎて格調がたかく、何か歌芝居の要素が消えているように今では思うが、とにかく当時はこれが最高のモーツァルトなんだ感激した。
・モーツァルト:歌劇『魔笛』K.620 全曲
ザラストロ…クルト・モル(バス)
タミーノ…フランシスコ・アライサ(テノール)
弁者…ヤン=ヘンドリック・ローテリング(バス)
夜の女王…エディタ・グルベローヴァ(ソプラノ)
パミーナ…ルチア・ポップ(ソプラノ)
パパゲーノ…ヴォルフガング・ブレンデル(バリトン)
パパゲーナ…グットラン・ジーベル(ソプラノ)
モノスタトス…ノルベルト・オルト(テノール)、他
バイエルン国立歌劇場合唱団
バイエルン国立歌劇場管弦楽団
指揮:ヴォルフガング・サヴァリッシュ
演出:アウグスト・エファーディング
制作:1983年 ミュンヘンUNITEL
160分 カラー
1987年頃だったと思うがパイオニアがCD-LDのコンパチブル機を発売したのを機会に、我が音楽ソフトがLPとVTRがから一気にCDとLDに変わった。それまでオペラはあまりLPで聴く機会がなかったが、映像と音の良さで、オペラにのめり込むきっかけになったLDだった。その意味からもオペラ全曲として初めて観たこの魔笛は感激した。(最初のLDでのオペラ全曲はフィガロの結婚だがこれはベームの指揮する音楽をバックにした映画だった。)今でも映像の魔笛では一番観る機会が多い。音楽、演技ともに歌芝居の雰囲気があり、演出もオーソドックスで、わかりやすく、クルト・モルのザラストラが素晴らしい。サバリシュの指揮も交通整理の行き届いた演奏で良い意味での教科書的な演奏だ。
*歴史的な名演奏のCDとDVD
歌劇『魔笛』全曲
タミーノ:エルンスト・ヘフリガー(T)
ザラストロ:ヨーゼフ・グラインドル(Bs)
夜の女王:リタ・シュトライヒ(S)
パミーナ:マリア・シュターダー(S)
パパゲーノ:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)
パパゲーナ:リザ・オットー(S)
モノスタトス:マルティン・ヴァンティン(T)
弁者:キム・ボルイ(Bs)、他
ベルリンRIAS室内合唱団
ベルリンRIAS交響楽団
フェレンツ・フリッチャイ(指揮)
録音:1954年[モノラル]
これはモーツァルトの4大オペラが10枚組CDセットに含まれるCDだ、これが1000円で買える時代に驚かされる。しかも10枚全てがある意味この時代の最高のキャストで演奏されているのには価格以上に驚かされる。フリッチャイのテンポの良い演奏にのり、歌手陣が最高の歌を聞かせてくれる。音はモノラルながら違和感はない。むしろ歌の良さに集中できる。
・モーツァルト:歌劇『魔笛』全曲(歌唱:ドイツ語)
ザラストロ:ハンス・ゾーティン
タミーノ:ニコライ・ゲッダ
パミーナ:エディット・マティス
パパゲーノ:ウィリアム・ウォークマン
夜の女王:クリスティナ・ドイテコム
弁者:ディートリ・フィッシャー=ディースカウ
モノスタトス:フランツ・グルントヘーバー、他
合唱:ハンブルク国立歌劇場合唱団
管弦楽:ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ホルスト・シュタイン
製作:ロルフ・リーバーマン
監督:ヨアヒム・ヘス
収録:1971年
収録時間:170分
画面:カラー、4:3
これは音楽と映像は別撮りの映画で、音はモノラル、映像は経年劣化とマイナス要素は多いが、マティスのパミーナを聴く(観る)だけでも価値がある。音楽はシュタインの棒でのハンブルグオペラだが、それこそ歌芝居の楽しさを名優(名歌手)がこれでもかと言わんばかりに聞かせてくれる。それを旨くカメラアングルが捉え、古さを感じさせずに全幕を閉じる。これは現在はやりと言うべきか悪しき流行と言うべきか、演出家の過剰解釈のオペラへの見事なまでのアンチテーゼでもある。
*その他の手持ちあれこれ
・モーツァルト:歌劇『魔笛』全曲
タミーノ:ヴィル・ハルトマン
パミーナ:ドロテア・レーシュマン
夜の女王:ディアーナ・ダムラウ
ザラストロ:フランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒ
パパゲーノ:サイモン・キーンリーサイド
パパゲーナ:アイリッシュ・タイナン
モノスタトス:エイドリアン・トンプソン
第一の侍女:ジリアン・ウェブスター
第二の侍女:クリスティーン・ライス
第三の侍女:イヴォンヌ・ハワード
弁者:トーマス・アレン
コヴェント・ガーデン王立歌劇場合唱団(合唱指揮:テリー・エドワーズ)
コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
指揮:コリン・デイヴィス
演出:デイヴィッド・マクヴィカー
振付:リア・ハウスマン
2003年1月27日 ロンドン、コヴェント・ガーデン王立歌劇場におけるライヴ収録
収録時間:全プログラム182分(本編162分)
画面:カラー、16:9、1080i
夜の女王のディアーナ・ダムラウをスターダムに押し上げた舞台だが、前者を観たあとではそれだけのこと。
・モーツァルト:歌劇『魔笛』全曲
夜の女王:シルヴィア・ゲスティ
ザラストロ:テオ・アダム
タミーノ:ペーター・シュライアー
パミーナ:ヘレン・ドナート
パパゲーノ:ギュンター・ライプ
パパゲーナ:レナータ・ホフ
弁者:ジークフリート・フォーゲル
モノスタトス:ハラルト・ノイキルヒ
第一の侍女:ハンネローレ・クーゼ
第二の侍女:ギーゼラ・シュレーター
第三の侍女:アンネリース・ブルマイスター
三人の少年:ドレスデン聖十字架合唱団員
ライプツィヒ放送合唱団
シュターツカペレ・ドレスデン
オトマール・スイトナー(指揮)
録音時期:1970年6月27-29日
録音場所:ドレスデン、ルカ教会
録音方式:ステレオ(セッション)
フリッチャイ盤が400円、スイトナー盤990円この僅かな差がステレオ録音代と思うと、どうしてもステレオ音声を聴きたい人にはこれが1番だろう。歌手陣とスイトナーのオペラ指揮者の力量が見事に調和した演奏だ。それにしても安いCDほど良い演奏が聴ける時代になった。
・モーツァルト:歌劇『魔笛』K.620 全2幕
バーバラ・ヘンドリックス(ソプラノ:パミーナ)
ウルリケ・シュタインスキ(ソプラノ:パパゲーナ)
ジューン・アンダーソン(ソプラノ:夜の女王)
ペトラ=マリア・シュニッツァー(ソプラノ:第一の侍女)
ジェリー・ハドリー(テノール:タミーノ)
ヘルムート・ヴィルトハーバー(テノール:モノスタトス)
ピーター・スヴェンソン(テノール:第一の僧侶、第一の武装した男)
トーマス・アレン(バリトン:パパゲーノ)
ロバート・ロイド(バス:ザラストロ)
ゴッドフリート・ホーニク(バス:弁者、第二の僧侶)
アラステア・マイルズ(バス:第二の武装した男)
ガブリエラ・シーマ(メゾ・ソプラノ:第二の侍女)
ユリア・ベルンハイマー(アルト:第三の侍女)
ダニエル・イソン(ボーイ・ソプラノ:第一の童子)
ナタン・ワッツ(ボーイ・ソプラノ:第二の童子)
ジョン・ドーソン(ボーイ・アルト:第三の童子)
スコットランド室内管弦楽団&合唱団
サー・チャールズ・マッケラス(指揮)
録音:1991年7月13-22日(デジタル)
これは拾い物の演奏だ、ブリリアントのモーツァルト生誕250年のシリーズで聴いたことのないオペラ「ニセのろま娘」をマイコレクションの穴埋めのために購入した時の抱合せだった。トーマス・アレンのパパゲーノは実演だったたらいただけないが、声だけならば聴けるし、ロバート・ロイドのワグナーとは一味違うザラストロの気品のある声も魅力で、録音の質が高いのも素晴らしい。これは5枚組で1600円、魔笛だけなら600円強だ。CDは価格の安さに演奏の良さが比例しているようだ。
魔笛はモーツァルトのオペラの中では、多面的な解釈がなされ、いろいろ言われているが、映画「アマデウス」で取り上げられたように、ポンテ3部作とは別の次元で「庶民による庶民のためのたのしいオペラ」と素直に解釈したい。その視点で改めて手持ちの「魔笛」を比較しながら聴いてみた。
*NHKプレミアムシアターの1991年の没後200年記念と2006年の生誕250年の記念ザルツブルグ音楽祭での魔笛比較
ザルツブルク音楽祭1991から
「歌劇“魔笛”~第1幕、第2幕~」 モーツァルト作曲
ルネ・パーペ
デオン・ファン・デア・ヴァルト
フランツ・グルントヘーパー
ヘルベルト・リッパート
ルチアーナ・セーラ
ルース・ツィーサク
インガ・ニールセン
イリス・ヴェルミオン
ヤード・ファン・ネス
エディット・シュミット・リーンバッハー
アントン・シャーリンガー
ハインツ・ツェドニク
ウォルフガング・シュミット
ハンス・フランツェン
テルツ少年合唱団員
(合唱)ウィーン国立歌劇場合唱団
(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(指揮)ゲオルク・ショルティ
~オーストリア ザルツブルク祝祭大劇場で収録~
<収録:1991年8月8日>
・モーツァルト:歌劇『魔笛』 K.620 全曲
ルネ・パーペ
ポール・グローヴズ
フランツ・グルントヘーバー
ディアナ・ダムラウ
ゲニア・キューマイアー
クリスティアン・ゲルハーエル、他
合唱:ウィーン国立歌劇場合唱団
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:リッカルド・ムーティ
演出:ピエール・オーディ
収録:2006年7,8月、ザルツブルク祝祭大劇場
音声:PCMステレオ/DTS 5.1
画面:カラー/ワイド(16:9)
これはザラストラ役が同じルネ・パーペだが15年の差は役柄からは断然ムーティ版が良い。それよりも舞台そのものが、田中泯のメルヘンあふれる世界が素晴らしい。ここでのムーティの流れる音楽も良い。ショルティの音楽は交通整理がうますぎて、聴き終わったあとが疲れを覚える。話題の夜の女王もダムラウが聴かせる250年の記念舞台に軍配を上げる。
*初めて聴いた全曲と初めて観た全曲
フリッツ・ヴンダーリヒ(テノール:タミーノ)
イヴリン・リアー(ソプラノ:パミーナ)
ロバータ・ピータース(ソプラノ:夜の女王)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン:パパゲーノ)
フランツ・クラス(バス:ザラストロ)
ハンス・ホッター(バス:弁者)
RIAS室内合唱団
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
カール・ベーム(指揮)
録音時期:1964年1月
録音場所:ベルリン
録音方式:ステレオ(セッション)
• 演奏者 : Lear, Evelyn (Soprano), Peters, Roberta (Soprano), Otto, Lisa (Soprano), Wunderlich, Fritz (Tenor), Fischer-Dieskau, Dietrich (Baritone), Crass, Franz (Bass), Hotter, Hans (Baritone)
• 指揮者 : Bohm, Karl
• 楽団 : Berlin Philharmonic Orchestra
時代: Classical 形式: Singspiel / Opera 作曲/編集場所: 1791, Vienna, Austria
言語: German 時間: : 録音場所: 1964, [Studio]
これは高校生の時に小遣いを貯めて買った初めてのオペラ全曲だった。1963年にベームがベルリンドイツオペラを率いてのフィガロの結婚の来日は日本中が大騒ぎになって(この時のLIVE CDは所有しているので機会を改め述べたい)その後に売りだされた「魔笛」はかの雑誌レコード**ではこぞって大激賞され、「これを聞かずんば、モーツァルティアンにあらず」と言わんばかりの音楽評論家の論調に洗脳され有り金をはたいて購入したのだ。1965年の5千円は現在に換算すればいかほどになるのだろう。
豪華な布張り装丁のボックスに解説書、対訳付きで演奏も今も優れており、ヴンダーリヒのタミーノは現在聴いても最高の出来と思うし、男性陣の歌唱力は素晴らしいが、旨すぎて格調がたかく、何か歌芝居の要素が消えているように今では思うが、とにかく当時はこれが最高のモーツァルトなんだ感激した。
・モーツァルト:歌劇『魔笛』K.620 全曲
ザラストロ…クルト・モル(バス)
タミーノ…フランシスコ・アライサ(テノール)
弁者…ヤン=ヘンドリック・ローテリング(バス)
夜の女王…エディタ・グルベローヴァ(ソプラノ)
パミーナ…ルチア・ポップ(ソプラノ)
パパゲーノ…ヴォルフガング・ブレンデル(バリトン)
パパゲーナ…グットラン・ジーベル(ソプラノ)
モノスタトス…ノルベルト・オルト(テノール)、他
バイエルン国立歌劇場合唱団
バイエルン国立歌劇場管弦楽団
指揮:ヴォルフガング・サヴァリッシュ
演出:アウグスト・エファーディング
制作:1983年 ミュンヘンUNITEL
160分 カラー
1987年頃だったと思うがパイオニアがCD-LDのコンパチブル機を発売したのを機会に、我が音楽ソフトがLPとVTRがから一気にCDとLDに変わった。それまでオペラはあまりLPで聴く機会がなかったが、映像と音の良さで、オペラにのめり込むきっかけになったLDだった。その意味からもオペラ全曲として初めて観たこの魔笛は感激した。(最初のLDでのオペラ全曲はフィガロの結婚だがこれはベームの指揮する音楽をバックにした映画だった。)今でも映像の魔笛では一番観る機会が多い。音楽、演技ともに歌芝居の雰囲気があり、演出もオーソドックスで、わかりやすく、クルト・モルのザラストラが素晴らしい。サバリシュの指揮も交通整理の行き届いた演奏で良い意味での教科書的な演奏だ。
*歴史的な名演奏のCDとDVD
歌劇『魔笛』全曲
タミーノ:エルンスト・ヘフリガー(T)
ザラストロ:ヨーゼフ・グラインドル(Bs)
夜の女王:リタ・シュトライヒ(S)
パミーナ:マリア・シュターダー(S)
パパゲーノ:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)
パパゲーナ:リザ・オットー(S)
モノスタトス:マルティン・ヴァンティン(T)
弁者:キム・ボルイ(Bs)、他
ベルリンRIAS室内合唱団
ベルリンRIAS交響楽団
フェレンツ・フリッチャイ(指揮)
録音:1954年[モノラル]
これはモーツァルトの4大オペラが10枚組CDセットに含まれるCDだ、これが1000円で買える時代に驚かされる。しかも10枚全てがある意味この時代の最高のキャストで演奏されているのには価格以上に驚かされる。フリッチャイのテンポの良い演奏にのり、歌手陣が最高の歌を聞かせてくれる。音はモノラルながら違和感はない。むしろ歌の良さに集中できる。
・モーツァルト:歌劇『魔笛』全曲(歌唱:ドイツ語)
ザラストロ:ハンス・ゾーティン
タミーノ:ニコライ・ゲッダ
パミーナ:エディット・マティス
パパゲーノ:ウィリアム・ウォークマン
夜の女王:クリスティナ・ドイテコム
弁者:ディートリ・フィッシャー=ディースカウ
モノスタトス:フランツ・グルントヘーバー、他
合唱:ハンブルク国立歌劇場合唱団
管弦楽:ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ホルスト・シュタイン
製作:ロルフ・リーバーマン
監督:ヨアヒム・ヘス
収録:1971年
収録時間:170分
画面:カラー、4:3
これは音楽と映像は別撮りの映画で、音はモノラル、映像は経年劣化とマイナス要素は多いが、マティスのパミーナを聴く(観る)だけでも価値がある。音楽はシュタインの棒でのハンブルグオペラだが、それこそ歌芝居の楽しさを名優(名歌手)がこれでもかと言わんばかりに聞かせてくれる。それを旨くカメラアングルが捉え、古さを感じさせずに全幕を閉じる。これは現在はやりと言うべきか悪しき流行と言うべきか、演出家の過剰解釈のオペラへの見事なまでのアンチテーゼでもある。
*その他の手持ちあれこれ
・モーツァルト:歌劇『魔笛』全曲
タミーノ:ヴィル・ハルトマン
パミーナ:ドロテア・レーシュマン
夜の女王:ディアーナ・ダムラウ
ザラストロ:フランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒ
パパゲーノ:サイモン・キーンリーサイド
パパゲーナ:アイリッシュ・タイナン
モノスタトス:エイドリアン・トンプソン
第一の侍女:ジリアン・ウェブスター
第二の侍女:クリスティーン・ライス
第三の侍女:イヴォンヌ・ハワード
弁者:トーマス・アレン
コヴェント・ガーデン王立歌劇場合唱団(合唱指揮:テリー・エドワーズ)
コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
指揮:コリン・デイヴィス
演出:デイヴィッド・マクヴィカー
振付:リア・ハウスマン
2003年1月27日 ロンドン、コヴェント・ガーデン王立歌劇場におけるライヴ収録
収録時間:全プログラム182分(本編162分)
画面:カラー、16:9、1080i
夜の女王のディアーナ・ダムラウをスターダムに押し上げた舞台だが、前者を観たあとではそれだけのこと。
・モーツァルト:歌劇『魔笛』全曲
夜の女王:シルヴィア・ゲスティ
ザラストロ:テオ・アダム
タミーノ:ペーター・シュライアー
パミーナ:ヘレン・ドナート
パパゲーノ:ギュンター・ライプ
パパゲーナ:レナータ・ホフ
弁者:ジークフリート・フォーゲル
モノスタトス:ハラルト・ノイキルヒ
第一の侍女:ハンネローレ・クーゼ
第二の侍女:ギーゼラ・シュレーター
第三の侍女:アンネリース・ブルマイスター
三人の少年:ドレスデン聖十字架合唱団員
ライプツィヒ放送合唱団
シュターツカペレ・ドレスデン
オトマール・スイトナー(指揮)
録音時期:1970年6月27-29日
録音場所:ドレスデン、ルカ教会
録音方式:ステレオ(セッション)
フリッチャイ盤が400円、スイトナー盤990円この僅かな差がステレオ録音代と思うと、どうしてもステレオ音声を聴きたい人にはこれが1番だろう。歌手陣とスイトナーのオペラ指揮者の力量が見事に調和した演奏だ。それにしても安いCDほど良い演奏が聴ける時代になった。
・モーツァルト:歌劇『魔笛』K.620 全2幕
バーバラ・ヘンドリックス(ソプラノ:パミーナ)
ウルリケ・シュタインスキ(ソプラノ:パパゲーナ)
ジューン・アンダーソン(ソプラノ:夜の女王)
ペトラ=マリア・シュニッツァー(ソプラノ:第一の侍女)
ジェリー・ハドリー(テノール:タミーノ)
ヘルムート・ヴィルトハーバー(テノール:モノスタトス)
ピーター・スヴェンソン(テノール:第一の僧侶、第一の武装した男)
トーマス・アレン(バリトン:パパゲーノ)
ロバート・ロイド(バス:ザラストロ)
ゴッドフリート・ホーニク(バス:弁者、第二の僧侶)
アラステア・マイルズ(バス:第二の武装した男)
ガブリエラ・シーマ(メゾ・ソプラノ:第二の侍女)
ユリア・ベルンハイマー(アルト:第三の侍女)
ダニエル・イソン(ボーイ・ソプラノ:第一の童子)
ナタン・ワッツ(ボーイ・ソプラノ:第二の童子)
ジョン・ドーソン(ボーイ・アルト:第三の童子)
スコットランド室内管弦楽団&合唱団
サー・チャールズ・マッケラス(指揮)
録音:1991年7月13-22日(デジタル)
これは拾い物の演奏だ、ブリリアントのモーツァルト生誕250年のシリーズで聴いたことのないオペラ「ニセのろま娘」をマイコレクションの穴埋めのために購入した時の抱合せだった。トーマス・アレンのパパゲーノは実演だったたらいただけないが、声だけならば聴けるし、ロバート・ロイドのワグナーとは一味違うザラストロの気品のある声も魅力で、録音の質が高いのも素晴らしい。これは5枚組で1600円、魔笛だけなら600円強だ。CDは価格の安さに演奏の良さが比例しているようだ。
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