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【新・関西笑談】世界で一つだけのパンを(3)(産経新聞)

2010-03-01 19:27:19 | 日記
 □「ブランジュリ タケウチ」 竹内久典さん

 ■子供のころの夢は「ケーキ屋」 毎日食べられるパン屋に転身したが…。

 --小さいころからパン屋さんになりたいと思っていたんですか

 竹内 最初は、ケーキ屋さんにあこがれていました。子供のころにテレビ番組で、ケーキ職人の1日を追っていて、それを見て、ああ、かっこいいなあと。中学を卒業したら高校には行かず就職しようと決め、自分で就職先のケーキ屋さんを探してきました。そしたら、親が「高校だけは出なさい」と猛反対。それで、定時制高校に通いながら昼間はケーキ屋で働くことにしました。

 --高校に通う時間も待っていられないほど、一刻も早くケーキ屋さんになりたかったんですか

 竹内 ほんとに職人にあこがれていましたからね。

 --実際働いてみて、どうでした?

 竹内 楽しかったです。毎日があっという間に過ぎていきました。学校に行くのもいやだと思うぐらい。とにかくずっと働いていたかった。

 --青春はケーキとともにあったんですね

 竹内 粉や卵から、ケーキができる。ほんとに魔法のように思えました。

 --そこまでほれ込んでいたケーキづくりから、なんでまたパンに?

 竹内 ちょうどバブルが崩壊し、客足も売り上げもぴたっ、と止まったんです。ところがケーキ屋の前のパン屋さんは、ずっとお客さんが並び、売れ続けていた。なんでかなあ、とずっと考えて、ケーキと違って、パンは毎日食べるものだから強いんやな、と。パン職人の先輩に相談したのですが、「おまえにパン屋が務まるわけがない」といわれました。

 --パン屋さんとケーキ屋さんて、親戚(しんせき)みたいなものじゃないんですか? そんなに違いますか

 竹内 ぼくも、そのときまでは、パン屋とケーキ屋は一緒や、と思ってました。材料も一緒やし。今までケーキを経験してきたから簡単や、と思って入ってみたのですが、大間違い。ほんとに、厳しくて。最初はつらいだけでした。

 --そんなに

 竹内 まず朝が早いでしょ。夜中に出勤して夜帰る、お日さまにあたるのは休みの日だけ。パンに合わせた毎日で。最初のころは、寝ていてもオーブンの音がしたような気がして「うわ、焦がした」と飛び起きたり。うなされました。修業時代は寝るのが怖かったです。

 --でもケーキ屋さんに戻ることもなかった

 竹内 意地になったんです(笑)。

 --大阪や神戸のお店で修業を重ねたんですね

 竹内 はい。そして24、5歳のころには独立したいと考えていました。「どこにもないパン屋をつくろう」と決めたのもそのころです。

 --しかし、どこにもないパン屋がどんなパン屋か、私には思い浮かべるのも難しいです

 竹内 ケーキのときは甘いものだけ作っていればよかった。でもパンは、お酒に合うものから甘いものまで、いろいろあります。それならば、サンドイッチならレストランに負けない具を挟みたい。甘いパンはケーキ屋さんに負けないものを。だからパン屋以外にもピッツェリア(ピザ専門店)や、ケーキ屋でも修業しました。その成果が形にできるようになったとき、「どこにもないぼくの店」を開きました。(聞き手 岸本佳子)

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