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あたし好きなもんは好きだし、強引に諦める術も知らない

『てるてる家族』13週 名前をくれてありがとう、そばにいてくれてありがとう

2016-07-09 14:03:55 | 朝ドラ
BSプレミアム・朝ドラアンコールにて再放送中、2003年BK制作の『てるてる家族』
13週目の、まとめようにもまとまらないネタバレ感想レビュー。



いろんな家族を描く作品だから、作品タイトルは『てるてる家族』。


※大変長めになっております。




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●1964年、東京五輪、カラーテレビ



1964年。東京オリンピック。

テレビの中のテレビの演出も慣れたもの、ですが。


おおカラーだ!!


「いや~ええお天気やわ。夏子がいてる東京の青空や」
「テレビの中の空も青かったんやな」


白黒テレビの時代には生まれてなかったからわからないけど、
白黒からカラーってのはそれくらいの「すごい変わった感!」はあるよね。
ケータイなんかもそうだったのはよく覚えています。


シャトー梅田リンク店、閑古鳥鳴き過ぎwww


一転して大盛り上がりのシャトー本店。



チャフラフスカ、三宅選手、東洋の魔女……
盛り上がる東京五輪。
視聴率85%って本当にお祭り状態だったんでしょうね。



●生き残ったこと



あらやだどうしたの工場長(´・ω・`)



工場長の生き別れた家族。
それは白黒写真。


何が本当かはわからない。
生きてるのか死んでるのかもわからない。


前半のオリンピックの華やかなカラー映像とは一転、工場長の気持ちはまだ戦後にいるような気がしました。



「死ぬなんてそんな事言わんといてください!」

戦争でわしが死んでたらよかったんだ、とつぶやくように言う工場長を叱る和ちゃんの言葉。

工場長を看病する和ちゃんは、賢作兄ちゃんを看取ったことで看病慣れしているんだろうな。
お酒はやめてくれと注意する姿もきっとそう。
きっと横で困った顔の政兄がいる。

桑原兄弟の四国での生活が、和ちゃんを透けて見えてくる。




●工場長の荷物


工場長とその家族について、照子と春男に尋ねる冬子。


「お母ちゃんはいろんな人助けてきたからイチイチ覚えてられへん」

照子おいwww


照子は「ああスカウトしてきたかも」と続けます。
スカウト?
闇市でスカウトって……
あ、それ多分勝手に荷物つかんで引きずって、工場長は単に追いかけてきたんだよねwww



思わず笑ってしまうやりとりですが、「少ない荷物」に象徴されることが悲しい。

復員して焼け野原。
闇市。
家族はどこに行ったか分からない。

荷物は減ってしまったけれど、哀しみや寂しさを背負ってた。
それは照子が引きずって放り投げられるものではなかったんだろうなあと。




●独立、転職


給食委託販売が取引中止になってしまった岩田製パンは、軽い経営難。
確かに照子の数えてる札の数減ってる。

そんなとき、突然退職を願い出たのが喜介でした。



喜介さん、文房具……
焼きたてパン……
コーヒー……

文房具カフェ……

いける気がする!!(何が




もう一人。
工場長も退職を申し出ました。
まあ確かに専門学校の先生だったらそっちのほうが安パイな感あるけど。

ここで気になるのが和ちゃん。
喜介さんが独立したいって話してるときは和ちゃん手止めてないしチラ見してる程度。
工場長のときは手止めてガン見。

工場長、きっと和ちゃんに色々話したんだろなあと。
そのあとの洗濯機のシーンの間の取り方がまた和ちゃんらしいというか。




●おおローリー、ああローリー


冬子は冬子で宝塚受験に向けてのレッスン頑張ってます。
勢いで宣言しちまったもんな!!



冬ちゃん自分で感激してますけどね。
わかりませんよ。
視聴者にはわからない映像の作り。



そのあとローリーんちで発声練習。
最初はパパラッチしていたローリーも少し飽きたようで、合いの手にはあくび。




がしかし。
冬子から「相談がある」って言われて飛び上がって喜ぶローリー!

でも力になれなくて…… (´・ω・`)



そしたら「そういえば和ちゃん良いこと言ってた」
って和ちゃんの名前出された途端に
「待て待て待て待て」とガタガタって。

ローリー、和ちゃんへのジェラシーなのwww
やだローリー超可愛いwww



ローリーの笑顔と冬子の塩対応がしみて涙が出そう



●懐かしの黒電話


東京の斉藤さん(夏子の下宿先)から電話かかってきた。
テレビの仕事は決まらないが舞台の脇役が決まったとのこと。



ゴチャゴチャすぎてよくわからない電話コントよwww
まあここんちみんな自由だけど、ヨネばーちゃんが超満面の笑みだからなんだか暖かいなあって。

「電話代はあちらさん持ちなんやから慌てんでもええ」

照子の精神見習いたい。



●炎上ハガキ職人




今は辛抱の時! by UMA

喜介も工場長も、岩田製パンのことを思って離れることを選ぼうとしていて。
春男さんも引き留めようとはしなくて。
冬子は一心に知恵を絞って。
バラバラにならないようにみんな踏ん張ってる辛抱の時。


そして真のヒロイン・冬子。
『工場長のために』って朝ドラヒロイン特有のお節介精神が出てきて、ハガキ職人を目指すことに。



歴代朝ドラに毎度おなじみの『お節介炎上案件』なのですが、今回はなんとまあラジオ放送に個人情報垂れ流し。
さすがにこれには神妙な顔つきの秋子、和ちゃん。

 
「工場長、このこと知ってんの?」
「工場長はそれで喜ぶんかな…?」


それぞれ大人な反応見せる中、この人だけは……。


「僕のアドバイスが届いたんやな~!」

もうほんとローリーがんばれ。

成長した和ちゃんや秋子に比べて、冬子の幼さが際立った炎上案件。

しかしこれ、冬子が中学生だから笑って見られる気がします。
もしいい大人が同じことをしたらばそりゃあかん気がする。




●大人がいると言うこと


しかし、いくらの中学生でも勝手に個人情報漏えいはいけないこと。


「冬子…なんでおまえ勝手にやった?」

春男さんがストップかけたのも『心温まる作り』。
誰がどう暴走しても、こういう人がいれば安心できるもんなんだよね。
春男さんらの『大人』の存在って大事。


でも冬子は解せぬようで……


「なんで自分の家族に会うのにそんなに遠慮せんとあかんの?」
「なんで写真ばっかり見てなあかんの?」
「向こうはこっちの場所分かってるからまた連絡してきはるはずや。破っても無駄やわ」


暴走冬子も工場長のことを思っての行動、でも気持ちの通じない辛さよ。
明るい家族の中で育ったからこそ葛藤するんだろな。


そんなことを後ろの喜介さんが物語ってるような気もする。




●『ほんまのこと』



「もう二度と余計なことせんといてくれ。頼むわ。」

工場長は怒りを露わにしつつ背を向け、冬子は「本当は会いたいんだろう!嘘をつくな!」と声を荒げ。

そこに春男さん。


「ほんまに怖いのは…向こうに迷惑かけることや」
「ほんまのことだけではな…生きるのが辛い言う事もあるねんで」


『ほんま』が怖い。
『ほんま』が正しいとは限らない。
『ほんま』に誰かを思った行動でも、通じないときはある。


優しく諭すお父ちゃんながらも、憮然とした表情の冬子。
冬子は、幸せ者だなあって。


中学生くらいってこれくらいまっすぐなもんだよね。
まだ世の中の汚いことを知る前。



「ほんましゃあないなあ、冬子は」

普段は暴走サイドの照子もまた優しい大人の1人だなあと。
お商売や習い事が絡んでたら暴走しちゃうけど、人のこととなると……

そんな照子に母親味やら人間味やら感じた。
誰だって「なぜかこの話になるとつい熱が入りすぎてしまって」というのは存在する。

で、そんな照子のDNAを色濃く受け継いだのが冬子なのだなと。



●連続ドラマは引きが重要です


照子と春男に去ることを告げ、喜介と和ちゃんに一言だけ声をかけて去っていく工場長。
工場長が池田を去ろうとしたその時、シャトーの店頭に一人の女性が現れて……



どうなるどうなる、って思ったらドリフ状態www

しかも引きのナレ―ション。

「誰もまだ知りませんでした。工場長の家族はもうそこまで近づいていたのでした」


サスペンスかよwww



●工場長と家族


体を張って工場長を止める照子が言います。


「今行かせるわけにはいかへんわ!今工場長に行かれてしもたら冬子はどないなんの。
 あの子…どんだけ傷つくか分からへん。どんだけ自分を責めるか分からへん」

親としていたたまれない。
せめて冬子に会って話をしてから、と説得する照子。

照子も人の親だったんだな(今までなんだと思ってたの)




そしてこのやりとりを『女性』は見ている。(多分照子の声はでかいから聞こえてる)
自分の父・工場長が岩田製パン(岩田家)で愛されていることを知るんでしょうね。




●『てるてる家族』における戦争


工場長(大平辰造)の娘・知香子であると明かしたその女性。



自宅で偶然ラジオを聴いていたら、冬子の投稿が読まれて。
居ても立っても居られなくなって池田まで来たという。


しかし、工場長の記憶はないと。

25歳の20年前じゃ、記憶には残ってはいないよね。
名前と仕事は聞いていたけど、写真という記録も全部焼けてしまった。
工場長の荷物が減ってしまったように。


 
「私はあなたを思い出すことができへんのです」
「ええんです、それで…」


短いやりとりに戦争のむごさを感じました。





●『正式に』



「母は純粋に、他の人を好きになってあなたから逃げたんです」

焼け跡を彷徨っていたときに出会った幼馴染に救ってもらった。
その人がいなかったら飢え死にしてた。
養ってくれて大学まで行かせてくれた。
知香子さんの母が純粋に好きになったその幼馴染は、工場長にとっての「照子」なんだろうな。

「この人で一本作れそうなんだけど」と思いつつ。
そういう時代だったんだなあとも思いつつ。



「母と…正式に別れてほしいんです」
「その人と母を正式な夫婦にしてあげたいんです」


知香子さんの願いも真っ当なもの
『正式』な話が『ほんまのこと/正論』。


昨日の回を思い返せば、それを受け入れたくないかのような工場長の背中に、改めて切ない人間味を感じる。



●『そんなこと』


そこにおそらく立ち聞き盗み聞きしてたのであろう面々が飛び込んできます。
喜介が「工場長の気持ち考えろ」と怒るのです、工場長はゆっくりと知香子さんに話しました。

 
「何や…そんな事ですか」
「何やそんな事ですか…」
「そんな事気にせんといてください」




って、工場長それ全然「そんな事」じゃないじゃんって。
知香子さんもそんな事じゃないって気づいてるんじゃん。





●あなたのくれた名前が好きでした。


後日離婚届を郵送する旨を伝えた知香子。
しかし照子が呼び止めます。


「それだけ…?ほんまにそれだけ…?」

知香子さんは振り返って、工場長に言いました。




「あなたの付けてくれた名前…知る香りの子って書いて知香子って名前。私、子供のころから好きでした」
「ええ名前…ありがとうございました」


いくら物心なくても。
いくら戦後の混乱していた時期でも。
いくらそのまま生き別れても。


親が子供に唯一あげられる『名前』にありがとうって。
目ぇ真っ赤にしてありがとうって。


若き日の工場長、人生の美味しい香りを知っておきたいって思いで名付けたのかな。
照子が呼び止めてくれてよかったよ。



●感情の爆発



「大将…わしの娘が…学校の先生になってましてん…!」
「わしの娘が…学校の先生してますねん」


子供のように喜ぶ工場長が愛おしくて愛おしくて。

世の中は花形の職業だけじゃない。
春子や夏子の花形職業、もちろんそこに努力があるのは判ってるんだけど。
それにも何にも負けない、立派な立派な学校の先生。自慢の娘。

 

感情を隠すことができなかった工場長と冬子の本気泣き。

「私は悲しかったのではなく、うれしかったのでもなくただ泣いていました。ただ…涙か出ました」


短い、静かなナレーションがグッと刺さります。
感情が爆発したんだなと。




●姉妹それぞれ


少し落ち込む冬子に、秋子と春子が声をかけました。


「どんなに離れてても家族は家族や。自慢の娘さんや」

春子の言葉は夏子にも届いてそうだな。


「やっと家族に巡り会えてん。冬ちゃんのおかげやんか」

家族に巡り合えた。
米原さんのことが脳裏をよぎってるのかな。

いずれにしても姉妹それぞれ『らしい』励まし方がとてもステキ。





●クリスマスの奇跡



クリスマスのプレゼントは二つ。



1つは知香子さんからの手紙。


その中に離婚届が入っているかと思うと少し切ないんだけど。
前を向いていこうとする工場長の横顔に励まされます。

工場長の戦後は終わったのだなあ、と。




もう一つは夏子からの電話。
耳を澄ましてるばーちゃん


大平母娘を救った幼馴染のがいるように、新しい家族がいるように。

工場長にも、スカウトした照子がいて、岩田家という家族がいて。

東京で暮らす夏子も、声をかけた斎藤さんがいて、斎藤一家がいて。

今は離れているけれど、戸籍では離れてしまうけれど、でもそれはつながっていて。

そんな暖かいクリスマス。


……。

………。


ところで照子、なんで照子までコスしてんwww





●横綱


売れ残りのケーキが朝から食卓に出されて
「もう食べられない」、「見るのも嫌や」と秋子冬子。
ケーキ屋の子どもがケーキ嫌いなのを何となく察した。


「昨日安売りしてそれでも売れ残ったケーキや」
「最後まで残った残った、クリスマス場所優勝や」
「これ食べたらな人生勝ち残れるかもわからへんで」


春男はなんかよくわからない縁起のの良さをアピールするのですが

「そんなもん娘に食べさせたら、えらいこっちゃ」

ヨネばあちゃんの言う通りだwww
で、弘子姉ちゃんに薦めたら睨まれるっていう。




●秋子と冬子の東京物語


そのとき、『岩田家の横綱・照子』が起きてきて。
秋子と冬子に東京観光を持ちかけました。


「わあ~!東京や!」
「東京タワー行ってみたいなあ!」
「神田の古本屋街にも行ってみたいわあ!」


冬子は冬子らしく、秋子は秋子らしく喜ぶ2人。
事後報告の春男さんはすねちゃって。
春子は留守番、になるのですが。

「夏ちゃんが向こうで頑張ってんねんもん。私はこっちで頑張るだけや」


春子と夏子の関係性いいな。
2人とも子役の時から姉妹でありプロ仲間であり戦友でもあるんですよね。。




●いつも楽しそうな大将



和ちゃんと冬子。



最近は仕事にも慣れてきて、パン作りが楽しいと話す和ちゃん
あれ、でも和ちゃんは自動車造りをしたいんじゃなかったっけ?と冬子。

パンがいいのか、車がいいのか、それはわからないけれど。
でも一つだけ確かなことが一つ。



「でも大将も楽しそうや!」

パンを作っている人が身近にいる。
その人がとても楽しそう。
その家族がとても楽しそう。

思わずハッとする冬子の表情が印象的でした。




●ザ・枝豆



和ちゃんと冬子の話題に上がった新幹線から……



新幹線ワープ!!
こういうワープの使い方いいな!!


東京タワー観光も神田古書街観光も、夏子の舞台も端折って。
夏子の楽屋へ。
7週で夏子が梅田グランド劇場にデビューしたときと同じです。


そこへやってきたのが青田プロダクションの社長。


「どうだい?美人トリオなんていけるんじゃない?」
「ザ・ピーナッツが2人だから、3人なら……」


「あっ!ザ・枝豆?」

たけし軍団かよwww




●ビフテキよりてるてるパン


東京の夜。



ビフテキに喜ぶ冬子たち、ですが照子は夏子をじっと見ていて……
「なんや久しぶりに夏子の舞台見たら胸がいっぱいになってしもて」と。


おもむろに、夏子にてるてるパンを渡す冬子。
それを美味しそうに、美味しそうに食べる夏子。

豪華なビフテキより東京のパンよりも。
故郷の、家族の作ったパンを食べたい。


11週。夏子が上京する前、西山Dに酒種アンパンを差し出す春男を思い出しました。


嬉しさの中に、少しだけ『寂しげ』がありそうな夏子の表情。
まだ17歳かそこらだもの。
そりゃあいくら歌があったとしても寂しいよ。


夏子を演じる上原多香子さんだって当時まだそれくらい。
故郷の沖縄を出て大阪での撮影。

多香子ちゃんだけじゃない。
石原さん、上野さん。
それから照子の中の浅野ゆう子さんも、10代の頃から活躍していた俳優さん。

ドラマの内容そのものもじんわりくるのですが、
演じている方の思いを考えると、少し切なくなります。


夏子のような方、芸能界にはたくさんいるんでしょう。


「東京で初めて過ごす安らぎのひとときでした。夏子姉ちゃんと一緒にいつまでも喋っていたいと思いました」

語り掛けるような冬子のナレーションが優しい。



●お母ちゃんがいてへんから



夏子が照子に何か話ができるように、と早く寝るよう冬子に話しておく秋子。


「そやから今夜ははよ2人だけにしてあげよ」

気遣いのできる子・秋子。

秋子と冬子が、照子と夏子に背中を向けて寝たふりをしていると。
照子がおもむろに夏子に「東京で何か困ってることあらへんか?」と話し始めます。


「お母ちゃんが…いてへんことや」

照子に、母に、家族にそばにいてほしい。
でもそばにいないからこそ頑張れる。
そばにいないからこそ、今度会ったときたくさん褒めてもらえるように、と頑張れる。
そうやって頑張っている。



「夏子は偉い。天才や。日本一や」

照子の目に浮かぶ涙。

思えば、胸がいっぱいでビフテキが食べられないと言っていた照子。

照子が劇場で観たのは、親元を離れて暮らして、標準語も上手になって。
成長した夏子の姿だったのでしょう。


照子の中にはもしかしたら、工場長が見た知香子さんがいたのかもしれない。
成長した娘に、涙を流して喜ぶ父の姿。
東京と大阪で離れているけれどこうして会える、喜び。
簡単に会いに行ける距離ではない、辛さ。

いろんな感情が同居している照子の表情だなあと思いました。




●何が大事なのか。



夏子の舞台の様子は描かれていません。
東京観光で秋子冬子がはしゃぐ姿も描かれていません。

第77回の15分間。
描かれたのは、てるてるパンを美味しそうに食べる夏子と、気を遣う秋子冬子。
それから布団の中で、関西弁で夏子と母・照子が語らうシーン。


「翌日私たちは、夏子姉ちゃんが劇場にいくのを見送ってから大阪に帰りました。別れ際の夏子姉ちゃんはもう東京の言葉に戻っていました」


新幹線の中のシーンより、夏子の楽屋のシーン。
秋子冬子が東京ではしゃぐシーンより、親子で食事をするシーン。
夏子の舞台稽古そのもののシーンより、母と娘が再会して語り合うシーン。

それはまるで『東京の高級なビフテキとパンより、家族の作った手作りパン』のようで。


何が大事なのか、何を伝えたいのか。
そのためには何を端折って何を映すのか。
製作陣の真剣な姿勢にぐっときました。





●てるてるパンとイースト隊



やだてるてるパンかわいい。

春夏秋冬の味の違いとか美味しそうだし、それ流行るよ喜介さん!
うんうん、芋感大事!
喜介さん才能あるって!

喜介さんが岩田製パンを去る日。
14年間分の感謝を、新作てるてるパンと『イースト菌の歌』に込めて。



──おいらは町のイースト菌 みんなが寝てる間にせっせと働く
──小麦のあの娘に恋をして 汗水たらして一緒に添い寝
──あの娘の幸せ膨らめば おいらは黙って消えるのさ
──バイバイキン バイバイキン バイ菌とちゃう
──おいらはあくまでイーストよ


ほぼ無名時代の石原さとみと上野樹里と錦戸亮っていう。




●春子の未来へ


久しぶりの稲本先生のスケート指導。



もう黒のコートが美しくてですね。

稲本先生に限らず、照子の髪型やそれぞれの姉妹の衣装。
個性があって、似合ってて、それでおしゃれっていう。



「他の子みたいにお金持ちの子だったら春子は違ったかもしれない」と呟く照子。
しかし「逆境だからこそ頑張れるのが春子の才能だ」と田中くん。
無能なんて言っててごめんね。

春子、次のオリンピックの時には22歳。
選手としてのピークはそこに来る。



「がんばれ!大阪人!」

稲本先生の励ましが力強く感じました。




●それぞれの大晦日




おせち料理の準備をするのは弘子姉ちゃんとヨネばあちゃん。
相変わらず冬子はつまみ食いをする大晦日。

泥棒猫www



猫繋がりで松本のおじさん。
それにしても本屋が隣にある環境って羨ましい。


「人は別れを惜しむから出会いに切なさを憶えるんやろな」

何やら哲学の秋子。



宝塚受験に不安を抱く冬子。
私受かると思う?と和ちゃんに尋ねる冬子。


「人が思ててもしゃあないやん。冬ちゃんが受かるって思ってんのやったら僕も一緒にそう思う。だからそんな事もう人に聞かんとき」

和ちゃん大人だな。

というか冬子が幼いのか。
工場長の一件と言い、冬子の幼さと和ちゃんの成長がクローズアップされた1週間だったのかもしれない。


和ちゃんは優しい子。
和ちゃんは人より早く大人にならざるをえなかった。
子役週から時間をかけて描かれた『和ちゃん』像そのまんま。
演じる錦戸さんもさすが。



たまには褒めてほしい冬子。
そのためにいるのがローリーなんだろな。
(よかったね、ローリー)




みんなで騒ぎながら観る紅白歌合戦。


1人で静かに見つめる紅白歌合戦。


夫婦で語らいながら聞く除夜の鐘。


そうして昭和39年の幕が閉じていきます。
今まもなく始まる昭和40年に願いを託す冬子。


「これからの人生にきっと青空がありますように。来年もきっと天気になーれ」



●最終回じゃないよ


最終回っぽかったけど最終回じゃないよ。
(年末年始を挟んでるのでこうなってるだけ)

で、年明け週は……


冬子、また謎の踊り。









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