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『真田丸』49回「前夜」 ひとつだけ確かなこと

2016-12-13 11:24:45 | 大河
2016年大河『真田丸』49話「前夜」のざっくりあらすじ&ネタバレ感想のようなものまとめ。


「世の中は大きく変わろうとしているのに、あの山や空はいつも同じだ」




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■稲様は知らない、信之は長生きすることを。


最終決戦が刻々と近づく中、大坂行きを決意する信之。
信之からその話を聞いた稲とおこうちゃん。

「行かせてあげてください。旦那様に悔いなき生き方をして頂くのが私たちの務め」
「分かっておる!」


稲様もおこうちゃんも、信之の思いはハナから分かっていました。

しかし信之が会う相手は真田左衛門佐幸村、豊臣方の大将。
バレてしまっては、いくら弟とはいえ内通を疑われても仕方がない。
運が悪かったら打首、ここまで守ってきた真田の家が潰されれてしまう。
道中くれぐれも気を付けること、真田の者だと分かるものは一切身につけないこと。

稲は最後に涙目で言いました。


「そして、必ず…生きて帰ってきてくださいませ」

なんだかなあ。
ジンワリきちゃったなあ、信之の物語。
そうだよ、ここで信之が生きて帰らなかったら、元も子もないんだよ。

稲様も気が気じゃないんでしょう。
「生きて帰ってください」なんてフラグみたいだから、心配だけど。


いや、でもお兄ちゃん長生きするから問題ないかー!
とは言ってみるものの、それはそれで残酷なのかもしれない場合もあり…



■松姉様のミラクルパワーを信じたい


続いて松姉ちゃん。

「いずれまた、姉弟3人でお茶でも飲みながら昔話に花を咲かせましょう」



明るく笑いながらとぼける姿は、在りし日のばば様によく似ています。
思えば松姉ちゃん、ひとりだけ『カラーが違う感じ』を漂わせていました。



25回『別離』で、記憶喪失を乗り越えて、マイダーリンと再会したときとか。
「弟たちが大変な時にこの人は何してんだ」と笑いたくなるコント要員でしたが、今にして思えば懐かしい。


松姉ちゃんが
「大丈夫!きっとそんな日が来ます!」
「松が言うのだから間違いありません!」
と言うと、姉ちゃんのミラクルパワーを信じたくなります。




■こうちゃん、ごめんね


旅支度を整える信之に、おこうちゃんは六文銭を手渡しました。



「道中、ご無事で」と笑うおこうちゃん。
稲様や松姉ちゃんとは違う優しい力強さにホッとします。

源次郎の祝言ん時「死霊の踊りwww」とか言っててごめんなさいいぃぃ…



■シエ様、っょぃ


そのころ。徳川方、秀忠の陣には、星野源の日曜の嫁。


「勝てます!きっと勝てる!」

わかっちゃいたがお江さん、強いww


「千が危ない目に遭うことはございませんね?」と千姫の安全を確認するんすが、もう秀頼と茶々のことには触れないんですね。
うーん強い嫁さんだ。

お江さん、片手で数えられる程度の登場回数なのに、やけに印象に残ってます。
というよりオープニングのクレジットに新妻さんの名前が出てくると「来るか」と身構える感じでしょうか。




■大蔵卿局の宝物


前回出ていた岡山と茶臼山をつなぐ要害、なのですが。
堀が掘り返されたりしているうちに、完成の見込みは立たなくなってしまいました。
あれが出来たがっていれば、大坂城で敵を迎え撃つことができたんだけど、もうどうしようもない。

「どうする?伏見城にいく?秀頼公はどうする?えっどう以下略」
っていういつもの軍議的なアレをしていると、ごとべえ&勝永様から新しい案が提案されました。



敵が攻めてくるのはおそらく南側から。
ならば天王寺に進めて迎え撃つ。
背後の東が心配だけど、平野川の堰を切って、一帯を沼地にしておけばいい。

準備に取り掛かろうとする幸村を呼び止めたのは大蔵卿局でした。


「全ては豊臣家の御為。茶々様と秀頼公をお守りするのが私の役目。言葉がきついのは性分です」

茶々と秀頼の物語は、大蔵卿局の物語。
強い口調も、宝物を守るための武器だったのでしょう。



「ただし…牢人は大っ嫌いじゃ!」

まあ…
イカつい求職者10万人が「仕事くれ」だの「正社員にして」だの騒いでる仁義なきハローワーク豊臣を思うとねえ…… (´・ω・`)



■大坂夏の陣


秀頼の元に、徳川方からの最後通牒が手渡されました。
大和郡山城に移れば兵を退ける、ただし牢人たちを連れていくのは許さない。


「徳川とはこれにて手切れと致す」

4月29日。
大野治房勢と徳川方の浅野勢が衝突、大坂夏の陣がここにはじまりました
真っ先に斬り込んだのは塙団右衛門。


「わしは大名になる。なってみせる」

しかし頭に銃弾を食らってしまい、木札も…

ああ…塙団右衛門……
ぱんだえもんらしい死に様だったよ、ぱんだえもん…

あの綺麗な嫁さん悲しんじゃうんだろうなあ(号泣


大坂城に帰ってきた塙団右衛門。
騒然とする一同の中に、淀殿がやってきます。
「あんたいいかげんにしなさいよ!空気読みなさいよ!」ってきりちゃんは制止するんですが、


「いずれは皆もこの者の横に並ぶのですか?」

血の匂い察知してくるの、前世は鮫なの?ジョーズなの?




■サド死


徳川方で暗躍するこの人。
ごとべえを今のうちに潰しておこう、と調略を仕掛けます。

当然ながらごとべえはスルーするのですが、大事なのは『又兵衛が徳川の使者に会った』という事実。
調略に乗ったと噂を流してしまえば、躍起になって自滅してくれるだろう、と。


「はい、これにて又兵衛の命運は尽き申した」

サド死こええ…。

『あさが来た』や『ごちそうさん』ではあんなに温かい正吉さん&正蔵さん役なのに、サドになるとこええ…。



■黙れ小童


さて、信之。
信吉、信政の陣に到着しました。
三十郎や綱家さん、茂誠さんらに「どうにかして源次郎に会いたい」って相談すると、ちょうどよく信尹おじさんが行くところだっていう話。


叔”父”上”こ”ん”に”ち”わ”!”!”!”!”!”!”


あっスルメ守!!
最近『ゲソの極み』って呼ばれてるスルメ守平野さん!!


と、ここで叔父上&信之の前に現れたのが……


おお、室賀ジュニアだ。

叔父上が名乗った真田の名前にピンと来た室賀ジュニア。
「真田と言えば真田安房守」と気づきました。

 
「通すわけにはいかぬ。我が父、室賀正武は真田安房守の罠にはまり…」
「黙れ小童ァァァ!!!」

「すいません…」


(お兄ちゃんに寄せてたのが面白かったwww)

ここで室賀ジュニアってのがまたアツい。
室賀さんが亡くなったのは源次郎の祝言が行われた第11回

武田が滅びても織田が滅びても、豊臣が滅びかけても、それでも生き残っている室賀の血。
真田安房守と室賀正武、お互いに「面白いけど顔が気に入らない」と言わしめていた2人。

 
第9回「駆引」より。

第11回で描かれた、室賀さんの死に様を考えると、前述の塙団右衛門のそれに近いと思います。
昌幸と互角に張り合うほどに策を巡らせ、昌幸の首を手にかけようとするも、出浦様と内記の返り討ちに遭って命を落とした。
あのとき室賀さんの流れる血に「汚しが本気だ」と、一気に作品世界に魅了されたのはよく覚えています。

「全ては真田のためじゃ」と昌幸に言わしめた、室賀さんの死。
それは広義の暗殺ではなく、単純に「昌幸が罠に嵌めた」で片付けられる死ではなかった。




その室賀さんが絶命する瞬間をまざまざと見ていた信之。
「わしの前にはいつもお主がいた。だがわしは人として武士として、お主に劣ったと思ったことは一度もない」
と言っていた室賀正武のことを思い出していたのかもしれません。






■あの犬伏をもう一度


幸村は厨で叔父上、信之に会います。

家康の再三の意向を伝えたあと、このままでは勝ち目がないことを話す叔父上。
「兄上が終生望んでいた信濃の国主になれるのだぞ」と言うも、決して首を縦には振らない幸村。
その様子を見て信之は口を開きました。

「源次郎は死ぬつもりなのです。しかも大御所様を道連れに」

それは買い被りだ、いくらなんでもそれはない、と幸村。

刃向かいたいなら刃向かえばいい、ひれ伏したくないなら降れ付さなければいい。
だが死んでしまってはならない。
捕まったっていい、また助けてみせる。
必ず赦免を勝ち取ってみせる。


信之は口調を荒げて言うのですが、幸村は動きませんでした。


「そしてまた14年」

あの九度山の14年間で、それまでの真田源次郎信繁は死んだ。
幸村として大坂城に入った。


信之の言う「助ける」つまり「死なせない」は、『幸村』にとっては「死に等しい」という残酷な事実。
死を覚悟に決戦か、蟄居の生活か。
『幸村』が選ぶのは前者。



「決してお前を死なせはせん!それがわしの使命だからだ」
「あのときわしはお前と父上と3人で誓った。またいつか、晴れて酒をくみかわそうと。父上はもうおられぬが、わしはまだその約束を果たすつもりでいる。それを言いに来た」


犬伏の約束。(→35回『犬伏』
いつか親子3人で笑い合いながら韓信を語ったあの日のように。
親子3人でひざを突き合わして語り合う日のために。
全ては真田のために。


「では今ここで──」と幸村が言いかけるも、信之は腰をあげました。
背中を向けて帰ろうとする信之を止めたのは、『源次郎』でした


「兄上と酒を酌み交わしとうございます!」



「これは今生の別れではない」と、源次郎を振り返ることなく信之は去りました。




■生きたいように生きればいい


全ては真田のために。

この場にもうひとり、真田のために生きてきた人がいました。
「叔父上のようになりたい」と笑顔で話し、上杉にまでついてきた甥っ子。

 
8回「調略」

春日信達を見つめる甥っ子のまっすぐな目線に「わしのようにはなるな」と言っていた叔父上。



あのまっすぐだった甥っ子はいつしか真田幸村となった。
でもその内側は、あの頃と変わらぬ真田兄弟の弟・真田源次郎信繁だった。


「生きたいように生きればいい」

先の読めない乱世を、必死で生き抜いてきた甥っ子。
張り詰めたその頬を優しく包む手のひらがとても暖かく、少し寂しく印象に残りました。



■わしがそうありたいと願っていた人生


信之と幸村が酒を酌み交わすことなく更けた夜、上杉景勝と家康が酒を酌み交わしていました。


「北条の隠居も真田安房守も死んでしもうた。あとは我らだけ。生き残ったな」

家康は『この戦』をはじめた意味を話し始めます。

「今のわしがあるのは、太閤殿下のおかげじゃ。しかしわしは豊臣を滅ぼす。秀頼公があそこにおっては徳川のためにならんのじゃ。それゆえの戦と思うてくれ」

この戦をしている理由を、上杉景勝には分かってほしかった。
小田原城で北条氏政を説得していた様子が目に浮かびます。


24回「滅亡」

互いにしのぎを削ってきた東国の大名。
あれから時間が経って、安房守も北条氏政も死んでしまった。

しかし景勝は、
「この戦に大義がないことが気になるからではござらぬか」
と家康を一瞥。
目を伏せながら続けます。


「先の戦で真田源次郎の姿を見ました。あの男はわしがそうありたいと願っていた人生を……生きておる」

あの冬の日、日の本一の兵を見た。
その赤備えは真田左衛門佐だった。

45回「完封」

「親子揃って盾突いてくる」と漏らす家康に、ようやくクスッと笑う景勝様。

そうだ、家康はそういう男だった。

ここにきて序盤に描かれていた家康の『人間味』が改めて描かれます。
豊臣を滅ぼすと言い切った秀忠に「恐ろしい男よ」とびびっていました。


 

『真田丸』において第5回『伊賀越え』でも、第31回「終焉」でも、ことごとく『人間らしい武将』の姿が描かれてきた徳川家康。
関ヶ原・大坂の陣編に入って『戦国の覇者』としてのゲスい側面が印象に残っていますが、根っこはあくまでも『徳川家康』。


その家康が人間らしく描かれれば描かれるほど、ひたひたと感じる終わりのとき。

豊臣は、徳川という生きている人間に滅ぼされる。



幸村は生きている人間たちに負ける。
思いを持っている人間たちに負ける。


38回「昌幸」で、昌幸が遺した言葉が脳裏をよぎりました。




■調略


5月5日。
道明寺の戦いを翌日に控えた又兵衛たちです。

幸村は出陣を控えている又兵衛に、小耳にはさんだ噂の話をしました。
(サド守の調略のやつ)

「悪い噂を立てられたからと言って捨て鉢にならぬこと。手柄を焦ってはならぬ」
「戦は心が乱れた方が負けだ」


そういうフラグめいたこと言うんじゃないよ。

幸村と又兵衛が家康から誘われたのに自分は誘われてない!ってプンスカしてる勝永様はさておき。
又兵衛の陣に木村重成もやってきました。


「後藤様には色々と学ばせていただきました。お会いできて光栄でした」

だから重成さんも、そういうフラグ立てんじゃねえよぉ。



「戦の前にそういうこと言うとな、必ずどっちかが死ぬっつうのがお決まりなんだよ」

本人がぶっちぎりのフラグ突きさしてんじゃねえか!!!

(しかし勝頼様からはじまり、みんなしてフラグ刺していたな…)



■後藤又兵衛


道明寺の戦いがはじまります。
幸村を待たず、明石の制止も振り切った又兵衛。



多勢を相手に戦いましたが、徳川勢が猛反撃。
討ち死にしました。

「後藤又兵衛殿、討ち死に」

秀頼の凍り付く表情。
後藤又兵衛が死んでそこで気付く滅亡の予感。



又兵衛の兜が帰ってきました。

忍城の戦いを思い出します。
北条の血の付いていない兜。


24回「滅亡」
あのとき昌幸は三成に、
「戦に勝つというのは人の心を制すことにござる」
と、成田氏の北条に対する忠義を利用すればいいと言っていました。

成田氏の心が昌幸に利用されたように、又兵衛の心は正信に利用されたのかもしれません。
でも、それも含めて何だかかっこよかったなあ、ごとべえの兄貴。


ところで、徳川勢を率いているのは誰なんだ?と幸村。


「大和路の徳川勢を率いているのは?」
「ずんだ」




■生き延びよ


又兵衛がフラグ通りになってしまった。
もうひとり、フラグを刺していた人がいました。


「ここを通してしまっては道明寺の後藤殿が逃げ場を失う。攻めましょう!」

木村重成、又兵衛の敗走をまだ知りません。
ここで徳川勢を通してしまっては、道明寺の又兵衛たちが逃げ場を失ってしまう。


命を懸けて、守る。


「もはや勝ち目はない、これまでじゃ!長曾我部再興の夢は潰えた。あとは各々…生き延びよ!」

家臣たちを、守る。

生き延びよと言った後、盛親が言った方向に敵兵がいました。
その敵兵をひきつけるように茂みの奥へ向かう盛親。
盛親のことだから、自分を囮にして、家臣たちを逃がそうとしていたのかな。




■火箸の殺傷能力


道明寺方面に家康が来ると思っていたら、家康ではなく伊達が来た。
どうやら幸村らの策が筒抜けになっている。

間者はあの「お」でした。



(火箸の殺傷能力ぅ)


あのとき春ちゃんにロックオンされたたかちゃん、無事でよかった。
39回「歳月」



■弾は尽きた




又兵衛、明石の軍勢を破った伊達は、後詰めの真田・毛利に迫りました。
誉田の戦い。


大助も戦場へ。


ああああ、大助ええ!!!




その後、激闘の末に一旦伊達軍を押し戻しますが、大坂城へ退却することに。
その殿を務めたのは真田軍でした。

 

伊達軍は追い討ちをかけることはありません。
最後尾の幸村は伊達政宗と視線を交わし、大きな声で叫びました。


槍を太刀に持ち替えて、空を斬る。
そのさばきは、かつて、伊達政宗が真田信繁に見せたものと同じでした。


「これでしまいか!!徳川兵にまことの武士は一人もおらんのか!!!」


「もうよい、弾は尽きた」


真正面でぶつかり合った同い年の英雄・真田幸村と伊達政宗。


24回「滅亡」のときもそうでしたが、色の対比が美しい。






「敵ながらあっぱれ」と同時に、「あの日におまえと語っていた夢はもう終わったんだ」と語っているように思えた伊達政宗。





■大谷刑部吉継の娘


春、阿梅、大八に政宗を頼るよう幸村は伝えます。
一方、きりちゃんには大坂城に残るよう言いました。


「大助。父上をしっかりとお守りしなさい」
「旦那様のこと。何卒よしなに頼みます」


気丈に振る舞う春ですが、幸村とふたりきりになったとき本音が漏れました。


「泣いてもよいのなら泣きますよ」
「私は大谷刑部吉継の娘でございます」


春ちゃんはわかってるんでしょう。
「決して永久の別れではない」っていくら幸村が言っても、覚悟をしなければいけないこと。

決戦を前に、覚悟を決めた女性たちが美しい。




■伊達政宗


来るぞ来るぞ、真田の嫁さんと子どもたちがやってくるぞ(もぐもぐ
そうだ、ずんだ餅だ(もぐもぐ
ずんだ餅を食べてもらおう(もぐもぐ


「わしと真田の密約」とか「一命にかけて預かった」とか伊達男な伊達陸奥守政宗なのですが。


「ときに、ずんだ餅はお好きかな?」

伊達ずんだ守政宗。


「は?」
ずんだ餅
「(ずんだ餅)」
さあ!


ずんだ餅の宣伝、やかましいwww

疲れてるだろうから甘いものを用意しておこうねっ!
子どもも食べやすいように小さめの一口サイズのものも用意しようねっ!
とかやってたんでしょうか。

……やだ、なにこのずんだ伊達政宗かっこいい。

なのに大八ってば。


「大八いただきますか?」
「ううん」


あんた、ひどいwww



■高梨内記の娘


大坂城に残ったきり。
幸村がきりに頼んだのは、いざというときに千姫を連れて秀忠の陣まで逃げるという大仕事でした。

そのあとはどうするのか?と聞くと、幸村はその足で沼田に帰ってもいいと言います。
何とも言えない切ない顔で。

大役を申し付けて生きて帰れる保証はない。
でも死を覚悟してくれなんても言えない。
そんな幸村の合間に見える『源次郎』を察知してか、きりは明るく言いました。


「いいえ。ここに戻ってきます。こうなったらお上様とご一緒しますよ。最期まで」
「源次郎様がいない世にいてもつまらないから」




きりを抱き寄せた源次郎。


「遅い」
「すまぬ」
「せめて10年前に」




喋ろうとするきりの口を、源次郎が塞ぎました。


「あの頃が私一番きれいだったんですから」








一世一代のキスシーンで喋っちゃうきりちゃんが、ひたすらにきりちゃんらしくて。

ずっと大好きだった真田家の次男坊・真田信繁の腕の中。
ずっと遠くに行ってしまったような気がしていた源次郎様はこんなに近くにいた。


源次郎おまえここまで散々だったくせに口吸いひとつでチャラにしようとして──
いや、でもきりちゃんが幸せそうだから、いいのかもかしれない。



お土産格差見せつけられるところからはじまって、
「うっとうしい」
「おまえに話したくない」
「言ってることがわからない」
「いなくていい」
「たまには役に立ってるけど」
「でも九度山には来てくれ」
「えっもう好きじゃないの。それはそれで淋しい」
「お前に言われなくてもわかってるわバーカ!」

もう挙げたらキリがないくらい、デリカシーのない扱いを受けてきたけれど。
でもそれはきりがずっと真田信繁のそばにいた証拠。


幸せそうな表情に、一生の思いが報われたんじゃないかなって。



「高梨内記の娘に関しては様々な言い伝えがある。真田信繁の側室であったとも、彼の子供を宿したとも。真偽はともかく、ひとつだけ確かなのは信繁に関わった女性たちの中で最も長くそばにいたのは彼女だということである」

きり、と名付けられた『高梨内記の娘』。
実在するのかしないのか、どういう人生を歩んできたのか、真田信繁にとってどういう存在だったのか。
史実はわからないけれど、でもずっと近くにいたのは『高梨内記の娘』だった。



ずっとそばにいて。
ずっとうっとうしくて。
ずっと笑っていた強い強い娘を抱きしめながら。

自分が生きてきた証拠を確かめるような源次郎が切なくて。




働さんが『高梨内記の娘』と言った直後、『物語』にかけられていた魔法が解けていくような気がしました。
歴史の隙間を埋めるロマンチックな想像はもう終わりだよって。
単なる歴史の教科書ではない大河ドラマにジーンときてしまいました。




■最終週「  」


 







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