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あたし好きなもんは好きだし、強引に諦める術も知らない

『てるてる家族』23週 その2.お母ちゃんの青春

2016-09-17 14:27:42 | 朝ドラ


BSプレミアム・朝ドラアンコールにて再放送中、2003年BK制作、石原さとみヒロインの『てるてる家族』
23週目のネタバレ感想レビュー、後半



シャトー、それは照子の青春。


※夏子、冬子、照子の回想あれこれ。

前半はこちら。
『てるてる家族』23週 その1.虚実皮膜の向こうに




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●あの子の幸せ膨らめばおいらは黙って消えるのさ


さあ冬子、東京に来ました。
久しぶりにお母ちゃんに会って喜びボンバーしつつ、夏子におめでとうって。
(なんだか夏子の表情、だいぶ明るくなった感)

とりあえずプレゼンを兼ねたプレゼント。


「東京で食べる冬ちゃんのパンはほんまに美味しいわ」

めでたい席はすき焼きワッショイ。
お互いの苦労を労いつつ、照子はあることを切り出しました。

「お母ちゃんも明日あんたと一緒に大阪帰る」

照子、大阪に帰る。
イースト菌はそっと消える。


春子の夢が叶い、夏子の夢も大きく躍進し、ここで照子は自分の夢に気が付いたのでしょうか。
夏子は自分の実力でここまでのぼってきた。
夏子の周りには青田社長や斉藤さんらがついている。


「みんなと一緒に夏子をテレビで見てる。それがお母ちゃんの夢だったんや」
「あんたの家族としてみんなで一緒に大阪で大晦日迎えたいんや」


夏子は「そんな気はしていた」と、照子にお礼を告げ。
照子もまた「これからは応援してくれる人みんなに夢をあげてくんや」と。

画面に浮かぶ湯気は、『寂しげ』なのかもしれません。
でもその『寂しげ』も、家族団欒に変えてきたのがこの照子でした。




●「たからもの」


その夜。
川の字で寝る3人。

夏子はここまで頑張れたのは冬子のおかげであると話しかけました。
CMの撮影を投げ出したあの日、偶然てるてるパン(パクリ)に出会わなかったら、この日は来なかった。(14週

それは冬子も同じ思いでした。


「私もや。その話聞いてほんまに嬉しかった。それがあったからパン屋になろ思ったのかもわからへん」

夏子のその言葉が何より嬉しかった。
夏子の言葉で自分はパン作りへの思いに目覚めたのかもしれない。

そのあと、宝塚の文化祭の日。(19週
仕事が辛かったときにみた冬子の舞台。

舞台で輝く末の妹。
ただ歩いてるだけに見えるかもしれないけど、ここまで生きてきて今生きている。
「私らは私らなりのストーリーの主役なんやから!」とスポットライトを浴びる妹。


その姿を見ていたら、自分の悩みが小さく思えてきた。
自分がいる場所で精一杯生きなければいけない。
そう思いなおしてもう一度頑張ってみようと決意をした。


「冬ちゃんに…私…ずっと憧れててん」

ゆっくり、しっかりと話す夏子。


「……その言葉、私の一生の宝もんや」
「冬ちゃんは……私の宝もんや」


姉妹の流す涙。
それを聞いていた照子の涙。
3人の涙が美しい。




●冬子と夏子

夏子と冬子。
2人の関係性がクローズアップされたときが過去に何回かあります。



 

幼い頃、和ちゃんとの出会いのきっかけは夏子でした。
6週
夏子が和ちゃんにあげたドロップは、和ちゃんが「初めて人から優しくされた」思い出。
夏子への秘めた思いを隠していた当時の和ちゃん。
幼心ながらにそれに小さく傷ついた当時の冬子。

その後、東京で奮闘する夏子が挫折しかけたとき。14週
照子は胸騒ぎを感じて、約束していた冬子の宝塚音楽学校入学式をキャンセルしました。



気丈に笑顔で振る舞うけれど、ひとり泣いていた冬子。
夏子姉ちゃんも頑張ってる、だから仕方ないんだ、と。
(このときは春男が冬子を励まし、ヨネさんが入学式に来てくれました)

けれどそのあと夏子からの連絡があり、前述のてるてるパンのお礼。



一緒に頑張ろう、ひとりじゃないよ。
春夏秋冬みんなが頑張ってる。


その翌週の15週、ヨネさんが病床で夏子の名前をうわごとのように呼んだとき。
滝子おばさんの提案で、『冬子が夏子のふりをする』ということになりました。



冬子も辛かったことでしょう。
でもヨネさんは、きっと夏子の手と違うと分かっていた。
そのうえで、自分の夏子への思いを冬子に告げた。

また時が経ち、19週
スランプ気味で落ち込む夏子からの電話を受けたのは冬子でした。



朝から晩までのレッスンでヘトヘトだけど、夏子を目指して頑張る。
冬子の立った宝塚の舞台は、多くの人たちを励ましました。


そして照子は夏子のそばでサポートするために東京へ。
冬子は宝塚スターの道からパン屋の道へ。
それぞれがそれぞれの道を歩む中、佐世保での再会。



和ちゃんが教会で吐露した言葉に少なからずの迷いを感じていた冬子。
冬子を励ましたのは夏子の言葉でした。

冬子にとって、夏子は春子・秋子とは少し違う存在の姉。
東京で活躍する芸能人としての姉であり、おっとりして女の子らしい姉。
憧れの姉。

その姉から「宝物」と言われて、何よりうれしかったんだろうなあ。





●ローリーの個人的な愛は伝わってるかなあ…


そして昭和44年の12月30日。
ライブハウスに向かうというローリーが岩田製パン店に登場。


「ぼくもいつまで地球にいられるか分かりませんからねー!」
「え?!」


ちょっと待ってこの話まだ引っ張るのwww
(放送日としては翌日の話なんですが、ドラマの時系列としては半年くらい経ってる)

そして流れだすウルトラマンのBGMおいこらwww


「僕やっと気ぃつきました、ぼくがなんでこの星にやってきたのか」

だから真顔で何を言ってるんだ何を。
こらこら顎クイをするんじゃない。



「人の心は、必ず人に伝わります。思いやり、優しさ、愛!それがこの星の美しさなんです。それを宇宙に伝えるために、ぼくはやってきたんです!!」

多分ローリーの冬子への愛、伝わってない。

ふたりが何やら騒がしいことに気がついた和ちゃん。
怪訝そうに尋ねるも、冬子は慌ててローリーを連れてその場を去ってしまい。



これ和ちゃん面白くないよねー!妬いちゃうよねー!
いつも後ろをついてきていた冬子が、一応元恋敵のローリーと何やら隠し事。
しかもなになに?ローリーと冬子の距離狭かったよねー!
妬いちゃうよねー!



ところでこの宇宙人話、オチが見えないのですが、
仮説のひとつとして、和ちゃんと冬子の最後の砦と思われる恋愛ターンの火付け役に?
このローリー宇宙人騒動を使うとか?


いやわからないけど頭おかしいだろwww(褒めてます




●予想の斜め上をくるタイプだった


さて大問題、シャトー改装計画。
思い切って切り出す冬子。



……。

何だこの緊張感。

(猛獣が暴れ出しそうな予感に、避難している春男たち)

しかし照子の言葉は、予想の斜め上を超えてくるものでした。

「ええん違う?」

( ゚д゚)?!


お約束にズッコケる4人はさておき、


「ハハッ!今更テレビジョン付き喫茶店言うたかて、誰も珍しがってくれへんやないの。それより、冬子、あんたのやりたいようにやんなさい」


「あ、そんなら、あしたがシャトーの打ち上げいうことやね。夏子が最後に、テレビジョンつき喫茶店の幕を引いてくれるんやわ。これ以上の、この店の幕引きはあらへんね」


シャトーの打上げ、それは夏子の出場する紅白、それは岩田家の偉大な一歩。
アポロ13号が打ち上げられて月面着陸したのが、人類の偉大な一歩であるように。


感慨深げに目を細める照子。
BGMはなく、それぞれの満足した表情です。


「シャトーはお母ちゃんのお城です。この小さいテレビに、明日、お母ちゃんの大きい夢が花開くのです」



●シャトー、思い出


シャトーはお母ちゃんの作ったお城。
昭和28年、テレビジョンは夢を届けてくれました。


最初の動機は確かに大儲けだったけれども。
テレビジョンの見られる喫茶店には多くの人が集いました。
たくさんの思い出がありました。
テレビジョンはたくさんの夢を見せてくれました。


2週
佐世保のパン修行から帰って、岩田製パンを開いた春男のそばで大儲けのチャンスを狙っていました。


そのときに「まっずー!」なコーヒーとテレビジョンに出会い、喫茶店の開業を決意。


ヨネさんに「あんたの土地ではない」と覚悟を問われたこともありました。


店名も一生懸命考えたり。


テレビジョンにおがんだり。



室内で拡声器使ったり。


軌道に乗ったときは、開業当時に融資を渋った銀行員を土下座させたり。
ほんとに振り切った金の亡者www

子どもたちが学校に上がり、いろんな出来事の舞台にもなりました。


秋子の乱があったり。(5週


桑原兄弟がやってきたり(6週


惨劇のマンボNo.5が響く中、春男の浮気裁判、幽霊法廷があったり。9週


夏子を見送る決意をしたり。(11週


恒ちゃんの公開プロポーズだったり。12週


みんなでヨネさんのことを案じていたり(15週


弘子姉ちゃんと松本のおっちゃんの幸せが膨らんだり。20週

いろんな思い出の詰まった「喫茶シャトー」。
昭和44年の大晦日に打ちあがります。





●紅白待機!


さあ翌日12月31日!


テレビを磨き上げる春男。

 
大切な家族写真。


約束の花束。


約束のイヤリング。



って緊張感高まる大晦日なのですが。

 
約束のつまみぐいwww
3週

こんの母娘はwww



●昭和44年12月31日までの「あゆみ」


慌ただしく過ぎる大晦日。
9時まであと少し。

シャトーパブリックビューイングの観客席についた岩田夫妻。
脳裏に過るのは、あのころの夏子でした。


佐世保、米軍基地内の病院で命をとりとめた幼い命。(1週


負けず嫌いの素直な少女。(7週


「歌うのが好きだ」と笑顔を振りまいていた少女。


空を飛んでみたい、と話していた少女。


初舞台で「空を飛んでいるみたいだ」、と言っていた少女。


おばあちゃん子だった少女。(11週


パチンコ玉を鼻に詰まらせた。


父の反対を振り切って出ていこうとしたときもあった。


歌声喫茶で、『センチメンタルジャーニー』に思いを乗せた。


みんなに見送られて東京へ。


大好きな青色のコートと青色の傘で、吉兆の雨空の下歩き出す。


多くの困難を乗り越えた夏子が。
昭和44年12月31日。
紅白歌合戦の大舞台に立った。




小さい小さい魔法の箱の中に、大きな夢を膨らませた。





●「このあゆみは貴重ですよ」



「大阪から東京に来るのに新幹線で3時間10分でございます。こういう時代、70年を明日迎えるというこの日、東京から横浜に行くのに一歩一歩踏みしめて、着実な努力によってこういう歌を歌ってきたいわたなつこさんです。この歩みは貴重ですよ。『ブルー・ライト・ヨコハマ』」

(再現率が高いのはさすがNHK)



いわたなつこの歌う『ブルー・ライト・ヨコハマ』。



約束通りこの人も見ていました。

暗い場末のスナック。
画面を見つめているのはミサ子さん。
スポットライトが当たり、涙が光る。

ミサ子さんは今、念願の紅白初出場を果たしている。

ミサ子を演じるいしだあゆみさんと夏子の関係は前半に登場しているのですが、このときいしださんはどのような思いでミサ子を演じていたのでしょうか。
そもそも演じていたのか。
ドラマを超えた何かを思い出していたのではないか、と考えてしまうミサ子さんの涙。




お母ちゃんが用意した特等席。
そこにやってきたのはヨネさん。
夏子が懐いていたおばあちゃん。
亡くなる直前夏子に会いたがっていたヨネさん。(15週

それが今、魔法の箱で夏子と再会している。




忘れちゃならない斉藤さんと青田社長。
デビューの時から夏子を支え続けた斉藤さん。
この人が夏子を発掘して、東京に連れていって、一緒にがんばってくれた。



22週、『ブルー・ライト・ヨコハマ』のヒットを実感しながらこんなことを言っていた斉藤さん。
斉藤さんもまた夏子のイースト菌。

ああこの人は『あまちゃん』でいうミズタクの原型なのかもしれない。
原石を見つけ、信じて信じて磨き続けて、その輝きに涙する。
いしださんにも斉藤さんのような人がいたのかもしれない。


ミサ子さんも、斉藤さんも、おばあちゃんもセリフはありません。
流れているのは夏子の歌。
俳優さん、それからモデルのいしださん、劇中歌であり実在の歌でもある『ブルー・ライト・ヨコハマ』への最大限の敬意が払われている気がしました。

司会者の「このあゆみは貴重ですよ」の言葉。
ドラマなのだから「なつこ」に被せても…と思ったけれど、でもやはりリスペクトを考えるとここは「あゆみ」なんだろうなと。
フィクションは入れるけれど、モデルに対して最大限の敬意を持って製作する、そんなスタッフの誠意を感じます。







岡谷さん、ローリー、タコ原さん、喜介さんらはシャトーにはいません。
でもそれぞれの家で見ている。
多くの家にカラーテレビが行き届いた時代、それぞれの家で見ている。

きっと藤井の叔父さんも千代子さんも、デービッドはんもドクターハリーも、みんな見ている。
東京でぱくりてるてるパンを売っていた映画おじさんもきっと見ているでしょう。
みんながきちんと生きている。
行間からあふれ出す拍手が聞こえる。







●お母ちゃんの長い長い青春



「夏子…きれいやった~。みんなで見てたで…。よう頑張ったね。これからも…頑張るんやで」


「お母ちゃんの遅れてきた、そして長かった青春時代は、こうして今日終わったのです。」

物干し台で涙を流す照子。
照子が言っていた通り、夏子の姿をテレビで、家族と一緒に見るのは照子の夢でした。

そのお母ちゃんの夢が叶った。
長い長い青春時代が終わった。






戦争によって当時の恋人を失い。
「絶対に死なない人」という条件で春男と出会い。(1週


戦争が終わって、池田で暮らすようになり。
(まあよく歌うったらもう)


パン修行のために向かった佐世保で年子の姉妹4人を出産(ナレ誕冬子)


「もう一度青春を」と春男に頼み込み、その行動力でテレビジョン付き喫茶店を開き。2週


子育てに悩みながら大博打を仕掛けたり。


子どもの人生に自分の人生も賭けて(11週


そうして叶えた春子のオリンピック出場(18週


冬子が自分自身の夢を見つけ。(19週


そして、夏子の紅白出場。


戦時中に辛い経験をし、青春と呼べる青春は過ごすことが出来なかったのかもしれません。
そのあとも怒濤のように年子の姉妹を出産。

ようやく落ち着いた頃に迎えたテレビジョンの時代、高度経済成長期。
昭和28年から44年、照子にとってまさに青春だったのでしょう。




青春が飛び立っていく夜空が美しい。




●次週予告がカオス過ぎて。


・春子、嫁に行く。
・謎のアフロ春男
・終盤戦になっても頭おかしい










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