猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

彼女たちの事情。 〜Aの半年〜

2017年08月14日 04時55分52秒 | ルーツ

 

おそらくそれは『自由』ではなく、おそらくそれは『孤独』ではない。 

 

「タバコは何吸ってんの?」

そうAが話しかけてきたことから、
私達の付き合いは始まった。

都心から、転校生としてやって来たAが、
例のごとく、型通り、みんなの前で自己紹介し、
隣に座ってすぐ、の話だ。

『悪過ぎて』それまでの中学校にいられなくなり、
私の住む町へ『飛ばされて』来た彼女は、
まだヤンキー全盛期の、
ズルズルと長いスカートを引きずる生徒たちの前に、
膝上スカート、ハイソックス、レイヤーカットの髪をなびかせて、
『外の風』を持って現れた。

なぜ、彼女が私を気に入って、
急に話しかけて来たのかはわからないが、
とにかく二人は仲良くなり。

同時に、私は他の同級生とは疎遠になり始めたのだった。

「大して仲良くもないヤツらと、迎合するのは気持ち悪い」
という、彼女の考え方に私は影響を受け、
Aの持つ、『外の風』に魅入られた。

流行りのファッション、ブランド、化粧品、ディスコ。

バブルに突入しようとしていた、かつての六本木が、
彼女のホームタウンだった。

彼女の周りでは、中学生が『親に与えられた』架空名義のカードを持ち歩き、
ホテルで遊び、移動はタクシーでするのだ。

カクテルを傾け、爆音に身を浸し、
つるむことを好まず、自由に遊ぶその姿は、
まるで違う世界の住人のようだった。

ホントかウソか、よくわからない話も多かったけれど。

少なくとも私が見たものには、間違いがなかった。

通学のために母親と、平日だけ暮らしている小さなアパートは、
昼間は母親不在のため、
Aと私が授業を『ばっくれて』遊ぶ、根城となった。

そして瞬く間に卒業の時がやってきて。

彼女は進学をせずに、地元に戻ることになった。

最後に
「これあげる」とAが、
どっさり、ブランドものの服を私に残していったのは。

年頃なのに、服の一枚も買って貰えない、『束の間の友人』への、
同情からだったのだろう。

全身で、全方位に敵意をむき出しにしていた彼女が、
どうして私に対しては優しかったのか。

今思い出してみても、彼女は『自分』のことを、あまり語らなかったのでわからない。



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