猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

彼女たちの事情。 〜Tの『家』〜

2017年08月11日 03時56分52秒 | ルーツ

 

はっきりした『間違い、ゆるやかな『間違い』...確かなこと。

 

 

TはMの妹で。

三姉妹の中でも、一番器量がよかった。

中学生で男と同棲を始めた姉同様、
彼女もまた、中学生で彼氏と同棲を始め、幸せそうに暮らしてはいたが、
果たして登校していないとはいえ、
現役中学生と、18歳にも満たない彼氏とが、
どんな風に暮らしをたてていたのかはわからない。

私が彼女の事情を少し知っていたのは、
当時付き合っていた男と、
Tの彼氏が友人だったからだが、
ある日、仲間内の誰かの彼女が、
こう言ってきたのを覚えている。

「彼氏が帰ってこないって、Tが泣いてる。
家の前を通ったら 豆電球だけ点いてて、
だから中に誰かいて、またロクでもないことやってんのかと思ってさ。
いい加減にしなよって言おうと後で電話かけたら、泣き出してさ」

数日後、『帰ってこなかった』本人は、
あるコトで捕まったのだとわかり、
そのまま更生施設へと送られたのだが、
彼が不在の間、Tがどう暮らしていたのか、
それがどれくらいの間だったのか、
私はもう覚えていない。

ただ、その後更生施設から出てきた彼氏とTが、また暮らし始めたこと。

まだ幼い肩を寄せ合って、
互いに幸せそうにしていたことだけは、
数回顔を合わせたことで知っており。

彼氏の世話を甲斐甲斐しく焼いていたTは、
きっと自分が手に入れられなかったものを、
どうにかして、誰かや自分の人生に、普通のものとして、
存在させようとしていたのだと、今になって思う。

後年噂で聞いた、Tの『その後』。

『結婚し、子供も出来て幸せに暮らしている』相手が、
あの彼氏なのかどうかはわからないが。

あの頃、世間では不良で犯罪者だった、あの彼氏が、
Tにとっては、心の拠り所で、
温かな寝床であったのは間違いない。







コメント
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