遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

仏紙ルモンドが安倍外交を歓迎

2007-01-14 15:22:28 | my notice
 安倍首相と、麻生外務大臣が欧州各国を歴訪しています。 安倍首相は、日本の首相としては初めて、NATOの最高意思決定機関である北大西洋理事会(NAC)で演説し、日本・NATO関係について「新たな段階への移行」を宣言しました。 軍備を拡大し続ける中国、強引な資源政策を展開するロシアへの牽制を、日米欧で連携して行う必用があり、その第一歩を踏み出すものと評価できる歴訪の成果があった様です。 


仏紙「欧州再発見」 安倍外交を評価  (1/14 産経朝刊)

 欧州は安倍晋三首相が日本の歴代首相の慣例を打ち破り、訪米より訪欧を優先したことを「欧州再発見」(仏紙ルモンド)と歓迎した。背景として(1)中東問題、中国とロシアの台頭、イランと北朝鮮の核問題における「欧州の政治力の増大」(2)第二次世界大戦後、日米関係を最優先にしてきた日本の外交戦略が転換期を迎えた-ことなどを指摘している
<中略>

 安倍訪欧と時を同じくして防衛庁が防衛省に“昇格”したことも、日本が自国の安保を米軍のみに依存せずに「消極的平和主義から積極的平和主義」(外交筋)に転じた表れとみている。ブレア英首相やシラク仏大統領がそれぞれ日本の国連安全保障理事会常任理事国入り支持を強調したのもこうした認識の表れだ。

 安倍首相の日本の首相として初の北大西洋条約機構(NATO)訪問も「(双方の)関係強化」(仏紙フィガロ)と指摘。日本の経済大国から政治、外交大国への転換の一環とみている。日本の要請する対中国武器禁輸措置についてメルケル独首相が初めて「禁輸維持」を明言した背景にも日本の姿勢への評価があるとみられる。

 日米安保条約=米国の傘一辺倒に頼った安全保障と、経済優先政策の日本が欧州にも目を向けたと歓迎された様子です。
 
 安倍晋三首相の欧州歴訪の隠れた主眼は、不透明な軍拡を続けエネルギー確保のため世界中で石油資源を買いあさる中国について、東アジアの安全保障の為に、各国に認識を強めてもらう狙いがあり、訪問前に「欧州は中国に対する認識が甘い。単なるビジネス相手ぐらいに思っている。その点について話したい」と語っていたそうで、対中武器禁輸の解除の中止を求めて回りました。
 
首相訪欧 対中安保に主眼 武器禁輸解除の動き牽制 (1/11 産経朝刊)

 10日午前(日本時間同日午後)、ロンドンから政府専用機でベルリンのテーゲル空港に降り立った安倍首相。昼過ぎから首相府でドイツのメルケル首相と会談し、対中武器禁輸解除が東アジアに与える影響への懸念を表明、明確に反対を伝えた。メルケル首相も日本の立場に理解を示し、ドイツとして禁輸政策は継続していく考えを示した。9日のブレア英首相との会談に続く日本の強い意思表示だった。

 安倍首相の発言は、EU加盟国内で武器禁輸解除を求める動きが出ていることを強く牽制(けんせい)したものだ。「武器禁輸の解除問題をすべての国、EUとの対話で取り上げる」(同)との方針は、小泉前政権からの課題でもあった。だが、今回はそれ以上に、中国の台頭を懸念する安倍首相の強い意向が働いた、という。

 EUが武器禁輸を解除すれば、直接の脅威を受けるのは日本であり、これを座視すれば21世紀の東アジアのパワーバランス上、日本にとって決定的に不利な安保環境の出現を許してしまうことになるからだ。EUは、自由と民主主義、基本的人権といった基本的価値を日本と共有しているだけに「一党独裁国家である中国への政策では足並みをそろえておきたい」(別の首相同行筋)という思惑も働いた。


 ドイツは一時フランスと共に禁輸解除に向かっていましたが、メルケル首相が禁輸継続の姿勢を示していただけたのは、EU各国への影響も期待できます。

 NATOは、共産党一党独裁のソビエト連邦との冷戦時期に、イギリス・フランスが主体となり、米国の力を借りて、ソ連の覇権拡大を封じ込めようとした多国間軍事同盟(集団的安全保障体制)です。
 ソ連崩壊後はその目的は不用となり、周辺地域における紛争や対テロ戦に主眼をおくよう変わっています。
 しかしここへ来て、一党独裁の中国の急台頭や、ロシアの強引な資源政策には、自由主義各国の連携による牽制が不可欠となってきました。一時の世界の警察として仕切ってきた米国の勢いは、いまは陰をおとしてきています。米国も含め、多国間で協調してあたらねばならない問題ですし、中露に東側で隣接し安全保障の影響を受ける日本もNATOとの連携が必要不可欠と言えます。
 今回の、NATOへの積極参加の表明は意義深いものと言えます。
 また、一見米国(日米安保)離れの欧州(NATO)接近と受け取りがち(=私だけ?)ですが、これは誤りで、NATOの主導役は米国であり、日本のNATO接近を米国も歓迎しているのだそうです。

 しかしながらNATOは、
「加盟国は域内いずれかの国が攻撃された場合、共同で応戦・参戦する義務を負っている。」 いわゆる「集団的自衛権」が大原則で、これが相手国に対する大きな抑止力となっています。
 NATOとの接近に向け、新たな歩みが始まりますが、日本には国内の世論で解決しなければならない問題がいろいろあります。
 「国籍不明の朝日新聞的世論」は、短期間には変わらないのでしょうが、この方向が世界に明確に示されることでも抑止力の効果は出るわけで、是非進めていただきたいと願っています。

 
ワシントン・古森義久 NATOが示す日本の異端 (1/13 産経【緯度経度】)

 安倍首相は今回のNATO訪問でこうした日本との落差や背反を突きつけられることこそないだろうが、単にNATOの実績と現状をみるだけでも、日本の安保面での特殊性や例外性の支障を実感する好機であろう。首相にとっては防衛庁が防衛省となるだけのことに「軍の暴走」とか「満洲への侵略」というおどろおどろしたスローガンを打ち上げ、まじめな安全保障努力を阻もうとする朝日新聞的な反防衛プロパガンダの論破をさらに容易にする実体験となることをも期待したい。

 NATOこそ「普通の民主主義国家」群が自衛のために集団の軍事態勢を築くことの実利と大義を実証してきたからである。


 今日(1/14)、セブ島で温家宝首相と会談している安倍首相ですが、どんな顔をして、どんな話をしているのでしょう...?



 

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
TBありがとうございました (マルコおいちゃん)
2007-01-14 20:49:07
今後ともよろしくご指導ご教示お願いいたします。
ご論旨には全く賛成です。
こんにちは (ねたねこ)
2007-01-14 21:48:14
遊爺様

はじめまして。FUNGIEREN SIE MEHR !!という
ブログの管理人をしております、ねたねこと
申します。

TBありがとうございます。

これからもよろしくお願い致します。
Unknown (容子)
2007-01-15 18:20:55
遊爺雑記帳さま

思いがけずトラバを頂き有難う御座います。

それで早速貴方さまのブログを拝見し、安倍外交を正当に評価している方だとおもうとうれしくなります。

しかも、訪欧について日本の報道と欧州での評価では大きな違いがあり、私などもそれらに惑わされず、安倍政治を推し進めて欲しいと思います。
ただ残念なのは人事の失敗か不祥事が続き、支持率を下げさせております。

今後とも是非教えてもらいたい方に出会った思いです。宜しくお願いいたします。

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Unknown (エリ)
2007-01-17 16:16:15
エリです!TBありがとうございます!!

素敵な感じのブログですね。見に来るので、今後もよろしくお願いします!!
Re: TBありがとうございました (遊爺)
2007-01-21 11:36:24
マルコおいちゃんさん、コメントをありがとうございます。

>今年は、シナ・台湾以外にもっとヨーロッパについて多く語っていこうと思います。

 楽しみにして、読まさせて頂きます。
Re: こんにちは (遊爺)
2007-01-21 11:47:31
ねたねこさん、コメントをありがとうございます。

 オーストラリアとの連携強化は、私も賛成で是非推進すべきと考えます。

 こちらこそ、よろしくお願い致します。
Unknown (遊爺)
2007-01-21 12:01:21
容子さん、コメントをありがとうございます。

 ドイツの有力紙でも高評価とは、嬉しいお話でした。
 こちらこそ、教えていただけそうで、これからも読ませていただきたく、よろしくお願いいたします。
Unknown (遊爺)
2007-01-21 12:08:47
エリさん、コメントをありがとうございます。

>過激なコラムを書いていきますので、乞うご期待!

 きれのいい短評。期待しています。
 こちらこそ、よろしくお願いします。

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