遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

プーチン氏の東京訪問 露側の方が役者が数段上

2016-11-25 23:58:58 | ロシア全般
 安倍首相が世界の首脳の先陣を切ってトランプ氏と会談し、リマではプーチン大統領と訪日・山口での会談に向けて面談と、グローバルな外交で、世界の注目を集める檜舞台に立ったかと思われましたが、瞬時にドンデン返しにあい、トランプ氏には「TPP離脱宣言」表明、プーチン大統領には、「北方領土でのロシアの主権」を主張され、更にはミサイル配備の追い打ちも喰らいました。
 TPPについては、去る者は追わずの姿勢で、新TPP構築に向かえば、米国の利益優先のトランプ氏の基本方針に沿うか沿わないかは、実業家のトランプ氏の判断に問えばよいことで、日本はアジアと環太平洋の有志国と、その市場の発展を追求していけばよいと、遊爺は考えます。
 プーチン大統領のちゃぶ台返しにあった日本について、ロシア情報では、北海道大学の木村名誉教授と双璧の信頼できる、新潟県立大学・袴田教授が、「ナイーブな楽観主義に基づく対露政策は見直すべき時」と、指摘されています。

 
トランプ大統領誕生で米露が接近 習近平はTPPへ逆襲 - 遊爺雑記帳
 
楽観主義的な対露政策を見直せ 新潟県立大学教授・袴田茂樹 (11/25 産経 【正論】)

 12月にプーチン大統領が訪日し、山口で公式の首脳会談、翌日東京で実務会議が行われる。安倍晋三首相は当初、山口での会談に拘(こだわ)った。「静かな環境でゆっくり」つまり、平和条約問題を2人でじっくり懇談したいからだ。しかし経済協力にしか関心のないプーチン氏は、当初は東京での公式会談、それが無理なら山口と東京の双方を望んだ。大型経済代表団同伴が理由だ。結局首相はプーチン氏に押し切られた

≪役者は露側の方が数段上≫
 9月6日、
プーチン氏は記者会見で露記者の「東京でも伊勢志摩でもなく、なぜ山口なのか」との質問に「詮索したくないが、日本は米国追随だからだ」と答えている。伊勢志摩云々(うんぬん)の質問は素人的に見えるし、プーチン氏の答えも異様だ。だが私はこの質疑応答は奥が深いと思う。
 日本は今年先進7カ国(G7)の議長国だ。
伊勢志摩サミットの後、同じ場所で首脳会談をすれば議長国が露をG7同様に扱う、つまり制裁の環(わ)を破ることになる。東京訪問にも裏がある。国家元首が公式に東京を訪問した場合、国賓として天皇陛下が会見される。
 これは最高の待遇であり、露がG7の制裁下にある状況では不適切だ。露側は首相が東京での会議を決断する前に、わざわざ「天皇陛下との会見は不要」と日本側に伝えている。首相がプーチン氏の東京訪問を渋るのは会見を避けるためで、それは米国の圧力故だと露が見ていることを示している。
 今年9月にサウジアラビアの国内序列では第3位のムハンマド副皇太子(31)が訪日した際、彼は若いにも拘(かか)わらず最高実力者なので、例外的に天皇陛下が会見された。もちろん安倍首相の配慮だ。こうなると、
プーチン氏の東京訪問は、首相に対して「シンゾウ、お前は俺をムハンマド以下に扱えるか」との挑戦状を意味する。
 東京での会合は実務会議だとして天皇陛下と会見を行わないなら、その分首相は経済協力により熱心にならざるを得ない。
露側に押し切られたと言ったが、会見が行われるにせよないにせよ、露側の方が役者が数段上の感がする。

≪一挙に冷え込んだ期待値≫
 さて、
日露首脳会談と今後の日露関係を考えたい。露の通信社は19日のリマでの会談については平和条約を無視して専ら日露の経済協力進展のみを報じた。今年筆者はロシアで大統領府関係者や国際問題専門家たちと私的に話した。
 最も強い印象は、
北方領土問題解決に関する日露の大きな温度差だ。わが国では2島先行論、2島+α論、共同統治論、さらに一部のロシア問題専門家は「2島どころか4島返還シナリオも動き始めた」とさえ言う。多くのメディアも、官邸やその周辺からの情報と称して、領土問題解決の期待値を高める楽観論を多く流した。
 これとは対照的に、
露で話した人で、プーチン氏訪日で北方領土問題が具体的に前進すると考えている者は皆無だった。親日的なある専門家は、「たとえ色丹、歯舞が日本に引き渡されるとしても、100年か200年以上先のこと」と述べた。最近、国後島などへのミサイル配備も報じられた。

 
日本側の楽観論に冷や水を浴びせたのが、10月末のソチでのプーチン氏主催によるバルダイ会議および今回のリマでの首脳会談後のプーチン氏発言だ。ソチでは平和条約締結に期限を決めるのは有害だとし、「日露間には中露間のような高い信頼関係はない」として、日本がもっと対露協力・信頼醸成に努力するよう促した。
 
リマでは「われわれは平和条約締結を前のめりで急ぎたくない」と暗に安倍批判をした。また、条約締結への道は簡単ではない、クリルは第二次大戦の結果今はロシア領だとし、さらに、56年宣言に基づく2島返還に関しても、何を根拠に、その後どちらの国の主権下に置かれるのか、いかなる条件で引き渡されるのか宣言には書かれていない、とも述べた。これらの硬い発言によって、わが国の楽天的幻想あるいは高い期待値も一挙に冷え込み、メディアの論調も一変した。

≪平和条約は「ふり」にすぎない≫
  実は、
これらの強硬発言はプーチン氏自身が近年幾度も繰り返しているのだが、わが国ではメディアも官邸も経済省庁も無視した。あるいは知らなかった。そして、露が求める経済協力に熱心に励めば、目的の平和条約締結の諸条件が生まれるとナイーブに信じ全力をあげて努力している
 しかし
この対応は明らかに逆効果だ。つまり、露側としては平和条約の重要性は強調し大いに関心があるふりをしながら、その締結は無期限に延ばす方が、日本からいつまでも多くの協力を得られるからだ。近年のプーチン氏の言動がすべてそれを証明している。

 では
わが国は露にどう対応すべきか。異なる意味で、これまでの発想にとらわれない新アプローチが必要である。長期的な日露関係の安定も対露経済協力や対話継続も重要だ。しかし現実を直視すれば、ナイーブな楽観主義に基づく対露政策は見直すべき時である。(はかまだ しげき)

 安倍首相の地元・山口での首脳会談は、両首脳の緊密さをより深めるアピールがなされ、期待を抱かせるイメージで喧伝されていましたが、領土問題については厳しい情報がチラホラ聞こえ始めたところへ、突然東京でも会談がなされるとの報道。会談の内容が好転し、引き続き会談を重ねるためとの楽観論も聞かれましたが、実態は全く逆で、G7分断を狙う露側が、東京または伊勢志摩での会談要求をしていて、安倍首相が押し切られたというのが、袴田教授。
 突如湧き出た東京での会談追加に、納得の解説です。

 「安倍首相がいま博打(ばくち)に出て全ての有り金をかける必要は少しもない」と、前のめりの安倍政権に警告を発しておられた、北海道大学の木村名誉教授ともども、安倍首相にブレーキをかける袴田教授。対露情報の双璧のお二方の論調が同じ方向を示されています。象牙の塔の中で、机上の空論を並べるお二方ではないだけに、傾聴すべきでしょう。
 東京か伊勢志摩での会談が実現すれば、G7の対露制裁包囲網を崩す一助になる。それを押し切って実現させるロシアの外交力。岸田外務大臣の外交交渉力があてに出来ないせいなのか、ロシア経済分野協力担当大臣ポストを新設・兼務となった、世耕経済産業大臣も注力し戦力増強したはずの対露外交。直近の状況では、効果がでないどころか、事態は後退している様に見えます。
 しかし対日強硬姿勢は、「プーチン氏自身が近年幾度も繰り返しているのだが、わが国ではメディアも官邸も経済省庁も無視した。あるいは知らなかった。」。日本側は自分に都合のよい勝手なロシア像を描き、「露が求める経済協力に熱心に励めば、目的の平和条約締結の諸条件が生まれるとナイーブに信じ全力をあげて努力している。」と、袴田教授は指摘されています。

 余談になりますが、太平洋戦争で日本軍が敗れた原因の戦略構築について、いくつかあるうちで、「真珠湾攻撃」の戦術は成功したが、それに続く戦略は、自軍に都合の良い誤った米国像を作り上げていて、米国に逆襲のきっかけを造った(「中国 4.0」エドワード・ルトワック著)話や、米英露が、露の参戦で合意し、その情報がありながら、自軍の都合が良い判断をして、ロシアに休戦調停役を依頼しようとしていた軍首脳。つまり、官僚が、自分の都合が良い様な机上の空想を作り上げての外交戦略による破綻がありました。いままた、対トランプ、対プーチンの外交戦略で、その過ちが繰り返されていないか、冷静な眼が求められます。

 袴田教授は、「露側としては平和条約の重要性は強調し大いに関心があるふりをしながら、その締結は無期限に延ばす方が、日本からいつまでも多くの協力を得られる」と考えていて、「近年のプーチン氏の言動がすべてそれを証明している」と指摘されています。そして、「ナイーブな楽観主義に基づく対露政策は見直すべき時」だと!!
 全く同感です。安倍・プーチン両首脳の緊密外交に期待がたかまりましたが、それはそれとして、徹底した反露のオバマ大統領から、プーチン大統領を高評価するトランプ新大統領の誕生は、G7の包囲網を崩したいプーチン大統領の世界戦略変更検討を招いて当然です。
 とはいえ、何時も唱えていることですが、台所が苦しくて経済支援が急いで必要としているのはロシアです。なので中露関係云々の、日中を天秤にかける発言も出てくる。
 袴田教授の、「ナイーブな楽観主義に基づく対露政策は見直すべき時」との指摘、木村名誉教授の、「安倍首相がいま博打に出て全ての有り金をかける必要は少しもない」との指摘を、安倍首相は聞き入れていただきたい。




 # 冒頭の画像は、モスクワで、日露間の協力プランの具体化に関するハイレベル作業部会を開催し、ウリュカエフ経済発展大臣と共に共同文書に署名した、世耕大臣
  ウリュカエフ経済発展大臣は、巨額の賄賂を受け取った疑いで拘束されてしまいましたね。
  ウリュカエフ逮捕は「ロシア版国策捜査」か



  この花の名前は、ワタゲハナグルマ


↓よろしかったら、お願いします。



写真素材のピクスタ


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ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)
誰がメドベージェフを不法入国させたのか-国賊たちの北方領土外交






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