遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

SDR入りした人民元の運用開始

2016-10-10 23:58:58 | 中国 全般
 資本の移動の自由、為替の変動相場が達成されていないことでSDR入りが認めて来られなかった人民元が、欧州勢の主導でSDR入りを、ドル、ユーロに次ぎ、円を上回る第3位の格付けで承認されていましたが、10月から運用が開始されましたね。
 IMFは、SDR入りを先行させることで自由化を促進させるとしていましたが、現状と展望についての米中英の主要紙の評価が紹介されていました。
 中国が国内向けに喧伝するのは当然で、語るに値しませんが、米紙・WSJも、英紙・タイムズも大勢に影響はないと低い評価です。
 

人民元がSDR構成通貨に (10/10 産経 【環球異見】)

 
中国の通貨、人民元が国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成通貨に加わった。ドルとユーロ、円、ポンドに続く5番目の「国際通貨」となったことに対し、中国紙は世界経済を左右する実力を備えたと手放しで評価。一方、米国紙は、中国が「法の支配」といった資本主義の必要条件を満たしていないことを問題視。英国紙は、巨額の不良債権を抱える中国経済の危険性について指摘した。

□ウォールストリート・ジャーナル(米国)
■改革失敗で台頭は限定的に

 米紙ウォールストリート・ジャーナルは9月30日、「
人民元の台頭は限定されている」との社説を掲載。「経済成長に支えられてきた人民元だが、構造改革の失敗で結果的に(台頭が)抑えられる」と論じた。
 社説によると、人民元の将来に対する
楽観論者は、「国際金融の地図を塗り替えている」「世界2番目の経済大国は米国に迫る」とみる。一方で、悲観論者は「中国経済は山あり谷ありで、資金流出が進んでいる
」「(つられて)新興国の通貨も乱高下している」とする。
 
「解は中間にある」というのが社説の立場だ。人民元の国際化については「驚異的だ」としつつも、「(その成否は)金融市場の開放や経済構造改革を達成できるかにかかっている
」と説明する。確かに、中国は各国政府の準備通貨になった。だが、「資本取引も為替相場も自由化されていない」(社説)のが現実だ。
 社説が
必要条件とするのが、中国金融市場の発展と法整備だ。「政府と個人とを問わず、海外投資家が人民元建ての金融資産を保有できるようにすべきだ」と主張する。仮に、金融市場の改革が実現したとしても、人民元の台頭は「限定的」と社説は唱える「表現の自由、法の支配を認め、金融機関に政府が介在しないようにする」といった資本主義の原点である政治面での必要条件が後退している
点を問題視する。

 今月1日付の解説記事でも、「米ドルの地位を脅かすにはほど遠い」と指摘。エコノミストのコメントを引用し、「強い金融機関を持っていないので、
外国人投資家の信用を得ていない
」とした。
 決済通貨として人民元のシェアは1・86%。米ドルの42・5%、ユーロの30%、英ポンドの7・5%に及ばない。「他国のエリート通貨と比べるとまだ課題が残っている」とする見方は冷静だ。実際、足元の中国経済は足踏みしている。(ニューヨーク 松浦肇)

                   ◇
□環球時報(中国)
■国際市場が信認した

 中国共産党機関紙、人民日報の傘下にある国際情報紙、環球時報(電子版)は3日、「国際金融機関や国際金融市場は(SDRに組み込むことで)人民元に対して十分な信認を与えると明示した」とする論評を伝えた。国営新華社通信が管轄する国際情報紙、参考消息も3日、「世界の金融安定化に結びつく」などと、人民元が世界経済を左右する実力を備えたと評した。
 IMFが人民元をSDRに正式に組み込んだ10月1日は、1949年に毛沢東が新中国成立を宣言した建国記念日の「国慶節」にあたる。このため、
国威発揚の材料としてSDRがさかんに利用された。新華社通信は、「SDR入りで世界の数多くの国が外貨準備に人民元を追加したり、金融市場で人民元建ての取引が増えたりして、人民元の国際化が進む」と伝えた。
 このほかにも中国のニュースサイトには、「人民元のSDR入りが国際通貨体系に活力を与える」「人民元はドルとユーロとの3極をになう通貨になった」「中国が経済強国になったことを世界が認めた」などと祝賀ムードが続いている。

 ドル、ユーロ、日本円に英ポンドという世界のハードカレンシー(国際兌換(だかん)通貨)に肩を並べ、基軸通貨であるドルと、その影響下にあるドル経済圏への対抗勢力として、人民元がすでに確固たる地位を築いたかのような印象を与える。
 だが
実際のところ、ドルや円などと違い、人民元は国境をまたぐ自由な資本移動が完全には認められていないほか、外国為替市場も完全な変動相場制にはなっていない。いずれも金融当局の厳格な管理下に置かれており、国際的な通貨としては片翼飛行の状態。IMFはあえてSDR入りを先行させることで中国に通貨政策の改革を迫ったのが実態だが
、そうした点はほとんど報じられていない。
 
国内向けに表層的な利点ばかりを説く偏向的な報道が、改革を遅らせることになる
かもしれない。(上海 河崎真澄)

                   ◇
□タイムズ(英国)
■国際通貨として疑問

 英紙タイムズは9月30日付で、英「スカイ・ニュース」のエド・コンウェイ経済専門記者による「
中国経済はスローモーションの自動車事故のようだ」と題する寄稿を掲載した。
 中国政府は、人民元が世界で自由に取引される5大国際通貨となり、中国経済に対する世界の信頼度が高まることを目指してきた。しかし記事は、人民元がSDR構成通貨になることに触れながら、「
世界経済への影響はほとんどない
。象徴的なものだ」とした。
 
その理由として、金融市場では(中国当局が資本規制を残しているため)人民元を自由に取引したり、他の通貨に両替したりすることができないことを挙げた。また「より大きな問題は超大国に突き進む中国が依然として潜在的に破綻する可能性を秘めている
」とし、中国経済そのものの先行き不透明感を挙げた。
 「昨年の上海、深センの両株式市場の暴落は1980年代以来の高成長の果てに大きな負の遺産を抱え、
ここ数年、世界で次に起こる危機の源になってきた
ことを示した」と酷評した。

 国際決済銀行(BIS)が9月に発表した報告によると、中国での信用供与が大きく伸びており、金融危機などをいち早く知る早期警戒指標である「国内総生産(GDP)に対する総与信ギャップ」が、第1四半期には安全水準の3倍となったことに触れ、
「3年以内に金融危機に陥るリスクが高まった」と警告
した。
 さらに
中国の債務水準は英国や米国、80年代後半の日本よりも高いことを挙げ、「これが破裂すれば金融危機が発生し、長期停滞に陥る
」と予測した。

 最後に、「重要なのは中国政府がこの不良債権処理に取り組んでいるにもかかわらず、うまくいっていない」と論評し、
「国際通貨の仲間入り」を果たしながらも、中国経済は大きなリスクを抱えていると訴えた。(ロンドン 岡部伸)

 WSJは、楽観論と悲観論を挙げ、「解は中間にある」との立場としながらも、中国金融市場の発展と法整備が必要条件と迫り、仮に、金融市場の改革が実現したとしても、人民元の台頭は「限定的」と、バッサリ。資本主義の原点である政治面での必要条件が後退している点を問題視とのことですが、当然だし、最初から判っていることでもありますよね。

 タイムズは、「世界経済への影響はほとんどない。象徴的なものだ」と!
 「超大国に突き進む中国が依然として潜在的に破綻する可能性を秘めている」点を重視、「ここ数年、世界で次々に起こる危機の源になってきた」と酷評。「国内総生産(GDP)に対する総与信ギャップ」が、第1四半期には安全水準の3倍となったことに触れ、「3年以内に金融危機に陥るリスクが高まった」と警告した国際決済銀行(BIS)の報告をとりあげています。
 更に、中国の債務水準は英国や米国、80年代後半の日本よりも高いことも挙げ懸念を示して、しかも「重要なのは中国政府がこの不良債権処理に取り組んでいるにもかかわらず、うまくいっていない」と。。

 遊爺は、かねて、中国の財政赤字に注目してきました。低迷する経済成長を必死に支える共産党政権。財政出動は、景気をけん引してきた公共設備投資はもとより、不良債権破綻支援から、為替操作、果ては官製株価バブルにまでおよんでいます。(日本も日銀の金融緩和に全面依存する姿勢は、人様のことをとやかく言える立場ではありませんが。)
 知りえる情報が少ないなかで、財政赤字は累積してきているものの、未だ日本ほど深刻な額ではないとの認識でしたが、タイムズの「中国の債務水準は英国や米国、80年代後半の日本よりも高い」との指摘は、政府の財政赤字ではないにしろ、むしろより深刻なバブル崩壊に繋がるものとして、改めて警戒感を強めさせられました。

 
拡大する中国の財政赤字|2016年5月号|金融ITフォーカス|刊行物|NRI Financial Solutions
 
【正論】中国と欧州の関係は「腐肉に群がるハイエナ」だ 人民元国際化の「脅威」と戦え! 西尾幹二 - 産経ニュース

<前略>
■資本主義が変質する恐れも
 
欧州諸国は中国が守らないことを承知で中国を救うそれが自分たちを守る利益となる
と考えていないか。ドイツはフォルクスワーゲンの失敗を中国で取り戻し、イギリスはシティの活路をここに見ている。
 私は中国と欧州の関係を「腐肉に群がるハイエナ」(『正論』6月号)と書いた。米国の投資家は撤退しかけているが一枚岩ではない。中国の破産は儲けになるし、対中債務は巨額で、米国は簡単に手が抜けない。中国経済は猛威をふるっても困るが、一気に崩壊しても困るのだ。ちょうど北朝鮮の崩壊を恐れて周辺国が「保存」している有り様にも似ている。

<後略>

 タイムズの見方と、欧州各国当局の見方とは、反しているのか、破綻するとみている根っこは同じなのか、したたかなお公家様の様な欧州の言動は、遊爺には理解不能です。

 人民元のSDR入り。ドルの世界支配に対抗しようとする中国政府の狙いが成功するのか。原則を曲げて解釈して承認した欧州勢が助勢したのですが、今後の成り行きが注目されますね。



 # 冒頭の画像は、人民元の主要通貨採用をめぐり記者会見するIMFのラガルド専務理事(2015年11月 於 ワシントン)




  赤く咲くのはケシの花


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ジャンル:
経済
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