遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

アジア安全保障会議 中国に対する手詰まり感

2017-06-05 23:58:58 | EEZ 全般
 シンガポールで行われていたアジア安全保障会議が、4日閉幕しました。
 南シナ海への膨張を続ける中国の行動に危機感が高まる中で、一方ではトランプ政権が、北朝鮮問題で中国を頼る状況下でもマティス米国防長官らが南シナ海の岩礁埋め立てと軍事拠点化を進める中国を強く批判したことで、関係国はひとまず安堵したとのことです。
 しかし、中国は批判を顧みずに軍事施設を着々と建設しており、中国に対する手詰まり感を嘆く声も上がったと。
 

南シナ海 海洋進出批判 手詰まり アジア安保会議 中国、耳貸さず (6/5 読売朝刊)

 【シンガポール=吉田健一、一言剛之】シンガポールで4日閉幕したアジア安全保障会議では、マティス米国防長官らが南シナ海の岩礁埋め立てと軍事拠点化を進める中国を強く批判し、トランプ米政権の南シナ海政策を見極めようとしていたベトナムなど関係国をひとまず安堵させた
。ただ、中国は批判を顧みずに軍事施設を着々と建設しており、中国に対する手詰まり感を嘆く声も上がった。

 4日に行われた分科会。
東南アジア諸国連合(ASEAN)のレ・ルオン・ミン事務局長は、南シナ海への膨張を続ける中国の行動に危機感
をあらわにした。
 「南シナ海の航行や飛行の自由は平和的環境があってこそ維持される。
軍事化という一方的行動は当事者間の信頼を損ない、武力衝突の危険を引き起こす

 中・ASEANは2002年、南シナ海の紛争の平和的解決などを内容とする「行動宣言」に署名した。しかし事実上の紳士協定であるため、中国の海洋進出の抑止力にはなっていない。
 今回の会議に関し、
ベトナム軍関係者は「米国などが中国の一方的行動にくぎを刺したことは意義深い」と指摘フィリピン政府関係者も「北朝鮮問題で中国を頼る米国が、南シナ海問題で対中批判を抑えなかったことが重要
だ」と語った。
 3日の分科会でも「南シナ海問題の平和的解決」を呼びかけた中国国防省の周波・国際軍事協力弁公室安全協力センター主任に対し、
インドの出席者が「あなたの発言は、人工島造成による軍事化とどう整合性がとれるのか」とあきれた様子で問う一幕
もあった。
 
だが中国は、「人工島造成は中国の合法的権利であり、軍事化ではない」(周主任)などと強弁し、批判に耳を貸す様子はない

 5月30日には、ベトナム国営紙タインニエン(電子版)が、スプラトリー諸鳥のクアテロン礁で、中国によるレーダー施設などの建設を確認したと写真入りで報じたばかりだ。その他の人工島でも同様に軍事施認の整備が急速に進む。
 中・ASEANは5月、南シナ海での紛争防止のため、各国の行動を縛る「行動動規範」の枠組みの草案で合意したと発表した。ただ、焦点の法的拘束力が盛り込めるかどうかは不透明だ。
 アジア安保会議に参加した
インドネシア政府関係者は4日、「ASEAN内でも中国との距離感に差があり、一致点を探るのは容易ではない」とした上で、「行動規範を定められたとしても、中国の行動に歯止めをかけられるかどうかは全く未知数
だ」と嘆いた。

日米演説に中国反論
 【シンガポール=竹内誠一郎】
中国外務省の華春螢副報道局長は4日、シンガポールで開かれていたアジア安全保障会議で3日にマティス米国防長官と稲田防衛相が南シナ海問題などに言及した演説に対し、「無責任な言論であり、断固として反対する」などと反論する談話
を出した。
 華氏は、両氏の主張が南シナ海の情勢緩和に逆行しているとし「別に下心があるものだ」と批判した。マティス氏が台湾問題に言及したことにも触れ、米国から台湾への武器供与などを停止するよう求めた。
 同会議の中国代表団は両氏の演説後、反論声明を記者団に示していたが、米国との対立の鮮明化は避けたとの見方も出ていた。中国側としては改めて、公式の態度を表明した形だ。

日ベトナムで「安保協力強化」 フック首相来日
 【ハノイ=杉目真吾】
ベトナムのグエン・スアン・フック首相は、4日からの訪日を前に日本メディアの取材に応じ、「両国の広範な戦略的協力関係をさらに発展させ、投資や貿易の促進につなげたい」と述べ、経済や安全保障分野で、関係強化に取り組む考えを強調
した。
 中国と対立している南シナ海の領有権問題については「国際法に基づく、平和的な解決が必要だ」と改めて訴え、紛争防止に向けた関係国の「行動規範」の早期策定に努める考えを示した。その上で、「
日本を含め各国の積極的で、責任ある貢献を歓迎
したい」と述べ、国際社会の継続的な協力も求めた。
 また、高速鉄道など
質の高いインフラ(社会資本)整備に関しては「日本との連携を強化していく」
と語り、日本からの投資拡大に向けた環境整備を進める意向を示した。
 フック首相は4~8日に日本を訪問し、安倍首相らと会談する。首脳会談では、経済分野のほか、
米国が離脱を表明した環太平洋経済連携協定(TPP)についても意見交換する。

 ASEANのレ・ルオン・ミン事務局長、ベトナム、フィリピンインドから、中国批難の声があがり、マティス米国防長官と稲田防衛相が南シナ海問題などに言及したことで、覇権拡大が止まらない中国への牽制に安堵感はあったのですね。
 インドネシア政府関係者が、ASEAN内部での対中距離感のバラツキを指摘しています。中国が二国間交渉で、ASEANの分断を画策しているからですね。
 また、国際仲裁裁判所の裁定を紙屑と言って国際ルールを無視する中国。各国の批難にも関わらず、なかなか法的拘束力を持たせられない「行動動規範」が定められることが出来たとしても、中国の行動に歯止めをかけられるかどうかは全く未知数と嘆いている通りで、対中施策に手詰まり感が生じてきているのですね。

 どうすれば良いのか。
 中国が二国間の札束外交で、ASEAN分断を謀っているのなら、日米他の関係国のなかで、志を共通する国々を募って、中国の覇権拡大の暴走を牽制することが必要です。
 ベトナムのフック首相が来日され、経済や安全保障分野で、両国の関係強化に取り組む話し合いが進められている様子。米国抜きのTPPについても協議されるとのこと。こうした各国との二国間関係の強化をし、その輪を増やしていくことが肝要ですね。その旗頭としての日本の役割への期待に応えていくことが求められています。



 # 冒頭の画像は、三者会談をした、アジア安全保障会議(シャングリラ対話)に出席中の稲田朋美防衛相、米マティス国防長官、豪ペイン国防相
  日米豪が防衛相会談、北朝鮮を「最も強く非難」 中国もけん制 | ロイター発 新着ニュース | ダイヤモンド・オンライン


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