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白い死神~創作物語~ 第五話

2017-07-18 11:28:27 | 日記

時計は、十二時を回っている。
もう、後には引けない。
月子の細い首をしめるためのロープを鞄につめこんで、
真夜中の人気の無い道を自転車で一気に走り抜ける。
真っ暗な夜道は、意外と気持ちがいいものだ。
すれ違う人も車もない。
下り坂にさしかかって、自転車のスピードはどんどん上がっていった。
月子を殺した後のことは、考えていなかった。
ただ、つかまって死刑になってもかまわないと思っていた。
十四歳では、さすがに死刑はないのかもしれない。
でも、どうなろうとかまわない。
この命にも、この人生にも、あまり魅力は感じていなかった。
どうせ、私の事を本気で心配してくれる人などいない。
とても、残念な事だけれど……。

月子を殺す。
その事ばかり考えながら、私は猛スピードで坂道を下っていく。
その時、急に目の前に何かが飛び出してきた。
真っ白な仔犬だった。
慌てて、ハンドルを切る。
次の瞬間、私は自転車ごと宙に浮いていた。
そして、何もわからなくなった。

あの……仔犬。死神だ。
ようやく全てを思い出した。
間違いない。私は、あの死神に殺された。
なんだか、むしょうに腹が立った。
最初から、あいつは全てを知っていたんだ。

「死神、死神。どこ? 出てきなさいよ。
どういう事か説明してよ。」

私は叫んだ。
今だってどこからか私を見て、笑っているに違いない。
本当に、あんな可愛いのに、根性が曲がっている。
少し、説教してやらなきゃ。

閉まったままの月子の部屋のドアから、
音も立てずにスーっと死神が現れた。
相変わらず、仔犬の姿をしている。

「ごめん。流音ちゃん……。でも、仕方が無かったんだ。」

死神はそう言うと、なぜか月子のほうを見つめた。
おいおい、私に謝っているんじゃないの? 
月子は、しばらく死神を見つめていたが、突然驚いた表情で叫んだ。

「……ひろむ……なの。広夢なのね。間違いないわ。
私にはわかる。だって、お母さんと同じ瞳の色だもの。
あなた、死神なの? いったいどうして……。
あなたみたいに純粋な魂が……。」

月子が何を言っているのか、私にはよくわからなかった。
少なくとも、この死神は、私を殺した犯人だ。
純粋なわけが無い……と思う。

でも、なにか深い理由がありそうだ。
それを聞いてからでも、怒るのは遅くは無いかもしれない。
どうせ、もう何を聞いても驚かない。
この世に、ありえない事なんてないってことが、
やっと私にもわかりかけてきたところだ。

「わかるように、説明してくれる? 広夢って誰? 
私を殺したのは仕方が無かったってどういう事? 
あなた達、知り合いなの? 」

聞きたい事は山ほどあった。
それは、月子も同じだったようだ。

「この際、お互いの知っている事を全部話して、
この状況を整理したほうがよさそうね。」

月子が言った。

それから、随分長い時間をかけて、
私達は、今までの出来事を整理していった。
それは、恐ろしいほど残酷で、切なくて、
悲しい真実の物語だった。

     つづく。。。

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