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小さな花 ~創作物語~

2016-10-29 00:29:14 | 日記

どうしてそんなに
急ぐのだろう?

みんなどこを目指して
走っていくのだろう?


人々は、誰もかれも先を急いでいた。
息を切らして、走り続けているんだ。


僕はそんな人々の姿を
少し高い丘の上から眺めている。

毎日。。。毎日。。。

いつものように、人々の走っている姿を
ぼんやり眺めていると。。。
一人の青年が転んだ。


助けてあげなきゃ。。。

僕は、丘を下っていく。
そして、倒れた青年に手を差し伸べた。

「大丈夫?」

「ありがとう。。。」

 

そう答えたその青年の瞳は
とてもキラキラと輝いている。

「そんなに急いで、どこへ行こうとしているの?」

僕は、思いきってたずねてみた。

ずっとずっと不思議に思っていたことだから。。。

すると、その青年は僕にこう答えた

「幸せをね。。。探しているんだ。
 どうしても、手に入れたいんだ。」


……えっ?幸せ???


「だったら。。。」


僕が話を始めようとすると
申し訳なさそうに、青年は言った。

 

「助けてくれてありがとう。。。
 でも、時間がないんだ。
 早くみんなに追いつかなきゃ。。。
 だいぶ遅れをとってしまった。
 急がないと、僕の分の幸せがなくなっちゃうから。」


そして。。。ぺこりと僕に頭を下げると
そのまま、また走りだしていった。
全速力で。。。一度も振り返りもせずに。。。

また。。。僕の話は聞いてもらえなかったな。。。

いつものことだ。

それでも、お礼を言われたのは初めてだったので
僕は少し、嬉しかった。

それに、何を目指して走っているのか。。。
理由も教えてもらえたし。。。


青年が転んだ。。。ほんの数メートル横に

小さな花が咲いていた。

 

この花は。。。不思議な花で。。。
摘んでも摘んでも。。。。すぐにまた花を咲かす。
以前、神様がここに植えていった花だった。

あの時。。。神様はこう言っていた。

「小さいけれど、綺麗な花だろう。。。
 みんなが取り合って、喧嘩をしないように
 みんなの命の数だけ咲くようにしておいたよ。
 誰かが摘んでしまっても。。。すぐ次の花が咲くはずだ。」

神様は、僕にこうも言った。

「この花の名前はな。。。
 「幸せ」というんだ。
 すべての命に、この花がいきわたるといいのだけれど。
 果たして、何人見つけてくれるかな。。。

 そうだ!!!

 いったいどれくらいの人が幸せを手に入れるか
 お前がここで見ていてくれないか? 
 そして、この花を摘んでいった者がいたら
 手紙で知らせて欲しい。
 どうかな。。。頼めるかな???」


「はい。神様!!!
 どうか、おまかせください。
 そんな嬉しい手紙なら
 書くのがとても楽しみになるにちがいありません。
 素敵な役目を仰せつかって。。。光栄です。」

なんだか、僕はワクワクした。

どんな人達が、「幸せ」を手に入れるのだろう。
一人でも多くの人が摘んでいってくれるといいなぁ。。。

 

あれからずっと。。。もうずいぶん長い間。。。
僕はあの丘の上から、この花を見守り続けている。

残念なことに、まだ、この花に気付いた者は一人もいない。


今日僕は、久しぶりに神様に手紙を書いた。


  

  。。。神様へ。。。

この花を摘めたのは 
今のところ、残念ながら僕だけです。

けれど、きっと、いつか

誰かが気付くと思います。

僕も、教えてあげたい。

「君たちの探しているものは
ここに咲いているんだよ」と。。。

でも、神様。。。

僕の話を誰も聞いてくれません。
みんな、忙しいみたいです。

幸せ探しに。。。

        おしまい

 

 

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2 コメント

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感想 (あやか)
2016-11-05 17:03:10
とってもいいお話ですね。
神様はすべての人に幸せを与えようとしてるのに、誰も幸せに気がつかないんですね。
いろいろ、考えさせられました。
あっ、申し遅れましたが、私、あやか、って言います。はじめてコメントさせていただきます。
ブログ主さまは、すばらしい作品書いておられますね。これからも、ご健闘くださいね。
あやかさまへ (夕暮れの赤)
2016-11-09 01:03:06
はじめまして!!!
コメント、ありがとうございます。
幸せって。。。意外と見えてないから
失くしてから気づいたり
気付かずに通り過ぎたり
私が幸せです。。。って名札でも張って
正面から会いに来てくれたらいいのだけれど
なかなかそうもいかないみたいですね。
だから、見逃さないように
前ばかり見ていたら
足元に幸せが咲いていることに
気付けないですよ。。。
なんて、意地悪なお話を書いちゃいました。

気に入っていただけたのなら、幸いです。
どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。

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