お晩でがんす
速いもので今日は迎え盆だ
迎え盆の最初の仕事は野花取だ、倅と孫の男の子と二人でニ三年前から行っている
あさ5時起きで行く、朝露があるうちに取ってくる
種類は13種類ほどで有った、年々其の数も種類も減ってくる、。やがて野花は絶滅で有ろう
此れが其の貴重な花達だ、ほどほどの数で良いと言ってある
この花が生えている所は克って我が家の里山で有ったが軍に接収されてしまった所だ
此の籠を背負っていると花の匂いでむせ返る程に成る、
八月六日の、六日山の日に採取しておいた、茅を日陰で干すこれを藁叩き石で根元を叩く
堅い根元を叩いて柔らかくするためだ此の石も何百年も我が家に伝わる石だ
こうして叩いた後縁側で縄を綯う、今や縄を綯うだけでも貴重な技術になってしまった
仕舞っておいた盆棚の一式を蔵から出してきた
此の一縛りに全部の部品が収まっている
次世代の親子二代で組み立てている、一年に一度の事で思い出しながらの作業だ
本体の骨組が組み立て切ったところだ
野花と自家産の花々を飾って整える
御先祖様の数々である、右側手前の空きスペースはお食事を朝晩進ぜる場所だ
此の丸い野菜や果物は無縁様に進ぜるものだ、行き場のない無縁仏にも食事を出す
古人の優しさの象徴の様な文化だ
果物の桃と花は自家産の物で、梨は隣町から送られてきた梨だ
自家産の花は、百日草。鹿の子百合、高砂百合、禊萩、小葉の擬寶珠小葉、パイナップルリリー,夏水仙、である
こうしてすっかり準備ができたので昼食を戴いてから菩提所へご先祖様をお迎えに行く
爺さん、倅、孫、の親子三代で迎えに行く、シャワーで実を浄めてから出かける
菩提所でも御檀家の中でも珍しいと言われた
菩提所の祭壇で分火した火を弓張りの中へ入れて自宅まで持ってくる
門先で用意しておいた麦藁に火を移す
其の迎え火で線香に火を移し、
移したら、其の火を縁側から奥の間に設えてある盆棚に移す、
死人は奥の間から天界へ出棺するので、奥の間に玄関を通らずに入るのがルールだ
火をともしてきた弓張りはそのまま門の柱に置く
こうして無事に迎え盆ができた
一連の斯うした流れを頑なに守りながら生きて来た、これからもそうしてゆくだろう
孫が生きているうちは続くだろうと思っている
そんじゃあまたはなすべえ
遊童子