中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

武蔵野美術大学特別講義「紬きもの塾移動教室⑦」

2016年07月06日 | 「紬きもの塾」移動教室

黒い紙に綾振り状にして巻かれた糸。


横から見ても美しい!!


真っ直ぐな巻き方もきれいです。


みなさん無心で繭から糸を引き出しています。

先月、武蔵野美術大学工芸工業デザイン科テキスタイルの学生に特別講義をしてきました。毎年、遠くて朝早くて大変だな~と思いながら、かれこれ7年になります。
いつものように絹糸の根本の話から始まり、染め、デザイン、織り、そして着物を着ること、着物をたたむことまで話しました。

親も祖父母も着物を着ない。
振袖や浴衣を着るくらいでほとんど着物とは無縁に育ったわけですが、今年のクラスも「紬」という言葉を知っている学生はほとんどいませんでした。


自分の半幅帯を持ってきてくれた学生に私の紬を着てもらいました。
そばで見ているスウェーデンから来た学生も一度見ただけでほとんど自分で半幅を結びました。
時間がありませんのでさっと纏ってもらうだけですが、二人とものみこみが良かったです。そして何より嬉しそうでした。
紬や麻、木綿の着物を着ることは誰でもできます!


着終わってから、着物を包んできた畳紙の上でたたみ方も見てもらいました。
教室の机の上の狭い場所でも、あの大きな着物をなんなくたためるのですから着物の仕立ての奥深いところです。

講義の始めはなんとなく聴いている感じですが、、、繭から糸を繰り、真綿をつむぎ、草木の色に触れ、紬の着物を着ることを目の当たりにし、狭い場所でもコンパクトにたためる着物の合理性を知るころにはみなさんの表情が確実に変るのを感じます。

素材や技術の話も大事ですが、使う文化があってこその着物、工芸、美術、モノです。
本当の意味で「使える」「使う」ということは作ることと同様に厳しくもあり、高度な感性も必要になります。

「作る(創る)」こと、「使う」ことは「生きる」ことそのものです。そして何より自分を高め豊かにしてくれる楽しみでもあります。

短時間ではありますが、作ることの根本から、使うことのトータルな話をしてきました。学生のみなさんの今後に役立ててほしいと思います。
 
終了後、講義の感想をまとめたものを送ってきてくださいました。
それぞれが特に印象に残ったことを書いてくれていますが似た感想が多いので、その一部をご紹介します。
















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