中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりが「紬きもの塾」を開講しました。このブログはその記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第8回紬きもの塾―取り合わせの美

2016年11月02日 | 紬塾 '15~'16


紬塾も終盤になり、ようやく着物を着る話になってきました。
みなさんからも質問なども多く、時間延長で盛り上がりました。

今回は着物(八掛)や帯、小物(帯締、帯揚げ)、襦袢、羽織(羽裏、羽織紐)、コート、その他の小物について一つずつ私の見解や、世間的に言われていることなどを話しました。
紬の取り合わせは、ただ色合わせや柄合わせにとどまるのではなく、質感やものが持つ力を合わせることも大切で、単なるカラーコーディネートではないという、そんな話にも及びました。

取り合わせワークショップも行いました。
2反の着尺と紬帯、染帯、銀糸の入った織帯
など6本を用意し、いつ、どこで、どんな目的、心情で着るのかを想像してもらい、2パターンを相談したりせずに、一人で考えてもらいました。帯揚げ、帯締ももちろん合わせます。

あとから結果を各自発表してもらいましたが、一組も同じ組み合わせはなく、いかに人の見方や考え方が僅かな選択肢の中からでも違う組み合わせになるのかがよくわかります。
誰かの真似っ子でもなく、色彩学的な刷り込みでもなく、とてもその方らしさも感じられる素敵な取り合わせでした。
みなさんため息や驚き、歓声などが上がりました。
自分では選ばないけれど、こういうのも素敵!と刺激を受けます。

こじんまりとまとめるのもよいですが、時にはちょっと冒険もいいですね。
ユニフォームのような統制された取り合わせは息苦しいです。
紬はおしゃれ着で、基本的なことさえ抑えれば自由です。

ただ大切なことは、違う色や柄、素材を合わせながらもちぐはぐや、めちゃくちゃにならないためにはどんなものでも上質なものを選ぶことが良いと思います。
ある一定以上のクオリティが保たれたもの同士を選ぶという力を自分の中にも持ちたいです。

そして何より取り合わせで最も大事な「着る人」。
自分に合わなければなりませんが、人生合わないものに遭遇することも度々です。(~_~;)
大枚投じながら似合わないものを買ってしまうことはありますよね。あるいは譲り受けた着物の色が合わないとか。そんな時のカバーの仕方も話しました。

20年以上前ですが、パーソナルカラーの診断を受けたことがあります。
ピンクとか黄色とか赤、青…の色の違いではなく、色相による違いを見ます。
例えばピンクといっても黄色味を含む、青味を含むで全く違ってきます。
それを春、夏、秋、冬とカテゴリーに分けられていて、その人の肌の色や髪の毛の色、瞳の色、他にも顔立ちや人柄までもトータルで見ていきます。

私の似合う色は青みを含むビビッドカラーの冬で次に柔らかな黄色味を含むペールトーンの春が続きます。強い黄色味を含む秋が一番似合わないカラーになります。

この日着ていた「草紅葉」と題した自作の着物は(上の画像)私に残念ながら似合わない黄茶で秋の色です。
そこで白汚し地に藍の縞帯、ネイビーブルーの帯揚げ、薄紫の帯締で冬や春の色を合わせカバーしてみました。この着物をきるときの羽織も似合う色を選んであります。

また似合う似合わないだけではなく、秋には秋の色も着たいですから取り合わせで乗り越えれば良いと思います。
取り合わせの世界も本当に深くて、年齢とともにもちろん変化し、時代の感覚も加わり、とどまることはありません。
でも日本に四季がある限り自然の影響を受けながら着物を着ることは変わらないでしょう。
似合わない色さえ取り合わせで着こなしていく――。洒落着は自分を発見し、磨くことのできるツール。
紬らしい風合いの良い着物を選ぶ目を養い、心地よく自分らしく、そして周りの人の目も楽しませ、和ませるなら最高です。一生をかけて磨いていきたいと思います。

今月末から取り合わせを中心にした「紬の会'16―冬の装い」を開催します。詳細は後日お知らせします。





ジャンル:
文化
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