中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

櫻工房の庭木で染める・続

2017年07月19日 | 制作工程


櫻工房の庭木の枝葉を使っての染の作業も2週めに入っています。

東京は雨の少ない梅雨となっていますが、染色をするにはよく乾きますのでいいのですが、温暖化による地球規模の気象の異変が心配されます。

染色の時には水を使いますが、無駄にしないよう気を使いながら様々な工夫をします。
清水でよく洗うべき時には惜しまず使い、下洗いの時にはその水を順繰りに使いまわすこともします。
洗い水を捨てる前に必ずいいのかな?と自問してからにします。
染色のノウハウだけでなく、そういうことも含めしっかり身につくと仕事全般に無駄な動きがなくなるのです。アシスタントも身についてきました。

さて先週は淡い色系統から中間色でしたが、今週は中間色から濃色へと染色作業が進んでいます。
藍染にも少し草木を掛けて調整して使いやすい色にします。

濃い色は1回や2回では草木の生木の場合は染まりませんので、時間を掛けながら染め重ねていきます。
濃色処理剤もありますが、糸の芯まで色を含ませていきたいので私は使いません。
真綿の糸や普通練りの糸は染め重ねで糸を傷めてしまいますので、そのことは気をつけて見なければなりませんが。


生木での染色作業はまず染材のチップ作りからです。
細い枝は剪定バサミで斜めに切って切り口を大きくして抽出しやすくしていきます。


梨の樹皮は梨の果実の皮と一緒ですね。この枝からきれいなピンク系がでます。


枝が太くなりハサミで切れなくなると鉈の出番です。この枝はシラカシです。


こちらは桜の中くらいの太さの枝の樹皮です。桜のささがききんぴらでも作りたくなる美味しそうな感じです。
木によって堅さや匂いが違います。


この小さな鉈は30年近く前に知り合いから頂いた生け花で使うもので、片刃でとても切れ味が良くまだ研いだこともありませんが活躍してくれています。サクサク切れます。この小ささが女の手に合います。

知り合いのお義母様(渡辺と名入です)が生け花の先生で、その遺品を整理した際に出てきたものです。
この鉈を「染の仕事に使えるのでは・・」と送ってくださったことにとても感謝しています。


また、桜の木の切り株も住宅地の庭の八重桜が大きくなりすぎたということで強い剪定をされた時に出た幹です。

私が草木で染をしていることに関心を寄せてくださっていた方が声をかけてくださいました。
程よい大きさで扱いやすく、振り下ろされるこの鉈を受け止めてくれています。無くてはならない道具です。 

人の繋がりがあって、助けがあってモノも繋がれこれまで続けてこれたのだと今更ながら感謝の思いを新たにしています。

まだ来週もこれらの道具と共に染めの作業が続きます。







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