中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりが「紬きもの塾」を開講しました。このブログはその記録を中心に着物、工芸、自然を綴ります。

紬きもの塾第7期の10回――上質の半幅帯を愉しむ

2016年01月20日 | 紬きもの塾'15
今期の紬塾も最終回を迎えました。

第10回は半幅帯の結び方を中心にしましたが、それ以外に仕立てのことや帯のマイサイズなど、着物を着始めていく上で、多少でも予備知識があれば何もかも人任せ、お店任せにせずに、理解して自分にふさわしい仕立てをしてもらえるのではないかと思い、注意点なども話ました。

半幅帯は素材によっても色柄によってもふさわしい結びがあると思いますが、浴衣用とだけ決めつけないで気軽に装うためにも、初心者こそ紬に上質の半幅帯を活用してほしいと思います。

矢の字、吉弥、文庫、角だし風とそのアレンジなどやってみました。
文庫はみなさんよくされると思いますが、大体の方が、スノコ畳みにしているのですが、ビョウブ畳みのほうがアレンジや帯の長さの調節も効きますのでそのやり方で幾通りか結びました。
また、今までの回のおさらいもかねていましたので、質問などもしていただきました。

また幸田文「きもの」も最後の発表者から指摘があった、父親の発言の箇所がとても大事なところだと思いました(単行本のP115~P118)。
婚礼を控えた長女がおかいどり(打掛)を着たいと言い出すのですが、父親から主人公のるつ子にも「なぜ、かいどりなんぞを着たいんだね?」と問いかけます。るつ子が「誰だって着たいわ」という物言いに、父親は立て続けに、見栄を張ることや、追従で着るものではないと説教をガミガミするのです。

今なら貸衣装の打掛がありますが、当時は普通の庶民が着るものではなかったようです。
人はなぜ着るのか、何を着たいのか、どうこしらえて着るか。
“着る”とは何かを考えさせられる箇所です。

最後の茶話会()では、気付きについてや今までの考え方を変えていきたいというような趣旨の発言もありました。
また着物を着たことのなかった方も、着てみたい気持ちが前回の着物を着る体験でも湧いてきたとの話も聞かれました。時間がたったら忘れてしまうかもしれない…と言ってましたが、私は紬のような着やすい地風のものであればだれでも自分で着ることはできると思っています。もちろん早くきれいに、着るには訓練も年季も必要ですが、着てみたい‥という何か突き動かされる気持ちを持ってもらうことが大切なのだと思います。その気持ちは忘れないでほしいと思います。また着方などお手伝いしますのでご連絡ください。

今の時代に手織りの布を織ること、手織りの布を着ること、それを次世代につなぐ、とことん着つくすなど、世の中の動きとかけ離れているのではないかという考え方もあると思いますが、私は次世代にどうしても残しておきたい善い仕事と思っています。一人でも続けますが、志を同じくする方たちと一人でも多く繋がっていけることを希望しています。

手作りならいいのではなく、生きるためにものを作り使うことを考えなければ文化は育たないと思います。自分で着物を着るわけではなく、暇つぶしに趣味で着物を織ったり、紬の基礎もできていないのに、公募展に自分の名誉(?)のためだけに作り続け出品しても着物文化は育ちません。それどころか作家もののレベルを下げていくだけです。工芸会の正会員の紬織作家の方が、私も出品していた若いときに「今どき着物なんてねぇ‥」と言われて唖然としたこともあります。(+o+)

時間をオーバーしての紬塾最終回となりました。
遠くからの参加者の方も休まずにとても熱心にお越しいただきました。たくさんの質問を用意して来てくださいました。
みなさまお疲れ様でした。ご参加ありがとうございました。

さて、工房では毎日かなりきついノルマを課して個展に向け制作に頑張っています。
風邪は絶対に引けない状況ですのでかなり厚着です。オーガニックコットンの肌着、スパッツは空気をためてくれるので本当にあったかで助かります!

もう少し仕事の目途が立ちましたら北鎌倉、東慶寺ギャラリーでの展示の詳細をお知らせいたします。
会期中の2月27日(土)11時~13時にミニ紬塾も予定しています。ご興味のある方は予定に入れておいてください。

来期の紬塾へ参加を希望されます方は、2月下旬に詳細をアップしますのでご覧ください。






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第9回紬きもの塾――着物を着る

2015年12月18日 | 紬きもの塾'15
今年度の紬塾も終盤になりようやく着物を実際に着るところへ来ました。
素材のこと、染め、織りのこと、とことん着ていく布そのものについても学び、いよいよ着ることの実践です。
着付け教室に通って自分で着て来られる方もありますし、本などで覚えた方もあります。一人で着るのが初めての方も含めみなさん一緒に着てみました。
そういえば親から教わったという人は今までもいなかったと思います。

まず長襦袢の着方、続いて着物、名古屋帯の結び方を一気にやりました。
ポイントを押さえて説明しましたが、初めての方はうまくはできませんが、細かなことをこの会で身につけてもらうつもりはありません。

肌着や襦袢、伊達締めや腰ひもの素材などの選び方から着ることは始まっていますので、その説明も前回してあります。
後は実際に着物を身にまとって自分の感覚を磨きながら回を重ねて上手になっていくしかありません。

ややもすると過剰にひもを使った着方をしたり、しわひとつないことを求めすぎたりして、ずいぶん堅い、窮屈な着方をしている方もおられますが、たまに着る人でも15分で着られる着方をめざすとよいのではないでしょうか?

着ていくうちにだんだん着物の着丈や帯の長さが自分に合うかどうかも自然に分かってきます。
それぞれのものの特徴とかは付き合ってこそわかります。

自分用に仕立てながら、長い身丈を胸紐、伊達締め2本使って着るのが当たり前と思い込んでいる方もおられますが、本来身丈が合っていれば胸紐か伊達締め1本で手早くおはしょりの長さは決まります。

帯も仮ひもなしでも簡単に結べます。必要もない時に仮ひもを使うやり方はいつまでも補助ぐるまをつけて自転車に乗っているようなもので、決して自分の身体感覚を磨くことにはなりません。帯が短い時には仮ひもは有効だと思いますが。

また差し込み式の堅い襟芯も紬などの自然な着方とは離れてしまうと思います。
三河芯に半襟を取り付けあとは襦袢の外側は安全ピン、内側の襟肩あきの所だけまつるやり方を説明しました。意外とこのやり方を知っている方が少ないというか、いままでの参加者に一人もいなかったと思います。 

紬塾終了後もお問い合わせいただければオプションとしてマンツーマンでの着方指導もさせてもらいますのでお問い合わせください。
今までの方も何人か2時間くらい追加でいたしましたが、そのあとは一人で着て出かけられるようになっています。
無駄を省いて自分に合った着方を磨きたいですね。

それと美しく着るということは何を着るか、何を取り合わせるかがまずもって重要なことだと思います。
一人ひとり人生が違うように異なると思いますが、自分と向き合うことになることは間違いないことだと思います。

“着る”とは何かを一生をかけて考えていきたいと思います。本当はとても大事なことだったと思います。
紬塾のテキスト代わりにさせてもらっている幸田文『きもの』にはいつ、どこで、どんなものを着るかが問い続けられています。そのためにも毎回一人ずつ発表をしてもらっています。
  
次回最終回は初心者でも最低限知っておきたい仕立てのことや、何から揃えていくのがよいかなどお話しします。

この日は母が遺してくれた久米島紬に自作の縞帯を合わせました。


帯揚げは冬の海のイメージの黄色味のブルーです。帯締めは桜染の糸で組んでもらったもの。

30年近く前の話ですが、母と一緒に二枚の久米島からこちらを選んだ日のことを思い出します。
私が糸味のある風合いを気に入ったもう少し大きな柄の手結絣のツバメはちょっと太り気味で、母は「ツバメは姿がスッとしてなきゃね。」と言って、地風は今一だったけれどこちらにしたのです。母らしい選択です。

着姿写真はHPの「着姿」でも部分しかありませんが、ご覧ください。


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第8回紬きもの塾ーー布を織る

2015年12月02日 | 紬きもの塾'15
   
初冬の景色の中で、先々週の土、日2日間に渡り、機織りの実習をしました。
その報告です。(上の画像は、庭の真ん中に物干し竿で見苦しいですが、、糸を干すために最優先の場所なのです。。。^^;)

いつものように3寸ほどの布をそれぞれの設計図を元に織りました。
同じ条件でお話しても、受け止め方もそれぞれで、随分違った雰囲気の布が織り上がりました。
染織実習の感想文を書いてくださった方のものは講評と合わせてご紹介いたします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「初めての機織りでした。
最初は緊張して肩に力が入ってしまい、杼はうまく通せないし、横糸を通した後に踏みかえ忘れて打ち込んでしまうし、糸は絡まるし、大変でした。
やっていくうちにだんだんリズムが掴めてきて、楽しくなりました。
特に「耳のところは籠を編むように」という先生の言葉通り、耳の部分の糸の調子がうまく整うと、また一つ織り進んだ実感が湧いて、とても嬉しかったです。
自分で紡いだ糸が太かったり細かったりで、どう見えるか心配だったのですが、織り進むうちにそのむらが素敵な風合いに見えてきました。
もっともっと織りたい気持ちでしたが、糸が終わり機を離れて帰宅する時は、子供を置いて帰るような気分でした。
また会える日まで、撮った写真を見て過ごそうと思います。S.T」

<講評>最初は緊張してとても力が入っていましたが、少しずつ糸が布の形に、そして色が縞模様を生み出す光景を見るに付けだんだんいい感じでリズムに乗って織っていました。
自分の糸と色糸を交互に混ぜながら味わい深い布になりました。



設計図の手直しをしてから織りにかかりました。
色糸も上手に使って雰囲気のあるオシャレな布が出来上がりました。



「今は、織ることに向きあった1時間ほどの至福の時間に感謝し、自分で織った裂に感動しています。そして、この感謝や感動は織るという経験だけでは決して感じられなかった気持ちであり、4月からこれまでの7回の紬塾があったからなのだと思っています。
先生の紬塾では、毎回テーマがあり、糸を知る、糸を紡ぐ、縫う、染める、設計する等、糸に真摯に向き合い、着物を着るために必要なことを知る時間を持ちます。自然と向き合い、手仕事と向き合い、自分と向き合う。現代の生活の中で、忘れてしまった大切なことを感じる、考える、そんな貴重な時間でした。その集大成が自分の手で、自分で紡いだ糸を、自分の心のままに織るということでした。
初めて機で織った裂は美しく、愛おしいものでした。この経験を通じ、私は更に紬織に魅せられてしまいました。織りを通じて、自分と向き合い、今の私の心を織る。その世界に私は心の安らぎを感じました。いつの日か、自分で着物や帯を織りたい。必ず実現したいと思います。
中野先生、素晴らしい世界に導いていただき、本当にありがとうございました。K.T」

<講評>やはり色糸を多用してデザインをされました。
最初足の踏み変え方にも筬打ちにも力が入ってしまい、経糸の節に筬が引っかかり糸を切ってしまいました。経に節糸を多用しているので初心者には本当にむずかしいと思います。
でもそのおかげで、初心者でも風合いのある布を織ることができるのです。
杼の投げ方も弱いと途中で止まってしまいます。でも最後の方は上手に織っていました。
紬の着物を着ることも大好きということですので、これからも糸に力のある紬を着て欲しいと思います。




「染織実習の「糸つむき」を楽しみに紬塾の申し込みをしました。
写真でしかみる事がない道具を実際使いました。
木綿とは違う糸の強さを感じました。     
先生が細すぎない太すぎない糸をつむぐよう、声をからしてご指導下さいました。
この結果は染め、織りの実習でより実感しました。
また、先生は入塾の際「五感で学んで欲しい」と言われました。
そのご指導を沢山いただきました。
私の細胞は以前より活性したように思います。T M」

<講評>
毎回遠くから真剣な面持ちで通ってくださってます。
機を織るために踏み木に乗せる足元も木綿の足袋を用意されました。
木綿を織る経験があり、力強い打ち込みで、やや力を弱めてもらいました。
色糸も多用したかったようですが、「自分の糸を大切に使い切ろう」という声がけをしましたので、予定のデザインとは大きく変わってしまいました。が、かえって素敵な布になったと思います。思いがありすぎてもそのまま全部を盛り込もうとすると抜け感のないものになってしまいますので、ご本人も納得されてとても嬉しそうに織っていました。良かったです。



<講評>この方も織りの経験はあるのですが、自己流の織り方がなかなか直せずにいましたが、なんとか織り上がりました。カラフルな強い個性的な布になりました。

杼の持ち方、置き方、筬の持ち方、打ち込み加減、足の踏み変えのタイミング、それは糸や機の構造や耳をきれいに真っ直ぐにタテヨコを交差させるための意味のあるやり方なのです。
機織りは誰にでもできるのですが、美しい布を織るためにはどの作業も無駄なことをしてはならないと思います。些細と思われる小さな仕事も次の仕事へ全て繋がっているのです。



「「なぜ中野先生の布が好きだと感じるのか、本当によい布とはどういうものか知りたくて、実習に参加しました。
 体調管理がうまくできず、織りの実習の前からお休みする事になってしまったのですが、先生のご厚意で設計のところまでさせて頂き、織って頂きました。
 布となった画像が届き、見てみると、最初は自分で設計したデザインが目に入り、なんだか算数的な、定規で描いた絵みたいだな‥と、恥ずかしくなりました。思い出すと、設計していた時は、一生懸命計算していました‥。糸の色や手触りを感じることが、設計するときに大切なのだと思いました。
 それでも、自分で紬いだ糸は、無事に布になっていました。経糸と合わさって、糸の形が見える、陰影を持った布です。触ってみたくなりました。それから、初めて見た、繭からほどけていく糸の形を思い出しました。小さな者のつくった、ちいさなかたち‥とても印象に残っています。これから布を織ることがあれば、忘れたくないかたちです。
 実習を通して、たくさんの大切なことを教えて頂きました。次世代にも語り継ぎたいことばかりです。ありがとうございました。K.M」

<講評>Kさんも遠くからご参加いただいていたのですが、途中から特別な事情で参加が難しくなりました。
織りをとても楽しみにされていましたので、メールのやり取りをし、ブログに上げてある色糸や地糸を画像から選んでもらい設計図を書いて送ってもらいました。代理で私が織りました
糸もとても良くつむがれていて、ほぼ設計図通りの布になりました。
シンプルですっきりした布ですが、実際の布を見ると奥行きのある美しい布になったと思います。

糸をつむぎ、草木で染、自分でデザインし、自分で織る、という体験を、本当に美しいものはどこから来るのかを考え、これからの暮らしにも生かすきっかけとしてもらえたらと思います。
自分の布は額装にするなり、小物にするなり身近で時々見つめて欲しいです。








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第7回紬きもの塾――取合せについて

2015年11月21日 | 紬きもの塾'15
11月初旬に行われました紬塾の報告が遅くなりました。
いつものように取合せについての話とワークショップ、そして着物を着る以前の足袋や下着類の素材、選び方などについても話ました。

日本の取合せ文化は異なる素材や質感、形、色などを絶妙のバランス、ハーモニーで重ねていきます。よくある色の単純なコーディネートとは違います。ものの力を合わせる点も重要です。

手織りの紬にいわゆるファブリック類を合わせたりするのは、布についてよくわからない初心者がやることではないように思います。もちろん服地など上質の物なら帯として使うことも可能ですが、よくわかってやらないといけないですね。着物の世界は意外性だけではもたないです。

着物、帯、帯揚げ、帯締めをいつ、どこで、誰がなどシチュエーションを決めて実際にやってもらうワークショップでは、参加者から「つい無難な線でまとめて冒険はできない・・」という発言もあったのですが、「思い切って冒険しました!」と嬉しそうに帯揚げ帯締めを合わせられたのですが、なかなか良かったと思います。

「破調の美」にも触れたのですが、ぶち壊してしまう破壊ではなく、むしろ調子を破ることでものの部分と全体が生き生きと見えてくるような感じになると最高かな、、と思います。
難しくて私もあわてて着物を着るときなど無難な線になってしまうことがよくあります。(^_^;)

時間があるときによく取り合わせを考え、小物も少しずつでも吟味して帯締めや帯揚げを増やしていくことも大事ですね。取合せは奥が深いですから。でも、そのことが一枚の着物をとことん着こなすことになると思います。

下着類はよく素材を吟味して選ぶことで着やすさにもつながります。
襦袢こそいいものを選びたいです。

足袋の話の中では自分のサイズにあったものを選び、多少価格は高いですが国内産の縫製のものを繕いながら使っていくことも話しました。

私は普段から足袋や気に入った靴下を継ぎを当てながら履くのですが、それが楽しいのです。
今までの作品!?写真に撮っておけばよかったのですが、、家族が今履いているものの一例を画像でご紹介します。


これはウール素材が多く入っていて破れやすく何度も継ぎをしています。今回はかかとが大きくうすくなったので私が以前履いていたモミの木柄のソックスの一部分を切り取ってかかとに当てかがっているところです。私が履いていた方も継ぎを当てていたのですが、口ゴムがダメになり当て布用に使っています。靴下の中に白熱灯を入れてやるとやりやすいです。


5本指ソックスの指先は継ぐのも面倒なのですが、やはり指の中に筒状のものを入れておいて繕うとやりやすいです。どの指に力がかかっているのかチェックもできますね。


あまりに穴を開けるので今度は穴を生かして周りだけかがるカットワークの方法もしてます。もっと過激なのがあるのですが、ヒンシュクをかいそうなので画像はやめておきます。(^ヮ^;

 
母が編み物をした人で、たくさん残り毛糸がありそれを使っています。
色を楽しみながらカラフルにすることもあります。

足袋もそうですが、継ぎを当てることでそのものの価値が高まるようなこともあります。
継ぎあてをマイナスイメージに捉えるのではなく、ものを大切にし、深く関わっていきたいと思います。

このことは紬きもの塾の趣旨でもあります。


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第6回紬きもの塾ー織物設計

2015年10月21日 | 紬きもの塾'15


今回は織物設計を中心に講義しました。
画像の上部の白く見える糸はみなさんが紬いで白樫で白汚し程度に染た糸です。
このあと糊も生麩と布海苔で付けてもらいました。
糊を付け、糸の波状形を戻してありますのでふっくらチリチリ、力強いとても良い糸になりました。
着尺より太めの糸ですので1分に6本位入りそうです。
全長を織り幅で割り越し数を出していきます。
自分の糸はなるべく全部使い切ることも設計の条件に入れています。

カラフルな色糸は私が草木で染めた糸ですが、基本は自分の糸の形や風合いを生かす布を織ることですので、色糸を使う使わないは自由です。

“色”という素材を生かすことも難しいことで、何でも使えばいいというものではないと思います。
つい、どの色も綺麗で目を奪われがちですが、自分の糸と地糸の関係を見極めながら使えるようでしたら使ってください。


こちらは地糸としてベーシックな色の中から1~3種自由に選択してもらいます。

9寸幅で3寸の長さを織ってもらいます。
条件はみなさん一緒です。

小さいけれど奥行の感じられる布になるといいですね。
それが紬織りの醍醐味ですから。
来月の織り実習が楽しみですね。

心身共に整え、機と糸と向き合ってください。

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第5回紬きもの塾ー白樫、梨の木で初秋を染める

2015年10月01日 | 紬きもの塾'15
工房の萩も花はそろそろ終わりです。
本格的秋を前にしたこの日曜日に自分で紬いだ糸や古い半衿、帯揚げを白樫と梨の小枝で染める実習をしました。
いつもは七月の桜の枝、葉を使うことが多いのですが、今期は梨、白樫を使いました。

今年は9月下旬の染日程になりましたので、植物にも秋の変化が現れています。
植物の葉は黄色くなるのに枝から煮だす色素は全体的に赤みが強く感じられるようになります。黄色味が抜けていくのです。

もともと赤味の透明感のある色素が多い梨は一層赤みを増していくように思います。
灰汁媒染で秋のピンク、鉄媒染で赤味のグレーになります。
灰汁媒染中。このあと染液にもどして落ち着いたピンクを染めました。 
鉄媒染中。このあと染液に戻して赤みの薄グレーの帯揚げになりました。
白樫も春先は黄色味が強いベージュになりますが、ほのかに赤みの感じられる温かなベージュが染まります。みなさんが紬いだ糸は白樫の無媒染にしました。
染め上がった糸や布はすぐしまわずに、室内で2~3週間は空気酸化させます。
灰汁媒染の場合は特に色の変化も見られます。

さて、実習を受けた方から終了後に感想のメールをいただきました。
大事な所を掴んでくださったようですので一部ご紹介します。

「染めの実習では、全ての工程が理にかなっていて、無駄が無く、とても勉強になりました。
糸は、必要以上に触らないことが大切だとわかって良かったです。
触りすぎないということは、無駄のない動きにつながって、丁寧に扱うこと、火の入れ方など、素材への接し方の基本は、作るときに共通して大切なことでした。」

普段の私がしている仕事の細かなことまで、実際に植物に接し、ハサミの入れ方、糸の触れ方、水の扱い、火加減の調節、洗い方、干し方など体験してもらいました。

煮出しも「何分煮出すのですか?」とタイマーに頼るとそれだけになってしまいますが、火加減の調整や、蒸らし、植物を煮出すときの匂い、色味をよく観察します。

「料理をしているみたいですね」とか「梨はお芋の匂いがする!」などの発言もありました。

 
そして今期の方はラッキーにも!金木犀の花で作る塩香(しおか)を自分たちで作ってもらうお土産つきでした。
前日に満開状態の金木犀の剪定があり、その花だけを摘んでおいたのです。冷蔵庫で保管しておきました。

本当は空き瓶などがあるとよかったのですが、ラップに5ミリほど粗塩をしいてその上に金木犀の花をのせ、上からも粗塩を少しのせます。家に帰ってから何か密閉できる容器に移してもらい一年以上香りを楽しめます。

先日アーティストの栃木美保さんの塩香のワークショップで教えていただきました。
色は変わりますが匂いは発酵が加わるのか一年後もとても良い香りでした。
もう関東以西では花は終わってしまったと思いますがもしまだ残っている地域の方はぜひお試しください。

下の画像は先日のワークショップで作ってきたものです。
アロマオイルよりもっとソフトで塩香もとてもいいものだと思いました。
香りを“聴く”という感じです。嗅覚を磨くのも良いことですね。(^ω^)P


左が金木犀単品で、帰ってきて作ったもの。右はワークショップで作りました。
爽やかな香りにバラの甘さを少し加えたものです。

下から丁子、月桂樹、ラベンダー、グレープフルーツ、バラ、フジバカマです。
栃木さんが一年かけて集め、乾燥させてくださった香り素材を使わせてもらいました。

またかたち塾でもやれるといいなぁと思っています。(*゜▽゜*)




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第4回紬きもの塾―――糸をつむぐ

2015年08月01日 | 紬きもの塾'15


この夏東京では最高気温となった今週の日曜日に紬塾第4回「糸をつむぐ」が行われました。

本当に暑い日でしたが岐阜や愛知からの参加者も頑張って来てくださいました。
皆さん本当に真剣に毎回の講座に向き合って参加してくださりありがたいことです。

私は糸つむぎは久米島式を採用していますが、結城のつくし方式のやり方の良いところも加え、また自分なりの工夫もしています。

色々な引き出しかたがあるのですが、大事なことは真綿の長繊維をなるべくちぎらないよう気をつけて引くと毛羽立ちの少ない糸がつむげます。


真綿を真ん中で穴を開け引く方法もありますが、私は真綿をほとんど引っ張らずにそのまま台に掛け、上の真綿から1枚ずつ綺麗に片付けながらつむいでいきます。

どうしても自己中心的になって素材や道具を引き寄せようとしたり、制圧するようなやり方をしてしまいがちですが、それではうまく糸を引き出せません。

真綿は理に適わないことには付き合ってくれません。正直です。
素材を見極め寄り添い、道具を上手に使いこなしながら、力強い美しい糸をイメージしてつむぐことが大切です。

今回は4gの真綿を1時間あまりかけ引いてもらいました。
一反分の緯糸は約380gですので100分の1位つむいでもらいました。

おはじきは糸をカセ上げする際に糸同士がくっついて引っ張り上げられないようにするためです。
豆などでも良いです。


着尺用2本合わせぐらいの糸をつむいでもらいました。
これはつむぐにはとても難しい太さなのです。
とにかく4gの真綿からそれぞれの糸がつむげました。

この糸は9月に工房の庭木で染め、11月には実際に織ってもらうことになります。






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第3回紬きもの塾 とことん着尽くす・麻の伊達じめを縫う

2015年06月30日 | 紬きもの塾'15
紬塾第3回目はいつものように着物の更生についてと麻の伊達じめ(長襦袢用)を縫いました。
6尺の運針ですが‐‐‐‐‐・やはり時間がかかりますた。毎回難所ですね。


この方は和裁の経験が有り、くけ台持参で印付けからサッサっと進めていました。
しかし、、、まっすぐ縫えないという事で、なるほど多少蛇行していました。^^;
布を引いている左手が安定してないのかもしれません。


この方は運針は全くできないということでしたので指導をさせてもらいましたが、ゆっくりながら確実に針を進めていました。私のやり方をよく見て型を真似ていました。
少し練習をすれば上手になると思います。


こちらの方は運針は自己流でしたが、直してもらいました。
まだ針に糸を通さずゆっくり練習しているところです。
伊達じめは針目は大きめでもかまいません。ただ、揃えることが大切と思います。


この方も全く初めてで指ぬきと針の頭を当てることができませんでした。少しずつ縫い進めているのですが、右の人差し指と親指がうまく進まず、布が指先に溜まってしまいます。
これでは運針とは言えませんのでもう少しコツをつかむまで家で練習をしてほしいと思います。指ぬきで針を押し進めていかないといけないのですが、針先と右手の親指、人差し指で布をかき集めるような感じで、縫い込んだ布が針先近くに溜まってしまいます。


運針の形はなんとか出来てきたのですが、針を抜かずに縫い溜まった布を後ろへ送ってやるのに針先を左手で抑えないで右手だけでやるのですが、せっかく縫ったのに針も一緒に抜けてしまいます。でも繰り返すうちに少しずつコツをつかんできたようです。

並み縫いができれば何でも身近なものは縫えます。
古布や着なくなったシャツなどを剥いで衣服を包む風呂敷を作るのも楽しいです。
とことん布を使い切ることは安らぎを覚えます。
プロの和裁士にならないまでも誰でも並み縫いぐらいはできるといいと思います。

日本の義務教育は何を教えているのでしょう?
運針は過去のものではなく大事な人の仕事に思えてなりません。

針という道具と糸の関係、生地の性質を見ることもたくさんの学びがあります。
長襦袢用の麻100%のの生地は案外手強く、針も木綿針では通りが悪く、絹針では無駄な力が入ったりすると折ることになります。今回はやや短めの絹針四ノ二を使いました。

終わってから「運針を毎日の日課にします!」というメールをもらいました。
素晴らしい

近くヘンプ100%の生地を使ってシーツを縫う会を有志数名で行います。
生地が厚いので運針がきちっとできてないと手こずるかもしれません。
またご報告します。

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第2回紬きもの塾 糸の力、色の神秘

2015年06月13日 | 紬きもの塾'15





ご報告が遅れましたが、個展の準備のあわただしい最中、第2回の紬塾が先月行われました。

いつものように私の紬に使う糸や真綿をじっくり見てもらい、感触や、臭いをかいだり糸の観察から始めてもらいました。
繭一つから糸を繰り出すことと、真綿から糸を引き出すことも体験してもらいました。
蚕が吐き出した一本の糸の形も見てもらいました。

紬糸といっても一般で使われている糸は様々です。
着心地にも大きく違いが出ますが、そんなことについても話しました。
特に経糸を見て欲しいと思います。

糸の種類や名前を覚えるということよりも、糸の形を見ることや感触の違いがわかるということは着物を選ぶときの参考になります。
紬塾を修了した方で「着物を見るときの見え方が以前と変わった」と話してくれる方がありました。今までは色や柄の美しさに目を奪われていたけれど最近は布自体を見るようになったという趣旨のことをお会いした時に伺ったことがあります。
更に着てみればその風合いの違いなどもわかってくると思います。

そして草木の生木で染めた糸も見てもらいました。
やはり色の状態をよく観察することが大切です。
染材を煮出す時、糸を染める時にも熱エネルギーを無駄には使わず、でもしっかり効率よく染めていくことも解説しました。
9月の実習ではそのことを体験してもらいます。

「手織り、紬、草木染め」などの世間一般に流布している言葉の本当のところを先入観を持たずに素直に実感として学んでもらえると良いと思います。

観る力は創る力、使う力になるからです。
この回以降の基礎となる重要な話をさせてもらいました。


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「紬きもの塾’15」開講しました!

2015年04月19日 | 紬きもの塾'15
第7期「紬きもの塾’15」が今日からスタートしました。

今期は定員オーバーとなり混み合ってちょっと大変そう・・です。
愛知県、岐阜県からも参加していただきました。ご苦労様です。

今日はお一人お一人から紬塾参加の動機など伺ったのですが、少しご紹介します。

ご本人も着物好きではあるのですが、家に帰ると和服に着替えるという着物好きの夫から糸のことなど話を聞いてきてほしいということで、一家代表で来てくださった方、「樹の滴」を書店で一気に立ち読みして「これは買うしかない!」と。そしてぜひ話を聞きたいと遠くから来てくださった方、糸のことや着物全般のことを、自分が着たり織ったりする前にポイントを知っておきたいと思ってる方、私の紬の風合いなどがどこから生まれているのか知りたい方、祖母の着物などをどのように活用していけばいいかを知りたいなど、また、着付けを何年もされている方から全く着物は着たことのない方まで、様々でした。

年代も20代後半?から60代まで幅広くお集まりいただきました。

知識としてだけではなく、糸に触れ、布に触れ、先入観などをあまり持たずに素直に観察し、自分が体感して“知る”ことが大切だと思います。
私はまずはあまり先にあれこれ言わないで、みなさんの受け止めを導き出すような方向に向けていきたいと思っています。

受身ではなく積極的に発言もしていただき、この塾を盛り立てていただきたいと思います。

織物を知ることは、着物を着る着ないにかかわらず、人にとって大切なことを教えてくれるように思います。

紬とは何か、布とは何かを一年を通して一緒に探っていきましょう。


知り合いの山口県の陶芸家の方から届いたばかりの甘夏(ちょっと酸っぱい!(>_<))を帰りに1個ずつお土産で持ち帰ってもらいました。マーマレードを作ったばかりだったのですが、、、また作ります・・(^_^;)
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第7期「紬きもの塾‘15」の日程が決まりました!

2015年02月28日 | 紬きもの塾'15
今年度、第7期「紬きもの塾‘15」の日程が決まりました。

受講を希望の方は、HPの「紬きもの塾」を開いて、日程などご確認の上、メール、またはお電話で、末尾のかたち21からお申し込みください。
3月12日(木)から受付を開始します。
当初一部広報で、初回を12日としていましたが19日に変更となっておりますのでご注意ください。

紬入門基礎コースと染織実習コースに分かれています。

紬入門基礎コースのみを選択することはできますが、新規の方が染織実習コースのみはできません。
10回通うのが難しい方は、次年度以降に単独で染織コースのみを受講することもできます。

詳しい内容につきましてはカテゴリーから過去の『紬塾』ブログをご参照ください。
趣旨をご理解の上ご参加ください。

着物を着始めてみたい・・・と思っている未経験者の方から、着物はたくさん着ているけれど、更に織物についても深く学びたい方まで、少人数で一緒に学びます。
着方については講座の中ではポイントを話していきますが、オプションで個人レッスンも可能です。

少人数で一人ひとりに対応した講座ですのでトータルに自分が着ることをどう捉えていけばいいかを考えるきっかけになると思います。

今期も今まで同様に良い会になるよう努めてまいります。
お申し込みをお待ちしております。





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