ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

国家と人の情

2017-11-11 14:07:02 | 日記
国家は、民間のビジネスとはまったく別の論理で動く。先の米中首脳会談は、
このことを我々にまざまざと見せつけた。
国家はまた、人間同士の情緒や人情とも異なった、まったく別の論理で動く。
人間同士の情緒や人情ーー。これが国家の論理とはまったく別のものであるこ
とは、沖縄戦の悲惨な体験が教えている。きょうの朝日新聞の「折々のことば」
(鷲田清一)から。

敵として恨んだ米兵が、かえって教えを説いた先生よりも親切であった。
                       (仲宗根政善)

    ◇

 沖縄で負傷兵の看護に動員された女子生徒を引率する教員の仲宗根は、敗走
する中、深手を負った生徒を置き去りにした。無惨(むざん)な戦いの後、米
軍に救助された生徒と病院で再会し、こう思う。そして「日本国家全体が犯し
た罪が、具体的には自分を通じてあらわれた」とおののく。瀕死(ひんし)の
生徒は、苦悩する彼に、感謝のことばさえ口にした。『ひめゆりの塔をめぐる
人々の手記』から。

ヒューマニスティックな感情が国家を動かすようになれば、戦争・紛争に明け
暮れる国際社会の現実も、ずっと違ったものになるのではないか。・・・しかし、
あまり楽観視はできない。ヒューマニスティックな感情の持ち主でも、政権に
就いて国家を担ったときには、国家の論理に従わざるを得ないからだ。「友
愛」をかかげた鳩山由紀夫。彼が政権を掌握し、民主党政権を樹立したのは、
何年前のことだったか。沖縄の米軍基地問題をめぐって、この(玄人らしく
ない)政権は、残念なことにそのことを示した。

この政権が基地問題の解決に失敗した苦い経験は、国民に共有されて一種の
トラウマとなり、その後の日本の政治動向を、深いところで規定し続けてい
る。
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