ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

介護現場のディレンマ

2016-11-05 14:14:25 | 日記
介護職への外国人の受け入れ拡大を可能にする法案が、このたび
衆院を通過した。これを受け、読売新聞が社説でこれに関連する
問題を取り上げている。11月4日付の《外国人介護職 技能実習
制度の利用は慎重に》である。ここで取り上げられているのは、
介護現場で深刻な人手不足を解消するために、技能実習制度を利
用可能にすることの良し悪しである。

社説のタイトルにもあるように、読売新聞はこれにはっきりと反
対の姿勢を示している。反対の理由として読売があげるのは、
「介護サービスの質の低下」である。「介護職には、高齢者の状態
に応じたきめ細かな対応が求められる。利用者や同僚らとのコミュ
ニケーションも大切だ」。
人材確保を優先して、日本語能力に劣る外国人を受け入れるような
ことがあれば、高齢者の安心・安全が脅かされる、と社説は主張す
る。

読売がこの法案に反対するもう一つの理由は、介護職員の賃金の
問題である。もともと技能実習制度には、「外国人を低賃金で使
う制度」との批判が多い。この制度を利用して介護の現場に(低
賃金で雇用できる)外国人を受け入れれば、「介護職は低賃金」
という現状は改善されないまま、逆に低賃金の現状が固定化され
てしまうのではないか。社説は次のように述べる。
「人手不足の主因は、低賃金だ。技能実習の利用は、低賃金の固
定化や労働環境の悪化を招く恐れがある。日本人の離職を助長し
ては本末転倒である。日本人職員の処遇改善こそ優先すべきだろ
う。」
介護現場の人手不足は、何よりもまず「日本人職員の処遇改善」
によって解消されるべきだというのである。

たしかに正論である。だが問題は、「日本人職員の処遇改善」を
実現するためのコスト負担を、どうするかである。それはだれが
負担するのか。どうやって捻出するのか。利用者の利用代金を値
上げして賄うのか。それとも国民の税金に頼るのか。消費増税が
見送られた今、福祉予算の捻出には厳しい現状が待ち受けている。
当然の結果として、「日本人職員の処遇改善」を利用者の負担増
によらずに実行するとなれば、(何らかの形での)税金の値上げ
は避けられないだろう。

あちらを立てれば、こちらが立たず。どうにも乗り越えがたい
ディレンマである。現実派の読売新聞には、「あちら」ばかりを
見ずに、「こちら」の難問にも目を向けて欲しかった。
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