ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

牙を剥かれてドゥテルテは

2017-05-20 14:35:01 | 日記
意外なニュースが飛び込んできた。意外なのに「やっぱりなあ」とも思わ
せる、そんなニュースである。猫をかぶっていた虎が、突然牙を剥いたと
いうのだ。

北朝鮮の話ではない。

《「天然資源採掘するな」 中国が比に戦争警告 習近平主席がドゥテル
テ氏に》

フィリピンのドゥテルテ大統領は19日の演説で、中国の習近平国家主席
と会談した際に、南シナ海で領有権を主張して天然資源採掘を実施した場
合、「戦争になる」と警告されたことを明らかにした。ロイター通信など
が伝えた。(産経ニュース5月20日配信)

事の発端を押さえておこう、約1年前、オランダ・ハーグの仲裁裁判所が、
中国の主張に関して下した判決を思い起こす必要がある。領有権をめぐる
中国とフィリピンとの係争に関して、仲裁裁判所は、(南シナ海のほぼ全
域に自国の主権が及ぶとする)中国の主張を全面的に退けたのだ。

ところが中国は、この判決を認めようとせず、判決に従わない姿勢をあら
わにした。国際社会のルールを無視して、無法者のようにふるまう中国の
この姿勢を、日本とアメリカは強く非難し、東南アジア諸国連合(ASEAN)
外相会議で、また、続く東アジアサミット(EAS)外相会議で、(中国を
非難する)己の立場への支持を取りつけようとした。そして中国への非難
を、共同声明に盛り込もうとしたのだが、意に反して、この企てはいずれ
も成功しなかった。

不首尾の原因ははっきりしている。中国がチャイナ・マネーを餌にして、
参加国の取り込みを図ったからである。フィリピンのドゥテルテ大統領が
この餌に踊らされたのかどうか、はっきりしたことは分からない。ひとつ
はっきりしているのは、この判決を境に、ドゥテルテ大統領の言動が一変
し、不可解の闇を加えたことである。彼は反米の姿勢をあらわにし、親中
の路線に舵を切り始めたのだ。仲裁裁判所の判決を機に、係争の相手国で
ある中国と親密になる。「裏取引」の存在を思わせる、かなり不自然な急
展開である。

私は本ブログで、このドゥテルテ大統領の不可解な態度変更を取り上げ、
そこに、叩き上げの政治家の強(したた)かな打算を読み取った。彼は
米中両大国の狭間で、どう振舞ったら自分をより高く売りつけることが
できるか、計算づくで外交交渉に臨んでいたに違いない。

その結果が「猫をかぶった虎、牙を剥く!」である。結局ドゥテルテ大統
領は自分を高く売ることに成功したのか。それとも、逆に高い授業料を支
払う羽目になってしまったのか―ー。国際政治の手厳しい洗礼を受けて、
この強か者がどう立て直しを図るのか、これからが見ものである。
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