趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

「ヘヴン」川上未映子

2009年11月13日 | 
楽しみに待っていた川上未映子さんの新作、
初の長編小説読みました~
今までとは違い、大阪弁では書かれていません。
ですのでこれまでの作品とは一線を画している感じです。

読み始めてすぐに、
私はこの作家が好きなのだと思いました。
言葉に上手くできない事象を
丁寧に描いている
伝えたい大切なモノを
静かに伝えている
そんな印象を持ちました。

はっとしたのは
遠巻きにしている人達も同じだとコジマが指摘する所。
その通りなのだ。
そして私はこの大切なことを
‘僕’とコジマと同じ
作者と同じ
14歳の時に知ったということ。
そのことを思い出したのです。

私はでも、
‘僕’と同じように
百瀬に上手く説明することができないと思いました。
自分自身が抱えているものを
現状にある気持ちを
考えていないのではなく、
言葉を持っていないのだ、ということ。
そして言葉を持つということの大切さ。

コジマは本当に分かっていたのだと
それをちゃんと証明してみせたと思います。
善と悪、強さと弱さの本当のことを。

芥川賞受賞作の『乳と卵』も印象深い作品でしたが
今後がますます楽しみな作家だと思いました。。