笑って元気に、単身赴任!

単身赴任生活の中で、私に元気を与えてくれたもの、音楽、本、言葉、人との出会いなどを紹介します。

「人を育てる」ことを教えてくれる、名コーチのドラマ「フルスイング」

2008-02-11 12:25:47 | 
NHK番組の事前宣伝を見ていて、ナルほど!!とうなづいた言葉がありました、それは、

 ” 人を育てる三つの力は、「待つ力」「信じる力」「夢見る力」 ”

という言葉です。

事前宣伝していたドラマは、1月19日から始まっている、NHK土曜ドラマ「フルスイング」でした(全6回放送)。(注)NHK土曜ドラマは、良いドラマが多いですね。

このドラマは、30年にわたり、プロ野球の名打撃コーチとして活躍された高畠導宏さんという、実在の人物をモデルにしたドラマです。

高畠さんは30年の野球コーチ人生で培った優れたコーチング力で、悩める思春期の子どもたちと現場の教師たちを大きく変えていきます。

高畠さんは、50代半ばで一念発起し、高校教師になるためのに通信教育で勉強を始め、5年かかって教員免許を取得した後、社会科教師として59歳で教壇に立たれました。しかし、残念ながら、60歳で膵臓がんで亡くなっています。

それにしても、プロ野球で名コーチを30年勤め、そのコーチの間に、通信教育で教員免許を取得し、高校教師になり、今度は高校球児と「甲子園」を目指した、生きるパワーは本当に素晴らしいと思います。


このドラマを見ると分かるのですが、とにかく悩んでいる人がいても、主人公の高畠さん(愛称「高さん」)は、まずは待ちます。

普通、悩んでいる人がいると、「大丈夫だよ!」「・・・したほうがいいよ!」と、ついつい言ってしまいがちですが、高畠さんは何も言わず、悩んでいる人が来るのを待ちます。

そして、悩んでいる人が悩みを言っても、直接的なアドバイスをせず、相手が解決策を見つけるのを助けます。

「悩んでいる相手が、自ら解決策を考える」「解決策は、その人が持っている」というのは、人を指導する「コーチング」の基本ですね。このドラマは、それを見事に教えてくれます。

また、常に人を信じ、相手を「大丈夫!、大丈夫!」と言って、解決策を見つけるまで、相手を励まします。

更に、高校生一人一人に、持っている「夢」を聞き、「夢」の大事さを教えます。高畠さんは「夢をもって突き進めば、何事もあきらめずにやっていけば、必ず達成できる」と言います。

「待つ力」「信じる力」「夢見る力」、本当に「大事な力」ですが、意外に難しいのが、「待つ力」ですね。

人が悩んでいると、何か言いたくなり、せっかちに、ついつい「あーだ、こーだ」と自分の経験からアドバイスしてしまいます。

自分自身の経験からいっても、

「(子どもが悩んでいるとき)まずは行動することが大事だよ」
「(部下がどの方法でやるか悩んでいるとき)あー、それは、この方法が一番だな」

というように、相手を待てずに(+相手の力を信じていない)、余計なおせっかいをすることが非常に多いですね。待つということは、そう簡単にはできません。

もう一つ、ドラマの中で、主人公の高畠さんが言う言葉に、「大きな耳、小さな口、優しい目」というのがあります。

これは、「相手の言うことを良く聞き、自分からはあまり話さず、やさしく見守る」ということを比喩的に表した言葉だと思いますが、非常に面白い表現で、ナルほどと思いました。良く考えると、人と話すとき、「小さな耳、大きな口、厳しい目」になりがちです。


なお、この高畠さんの生涯を描いた本があり、読んでみました、この本から、高畠さんの人柄が良く分かります、また、人を教える(コーチする)場合、何が大事か教えられます。

 「甲子園への遺言―伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯」
 (門田 隆将 (著)、 出版社: 講談社)


少し、話が変わりますが、「コーチング」という言葉はスポーツ界から派生した概念で、最近では、コーチングをマネージャに必要なスキルと捉え、多くの企業が、導入しています。

これまでの指示命令型のアプローチでは、人材はなかなか育たず、自立型人材を育成するため、対話を重視し、相手が自ら考え、行動できるようなコーチング型アプローチが必要だからです。

私も、何度か、この「コーチング」を身に着けようと、多くの本を読んで、少し実践してみましたが、意外に難しいです。簡単なようで、なかなか分かりづらいというのが、この「コーチング」だと思います。

しかし、高畠さんの生涯を描いた、この本からは、「コーチング」に関して、事例を元に(この事例が大切)、分かりやすく教えてくれます。

高畠さんが大切にしていた、つぎのようなことを、いかに実践したのかを具体的に、この本は教えてくれます。

 1.自分を誇らず、選手の陰に控え、自分の理論をけっして押しつけない

 2.コーチの仕事は「教えないこと」

 3.コーチの仕事は「おだてること」

 4.欠点を直そうとしても無駄、それより長所を伸ばす

 5.相手の話をじっくり聞くことが大切


「甲子園への遺言―伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯」という本は、高畠さんの生き方を教えてくれると共に、「コーチング」理論を分かりやすく、具体的に教えてくれる良い本です。