大学教員活動ブログ

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新卒・既卒の未就職者の就職支援について

2010年08月19日 | 進路支援及び就職支援
 今朝の日本経済新聞の一面のトップ記事は、「新卒1万人就職支援」という見出しで、厚生労働省が大学生や高校生の就職を後押しするため、2011年度から10年度の新卒者及び09年度の既卒者で未就職の若者を1万人雇う企業を支援するために、助成額を増やすことが検討されているという記事が掲載されている。

 8月5日に発表された文部科学省の学校基本調査によると、大学を今春卒業したが就職も進学もしなかった「進路未定者」が5年ぶりに10万人を突破しているとのことで、このような大量の進路未決定者がいることを考えると、上記のような厚生労働省の対策は焼け石に水の感じがする。

 こうした大学生の厳しい就職事情を反映して、日本学術会議の「大学教育の分野別質保証の在り方検討員会」が、8月17日文部科学省に提出した提言の第3部「大学と職業との接続の在り方について」では、大学生の就職活動に関わる多くの問題を解決するために、次のような抜本的な対策の検討が必要との見解が示されており注目される。

【大学の就職支援の在り方】
 平成22年2月に大学設置基準が改正され、大学での職業指導が義務付けられたが、今回の法令化前の大学側の指導は、就職活動に役立つスキルの形成やノウハウの伝授、資格取得の促進といったことへの取り組みに集中していたと思われることから、就職対策的なキャリアガイダンスだけでなく、大学教育による専門性の形成や職業上の意義を高め、学生の専門的・職業的能力を育成する教育力を強化すべきである。

【学生の就職活動に伴う負担の軽減】
 地方の学生が大都市での就職活動を行う際には宿舎の確保や交通費の負担が必要となることから、各種の公的な宿泊施設を低廉な価格で利用できるとか、宿泊費・交通費に関する何らかの補助制度の創設などが検討されるべきである。

【就職できない若者に対するセーフティーネットの構築】
 大学から社会に入る段階で就職できなかった、あるいは就職できたとしても不安定で低い処遇に留まらざるを得なかった若者に対して、職業能力開発を支援し、訓練期間中の生活費を支給することによって、彼らを積極的に雇用の場に送り届けることまでを含むような社会の新しいセーフティ-ネットを構築すべきである。

【新卒要件の緩和】
 わが国では、新卒一括採用という労働者の採用方式が取られてきたが、この方式では大学を卒業して直ちに正社員に採用されなければ、その後に正社員となる可能性は低いことから、卒業後最低3年間は、若年既卒者に対しても新卒一括採用の門戸が開かれるべきである。

【就職・採用活動の実質化】
 現在の就職・採用活動は、「意義の乏しい過剰な選び合い」であるとの反省のもとに、学生が4年間の学士課程教育を通してしっかりと職業能力形成を図りつつ、時間をかけて自らが携わる仕事についての考えを深めた後で、職業生活に移行できるように、就職・採用活動の改善が図られるべきである。
 すでに存在している「ゆるやかな職種別採用」では、就職した後の仕事内容がある程度特定されていることから、仕事に対する目的意識の高い学生を採用することができ、就職後に実際の仕事の内容が自分に合わないと感じる事態を減少させることにより、早期の離職率の低下に一定の効果があると考えられる。

 これまで、学生の公平・公正な就職・採用活動を確保するために、大学と企業側が就職・採用問題をめぐって様々な協議を行い、申し合わせを交わしているが、今回のような提言は、従来の話し合いに一歩踏み込んで緊急を要する具体的な提言になっているようにう思われる。学生の就職活動が大学教育に悪影響を及ぼしているのではないかとの観点から、実態を踏まえた問題への真摯な提言になっていると考えられる。
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