Buona Verdura

人生を味わい尽くす食いしん坊野菜ソムリエの日々の記録

この世界の片隅に

2017年02月11日 | Cinema
今まで "もう一度観たい" と思った映画は数々あったが、なかなか実現しなかった。
なのに「この世界の片隅に」は1週間の間に2回も観てしまった。







冒頭、小さなすずが舟に乗って海苔を届けに行くシーンはとても可愛らしい
そして、のんの声がそのすずの表情にこれ以上ないくらいぴったりなのだ。

そんなこんなで、始まって5分もしないうちに心がすっぽりと作品の中に引き込まれていた。

のんの透き通るような優しい癒し系の声は、ぼーっと空想したり絵を描くのが大好きなすずのキャラに妙に合うだけでなく、すずの気持ちを通して心にずんずんと沁み渡ってくる。

あまちゃんで東北弁をしゃべっている時も思ったけど、彼女は方言をしゃべらせたら天才的な威力を発揮する気がするなぁ。

昭和19年、呉にお嫁に行ったすずさんは、早起きして食事の支度や家事をいやな顔ひとつせずに淡々とこなし、個性的なご近所さんたちとも何とかうまくつき合っていく。
少ない配給で何とか食事をやりくりする場面は、台所で工夫を凝らしながら張り切るすずさんに感心しきり。





どんな時でも人々はユーモアに溢れ、ほっこりと笑えるシーンも沢山あって "生きる" ということの基本を考えさせられる。

一見嫁いびりキャラのお義姉さんも、愛すべき人物として描かれているところがいい。

昔どこかで見たような懐かしさを覚える風景にも心が洗われる。
母と観たかったなー、と思った、

空襲のシーンは、思っていたよりもずっとリアルに描かれていてちょっと驚いた。
大袈裟に描くでもなく残酷な出来事から目をそむけるでもなく、細部まできちんと伝えようという真摯な気持ちが伝わってくる。

そんな時でさえも感情に走ることなく、暮らしを大切にし家族を思う人々の姿に、心の奥深くに眠っていた何かが目を覚ます・・・そんな感覚が何度も私の中を通り抜けた。

大切なものを失い、失意のどん底にあっても、立ちあがってそこから前を向いていく。

すずさんたちが残してくれた知恵や文化を、そして今この一瞬という時を大切に生きていくんだよ・・・と、背中をポンと押されたような気持ちになる。

戦争を扱ったアニメ作品は他にもいくつかあるけど、「この世界の片隅に」はふと観たくなったらいつでも映画館で観ることができる、そんな作品であって欲しいなー、と思う。

自分もまたすずさんに会いに行く、きっと
コメント
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