OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

雇用保険の特例対象者について

2010-06-20 22:41:46 | 法改正
 昨日はOB会であるBBクラブの勉強会で1日を過ごしました。久しぶりに法改正の講義を受けて、いつも人研ニュースで法改正はモレのないように確認していたつもりではありましたが、忘れかけていたものや意外に大切かもと思うものなどがあり、年に2回でも体系的に法改正を学習することはやはり必要だなと実感しました。
 
 7月27日のOURSセミナーでは同じテキストを使い今度は私も講師として説明しなければならないのですが、その時は実務的に特に気になるところや知っておくと役立ちそうなところを中心にお話ししていこうかなと構想を少し考えながら受講しました。

 昨日勉強した法改正の中に、雇用保険法の特例対象者に係る特例の創設(平成22年12月31日までに施行)があります。これは、保険料の時効である2年前を超えて、資格取得を認めようとするもので、遡れるのは「賃金から保険料を控除」していたことが確認できる最も古い日等までということになっています。要するに数十年会社で勤務していたのに取得漏れという事務的なミスで、資格取得を遡ってしなければならないことになった場合に、現在は遡れる期間は保険料納付の時効にかからない2年前の日までということになっているため、退職して給付を受給しようとしたときに、算定基礎期間が20年以上ではなく1年以上5年未満として扱われ給付日数が少なくなってしまう、ということがあるのを防ぐことができるようになるわけです。

 昔、顧問先になったばかりの会社でそのような事件があり、年に1回は在籍被保険者の確認を職安に出してもらったりして気を使っていましたので、そういう意味では良い改正だと思います。結構、在籍被保険者の記録を出してもらうと全然知らない名前がその会社の被保険者として載っていたりして怖いものもあったのですが・・・。
 
 これは年金記録問題で、年金時効特例法により「保険料控除が確認できる」場合には第三者委員会のあっせんにより記録の訂正を行い、その訂正された記録に基づく年金を受けることができるというものと同じ考え方です。法律により保険料の納付が、2年で時効にかかることは変わりません。従ってこの訂正が行われた場合に、事業主に保険料の納付を強制することはできず、あくまで納付を「勧奨する」というところも同じです。
 
 保険料の控除を確認するのは、給与明細等の書類になるのだろうと思いますが、年金の場合は第三者委員会で審議するわけですから、雇用保険もその確認書類を精査するシステムを持たなければいけないと思います。もし時効期間を超えての遡り取得を認めることになった場合に、保険料は100%回収できるわけではなく、その財源は雇用保険にきちんと加入している事業主と被保険者が納付した保険料になるだろうからです。そういう意味で「簡単に作れてしまう確認書類を簡単に通す」ということはしないで欲しいと思います。
 
 事務的なミスで取得漏れということもたまにあると思いますが、やはり多いのは小さなお店などで雇用保険の加入をしていない、資格取得をしていないというケースではないでしょうか?その場合は保険料を賃金から控除されていることはないことがほとんどでしょうから、今回の改正で救済されるわけではありません。あくまで保険料控除が確認できる場合にさかのぼることが可能になるからです。そういう会社には、雇用保険は被保険者のためだけのものと考えているかもしれませんが、どうしても経営が厳しくなったときに、社員に辞めてもらわなくてはならない場合に、雇用保険に入っているのといないのでは社長さんの気持ちの負担も違うので入りましょうね、ということにしています。そういうことにはならないことを願っていますが・・・。

苦楽を共にした合格者と法改正を勉強したり、メンバーの中から講師をお願いしてお話ししてもらったりする年に2回のOB会は、とても私にとっては大切です。合格してから皆に色々な人生があり、仕事のことで悩んだり、結婚したり、子供が生まれたり、特定社労士に合格したり、転職したりと様々なことがあるのですが、その日集まって1日勉強に過ごし久しぶりに親睦を深めることで、私も初心に帰れるのだと講師を卒業してから特に強く思うようになりました。ということで昨日は遅くまでハリキリすぎて今日はぐったりしていました~。また今週もがんばりましょ。
 
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