先週、東京都労働相談情報センター主催の改正パート労働法のセミナーの講師をさせて頂きました。今回は会社側の担当者が主で、改正ということで皆さん非常に熱心に受講頂きました。その中で通勤手当に係る改正についてのご質問があり、なかなか面白い部分でしたのでブログでご紹介します。
今回、平成27年4月1日施行のパート労働法の改正は、以下の通りです。
I 正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大
正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者については、これまで、以下の(1)(2)(3)の条件に該当していることとされていました。
(1) 職務内容が正社員と同一、(2) 人材活用の仕組み(人事異動等の有無や範囲)が正社員と同一、(3) 無期労働契約を締結しているパートタイム労働者
改正後は、「(3) 無期労働契約を締結しているパートタイム労働者」は削除され、(1)、(2) に該当すれば、有期労働契約を締結しているパートタイム労働者も正社員と差別的取扱いが禁止されます。
・・・要するにこれまで契約期間が定められていて契約を更新するパートタイム労働者については差別的取り扱いの禁止対象から除外されていたところが、4月以降は対象に含めることになったということです。
Ⅰの改正に関連して、改正パート労働法第10条に、「事業主は通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間労働者(通常の労働者と同視すべき短時間労働者を除く。次条第2項及び第12条において同じ。)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金(通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。)を決定するように努めるものとする。」という規定があります。
この第10条に定める均衡考慮の努力義務から除外する厚生労働省令で定めるものは以下の通りです。
パート労働法施行規則第3条 法第10条 の厚生労働省令で定める賃金は、次に掲げるものとする。
1)通勤手当 2)退職手当 3)家族手当 4)住宅手当 5)別居手当 6)子女教育手当
7) 前各号に掲げるもののほか、名称の如何を問わず支払われる賃金のうち職務の内容(法第八条第一項 に規定する職務の内容をいう。次条において同じ。)に密接に関連して支払われるもの以外のもの
この努力義務の対象から「通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるもの」が除外されているが、そのうち、通勤手当について、「職務の内容に密接に関連して支払われるもの」については、均衡待遇の努力規定の対象とすることとし、今回の改正で除外するものから除くこととされました。
労働政策審議会の答申の論議の過程で、「距離や実際かかっている経費とは関係なく一律の額で通勤手当として支払っているような場合については職務関連として整理されるのではないか」とされたためです。
これは通勤手当という名称であっても距離や実際の経費と関係なく一律に支払われる通勤手当については、通勤手当というよりは月例賃金の一部と考えられるのでパートタイマーと言えども通常の労働者と均衡がとれるように努力することとされたというわけです。
通勤手当については、割増賃金についても「一定額が最低額として距離にかかわらず支給される場合は、その一定額も算入しなければならない」とされています(昭和22.11.5基発231号、昭和23.2.20基発297号)。
考え方は同じことだと思いました。
※Ⅰ以外の改正は以下で確認してください。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/dl/tp0605-1o_02.pdf
明日はOURS総勢14人で事務所日帰り研修旅行に行きます。年に1度は行っている行事ですが、今回も法務省の見学や農林水産省の食堂での昼食など盛りだくさんで楽しみです。ご迷惑おかけしますがよろしくお願いします。
いよいよ3月も終盤にかかってきました。4月は新たな気持ちでさらなるパワーアップをしていきたいと思っています。頑張っていきましょう。