OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

無期転換の際知っておきたい助成金(キャリアアップ助成金)

2016-07-24 22:09:29 | 労務管理

昨日は私の講師時代の合格者の集まりであるBBクラブの年に2回の勉強会でした。法改正講義と、テーマ別の講義及び開業体験談が10時から17時まで行われるのですが、昨日の内容はそれぞれとても講師の個性が出ておりまた非常にそれぞれ深い内容だったと思います。

テーマ別の講義は今回は「思い出そうシリーズ」と銘打ち「あれからどう変わった?老齢年金」。特に時系列に繰り下げができたりできなかったりと複雑に変化していったという説明は、そういえばその説明でずいぶん苦労したもんだったなあと懐かしく思い出しました(まさに思い出そうシリーズ)。講師の個性とマニアックさが上手くコラボして聞いていて楽しかったです。きれいに作られてあったパワーポイントより講師が使い慣れたホワイトボードの説明の方が抜群に分かりやすかったことも面白いなあと思いました。

また合格者OBの「成年後見人について」のお話は、実際に成年後見人として経験した事例を詳しく聞くことができて、あとで二次会で皆が言っていたのは話を聞きながら映像が目に浮かぶようであったと。成年後見人制度は、東京会の社会貢献委員会などでも話を聞くことがこれまでもあったのですが今回の講義を聞いてかなりイメージができました。非常にたいへんな仕事ではあると思いますが、今後はますます必要とされる仕事でもあるのだろうと思いました。みんなの中に強い印象が残ったと思います。

いずれにしても二次会ではいつも通り今日の勉強会の講義内容の中で学んだことや、印象、関連した自分の仕事についての話などで盛り上がりました。

私が担当した法改正講義の内容の中では一番インパクトが強かったのは、「キャリアアップ助成金」とのこと。昨今の労働環境の内容や、来年1月の育児介護休業法の改正内容などをポイントと考えて講義を組み立てていたので若干予想と異なりました。

計画を作り提出し、就業規則に契約社員から正社員転換や無期転換できる制度を規定した上で実際に転換した場合に支給される助成金なのですが、東京都からの上乗せもあるため、中小企業であれば60万円と50万円で一人計110万円支給されます。また助成金の対象にはならないことが多い大企業であっても国から45万円と都から40万円と一人85万円が支給されるのです。15人まで対象とすることができるため、一挙に正社員化や無期転換かを図る場合の受給額はかなりの額になります。特に労働契約法の無期転換の申込権が発生する前に無期転換等の仕組みを導入する企業は今のうちにこの助成金を念頭に置いて制度設計していく必要があります。

以下詳しいパンフレットになります。

●厚生労働省「キャリアアップ助成金」

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000129424.pdf


●東京都正規雇用転換促進助成金
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2015/04/DATA/20p4e100.pdf

年に2回のBBクラブの勉強会は、一番長い付き合いである会員とは20年以上のお付き合いになりました。参加してくれる会員はだいたい同じ顔触れですので、毎年会っているためか20年たってもあまり変わっていないように思います。でもそれぞれ会社での地位が高くなったり、合格後子供が生まれ下の子が小学校に入って少しゆとりができたりと取り巻く環境はそれぞれ変わってきました。また合格できるかなあと心配だった受講生が合格し、社労士の資格を携え就職してちゃんと仕事を続けているということを聞けばホッとうれしく思ったりします。

15年の講師生活でしたが、これほど大きな財産を得ることができたことは本当に感謝です。今回も勉強会の前に連合会の委員会でインドネシア社会保障関係行政の方を迎えたり、事務所関係でもあれこれ忙しかったことがありヘトヘトな中で迎えた勉強会だったので、無事みんなが講義の中でそれぞれに気づきを得たという感想を聞けてホッとしました。昨日はぐっすり寝て今日はすっきりしていました。


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36協定特別条項を適用する場合の手続きについて

2016-07-18 23:28:17 | 労働時間

最近の労働基準監督署の調査は以前より厳しくなったと感じています。2015年4月に、過重労働による健康被害の防止などを強化するため、違法な長時間労働を行う事業所に対して監督指導を行う過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」が新設され、過重労働対策に力を入れているあらわれだと思います。

長時間労働の抑制に最も重要な役割を果たすのが36協定であり、届出は時間外・休日労働を行う会社であれば当然のことなのですが、協定の内容も適正に締結されているかどうか注意が必要です。今年2月に行った渋谷労働基準協会主催の「36協定集中講座」は約120名のご参加があり、講義終了後のご質問も20人くらいの方が並ぶなど会社もかなり真剣に対応を考えていると感じました。この講座では36協定だけをテーマに3時間お話ししたのですが、今年に入って監督署の調査に立ち会うとさらにいろいろなことをお話ししておく必要があることを実感して、来年はさらにお話しするポイントが増えそうです。

時間外労働については1箇月45時間等の限度時間が定められており、この限度時間を超える場合は特別条項を締結しておく必要があります。特別条項についての上限時間の制限はないのですが、通常は1箇月80時間程度の時間外労働を定めている場合が多いかと思います。ちなみに特別条項が80時間を超えて定められている場合は監督署の調査の対象になることが多いようです。

この特別条項は臨時的に適用することができ、その適用は年半分までと定められています。また適用する場合については手続きが必要ですが、「労使の協議を経て」と定めている場合なかなか実行できないケースが多いため「労働者の過半数代表者に通知をすることにより」ということで「通知書」を作成して通知することをお勧めしてきました。

しかし今年になって「通知書」が存在した場合でも、特別条項の適用の後に通知されたものでは認められず、事前通知をすることと是正勧告されるようになりました。確かに通達では「労使当事者間において定める手続きを経て」となっていますから、事前通知をしてから特別条項を適用する必要があるということになるのですが、社員一人ひとりが45時間などの限度時間を超え特別条項が適用される際に通知等の手続きをとるのは人事担当者としては非常に大変なことです。

とにかく一人分の担当の仕事を減らす、人数を増やしてシフトを分割するなど工夫をして、時間外労働は45時間以内に収めるのが一番だと最近つくづく感じております。

特別条項付き協定を結ぶ場合の要件は以下のリーフレットに記載されています。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040324-4.pdf#search='36%E5%8D%94%E5%AE%9A%E3%80%81%E7%89%B9%E5%88%A5%E6%9D%A1%E9%A0%85%E3%80%81%E6%89%8B%E7%B6%9A%E3%81%8D%E3%80%81%E9%80%9A%E9%81%94'

いよいよ夏休みが始まりますね。受験生はここが勝負どころということになると思います。来年から夏休みを思いきり楽しむためにもとにかく今年力を出し切り頑張ってもらいたいと思います。

私は今年の夏は、以前から登ってみたかった北横岳に挑戦してみようと思っています。


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第3号被保険者の行方

2016-07-11 00:14:21 | 労働法

第3号被保険者についての意見は本当に様々あり、社労士の間で話をする場合もそれぞれの主張があるわけですが、パートで働く友人からの真剣な質問もこれまで多くあり、今後の行方も考えていかなければならないところだと思います。昭和61年に第3号被保険者制度ができたときの雇用環境、女性の社会進出等を考えると見直しは必須だと考えますが、今のところその予定は聞きません。

それまで第3号被保険者だったところが、社労士を開業して第3号被保険者のままでいるのは恥ずかしいなと思い、開業2年後だったか第1号被保険者になれたときはちょっと誇らしい気がしたものでした。従って友人のパートの収入が130万円を超えそうだという質問に対しては「130万円の壁など気にせず思い切り働いた方が良いのでは」といつもアドバイスしたものです。※130万円の壁とは収入130万円を境に被扶養から外れ、国民年金第1号被保険者と国民健康保険の保険料負担が生じ可処分所得が減少する事象により収入を130万円以内に調整するというという壁のことです。

先日年金のシンポジウムで厚生労働省の行った「パートタイム労働者総合実態調査(平成23年)」を特別集計して作成した結果を聞いたのですが、「短時間労働者(週20~30時間)の収入分布をみると、第3号被保険者だけでなく、第1号被保険者においても100万円前後に山が存在する」ということです。第1号被保険者の収入80万~90万円8.9%、90万~100万円19.9%、100~110万円17.3%、110~120万円5.2%、120~130万円7.9%、130万円以上20.3%。第3号被保険者の収入80万~90万円15.0%、90万~100万円30.4%、110~120万円6.0%、120~130万円7.1%、100~110万円24.3%、130万円以上1.4%)。

結果としては「自ら国民年金保険料を支払う第1号被保険者においても保険料負担のない第3号被保険者と同様に100万円前後に山がみられるということは、いわゆる130万円の壁とは別の要因が作用していることがうかがわれる」としています。また、決して第3号被保険者の収入も130万円ぎりぎりというわけではないことが分かります。短時間で働く場合は、年収調整をするしないにかかわらず年収が100万円前後に分布する傾向があるということになるのかと思うのですが、そうだとすると今年10月の501人以上の企業における短時間労働者についての被保険者適用拡大についての拡大範囲が第3号被保険者に及ぼす影響は比較的小さく、むしろ第1号被保険者として週20~30時間以内で働く年収が比較的高い人たちが第2号被保険者の適用拡大対象になる部分が大きいということになるというわけです。

特に第3号被保険者の是非を検討する予定はないようでしたが、今後500人以下の企業等にも適用拡大されることで第3号被保険者の範囲が縮小されることを予想しているようです。考え方としては、働いて収入があるのであれば保険料を納めその分について年金をもらうというのが理想的な姿ということで、確かにその通りと思いました。

昨日はセミナーレジュメを作っていたのですが何とかめどがついたので今日はいつも行くお店がセールをしているので久しぶりに行ってみました。先日支部の後輩に「先生、いつもブルーとかが多くて地味ですね」と言われたのが頭をよぎり、少し華やかなものを購入してみました。最近出ていく場が比較的公式な場面が多くここ1年は特に地味にオーソドックスになりすぎていたかと反省しましたが、さて抵抗なく着れるかどうか、ブルー系が落ち着くのですけれど。


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無期転換ルールに見る時代の変化

2016-07-03 23:15:14 | 法改正

今週火曜日のセミナー「無期転換と限定正社員」のテーマで1週間準備をしていましたが、実はこのテーマは平成25年の労働契約法の改正で無期転換ルールが施行されてから何度か取り上げたテーマです。レジュメも都度メンテナンスしてきており、厚生労働省もモデル就業規則や事例をhpにアップしてくれたので、さらに今回は資料にそれらを加えて当初のレジュメよりは大分充実したものになってきた感じがします。

しかしこのレジュメのメンテナンスをする中で、平成25年の改正労働契約法の施行時点と平成28年の今ではずいぶんと状況が変わってきたと感じます。この取り巻く状況の変化により、企業のニーズもだいぶ異なっている可能性があり、その点をしっかりとらえて話を進める必要があると思いました。

とにかく労契法改正準備をしていた平成24年の秋時点から平成28年の現時点までの4年弱の間変化したのは有効求人倍率に見て取れる有効求人倍率の改善=人手不足の深刻化です。調べてみたのですが推移としては以下の通りでした。

厚生労働省が(平成28年)発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.04ポイント上昇の1.34倍だった。上昇は2カ月連続。1991年11月(1.34倍)以来、24年5カ月ぶりの高水準となった。企業の求人数が増える一方、求職者数が減ったことが求人倍率の上昇につながった。…今どこの企業も頭を抱えている人手不足がくっきり数字に表れています。

それではこれまでの推移はどうであったか遡ってみると以下の通りの発表となっています。
平成25年度平均の有効求人倍率は0.97倍となり、前年度の0.82倍を0.15ポイント上回りました。 
平成24年平均の有効求人倍率は0.80倍となり、前年の0.65倍を0.15ポイント上回りました。

一番底を打った平成21年は驚くほどの数字です。ちなみにリーマンショックが平成20年の秋におこっています。
平成21年平均の有効求人倍率は0.47倍となり、前年の0.88倍を0.41ポイント下回った。平成21年平均の有効求人は前年に比べ28.5%減となり、有効求職者は32.1%増となった。

平成25年はちょうど上向きに推移している途中というところであり、その後も堅調に有効求人倍率は伸びてきたということで人手不足はここ2年半くらいからかなり厳しい状況になりました。

上記の状況から平成25年改正準備段階の平成24年の時は、「無期転換ルール」への対応は「無期転換はある程度選抜した中で行う」というところに企業の考えがあったと思うのですが、現在は、「何らかの形で無期契約にして いくと回答した企業を対象に、有期契約労働者を無期契約に転換す るメリットをどう考えるか尋ねると(複数回答)、もっとも多かったのは「長期勤続・定着 が期待できる」(72.0%)で、これに「有期契約労働者の雇用に対する不安感を払拭し、 働く意欲を増大できる」(57.8%)、「要員を安定的に確保できるようになる」(48. 1%)などが続いた。前回調査と比較すると、「長期勤続・定着が期待できる」 や「要員を安定的に確保できるようになる」が10㌽以上、上昇している(H27.12.18jil「改正労働契約法とその特例への対応状況及び多様な正社員の活用状況に関する調査」結果より)。」ということなのです。

前回調査と比較すると、「有期契約が更新を含めて通算5年を超えないように運用していく」企業も半減。その分、何らかの形で無期契約にしていく企業が、フルタイム契約労働者で23.9㌽増の計66. 1%、パートタイム契約労働者では27.6㌽増の計63.1%と大幅に増大している。」ということでセミナーの内容も無期転換社員の処遇を中心に組み立てる必要があると感じました。

しかしここまで数年のうちに状況が変化していくのを目の当たりにすると、とりあえず平成30年の無期転換の申込権が発生する時点では、無期転換後の労働条件の変更は慎重にしていく方が良いように感じます。

独立行政法人労働政策研究・研修機構(jil)調査結果

http://www.jil.go.jp/press/documents/20151218.pdf#search='JIL%E5%8A%B4%E5%A5%91%E6%B3%95%E5%AF%BE%E5%BF%9C'

先週末のダウンから復活してきました。今週末は7月23日のBBクラブのレジュメ作りに着手できました。これが終われば夏に突入ということで頑張ります。BBクラブの勉強会の参加者がいつもより少ない100人を少し超えたくらいのようなので少し気がかりですがテーマによるのでしょうか。合格者OBの顔を年2回見ることができるのは楽しみであり、合格して15年ほどたっても100人を超えて集まってもらえるのは本当に有り難いことと心から思っております。法改正だけではなく今の労働環境や社労士制度を取り巻く状況も併せてお話しできるように準備していきます。

 2年前の事務所移転時に頂いた蘭の花が無事きれいに咲いてくれました。


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心の健康づくり計画の作り方

2016-06-26 21:30:32 | 労働法

労働基準監督署の調査が顧問先に入るという場合できるだけ立ち会うようにしています。監督官が特に注目する点は、今はとにかく長時間労働、時間管理、メンタルヘルス対策、健康診断等の分野です。

調査終了後是正勧告や指導があるのですが、その中に「心の健康づくり計画の策定」を求めてくることがあります。

心の健康づくり計画に盛り込む事項は、次に掲げるとおりです。
❶ 事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明に関すること
❷ 事業場における心の健康づくりの体制の整備に関すること
❸ 事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施に関すること
❹ メンタルヘルスケアを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用に関すること
❺ 労働者の健康情報の保護に関すること
❻ 心の健康づくり計画の実施状況の評価及び計画の見直しに関すること
❼ その他労働者の心の健康づくりに必要な措置に関すること

「心の健康づくり計画」に盛り込む事項が分かってもなかなかどのようなものを策定すればよいのか難しく感じます。以前は各企業手探りで作っていたと思いますが、今は希望すれば専門のアドバイザーを派遣してくれるようです。

またパンフレットにも具体例が載るようになりました。

事業場における心の健康づくりの具体的な事例(P12)

http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/101004-3.pdf

また神奈川労働局は、「心の健康づくり計画簡易版策定例 一覧形式(年間スケジュール表)」をHPに載せています。表になっているのでとてもとっつきやすい感じがします。

http://kanagawa-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/anzen_eisei/hourei_seido/kokoro_keikaku_sakuteirei.html

久しぶりにダウンしました。だいたい1年に1回くらいの割合でだいたいは喉をやられてだるくて仕方がなくなり、ここまで眠れるかというくらい1,2日眠って過ごすと良くなるといういつものパターンです。今回失敗したのは、お風呂上がりに暑くて暑くてそのまま布団をかけず寝てしまったら夜中に寒くなって目が覚めたというのが発端でした。いわゆる寝冷えです。子供と同じです。

運が良いことに、大きな仕事はいくつかだいたい終了しており、今週末はゆっくりする予定だったので仕事への影響がなかったのがありがたかったです。

皆さまこれからは暑かったり冷房で冷えたりと気温の調節が難しいですのでご注意ください。


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短時間労働者に対する健保・厚年の適用拡大Q&A

2016-06-19 22:14:12 | 社会保険

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&Aが出ており、適用拡大の内容が大分分かってきました。

その中で、今回拡大の対象となる「特定適用事業所」については、Q&A問7に以下の通り示されています。
「被保険者の総数が常時500人を超える」とはどのような状態を指すのか?
法人事業所の場合は、同一の法人番号を有するすべての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12カ月のうち、6カ月以上500人を超えることが見込まれる場合を指します。

ところで10月の開始時点で、この常時500人には適用拡大の対象となった週20時間以上の被保険者となるべき人を含めるのか、ということですが、「適用拡大の開始当初においては拡大対象となった被保険者となるべき人は含まない」ということになるそうです。

http://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2016/0516.files/0516.pdf

さらにリーフもかなり分かりやすいものが出ています。
被保険者になる要件である「雇用期間が1年以上見込まれること」については以下の通り示されています。

①期間の定めがなく雇用される場合
②雇用期間が1年以上である場合
③雇用期間が1年未満であり、次のいずれかに該当する場合
 ・雇用契約書に契約が更新される旨または更新される可能性がある旨が明示されている場合
 ・同様の雇用契約により雇用された者について更新等により1年以上雇用された実績がある場合

なお、法施行日(平成28年10月1日)より前から引き続き雇用されている場合、「法施行日から起算して」雇用期間が1年以上見込まれるか否かを判定する。当初は雇用期間が1年以上見込まれなかったものの、契約更新等により、その後に1年以上雇用されることが見込まれることとなった場合は、その時点(契約締結日等)から被保険者となる、とされています。

http://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2016/0516.files/20160516.pdf

顧問先をはじめとして様々な会社からいろいろなご相談や案件を頂くのですが、その1つ1つを調べるのが楽しくて仕方がありません。その案件について法的な規制な定められているのか、通達や指針はないのか、一般的に企業はどのような対応をしているのか、今後の世の中の見通しから考えてどのような対応をとっておくことが望ましいのか、など色々な観点から考えていきアドバイスをさせて頂くのですが、そのすべてが自分の蓄積になっていく感じがします。

まさに「仕事をしながら勉強させて頂いている」ということです。

昔、TACの講師になりたての頃ガイダンスで、「社労士の仕事は、仕事をすることで同時に勉強できるのがとても素晴らしいと思います。」と話したのを思い出します。あれから20年以上たった今も同じ気持ちで仕事をしていることに感謝を覚えます。


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介護離職防止のための介護休業の改正

2016-06-12 21:46:44 | 法改正

育児介護休業法は平成29年1月1日に改正されることになっています。その改正の中でも一番大きなテーマは、「介護離職を防止し、仕事と介護の両立を可能とするための制度の整備」といえると思います。改正の内容は7月に労務行政さんより発売となる「改正雇用保険・育児介護休業・均等法早わかり」を読んで頂くとして、その背景を書いてみたいと思います。

まず平成22年7月の育児介護休業法の附則7条には以下の通り定められていました。

第7条 政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

育児関係の改正内容が主だった平成22年の改正後5年経過するということは、団塊の世代も70台にさしかかり本格的に介護を考えなければならないということだったのかと思います。5年後の昨年夏に「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会報告書(平成27年8月7日)」が出ています。当初の介護休業などについての考え方が分かって興味深いです。以下簡単に抜粋してみました。

1 介護離職を防止し、仕事と介護の両立を可能とするための制度の整備

(1)仕事と介護の両立支援制度の整理及び介護休業について

○ 介護休業制度は、介護保険制度が開始される以前に創設され、家族が介護に関する長期的方針を決めることができるようになるまでの期間の緊急的対応措置として休業できる権利を労働者に付与したものである。しかし、約9.5万人程度の介護・看護離職者が発生している一方、介護休業の取得率は3.2%であり、より柔軟に利用でき、かつ、労働者のニーズにあった介護休業制度を含む仕事と介護の両立支援制度が求められている

(現行制度の現状等)

○ 現行の育児・介護休業法では、同一の対象家族について同一要介護状態ごとに一回、通算で93日間の介護休業が認められている。 これについては、平成7年の介護休業制度制定当時に脳血管系疾患のモデルをもとに、家族が介護に関する長期的方針を決定するまでの期間として3か月程度が必要とされたことや、当時、既に法を上回る独自の取組として介護休業制度が導入されていた民間の事業所において、実際に休業を取得した労働者の大部分が3か月以内に復帰していることなどから、同一の対象家族について3か月間の休業を1回に限り認めていた。

(仕事と介護の両立支援制度の整理)

○ 介護の状況は、介護の原因疾患や要介護者の状態、家族形態によって様々であり、育児とは異なり先の見通しが立ちにくいことから、介護休業を自ら介護するための期間と位置づけた場合、休業期間を大幅に延長する必要があり、事業主にとって負担となるだけでなく、労働者にとっても介護へ専念する期間が長期化し、継続就業を難しくする可能性が高い

○ このため、介護休業については、急性期や在宅介護から施設介護へ移行する場合や末期の看取りが必要な場合など、介護の体制を構築するためにある一定期間、休業する場合に対応するものとして整理すべきである。

○ 介護の体制を構築した後は、介護保険サービスや地域におけるボランティア、NPO、民間企業等が提供するインフォーマルサービスも利用しつつ仕事と介護の両立を図ることとなるが、そうした介護保険サービスの利用に係る手続きやスポット的な介護、通院等のために、一定の休暇が必要になることが考えられる。すなわち、介護の体制に変動はないものの、介護保険の申請・更新手続きやケアマネジャーとの定期的な打ち合わせ、主たる介護者は別にいるが、その主たる介護者が病気になった場合の一時的な介護、対象家族が通院等をする際の付き添い等、日常的に介護する期間においてスポット的に休まざるを得ない場合に対応するものとして、引き続き介護休暇を位置づけるべきである。

○ また、介護の体制に変動はない場合であって、介護のための買い物や見守り、通院の付き添い等、介護に伴う日常的なニーズに対応し、介護離職を防止するとともに、いつまで介護が続くか分からない不安に対応するものとして、勤務時間や勤務時間帯を調整する等の介護のための柔軟な働き方を位置づけた上で、その内容を検討すべき

昨年12月から偶数月に山手統括支部で「山の手メンター塾」を開催しています。直近3年間に登録した開業会員と勤務会員を10年以内に登録した比較的まだ身近な会員を中心とした先輩とミニセミナーを聞いたあとにディスカッションをして、その後「仕事の話をする飲み会」に参加してもらうという企画です。

当初どのくらいの人数が集まってくれるか、メンター役をやってくれる会員がいるか心配ではありましたが若手を中心とした協力を得ることができて、だいたい40名程度の会員が集まり、かなり盛り上がっています。社労士会にとっては人材が沢山育つことがなんといっても大事と考えていますので、できるだけ今後も充実させたいと考えています。

8月の企画は、「小さな会社の賃金制度の仕組みづくり」。私が開業当時は手が届かないと考えていた賃金制度や評価制度を、手探りで作ってきた経緯も含め小さな会社でもシンプルで良いので賃金制度を作るべきという話を恥ずかしながらする予定です。


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介護休業の終了についての留意点

2016-06-05 23:01:13 | 労働法

いつも仕事の中で勉強させて頂くことが多い仕事ではありますが、今回育児介護休業規程のチェックをさせて頂く中で、新たな発見がありました。

介護休業の終了についてなのですが、会社の介護休業規程に「介護休業の終了」の項目があり、その中で「治癒により対象家族を介護する必要がなくなった場合」という条文があり、その条文については削除する必要があることが分かりました。この理由としては以下の通達の記載にある通りです。終了と一時中断は違うという部分などはかなり実務的にも使えると思います。

(2) 介護休業期間の終了に関し、以下の点に留意すること。
イ (略)

ロ対象家族が要介護状態から脱した場合を当然終了事由とすることについては、

(イ) 対象家族が再び要介護状態となることも当然予想され、労働者にとって酷であること
(ロ) 事業主にとっても、対象家族の不安定な状態に影響されることは好ましくないものであること
から、適当ではなく、当然終了事由にはしなかったものであること。

ハ対象家族が特別養護老人ホーム、介護老人保健施設等へ入院・入所した場合についても、その入院・入所が一時的となる場合もあるため、ロで述べたと同様の理由で、当然終了事由にはしなかったものであること。

ニ他の者が労働者に代わって対象家族を介護することとなった場合についても、上記ロ及びハと同様、労働者にとっても確定的に介護をする必要性がなくなったとは限らないこと、使用者にとっても不確定要素に影響されるおそれがあることから、当然終了事由にはしなかったものであること。

ホイからニまでの場合を含め、介護休業期間中の労働者が一時的に介護をする必要がなくなった期間について、話合いの上、その事業主の下で就労することは妨げないものであること。この場合、当該労使で介護休業を終了させる特段の合意をした場合を除き、一旦職場に復帰することをもって当然に介護休業が終了するものではなく、一時的中断とみることが適当であって、当初の介護休業期間の範囲内で再び介護休業を再開することができるものであること。

平成21年12月28日 職発第1228第4号 10年保存雇児発第1228第2号
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について

最近社会保険労務士の「倫理」の話をする機会が多いです。2月に5年に1度すべての社労士が受講しなければならない倫理研修の講師を務めたのがきっかけなのですが、私自身準備をして非常に奥の深さを感じたこともあり、また社労士として矜持をもって仕事をしたいと思うところがあり、そのあたりをお伝えしたいと思いながら話をさせて頂いています。

話は変わりますが、先日受講生OBの企業が後援しているのでということでチケットを頂き「ルノワール展」を見に行きました。特別招待日であったため、とてもすいている中で短い時間でしたがゆっくりと鑑賞することができて、とても良い時間を過ごすことができました。これからは絵を始めとして美術鑑賞もしてみたいと思いました。この年になるとかえってやっておきたいことがたくさん出てくるものですね。


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定年再雇用の賃金に関する判決

2016-05-30 00:43:31 | 労務管理

定年再雇用の場合の賃金の決め方について、よくご質問があるのはどの程度下がることが一般的なのかというものです。だいたい6割から8割程度の減額が一般的と感じますが、もともとの賃金水準が高い企業の場合はもっと減額するケースも多々あります。もともとの賃金の額が大きく影響するため減額割合をうんぬんするのはあまり意味がないと思いますが、定年後年金を受給しながら働くということになると、賃金と年金と高年齢雇用継続給付のバランスを考えることが一般的なので、おのずと賃金額は同じような額になることが多いです。

しかし定年再雇用後の賃金が下がるのは定年後なのだから当然ということはないはずで、下がることになるのであれば従来とはどこか違う職務にしてくださいとこれまでもお願いしてきました。60歳になったら急に能力が下がるわけでもないので、責任度合い、出勤日数、仕事の内容などどこかを軽くするということでなければ賃金を下げるのはおかしなことです。

大きな会社は下の年齢層がつかえていることもあり、役職や職務が変更になることが当たり前で、また小さな会社はその社員が余人に替え難しということであれば職務の変更も賃金の変更もないということがあるなか、中堅の企業がなかなかその点が難しいケースがあるようです。「そうはいってもね~現実はそう言うわけにもいかんのですよ」とおっしゃられて、その時の打ち合わせでは雰囲気が悪くなったという経験もあります。

定年後再雇用されたトラック運転手が、定年前と同じ職務であるにもかかわらず3割程度の賃金の減額は違法であり定年前と同じ賃金を払うことを求めた裁判の判決が5月13日東京地裁で下りました。判決では、賃金の引き下げは労働契約法第20条の「期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止」に違反するということで無効とされたもので、今後上級裁判所の判決がどのようになるかはわかりませんが、賃金の差は期間の定めがあるか否かでではなく、あくまで職務の違いによることという同一労働同一賃金法の考え方が促進していく可能性は大だと思います。

同一労働同一賃金法の方向性としては、日本の場合職務給を市場の価値の中で決めるのはなかなか難しいところなので企業横断的ではなく、企業内での職務給の設定を目指すということになると聞いています。同じ企業内では正社員・契約社員・嘱託社員・パート・アルバイトにかかわらず同じ仕事をしていれば同じ賃金を払うという賃金制度の設計をしていくことになると思いますので、これまでの思考方法を少し洗い替えする必要があります。

判決の内容は以下の日経新聞の内容をご確認ください。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG13H9O_T10C16A5CC1000/

社労士の場合、たくさんの顧問先を担当として抱えることになりますので、常にいろいろな案件が頭に入ってい状態になると思います。私も自分が担当する顧問先企業があり、またスタッフが担当している顧問先企業でも相談案件は一緒に担当することもあり、またOURS全体の運営あり、セミナーや執筆をすることもあり、さらに統括支部長と副会長という社労士会のお役目もあり、まあ多少の家事もしているわけで、それらをつつがなく進めていくことについてはかなり頭の中であれこれ飛び交っている状態です。

先日「スピード仕事術」を読んでいて同感したのですが、著者の佐藤さんは「1つの案件だけに集中する」「そして一つの案件を処理したら、それもスパッと忘れて次の仕事に移っていく」というのがたくさんあるプロジェクトを混乱なく進められ理由としています。私の場合手帳にこまごまと仕事の予定を記入しておきできるだけ予定していたことは済ませるようにしています。その上で終わったら次に思い出さなければいけないタイミングを手帳に書いておいてスパッとその件は忘れることにしています。手が空いているときにしょっちゅう手帳を見直して、すべての案件がもれなく対応できるようにしているわけです。

顧問先にご質問を投げかける等をしてなかなかボールが戻らないときでも、ボールを戻してもらうようこちらからご連絡は必ずするようにしています。戻らないからといってそのままにしておくと思いがけない時にボールが戻ってきて予定が狂うと計画が破たんしてしまうので、それは避けたいからです。もし計画が遅れるというご返事があればそれに従って計画を変更していきます。従って手帳には付箋とホワイトを多用しています。


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無期転換制度の意識調査について

2016-05-22 22:40:43 | 労働法

平成25年施行の労働契約法の無期転換のルールについては、今年度は本腰を入れて対応を準備する必要があると考えています。平成28年度も、社会保険の適用拡大、介護離職予防のための育児介護休業法改正、最近テレビで盛んに取り上げられている同一労働同一賃金法など人事担当者は準備が必要なものが目白押しです(ストレスチェックも11月までに実施しなければなりませんし)。

しかし、それでもやはり無期転換対応は迅速に対応する必要があると考えていたので、7月には渋谷労働基準協会でのセミナーのテーマとさせていただいています。7月に刊行予定の労務行政さんの「雇用保険法・育児介護休業法等の改正早わかり」の原稿は何とか投入にこぎつけましたので、今抱えている就業規則の仕事をバリバリと片付けてレジュメ作りに励もうと思っていました。そんな中で最近「無期転換ルール」についての記事等をよく目にするようになってきましたので、資料集めは始めるつもりです。

まず厚生労働省は「無期転換ルール導入に向けた8つの支援策」を打ち出したそうです。モデル就業規則の作成、導入手順を紹介したハンドブックの作成などもあるようなので研究材料が沢山出そうで楽しみにしています。

また東京都産業労働局が実施した「契約社員に関する実態調査」の中で「無期転換制度」についても取り上げており、その内容もかなり興味深いものです。

無期転換関係で取り上げているルールは以下の4つです。

①無期転換ルールの認知度
②無期転換ルールへの対応予定
③無期転換する場合の雇用形態
④無期転換ルールの利用希望

中でも④無期転換ルールの利用希望(契約社員調査)は興味深いものです。

無期転換ルールの利用希望については、「条件によって利用したい」が41.7%を占めて最も多く、「利用したい」(19.0%)と合わせると6割を超えている。一方、「利用したくない」は12.8%であった。また「わからない」が28.1%となっている。

〇無期転換ルールを「条件によっては利用したい」とした回答者に、利用する条件を聞いたところ、「賃金、賞与等の待遇がよくなること」が71.9%で最も多く、以下、「正社員への転換であること」(45.2%)、「職務内容が現在と変わらないこと」(44.7%)、「転勤がないこと」(23.7%)と続いている。

これにはちょっとウーンと考え込んでしまいました。というのも労働契約法18条に規定されている無期転換後の労働条件は、「現在の労働条件と同一」が原則となっているからです。これまでもセミナー等で無期転換後の労働条件は有期契約時代と同一に設計し、様子を見てから状況に合わせて改定していくのが良いのでは?とお話もしてきたところです。「賃金、賞与の待遇がよくなる」、「転勤がない」となると若干難しい気がします。

東京都産業労働局「契約社員に関する」実態調査(概要版)

http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/toukei/koyou/jiccho27_0hajimeni.pdf#search='%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E3%80%81%E6%84%8F%E8%AD%98%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%80%81%E7%84%A1%E6%9C%9F%E8%BB%A2%E6%8F%9B%E5%88%B6%E5%BA%A6'

今朝何気なくテレビを見ていたところ同一労働同一賃金法についての与野党の討論会をしていたのですが、政治家の説明にはちょこちょこ「うん?それは違うのでは?」というところがありやはり話を聞くだけでは本当のところはわからないなあと感じたところです。ご自身の主張に合わせたところだけをピックアップして全体的に行っていることを考慮していなかったり、古い数字を使っていたりと、専門分野だから違うなとわかるわけですが、そうではない分野などはもしかしたら自分は正確ではない情報で判断しているのか?と心配になります。

自分で本を読んで研究をして、できるだけ正しい判断ができる人間になりたいと思います。


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事業譲渡における労働契約の承継

2016-05-15 22:11:02 | 労働法

労働新聞(労働新聞社)の5月2日付の記事で、「労働契約承継拒否でも解雇できず――厚労省・事業譲渡で指針案」として以下の記事が出ていました。 記事を読んでどのような指針か楽しみにしているのですが今のところまだ読めていない状況です。

 ---厚生労働省は、事業譲渡または合併に当たって会社が留意すべき事項を明らかにした指針案をまとめた。企業のM&Aが活発化するなか、適切な労働契約の承継につなげ、労使紛争の防止を図る。事業譲渡の場合、労働者が労働契約承継を同意しなかったことのみでは解雇できないため、譲受会社の概要や労働条件の変更について十分に説明し、同意を経る必要がある。---

この指針のもとになる、平成28 年4月13 日付で発表された組織の変動に伴う労働関係に関する対応方策検討会報告書の「組織の変動に伴う労働関係に関する対応方策について」はWEBで見ることができました。そこでは事業譲渡等の指針について以下の通り書かれています。

事業譲渡は、特定承継であり、労働契約の承継には労働者の同意が必要とされていること等から、これまで労働者保護のための固有の法的措置は講じられていない。しかしながら、事業譲渡は労働者の雇用や労働条件に大きな影響を与えることも少なくなく、労使協議が一定程度行われている場合もあるものの、労働契約の承継あるいは不承継等をめぐり紛争に発展する事例も生じている。(略)として指針を策定し、以下の通り留意すべき事項を示すことが適当とされています。

(1)事業譲渡
イ 労働者との間の手続等について、以下のことに留意すべきことを周知することが適当である。
労働契約の承継には労働者の個別の同意が必要であること、その際、営業譲渡に関する全体の状況や譲受会社等の概要等を十分に説明することが適当であること、労働条件の変更についても労働者の同意を得る必要があること
労働契約の承継への不同意のみで解雇が可能となるものではない等、解雇権濫用法理等を踏まえた事項
③ 労働者の選定について労働組合員に対する不利益取扱い等を行ってはならないことや、裁判例における労働契約の承継の有無や労働条件の変更に関する個別の事案に即した救済の状況、 労働組合等との間の集団的手続等について、一定の事項を周知等することが適当である。

連休明けから仕事のご依頼が多くあり、手帳と常ににらめっこをしている状態ですが、何とか時間配分は上手くいっているような感じです。ご依頼は育児・介護関係、ワークライフバランス関連制度の導入、女性活躍関係などが多いような気がします。一昔前ではちょっと考えられない状況ですが、このあたりのテーマは書籍執筆をはじめとして常に取扱っていることが多いので頭に入っている分比較的取組みやすいところではあります。

最近どうしても夜になると眠くなり(これは人間としては当然なのですがつい最近までは夜はめちゃくちゃ強かったのです)、早く寝ることを心がけるようになりました。連休中、小淵沢の家では夜は特に早目に寝たため5時ころに目が覚めて外に出てみたのですが、しーんとした森の方から「ホゥーホゥホゥ」とたぶんフクロウの声が聞こえてきました。幻想的な雰囲気で時々それを思い出しながら和んでいます。


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海外勤務に労災適用 東京高裁、遺族が逆転勝訴

2016-05-08 20:59:46 | 労働法

先々週のブログに折しも取り上げた「海外派遣」と「海外出張」の判断に関する逆転判決が4月27日に出ました。

元々の東京地裁の判決(東京地判平成27.8.28)は、以下の通りです。

上海営業所の主席代表兼上海現地法人の総経理を兼務する者(仮にA氏とします)が急性心筋梗塞で死亡したところ、遺族が海外出張中の業務上の死亡ということで労災保険の遺族補償給付及び葬祭料の支給を請求。中央労働基準監督署長は、出張業務中の死亡とは認めず、また海外派遣の特別加入の手続きも行っていなかったため労災保険の対象とならないとし、不支給とされました。

地裁判決の内容としては、労災保険法の適用は属地主義により国内に限定されており、海外の事業所での業務災害には適用はないとされています。海外出張と海外派遣の判断は、「期間の長短や海外での就労にあたって事業主との間で勤務関係がどのように処理されたかによるのではなく、労働者の従事する労働の内容やその指揮命令関係等その労働者の国外での勤務実態を踏まえ、いかなる労働関係にあるかによって総合的に判断すべき」としたうえで、A氏はその業務内容から海外事業所である事業に属しその事業に従事していたことから「海外派遣者」にあたるとされました。

しかし、先日4月27日の東京高裁の判決で海外派遣についての判断が覆りました。内容としては以下の通りです(日経新聞より)。

海外勤務中の死亡に労災保険が適用されるかどうかが争われた訴訟で、東京高裁(杉原則彦裁判長)は27日、保険を適用できないとした一審・東京地裁判決を取り消し、遺族補償の支給を認めた。赴任先の中国・上海で死亡した男性(当時45)の妻が逆転勝訴した。一般的に、海外出張中の死亡は労災保険が適用される。ただ、海外の事業拠点に転勤・所属すると、国内事業者の労働者とみなされなくなる。補償を受けるには、海外での労災も保険の対象とする「特別加入」の手続きを取る必要がある。判決によると、男性は2006年、運送会社の上海事務所に首席代表として赴任し、10年に急性心筋梗塞で死亡した。中央労働基準監督署は、男性が現地事業所に所属しており「出張中の労災ではない。特別加入もしていない」と遺族補償の支給を認めなかった。

杉原裁判長は、労災保険の適用について「仕事の内容や国内拠点からの指揮命令などを総合的に判断すべきだ」と指摘。東京の本社に業務の決定権があったことや、出勤簿を本社に出していたことから「男性は実質的には国内の事業所に所属していた」と判断し、労基署の処分を取り消した。妻の代理人弁護士は「これまでは海外で勤務中に死亡すると、労災適用を諦めて泣き寝入りするケースが多かった。意義ある判決だ」と話した。

東京高裁の判断は、業務の決定権や労務管理の状況から、「海外派遣」ではなく実態は「海外出張」としたもので、やはり「指揮命令権のありか」がポイントになったものです。

連休最終日の今日は暑かったですね。みなさんどのようにお過ごしでしたでしょうか。事務所の数名のスタッフをはじめとして社労士受験生はきっととアクセルを強めに踏み込み始め勉強一筋だったかと想像します。これからがいよいよ勝負の時。とにかく繰り返して繰り返して自分の中にたくさんの無意識の知識を蓄えることが肝要です。

私は申し訳ないのですが、この連休はほんの少しの親孝行のため実家に行き、小淵沢の家に行き改装したため大掃除をし、友人と明治座にお芝居を見に行き、今日最終日は法事で大磯のお墓と帰りに実家の鎌倉のお墓の両方に行き草むしりをしたりで(ドクダミ臭くなりました)、かなり遊び、充実して過ごすことができました。

もちろん例の原稿も何とか進んでいます。120ページの予定なのですが、今回は色々なメンバーに助けてもらいながらほぼ100ページくらいにはなったような気がします。

さて、気持ちの良い季節ですね。明日からまたもう一息頑張りましょう。


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高年齢継続被保険者について

2016-05-01 22:02:53 | 労働保険

高年齢継続被保険者というのは、同一の事業主の適用事業に65歳に達した日の前日から引き続いて65歳に達した日以後の日において雇用されている者を言います。

誕生日=65歳に達した日ということになりますので、65歳に達した日の前日というのは「誕生日の前々日から誕生日をまたぎ誕生日以後も継続して同一事業主に雇用されている」必要があります。

65歳に達した日以降(例えば66歳)で良い仕事が見つかって雇い入れられた場合などは高年齢継続被保険者になることはできません(もちろん65歳到達を上限とする一般被保険者にもなることはありません)。現状あくまで65歳到達前に一般被保険者であったものが65歳に達すると高年齢継続被保険者になるという仕組みになっています。

高年齢継続被保険者は、失業した場合は高年齢受給資格者として高年齢求職者給付金を受給することができます。高年齢求職者給付金は1年未満の算定基礎期間(被保険者であった期間)の場合30日分、1年以上の同期間の場合50日分が支給されます。

この給付日数は65歳未満で退職した場合の給付金である基本手当に比べると少ない日数になっています。しかし年度の初日に64歳以降である場合(要するにその年度中に65歳に到達し高年齢継続被保険者になる可能性がある場合以降)、事業主負担分及び被保険者負担分ともに免除されることになっています。これは私見ですが給付が少なくなってしまうため保険料を免除するということにしたのではないかと思っています。たとえば22歳からサラリーマンとなり雇用保険を納め始め65歳到達以後退職すると高年齢受給資格者となり給付50日になりますので、そこへの配慮かなと考えています。

ところで先日成立した雇用保険法等の改正で、高年齢継続被保険者の考え方は改正となり、平成29年1月1日から65歳以降に雇用された者についても雇用保険を適用し、高年齢求職者給付金他これまで支給されないことになっていた介護休業給付・教育訓練給付等を支給することになりました。また年度初日に64歳以上の者についても雇用保険の保険料が徴収されるそうです(平成31年度分まで経過措置あり)。

とにかく将来の労働力不足に備え、若者も女性も高年齢者も一億総活躍の必要があります。この分で行くと65歳定年義務化70歳まで継続雇用の世の中が近いうちに来そうな気がします。

朝の連続テレビ小説は、土曜日にまとめてみることにしているのですが「とと姉ちゃん」はとても楽しみです。なんといっても主人公が何とも言えずかわいらしく機転が利いていて気に入っています。主人公のとと姉ちゃんは高畑充希さんが演じています。毎週楽しみです。

http://www.nhk.or.jp/totone-chan/cast/

先週、猪瀬直樹さんの卓話を聞く機会がありました。なかなかお話がお上手で1時間の食事会の間の30分ほどだったと思いますが中身が濃かったと思います。そのときにご紹介のあった「民警」という執筆された本がとても興味深く早速買ってしまいました。民間警備会社のセコムとアルソックの成り立ちの話だということなのですが、関与先企業には警備業もありますので読んでおくべきだと思いました。

連休後半は少し仕事のことは忘れて、読書などでゆっくり過ごす予定です(書籍執筆の仕事もあるので内心気が気ではないのですが、やはりたまには脳を休めるそういう時間も大事ですよね)。

皆様良い連休をお過ごしください! 


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海外派遣の特別加入と海外出張との関係について

2016-04-24 23:23:07 | 労働保険

昭和22年4月に労災保険制度は施行されたのですが、時を経て海外派遣の特別加入は昭和52年にできた制度です。

海外派遣の特別加入と海外出張との違いについては「指揮命令」の所在が判断の基本となります。

「特別加入海外派遣と海外出張の区別」は、昭和52年3月30日基発192号の通達で示されています。

●海外派遣の特別加入制度について

(略)

七 海外出張との関係
海外派遣者の特別加入制度の新設は、海外出張者に対する労災保険制度の適用に関する措置に何らかの影響を及ぼすものではない。
すなわち、海外出張者の業務災害については、従前通り、特段の加入手続きを経ることなく、当然に労災保険の保険給付が行われる。
なお、海外出張者として保護を与えられるのか、海外出張者として特別加入しなければ保護を与えられないのかは、単に労働の提供の場が海外にあるにすぎず国内の事業場の所属し、当該事業場の使用者の指揮に従って勤務するのか、海外の事業場に所属して当該事業場の使用者の指揮に従って勤務することになるのか、
という点からその勤務の実態を総合的に勘案して判定されるべきである。

厚生労働省特別加入制度のしおり(海外派遣者用)P4に一般的な例示が載っているのでご参考まで。
http://www.sr-horikawa.com/blog/panf-rousai/%E7%89%B9%E5%88%A5%E5%8A%A0%E5%85%A5%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E3%81%97%E3%81%8A%E3%82%8A%E3%80%80%E6%B5%B7%E5%A4%96%E6%B4%BE%E9%81%A3%E7%A4%BE%E7%94%A8%EF%BC%88H23.3%EF%BC%89.pdf

なお、海外出張である場合でも、それが長期にわたる場合は「出張」と認められないリスクを考えて海外派遣の特別加入を念のため申請しておくという企業も実際にはあるようです。

また、海外の現地法人の社長として勤務する場合、中小事業主として海外派遣の特別加入をすることも可能ですが、国内と同様に事業主の立場において行われる事業主本来の業務を行っていた際の災害についての保証はされません(上記しおりP6~)。通常労働者も行う業務を行っている場合でなければ認定されない可能性がありますので留意が必要です。

金曜日に山手統括支部の定期会議がつつがなく終了しました。これで統括支部長も2年目となり、渋谷支部の支部長から通算すると6年目になります。社労士会の仕事で昨年はかなり事務所運営をおろそかにしてしまいましたが、ここにきて人員体制も安定してきて若干雰囲気が変わってきましたので事務所の方向性を改めて考えてみたいと思います。

先日20年来ご依頼頂いている顧問先の社長より温かい言葉を頂き、長年のお付き合いのありがたさをしみじみ感じました。人数が増えてもやはりOURSは、社員間においては家庭的な面を忘れずに、ただそれに甘えることなく仕事では高いレベルでのアドバイスと信頼されるきめ細かな手続き業務を提供できるようになりたいという目標は忘れてはいけないなと自分の気持ちを引き締めました。


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契約社員の育児休業取得要件

2016-04-17 23:04:25 | 労働法

育児介護休業法の定めによれば、契約社員(契約期間の定めのある社員)が育児休業を取得するには、一定の条件を満たす必要があります。この条件は平成29年1月1日に改正されることになりましたが、現在はどのような条件なのかというとなかなか理解が難しい条文になっています。

 (育児休業の申出)
第5条 労働者は、その養育する1歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者については、次の各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる。
①当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者
②その養育する子が1歳に達する日(以下「1歳到達日」という。)を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者(当該子の1歳到達日から1年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかである者を除く。)
 
上記のうち②はとても解読するのに難しいのですが、要するに以下の通り整理されます。
1.子の1歳の誕生日以降も引き続き雇用されていることが見込まれていること、かつ、
2.子の1歳到達日から1年を経過する日(=子の2歳の誕生日の前々日)までに、労働契約の期間が満了しており、かつ、契約が更新されないことが明らかでないこと
 
このうち1.の1歳の誕生日以降も引き続き雇用されていることが見込まれているとは、「書面等に労働契約を更新する場合がある旨明示されており、育児休業申出時点で締結している労働契約と同一の長さの期間で契約が更新されたならばその更新後の労働契約の期間の末日が1歳到達日後の日であるもの」などが指針で示されています。
 
さらに、2.の子の1歳到達日から1年を経過する日までに、労働契約の期間が満了しており、かつ、契約が更新されないことが明らかでないことについては、育児休業申出のあった時点において判明している事情に基づき労働契約の更新がないことが確実であるか否かによって判断するものとしています。
 
例えば、育児休業申出のあった時点で、 書面等に労働契約の更新回数の上限が明示があり、当該上限まで労働契約が更新された場合の期間の末日が1歳到達日から1年を経過する日以前の日である場合は、原則として、労働契約の更新がないことが確実であると判断されることになります。
※ただし、雇用の継続の見込みに関する事業主の言動、同様の地位にある他の労働者の状況及び当該労働者の過去の契約の更新状況等から、これに該当しないものと判断される場合もあり得るともされています。
 
この条文は、改正により2.は以下の通りシンプルになります(平成29年1月1日施行)
・その養育する子が1歳6カ月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者
 
(参考指針)
子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針(平成21年厚生労働省告示第509号)
 
熊本を中心とした地震が早く収まることを祈っています。阿蘇は一度旅行で行きましたが美しくとても感激しました。元通りの姿にできるだけ早く戻れるようにと願います。
 
原稿の仕事が入り5月連休は集中して取り組むことになりそうです。今回はチームで作り上げることになり、それはそれで楽しみです。まだまだ資料が少ないので、労働政策審議会の資料をよく読んで研究してみようと思います。

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